記録ID: 21334
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アルパインクライミング
白馬・鹿島槍・五竜
唐松岳、不帰3峰Cリッヂ(2696m)
1993年04月03日(土) ~
1993年04月04日(日)


- GPS
- 32:00
- 距離
- 10.4km
- 登り
- 1,267m
- 下り
- 1,261m
コースタイム
4月3日 黒菱平(9:00)→丸山ケルンにデポ→八方尾根下降点(12:00)→三峰C尾根取り付き(13:30)→稜線(19:30)→唐松岳(20:30)丸山ケルン(22:00)
4月4日 丸山ケルン→白馬村
4月4日 丸山ケルン→白馬村
アクセス | |
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コース状況/ 危険箇所等 |
3人で唐松岳不帰の3峰C尾根を登攀した。早朝、群馬の沼田からやってきた清野さんと白馬へ向かい、名取さんと合流する。八方尾根からアプローチして、丸山ケルンに幕営道具をデポ。天気はまあまあだが明日には崩れるという。遅くなるのを承知の上で、今日中に3峰をやろうと決めて唐松岳手前の急なルンゼを下る。午後12時だ。かなりの傾斜を、標高差にして300メートルほどバックステップで下る。沢型を3つほどトラバースして、一番近いC 尾根に取り付く。見かけと実際とで感じの違う傾斜の見方にも慣れてきた。1ピッチ目は4メートルほどの岩のルート。右端のチムニーを狙う。名取さんが取り付くが1時間ほど粘っても結局抜けられない。空身で取り付いた清野さんがアブミをかけてやっと抜けた。急な雪面に出て、そのまま名取さんが2ピッチ目。その雪面は急で高度感のある雪壁に変わり、それを抜けると気持の悪い細い雪稜に出た。馬乗りサイズだ。既に太陽は稜線の向こう側。向かいに見える八方尾根を日陰がどんどん締め上げていく。不安を感じ、ルンゼにアプザイレンで逃げたくなるが、あくまで強気の清野さんの主張に、この先何もないことを祈り、前進を決める。コンテで暫く雪稜を進み、また雪壁を名取さんが行く。ただでさえ傾斜がきついのに、こう潜っては、ほとんど垂直の壁だ。膝で蹴り込み、アックスにしがみつき、ひどい労働だ。雪壁を抜けると予想に違わずやっぱり気持の悪い雪稜。そのまま僕がトップで2ピッチ。右も左も絶壁の、傾斜の強いトンガリ帽子をラッセルして行く。とうとう日が暮れた。だが月光あり。風なし、視界ありで、思いのほか快調、。結構つかれも感じない。なんだかハッピーな気分だ。ランニングハイというやつかも知れない。月光に光る雪面に、砕いた雪片が跳びはねて幻想的。一本道の雪稜に3本指の雷鳥の足跡がトコトコと続く。おまえも飛べないから、こんな急な雪面を歩くのがうまくなったんだな。名取さんのトップで最後の緩い雪壁を越えると、もう危険地帯ではなくなった。国境稜線を歩き、唐松岳の山頂でビールを飲む。ますますゴキゲンな気分。午後8時半である。日が暮れると時間の流れは気にならなくなる。どうせ暗いままなのだ。天気が急に悪くなる予感もない。白馬村の灯かりを見下ろし、空に星を数えながら、月の砂漠のように神秘的な尾根を下っていく。丸山ケルンのシーデポにつきその場に冬テンを張り、転がり込んだのが10時半。実に充実の山行だった。ルームセンスの、暗くなるまでに行動を終えるという常識を越えられた気がした。問題は日没ではなく、天気のいい時間帯だ。それが夜中でも、吹雪の昼間よりは数段マシなコンディションだ。しかも雪面は硬くしまり、なだれの危険も減る。やはりルームがのっていたころのOB だけあって発想が違う。最初は不安だったが、山行貫徹の満足感は清野さんなくして得られなかった。翌朝は雷鳥の鳴き声に春のまどろみを味わい、のんびりおきて八方尾根を下る。谷は雲海、空は高曇り、今にも降ってきそうな嫌な天気。ざまみろという気分で滑降開始するがガリガリに凍ってどうにもくたびれてしまう。尾根が細くなるところで北側の急斜面に入り込んだ名取さんが150メートルあまり滑落した。雪面が硬くてどうにも止まらない。ぐるぐる回転して、大惨事になるかと思った。顔に擦り傷、ああ怖い。スキー場につくと滑りやすくなったが、重荷をしょっては疲れてしまった。清野さんはくるくるとうまいこと滑ってのけた。今回はさすが70年代OBの実力を思い知った。早くも次の山の相談をして、解散。 |
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私も1983年の3月に不帰1峰尾根を登りました。
朝7時頃に尾根から落ちるルンゼに取り付き、途中の断壁とかいう岩場で私がトップで墜落し先輩に ”まじめに登れ” と怒られたり、ナイフエッジ上のキノコ雪に難儀したり、最後の30mほどの垂壁を抜けるのに二人で4時間ほどかかったりで、充実した楽しいクライミングでした。稜線に上がったときは午後10時を過ぎていて、月明かりの後立山連峰の静寂が記憶があります。
楽しい大学時代の思い出です。今はぐうたら中年ですが
トップで墜落したのに怒られるなんて、時代ですね。今なら勇気づけるかという場面のような気がします・・。
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