【医王山通り魔事件】西尾平・白兀山・夕霧峠・奥医王山・鳶岩・国見平
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- GPS
- 08:09
- 距離
- 26.7km
- 登り
- 1,235m
- 下り
- 1,541m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:JR福光駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況: 鳶岩からの下りは手足を引っ掛ける場所が豊富で特に困難はないが、何段も続くので少々しんどい。 蟹の横ばいは濡れた岩場のトラバース。鎖が設置されているので、しっかり持って、足の置きどころを確認しつつ歩く。 梯子坂は急な傾斜となり、疲れていると大変。 登山ポスト:見かけず。 下山後の温泉: 福光側のぬくもりの郷、法林寺温泉、華山温泉等考えていたが、急遽取りやめ。 |
写真
感想
石川・富山県境を歩く。
〜当初予定〜
石川県側から稜線に至り富山県の福光市街に下りて温泉で汗を流した後、城端のむぎや祭りを楽しむ。
金沢駅から医王山行きのバスに乗る。金沢城、兼六園、香林坊沿いを通っていくので、ちょっとした街並観光を楽しめる。秩父や山梨のように乗客が少なく、料金が高めなのではないかと思っていたが、そんなことはなく、終点の医王山スポーツセンターまで550円、私以外にも何人か降りた。このスポーツセンター、クラブ活動だろうか、朝から子供逹等で賑わっている。
私は一つ前のバス停近くにある寺院が気になったので、バスで来た道を歩いて戻る(バス停間の距離がわからなかったため最初は降りなかった)。
天台宗医王山寺、建物の赤色が青い空と瑞々しい緑の中で一際輝く。ここに参詣の後、医王山の尾根を目指して歩き始める。
先ほどのスポーツセンターの前を過ぎ、さらに歩いていくと見上峠登山口に至り、ここから山道となる。登山口に案内図、数台分の駐車スペース、トイレあり。
山道は緩やかな上り。所々塹壕のような薄暗い窪地の道を倒木と蜘蛛の巣に気をつけながら歩き、車道と交差しつつ、徐々に高度を上げていく。
医王の里オートキャンプ場を過ぎて、その後交差する車道を渡った辺りから木立の間に遠くの山々を認めるようになる。それが西尾平に至ると石川県南方の峰峰を開けた場所で楽しむことができる。ここにも10台くらい車を停めることができるので、ここから歩き始める人も多いことだろう。
この先は、それまでよりも傾斜が急になるが、展望を楽しみながら歩くことができ、距離も長くはないので、それほど苦にはならない。
鳶岩・三蛇ヶ滝に至る分岐を過ぎると再び開けたスペースに出る。この白兀山山頂直下の展望箇所が石川県側のベストビューポイントだ。草木が延びていない分、日本海と金沢市街を隅々まで眺めわたせる。そこから山頂まではすぐ。山頂周辺は草木が生い茂っているが展望が損なわれないよう展望台が設けられている。今後さらに草木が延びた場合、展望台をさらに高くするのか、伸びた枝を伐るのか興味深いところではある。
一つのピークに至れば、あとは細かいアップダウン。南側に開けた道と森林内の道が交互に現れる。道はピークを巻いていると思われる。木段が現れると間もなく富山県側の百万石道路、夕霧峠に到達する。
夕霧峠は加越国境にあって石川県側・富山県側双方の展望に優れている峠である。西に日本海の大海原と金沢の大市街、東には富山県の誇る砺波の散居村が広がる。
私が標高数百メートルの山も大事に歩く理由。それは高山からの大地の眺めと低山からの眺めの違いにある。高い山では確かに遠くまで広く見渡せるが、それがかえって大地を小さく見せる。低い山では大地が我が眼前にドドンと迫り、時には其処に住む人々の生活も感じることができる。大地を「手にとるように見ることができる」という表現が適当だろう。
というわけで、私は東京・神奈川に跨がる多摩ニュータウンや埼玉県小川町の石尊山等が大好きである。
夕霧峠から車道を下っていくと小さな鳥居があり、其処が奥医王山の入口である。この入口の288段の階段を登りきった所が「見返りの大杉」で大きな杉は無いが金沢方面に展望が開けている。
その後、一旦下りとなり、上り返した先が本日の主目標峰である奥医王山である。奥医王山の山頂もまたちょっとしたスペースに梯子で上る展望台が設けられている。
事前情報では山頂は展望があまり良くないという話もあり、カメラも携帯搭載のものしか持って来ていなかったのだが、展望台のおかげで眺望は申し分ない。西尾平及び白兀山周辺、夕霧峠からの眺めも素晴らしく、本職のカメラを持参しなかったことが大変に悔やまれる。
朝から晴れて気温も上昇、水分の消費も増えてきたため、取水制限をしつつ、次のフェーズに移行。一旦三蛇ヶ滝方面に下った後、再度富山県側の百万石道路に登り返し国見平に至る。
この三蛇ヶ滝へ至る道が、すなわち医王山の目玉の一つ、鳶岩に至るルートであった。ルートを選定した時には鳶岩について特に注目していなかったが実際に来てみると、その名に違わず凛々しい雄姿。私は下ったが、その下は数十メートルの断崖。なかなかに歩きごたえのある岩場だった。
鳶岩から下りてきたところで、携行飲料も少なくなってきたところで、さっさと百万石道路に上った方が追加の水分を確保できると考え、三蛇ヶ滝まで下りずに右旋回。この先は沢沿いに切れ落ちた濡れた岩場のトラバースから沢の渡渉、その後「梯子坂」と呼ばれる急な登り。これを越えれば後は楽だと奮闘し、土蔵の階段のような道をよじ登る。登りきってホッとしたところで老夫婦が一組降りてきた。この先は長いかと訊かれたので距離的には短いだろうが、一旦下った後の登りで濡れた岩場のトラバースがあるので気をつけるように注意喚起。
よくネット上等で両神山等の山に初心者は行くなと書かれたりするが、いつかは行くことになるわけで、先ほどの鳶岩の話もそうだが、百聞は一見に如かず。リスク・危険というのは、実際に相対して、その場その場で対応方を考えるようにしていかなければ得るものも進歩もないのではないか。天候等事前に避けられるリスクは別として。初心者か否かとは、まさしく書いて字のごとく「心」の問題に他ならない。
それはそれとして、再度百万石道路に出て一息つく。いい加減チビチビじゃなくゴクゴクと何かが飲みたいところ、医王権現辺りに何かあるだろうと期待して歩く。医王権現は社というよりも大きな祠といった感じで何もなかったわけだが、そこで一休みして階段を下りてきたところで目の前の光景にハッと目を見張り息をのむ。それは雄大な富山平野、砺波の野だ。まさに絶景かな。夕霧峠でも眼下に広がる散居村は見られたが、何というのだろうか、同じ光景のはずなのに先ほどよりずっと雄大だ。感じるスケールの違いは今いるところが国見平という大きく開けた台地だからだろうか。
そばにあった国見ヒュッテでようやく飲料を調達。管理人と思しき人は人当たりの良い男性で労いの言葉とお茶をいただいた。あとは百万石道路を歩いていけば里へ下りていける。林道歩きというと退屈なイメージもあるが、この道は眼下に田園と市街地の風景を楽しみながら歩いて行ける。
しかし、ここで私の癖なのだが、大体後半に差し掛かると下山後のことを考えるようになる。今回も入浴のことを考えたのだが、さっさと里に下りて汗を流そうと考えた時にちょうどよく里へ真っ直ぐに下りていく道が。これ幸いと予定を変えてその道に入る。林業従事者用であろうか、車が通れるくらいの幅の道がジグザグに、その後、尾根を真っ直ぐ下る感じで(ガーミンと後で入手したハイキングマップの地図では)道が延びている。ただ、細い破線で示されているため通る者もいないのか草ぼうぼうで歩きにくい。そして地図上ではジグザグが終わって後は真っ直ぐと見えるところで道がザクッと左旋回している。「あれ、おかしいな?」と左に折れるとその先は、もはや車の通れないような状況で草は背高く生い茂り道があるか否かも不鮮明である。地図上では道が直線になり始める箇所に戻り、先を窺ってみるが、どうも崖か、少なくとも急降下なのではないかと思われる。そしてこちらも草が生い茂って道がよくわからない。ずんずんと下りてきた後に登り返すのは大変しんどいことではあるが、道に不案内なまま先に進むわけにはいかないので元の道に戻る。これで40分の時間と水分、体力をロスしてしまった。まあ、無事引き返せたから良しとしよう。
何やかやでまもなく福光の市街地に至る県道に出そうである。温泉が楽しみだ。と思っていたその時、
「痛っ!」
何者かに首の後ろを刺され、強い痛みを感じる。その通り魔は私が首に下げていたタオルに絡まったのか姿は判らなかったが羽音がした。それの針若しくは顎が私の首に引っかかっていたのがようやくとれてほっとした時には犯人はどこかへ行ってしまった。威嚇も警告も無く、背後から音も立てずに不意打ちするとは卑怯なり。
「やられた!」と思い、被疑者不詳だが毒があるとまずい、温泉に入って祭りを観に行っている場合ではないと急遽帰ることとした。刺されたと思われる箇所の周りを押さえて変なものが刺された所から出ていくように努める。実際出たかわからないが。刺されたのが首の後ろなので状況がどうなっているのかわからない。とにかく刺すような痛みが続く。とりあえず街中の薬局でキンカンを購入し、黄昏の街を寂しく去ったのであった。
〜おしまい〜
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