クダラコージ山〜天ヶ岳〜三又岳〜ハタゴ谷
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- GPS
- 02:47
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 739m
- 下り
- 730m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
天ヶ岳から三又岳の区間以外は一般登山道なし クダラコージ山への登りは明瞭な踏み跡あり 三又岳からのハタゴ谷の下りは踏み跡はあるが、多数の倒木によりかなりの難路 |
写真
感想
北山の前衛に位置する天ヶ岳からは鞍馬と大原にかけて長い尾根が伸びるが、そのどちらを辿っても二つの尾根の間に位置する形の良い円錐形の山が目につくことになる。地図には山名は記載されていないが、クダラコージ山というのがこの山の名称である。この変わった山名の由来は、かつて山頂近くにあった補陀楽寺に由来するのは明らかだ。補陀落はホダラクと読みそうになるがフダラクと読むのが正しい。フダラクジ→クダラクジ→クダラコージと訛ったのだろう。この補陀落寺は延焼の後、鎌倉時代から室町時代には廃寺となるが、その後、洛北の市原に再興されている。
この日は午後から京都の市内で用事があるので早朝からの登山のつもりであったが、前夜に酒を呑んだ後、目覚ましをかけそびれて寝てしまったせいで朝は完全に出遅れる。比良の山を考えていたが、遅くとも昼前に自宅に帰り着く必要があることを考えると比良まで往復する余裕はなさそうだ・・・ということで以前より気になっていたクダラコージ山を訪ねることにする。
天ヶ岳から流れ出る東俣川と西俣川の二つの川が見事にこのクダラコージ山を取り巻いている。東側から登ろうと思って川を渡渉して、西俣川に沿って進むが、一昨年の台風21号によると思われる無数の倒木が斜面に散乱している。地図をよくよく見てみると二つの川の合流部からまっすぐに山頂を目指してのぼる尾根を試すのがよさそうだ。この尾根の取りつきを探すとすぐに尾根を登ってゆく薄い踏み跡が見つかる。尾根を登り始めるとすぐにも掘割式の古道が現れた。かつての補陀洛寺へと登る参道だったのではないだろうかと想像が膨らむ。
東西の斜面は植林で覆われているので、この尾根も植林が続くのかと思いきや、意外なことにまもなく尾根には自然林が広がるようになる。多少の倒木はあるものの通行が困難なほどの倒木はない。むしろ、この山の東西の尾根の一般登山道と比べても遜色のないほどの快適な道と云えるだろう。
山頂直下のca560mのあたりでは尾根は平坦になる。補陀落寺があったのはこのあたりではないかと想像する。あとはわずかにひと登りでクダラコージ山の山頂に至る。山頂には広場もなにものない、ピークハンター氏のp612と記されたプレートとマジックでクダラコージ山と書かれた黄色いテープのみが山頂であることを示すばかりの地味な場所であった。
山頂から北斜面は植林地の中の急下降となる。鞍部からは尾根筋に沿って明瞭な踏み跡が続いている。天ヶ岳にかけて緩やかに尾根を登る。ところどころで植林が斜面を登ってくるもの、尾根上は北山らしい自然林が続く。このあたりは両隣の鞍馬の薬王坂や大原の寂光院から天ヶ岳に至る尾根の林相とよく似ている。
天ヶ岳が近づくと、山頂手前の小ピークca760mと山頂との鞍部から南西方向に展望が開け、彼方に京都の市街と西山を望む。天ヶ岳は全く眺望のないところだと思っていたので意外であった。空には雲一つない蒼穹が広がっている。
天ヶ岳の山頂に辿り着くと、やはりここは全く展望がないので面白くない。折角の晴天なので、天ヶ岳の北側にある送電線の鉄塔広場を往復することにする。鉄塔広場からは南西の方角には天狗杉から愛宕山、京都の市街の彼方には西山に至るまで好展望が広がる。空には午後の用時のために街中に出かけるのが厭になるくらういの晴天が広がっている。反対側に目を向けると蓬莱山を望むのだが、しばらく前には白かったと思われた蓬莱山には全く雪が見当たらない。この数日の陽気でなけなしの雪も消えてしまったようだ。
この展望地への往復はさほど時間はかからないだろうと高をくくってはいたが、結果的にはこの後の行程が非常に苦しいものになる。天ヶ岳から三又岳に辿り着き、山頂でピークハンター氏の手になる山名標を確認すると、この時点で10時54分。
ここで下山に選んだルートが非常によくなかった。国土地理院の1/25,000分の地図では、三又岳の南側に端を発し西俣へ至るハタゴ谷についている破線のルートを下ることにしたのだが、時間がある場合はともかく、下山にタイム・リミットがある状況下で谷道のバリエーション・ルートは選んではならない。しかも以前、天ヶ岳から東俣谷を下った際の夥しい数の倒木に難儀をした経験があるにも関わらず。冷静に考えれば、このハタゴ谷の右岸尾根には道がついているので、この尾根から下るほうがはるかに堅実だ。
天ヶ岳の山頂から地図の破線が記されている谷を下るが、谷間には踏み跡の類は一切、見当たらない。ハタゴ谷に入ったところで果たして踏み跡はないかと見回すと、まるで魔法のように谷の右岸の自分の足元に細い踏み跡が現れた。
ハタゴ谷には早速にも数多くの倒木が現れる。谷の正面から差し込む陽光を浴びて、苔が美しく輝く。しかし、苔に見惚れている場合ではない。
微かな踏み跡は渡渉を繰り返しながら谷を下ってゆく。しかし、頻繁に現れる倒木が道を塞ぐ。数えきれないほどの倒木を乗り越えたり、潜ったりしつつ谷を下る。
谷が南向きから東に大きく方向を変えると、途端に谷は広がり、歩きやすくなる。下流へと下ると林道を歩くことになるが、あたり一面を覆う苔のせいで林道とは到底思われない。
西俣の林道と合流するとまもなく東俣との合流地点に達する。林道からクダラコージ山の南斜面を見上げると夥しい数の倒木が斜面を覆い尽くしているのだっだ。合流地点の手前では西俣に苔むした橋がかかり、どうやらその橋を渡るとすぐにクダラコージ山への尾根への取り付きに至ることが出来るようだ。
出発地点に戻り、登山終了時刻を確認すると11時24分。市原の補陀洛寺の前を通り過ぎて市内の自宅に帰り着くと、急いでシャワーを浴びて、京都駅近くの会合場所に向かう。髪もまだ乾ききってはいなかったが、なんとか会合には開始の直前に辿り着くことが出来るのであった。
コメント
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こんばんは。
クダラコージ山の名前の由来の解説が面白くて、それでは補陀楽とはなんぞや、と思い検索してみますと、なんとインド南部にある観音菩薩が住む八角形の山だそう。
はたしてクダラコージ山も八角形ではなかろうか?と思い、写真5枚目、16枚目をまじまじと見つめてる次第です笑。
面白い山がありますね!そしてそこへチャレンジされる山猫さんも・・・
しかしそれにしても倒木が凄まじいですね>_<
確かにこの山の風変わりな山名を知るのと知らないとでは登山意欲が大きく変わりますね。
改めて地図を見直してみましたが、どうやら八角形ではないようですが、小さいながら四角錐に近い綺麗な山容を誇ると思います。
当然、補陀落とはなんぞやという興味を抱くことになります。この補陀落信仰は密教の思想なので、現在の市原の補陀落寺も天台宗なのですが、当時も比叡山に近いこの山に補陀落寺が平安時代に築かれたのも無理からぬことと思われます。ところで、ウィキペディアでは全国各地の補陀落山や補陀落寺が紹介されていますが、なぜか市原の補陀落寺は載っていないのです。
確かに東斜面と南斜面の杉の倒木は凄まじいのですが、今回、私が辿ったクダラコージ山の南尾根は驚くほど倒木が少ないのです。倒れている樹は基本的に杉の木であり、この尾根は自然林だからかもしれません。
もしも行かれるようでしたら、レコの最後に書いているように西俣に入ってすぐの苔むした橋を渡るとすぐに尾根に取り付けます。後は明瞭な道が現れます。植林地が多いだろうと思ってこの季節を選んだのですが、新緑や紅葉の季節がいいかもしれません。
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