利尻山 南稜


- GPS
- 80:00
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 1,701m
- 下り
- 1,693m
コースタイム
- 山行
- 2:05
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:05
- 山行
- 3:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:10
- 山行
- 7:30
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:30
- 山行
- 15:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 15:20
4月24日:研究所(7:00)→鬼脇登山道(7:40)→明治大テントC1(9:45)
4月25日:明治大テントC1(7:30)→1200ピーク→アプザイレンのコルでイグルーC2(10:40)→完成(12:10)
4月26日イグルーC2((5:30)→バットレス前にイグルーC3((13:00)→完成(14:30)
4月27日イグルーC3((5:40)→南峰の肩(16:30)→北峰(18:00)→長官山(18:50)→登山口駐車場(21:00)
アクセス | |
---|---|
コース状況/ 危険箇所等 |
<入山まで> 車を稚内港の埠頭に置いて一泊。翌日は悪天のため船が出ず、豊臣温泉で1日だらりとつぶす。その翌日やっと鴛泊港に上陸。札医大の臨海研究所で一晩お世話になる。ノラネコと一緒に焼酎を飲む。 翌日、ヤムナイ沢から入山。2時間歩いたところで明治大山岳部の捜策ベースキャンプにつく。前年12月に、雪崩で行方不明になった仲間を探し続けていた。ヒマラヤ取材の縁で明治とは顔見知りだ。この前ススキノで飲んだ二人がいた。雨も降りだしたので広々したここで一泊。おいしいマーボー定食の夕飯をいただいた。 <核心部1日目> さて翌日。札幌を出てから実に5日目、旅先の人たちの熱い人情をハシゴしてやっと南稜に取り付いた。視界の効かぬまま標高1200m付近の極端に細い稜線へ。ついに利尻にやってきたぞ!底なしの絶壁がガスのために隠されている。だが稜線の幅は腰ほどもない。1200mピークから懸垂下降。その底の、稜線の幅2m程のコルにイグルーをこしらえる。夕方、晴れ上がり、ヤムナイ沢源頭から恐竜の背のような南稜上部、そして目指すバットレスが初めて見えた。この季節にしては異様に白い。垂直で雪が乗らない壁の部分以外はすべてが真白。びっしりとシュカブラがこびり付いている。事前に予習してきたルートなど、どこのことなのかよく分からない。 <核心部2日目> 翌朝はさわやかな晴天の下、最低コルまでもう一度アプザイレン。その後、細い雪稜を1ピッチ、スタカットで大槍の基部へ。ここはカンテからチムニーを抜けて最後は馬乗りするほど細くて切れてる数メートルを通る。恒常的に細いので、高度感にはそのうち慣れてしまう。大槍を左に捲いてP2へ。ここからの懸垂下降には不退転の決意が必要だ。登り返すのが大変だからだ。そうはいっても行く事しか考えていないのでさっさと懸垂する。20m、40m、2回のアプザイレンが終わるころ、罠にはまるのを待っていたかのようにガスが昇ってきた。ホワイトアウトになる。視界は15m程になり、P1の登りのルートがよくわからない。雪かきの末、斉藤がトップで抜ける。その後左への回り込みも視界がない故に時間がかかった。P1を越えたコル、ここにイグルーを作る。昨日と同じくらい狭いコルに、同じくらい狭いイグルー。この作業で全身ずぶ濡れになる。ひどい場所だが着実にルートを前進している充実感は大きい。うまいカレー雑炊をたらふく食べて幸せになる。 <核心部3日目> 翌朝は希望どおり快晴。作るときはガスで気づかなかったがイグルーはなんとバットレスの取り付きにできていた。数メートル登った所から斉藤が空身でトップを行く。何時間かかってもこの壁を登らなければ家に帰れない。斉藤は右にルートをとる。7mほどトラバースして脆い岩を直上し更に右の氷とシュカブラのチムニーへ。その後数m岩を直上して最後に鐙をつかって右へ。通称ハイマツテラスの1段下の狭いリッジ上でピッチを切る。トップが抜けるのに3時間かかった。僕がセカンドで取り付いたときには岩の上を水が流れていて、つかんだハーケンが緩んでいて抜けた。足の下数百メートル何もなしという滅多にないぶらさがりに肝を冷やす。2ピッチ目はハイマツテラスにあがった後、石橋がトップ。左の浅いルンゼ状を登り、抜けてから右にトラバースして終わり。こちらのテラスは外傾していてすごい高度感。こんなところに来てしまった事をしみじみ味わう。空中に飛んでいく自分を想像すると、その現実感に身震いする。3ピッチ目は斉藤。右のルンゼの中にある小さな滝を鐙でこえて左へ。このテラスではハイマツも埋まっているのかピンが取れず、いい加減なロックハーケンを一本打つ。まーるい利尻の海岸線が光っている。利尻という円錐の頂点を目指しているのが分かる。4ピッチ目石橋。右に回り込んでS字ルンゼをぬけて雪稜へ。2人にトップをつとめてもらい、僕は8ミリムービーと35ミリカメラ両方の撮影に専念した。 南峰を捲き、中央峰で2ピッチ出すころには遠くサハリン島が斜陽に浮かび上がり、北峰に午後6時登頂の頃には薄暮。これで家に帰れるという安堵感。東の空に星。長官山あたりで日が暮れる。ラテルネをつけて山麓へ。登山口駐車場のアスファルトの上にツエルトも被らずにゴロ寝。星を見ながらびしょ濡れのシュラフでスヤスヤ眠る。 |
写真
感想
<入山まで>
車を稚内港の埠頭に置いて一泊。翌日は悪天のため船が出ず、豊臣温泉で1日だらりとつぶす。その翌日やっと鴛泊港に上陸。札医大の臨海研究所で一晩お世話になる。ノラネコと一緒に焼酎を飲む。
翌日、ヤムナイ沢から入山。2時間歩いたところで明治大山岳部の捜策ベースキャンプにつく。前年12月に、雪崩で行方不明になった仲間を探し続けていた。ヒマラヤ取材の縁で明治とは顔見知りだ。この前ススキノで飲んだ二人がいた。雨も降りだしたので広々したここで一泊。おいしいマーボー定食の夕飯をいただいた。
<核心部1日目>
さて翌日。札幌を出てから実に5日目、旅先の人たちの熱い人情をハシゴしてやっと南稜に取り付いた。視界の効かぬまま標高1200m付近の極端に細い稜線へ。ついに利尻にやってきたぞ!底なしの絶壁がガスのために隠されている。だが稜線の幅は腰ほどもない。1200mピークから懸垂下降。その底の、稜線の幅2m程のコルにイグルーをこしらえる。夕方、晴れ上がり、ヤムナイ沢源頭から恐竜の背のような南稜上部、そして目指すバットレスが初めて見えた。この季節にしては異様に白い。垂直で雪が乗らない壁の部分以外はすべてが真白。びっしりとシュカブラがこびり付いている。事前に予習してきたルートなど、どこのことなのかよく分からない。
<核心部2日目>
翌朝はさわやかな晴天の下、最低コルまでもう一度アプザイレン。その後、細い雪稜を1ピッチ、スタカットで大槍の基部へ。ここはカンテからチムニーを抜けて最後は馬乗りするほど細くて切れてる数メートルを通る。恒常的に細いので、高度感にはそのうち慣れてしまう。大槍を左に捲いてP2へ。ここからの懸垂下降には不退転の決意が必要だ。登り返すのが大変だからだ。そうはいっても行く事しか考えていないのでさっさと懸垂する。20m、40m、2回のアプザイレンが終わるころ、罠にはまるのを待っていたかのようにガスが昇ってきた。ホワイトアウトになる。視界は15m程になり、P1の登りのルートがよくわからない。雪かきの末、斉藤がトップで抜ける。その後左への回り込みも視界がない故に時間がかかった。P1を越えたコル、ここにイグルーを作る。昨日と同じくらい狭いコルに、同じくらい狭いイグルー。この作業で全身ずぶ濡れになる。ひどい場所だが着実にルートを前進している充実感は大きい。うまいカレー雑炊をたらふく食べて幸せになる。
<核心部3日目>
翌朝は希望どおり快晴。作るときはガスで気づかなかったがイグルーはなんとバットレスの取り付きにできていた。数メートル登った所から斉藤が空身でトップを行く。何時間かかってもこの壁を登らなければ家に帰れない。斉藤は右にルートをとる。7mほどトラバースして脆い岩を直上し更に右の氷とシュカブラのチムニーへ。その後数m岩を直上して最後に鐙をつかって右へ。通称ハイマツテラスの1段下の狭いリッジ上でピッチを切る。トップが抜けるのに3時間かかった。僕がセカンドで取り付いたときには岩の上を水が流れていて、つかんだハーケンが緩んでいて抜けた。足の下数百メートル何もなしという滅多にないぶらさがりに肝を冷やす。2ピッチ目はハイマツテラスにあがった後、石橋がトップ。左の浅いルンゼ状を登り、抜けてから右にトラバースして終わり。こちらのテラスは外傾していてすごい高度感。こんなところに来てしまった事をしみじみ味わう。空中に飛んでいく自分を想像すると、その現実感に身震いする。3ピッチ目は斉藤。右のルンゼの中にある小さな滝を鐙でこえて左へ。このテラスではハイマツも埋まっているのかピンが取れず、いい加減なロックハーケンを一本打つ。まーるい利尻の海岸線が光っている。利尻という円錐の頂点を目指しているのが分かる。4ピッチ目石橋。右に回り込んでS字ルンゼをぬけて雪稜へ。2人にトップをつとめてもらい、僕は8ミリムービーと35ミリカメラ両方の撮影に専念した。
南峰を捲き、中央峰で2ピッチ出すころには遠くサハリン島が斜陽に浮かび上がり、北峰に午後6時登頂の頃には薄暮。これで家に帰れるという安堵感。東の空に星。長官山あたりで日が暮れる。ラテルネをつけて山麓へ。登山口駐車場のアスファルトの上にツエルトも被らずにゴロ寝。星を見ながらびしょ濡れのシュラフでスヤスヤ眠る。
コメント
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yoneyamaさんはいろんなところを登っているのですね。
私も85年のゴールデンウイークに登りましたが、P2からアプザイレンして降りたところ、バットレスは雪が無く、ぼろぼろだったので、登攀意欲がなくなり、沢を横断して、右手の雪尾根に取り付いて登頂しました。どこを登ったかは定かではありません。多分東稜だとおもいます。
その年の正月合宿が穂高滝谷だったので、滝谷の岩場と比べて岩があまりにもボロボロで、がっかりした記憶があります。もう少し早い、岩場が氷結している時期が良かったのですね。
でも、写真では美しいリッジですね。
追記:写真の何枚かは南稜ではなく、仙法師稜では?
pmir88さんこんにちは
コメントをいただきありがとうございました。良い機会なので時間がばらばらだった写真を並べ直し、説明も丁寧になおしました。デジタルじゃないもので、一発時間順入れ替えができず、難儀しました。仙法師稜と南稜のキャプションも丁寧にしました。
利尻を楽しむならゴールデンウィークは遅すぎです。4月上旬〜中旬まででなければいけません。
yoneyamaさんこんばんは
つれづれなる、つまらないコメントのために、わざわざ写真の整理をしていただいたようで、申し訳なく思っております。
でも、美しい雪稜で、気持ち良さそうですね。これを登られたことはうらやましいです。
近頃は、ワンデイハイクに行ったり走ったりして体が絞れてきたので、簡単なクライミングをやろうかなあと、この記録を見ながらよからぬ考えが頭をよぎっております。最大の難点は、言うまでもなく、女房をどうごまかすかですが
驚きました!
このときのGWは利尻だったのですね。
テントの先輩方が僕の1期上。
TさんとMさんが懐かしい!
南稜は見果てぬ夢だなあ。
しかし、yoneyamaさんは
ホントすごいですね!
この晩いただいた一汁一菜とごはんという、明治定食に我々は驚いたものです。うちは18センチの料理用ボール一つにカレー雑炊すりきり一杯というような野蛮な伝統食だったので・・・。
TさんMさん、今もまだ登っていますでしょうか。
このあと一回ススキノで飲んだ覚えがあります。
あの夕食食べたのですね。
しかし、yoneyamaさんの文章読んで
北大のほうがすごいご飯を
食べられているようですね。
18cmボールの
カレー雑炊すりきり一杯って
coco一番のカレーよりも凄そうです・・・
8月終わりにI先生別邸であるBBQに
今年も家族で参加しま〜す!
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