空木岳(2864m)、南駒ケ岳(2841m)、越百山(2613m)縦走
- GPS
- 54:00
- 距離
- 30.5km
- 登り
- 2,499m
- 下り
- 3,009m
コースタイム
11月23日 空木小屋(6:30)→駒峰小屋(7:20ー8:40)→空木岳(9:15)→南駒ケ岳(11:15)→越百山(14:16ー14:30)→越百小屋(14:40)
11月24日 越百小屋(7:30)→越百山(8:10ー9:40)→林道終点(14:30)→ヒッチ(16:30)→飯島駅(17:30)
天候 | 1曇り 2ガス強風 3晴れ |
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アクセス |
写真
感想
朝長野を発ち、駒ケ根の池山尾根の林道を登り、行き止まりにハヤブサ号をデポして登り始める。ラッセルもあるかと、ストック、わかんにスコップまで用意したが残念でした、頂上下の空木避難小屋までほとんど雪がなく、夏道が分かった。5時間かけて登った池山尾根は、樹林帯の中にも稜線が細く切れ、足元深く谷が覗けるところがある。右手前の千畳敷カールは雪をたたえて真白だ。
空木小屋では既に数パーティーが夕飯の支度をしていた。向いにいた単独のパンチのおっさんが声をかけてきた。ラジオで天気図を取っていた僕を今時珍しいと思ったそうだ。そのひと小泉共司さんは25年ほど前中央アルプス全域で地域集中登山をしたそうだ。6年間ここに通い、その後利根川源流に転じたという。利根川源流の遡行者として名が知れている。後に知った。翌日越百山まで道中一緒という。
翌朝、晴れているようだが稜線は濃い霧が離れない。山頂直下の駒峰ヒュッテでガスが晴れるのを待っていると、小泉さんが登ってきた。風が強く視界は50mほどだが気温はマイナス5度と温かいので2人で行くことにして出発した。小屋から10分も登ると山頂についた。強風の吹く、真白な山頂を後に、南へ進んだ。
空木からの下りは結構風が強い。何度か立ち止まるほどだ。赤梛岳と南駒ケ岳の間のコルで一休みする。擂り鉢窪カールの方へ3メートルも降りたら嘘のように風が無い。登山大系に書いてあったとおりだと話すと、小泉さんが書いたものだった。テルモスのお茶をたびたび御馳走になる。南駒のピークで記念撮影。髪の毛にシュカブラがくっつき、ほっぺたが痛くなっていた。ピーナッツを食っていると、こんな天気だというのに、霧の中から2パーティーほど登ってきて降りていった。南駒西尾根に、地図には無い新しい夏道が付いているのだそうだ。
仙涯嶺への下りは急なルンゼのトラバースがある。積雪季なら1ピッチザイルを出すところらしい。細い岩稜を捲く様にして夏道が付いている。夏道が判別できる、ぎりぎりの季節だ。鎖場を越え、花崗岩のピナクルが林立する仙涯嶺の最高点を越え、なだらかな尾根道に差しかかった。緊張感が抜け、また岩影でお茶を一杯。そういえば、幼なじみのうつぎちゃんとこすもちゃんの姉妹、いまごろどこでどうしているのやら。まさか山の名前とは当時は知らなかったなあ。行動用白ワインを小泉さんにごちそうになる。これは良いアイデアだ。
仙涯嶺の核心部を越えても風は吹き続け、視界も50mのままだった。越百の山頂についてザックを降ろすと一瞬だけ頭上が晴れて青空が覗いた。やっぱりガスは稜線だけだったのだ。小泉さんが、有難う1人だったらきっとここまで来なかったといった。僕もだ。停滞食料はたくさんあるし、駒峰ヒュッテでもう1日待っていたことだろう。吹雪のなかをのっこして、せっかくの稜線を景色が見られず、ちょっと損した気分だが、冬山前のいい目覚ましになった気がする。おかげでこの時期の本州の山の感じがつかめた。吹雪でなければ夏とたいして変わらないから、むしろ積雪季体験ができて得したのかも知れない。稜線上に雪でもあればツエルトを張るつもりだったが、全く無いので、小泉さんともう一泊、木曾側へ300m程降りた越百小屋に付き合うことにする。
越百小屋は森の中のこじんまりした北海道らしい小屋で、客はいなかった。話ははずみ、苗場山の幻の湖の話、鳥甲山のスキー滑降の話、飯豊の沢、仲間の話。翌朝分かれて僕は伊那側に降りるため再び越百山に登り返した。小泉さんは木曽側へ降りるという。
この日は痛快に晴れていた。登るにつれ背後に上昇してきた御岳山、乗鞍岳、穂高連峰、そして遠くに白山の山並み。冬になったら登りたい山ばかりだ。長野に来て、周りが登っていない山ばかりで、居ても立ってもいられない。山頂に腰を降ろして、2時間近く一人で山を見ていた。東の方向、南アルプスは逆光が眩しくて目が痛い。光岳以南のグラデーションの山並みが素晴らしい。天竜川がもたらした伊那谷の河岸段丘に、与田切川が鋭く切れ込んでいる。
見た目では里は近く感じたのだが、下山には思いのほか時間がかかった。この夏道は中小川の沢沿いに付いているため、水しぶきのかかるところは完全に凍り付いていて、非常に危険だった。岩のへつり、沢の渡渉など、ほとんど沢登りと同じルートがカリンコリンに凍っていた。微妙なへつりで遂にアイゼンを付けさせられた。滑り落ちたら助からないような激流、大滝がいくつもある、なかなかの沢だ。3時間のところを5時間かかってやっと林道にたどり着いた。ここから2時間歩かないと最終人家に付かない。久しぶりの林道歩きだが、もう嫌気がさしてきた。氷のへつりで神経を擦り減らしてしまった。伊那谷の向いの塩見岳や赤石岳が真っ赤に染まるころ、役場の軽トラに拾ってもらった。飯島の駅前でタクシーに乗り、池山尾根にハヤブサ号を取りに行く。とっぷりと日が暮れ、この日は松本の実家で骨休めした。
コメント
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今日も話したこの山行、28年前のものでしたか。こんなイメトレをしておけばイイんですね。
小泉さん、当時御年52歳。今もお元気のことと思います。
北海道から8年ぶりに本州帰ってきて、11月最終週の雪の具合とか大いに見込み間違えていて、バリバリの雪山のつもりで行ったら、雪かぶった寒い山って感じでした。内地の勤労感謝の連休ってのを知りました。小泉さんと魂の出会いしてしまいました。
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