【2012年】奥秩父主脈を歩く(西沢渓谷〜鴨沢)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 49.7km
- 登り
- 3,762m
- 下り
- 4,310m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
■復路/鴨沢(バス)⇒奥多摩(JR)⇒東京(新幹線)⇒新潟 |
写真
感想
***仕事の関係で新潟に在住していた時の山行記録です***
昨年11月に瑞牆山荘から入山し、長野、山梨、埼玉の国境稜線を歩いたが、今回はその続編。1年前は甲武信ヶ岳から下山して西沢渓谷を終点としたので、今回は西沢渓谷のバス停を旅の起点とする。新潟から夜行バスで東京へ。翌朝JR中央線に乗り込み、バスを乗り継いで現地着は午前9時。およそ10時間の長い長い移動時間はさすがにキツイが、コストや時間の有効利用を考慮すると深夜の長距離バスの利用はそれなりのメリットがあるのだ。
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Day1:西沢渓谷〜(近丸新道)〜甲武信小屋
甲武信ヶ岳へのアプローチは尾根通しの「徳ちゃん新道」とほぼ平行に走る、渓沿いの登山道を進む。昨年は下山に徳ちゃん新道を使ったのでコースに変化をつけたい、という意図であるが、いずれにしても1850m付近で2つのトレイルは合流することになる。甲武信ヶ岳の中腹には古く硅石の採掘場があったらしく、運搬用のトロッコの軌道跡がそのまま登山道の一部になっているのが面白い。軌道に導かれるように進むとやがて砂防ダムへと出るが、そこから登山道は沢を離れ急登へと変貌。先の徳ちゃん新道との出合いまでは黙々と高度を稼ぐといった感じだ。
ひと汗かいて振り向くと乾徳山方面の山並みがスッキリと。天気は日中一杯は持ちそうだが、夜からは低気圧の接近で荒れ模様になるという。一抹の不安。
戸渡尾根の出合いからも急坂は続く。このあたりから日陰部分に残った雪もチラホラと。更に高度を上げ、2200mを超えたあたりからはガチガチに結氷した雪道に苦戦を強いられることに。チェーンスパイクを装着しガツガツと氷の斜面を登ると木賊山。ここまでくれば今日の目的地である甲武信小屋はもう目と鼻の先だ。
程なくして一年ぶりの甲武信小屋に到着。周囲の積雪は結構なもので、深いところでは20センチくらいはあろうか。小屋前のテン場には先客はなく、独占状態だ。平日だし、まぁ当たり前か。テント利用の手続きを済ませ、小屋前の温度計を確認するとマイナス3度。今夜はどこまで気温が下がることか。そういえば雪上のテント泊なんて久しぶりだな、と思いつつ、夜半から降り出した雪がテントを叩く音を子守唄にいつの間にか眠りの渦に落ちて行った。
Day2:甲武信小屋〜(雁坂峠)〜笠取小屋
翌朝。あえて目覚ましをセットせず、ナチュラルに起きてみると時刻は6時半になっていた。テントのジッパーを開け外の様子を窺うと灰色の空から小雪がチラついていた。久々の雪上キャンプであったが、昨日の長距離移動の疲れがたまっていたのだろう、予想以上にぐっすり熟睡してしまった。
8時にテン場を発つ頃には雪は上がっていた。予報ではそれなりの降水がある旨を告げていたが一夜の新雪は薄っすらと上積みがあった程度だ。灰色の空は相変わらずだが甲武信ヶ岳の山頂もしっかり確認できる。歩くには悪くない、高曇り。
前回登った甲武信ヶ岳はパスして木賊山の巻道を進む。最初はチェーンスパイクが必要なくらいの路面状況だったが、少し標高が下がると夏道とのミックスにかわり、笹平にある破風山避難小屋あたりになると雪と氷はすっかり姿を消した。
破風山避難小屋はトイレなし、水場は小屋から約20分とのガイドあり(未確認)。小屋の中を覗いてみるとフロアに土埃のようなものが薄ら覆っている状態で、使われている感はあまりなかったが、この先すれ違った登山者に「今日は何処まで?」と声をかけてみると「破風の小屋まで」なんていう回答が複数あったことから、それなりに需要がある小屋なのかもしれない。立地が良く、晴れれば眺望も期待できるだろう。
甲武信ヶ岳から雁坂峠までは解放感のあるアップダウンの少ない広い稜線歩きとなる。気持ちの良く歩ける絶好のトレイルセクションだ。日本三大峠の雁坂峠を通過し、水晶山、古札山、燕山のアップダウンを超えて、笠取小屋に到着。今日のテント設営地だ。良い雰囲気のテント場には今流行りのトンガリシェルターがぽつぽつと設営されている。疎林に広がる気持ちの良いキャンプ場だ。
夕暮れ時になってガスが立ち込めて来た。
これでは今日の星空は期待できそうもないな。
うーん・・寝よ。
Day3:笠取小屋〜(将監峠)〜雲取山〜雲取山荘
翌朝は昨日より早めに行動を開始。まだ辺りが薄暗い朝7時にキャンプ地を発つ。なにせ今日はロングディスタンスなのだ。距離にして20キロくらいはあろうか、所要時間は休憩込みで9時間は見ておいたほうがよさそうだ。でも、コース全体としてはそれほどハードな部分もなさそうだし、地道に歩いていけば日没前には今日の幕営予定地、雲取山荘のテント場まで到着できるであろう、と。
しかし、計算が甘かった。途中、道を間違えたと勘違いし分岐地点まで引き返して時間をロスしたり、(結局道は間違っていなかった、というボーンヘッド)三条ダルミから雲取山荘へのショートカットルートが通行止めになっていて(これも単にリサーチ不足)頂上経由でのアプローチを余儀なくされたりと・・・山荘に到着したのはとっぷり日も暮れた17時15分。ヘッドライトの明りを頼りに頂上直下の急斜面、しかも強風でツルンツルンに磨き上げられた氷の斜面を降りる時は正直、身の危険さえ感じてしまった。例のアイスマスターの足固めがなかったら・・・荷物の重さも考慮すると、ほんとにヤバイ状況だった。というか、そもそも明るいうちに行動を終了させることが一般登山の大原則。山荘の明りが見えた時は正直ホッとした。
さて、山荘でテント利用の手続きを終えテントが鈴なりのキャンプ指定地へ。好条件の場所は先着順に押さえられてしまうのは当たり前。シンガリに残された場所は水場、トイレから遠く離れた傾斜地のみ。なるべく平らな場所を選んでテントを立てたつもりだったが案の定、快適安眠は得られなかった。
Day4:雲取山荘〜雲取山〜鴨沢
翌朝は三日間の中で一番の冷え込みだったが、その分空は見事に晴れ上がった。まだ空が暗いうちから撤収開始。テントを畳み終わった頃にちょうどご来光が差してきた。窮屈な姿勢で一晩過ごした身体を思いっきり伸ばしウォーミングアップの後に「エイヤッ!」とバックパックを背負う。そして、うまれたばかりの新鮮な空気を胸一杯に吸い込み、最後にチェストストラップのバックルをパチンと留める。これで準備完了。
テント場を後にして、まずは雲取山への登りに取り掛かる。小屋から、テントから、三々五々登り始めた他の登山者に混じり、昨日暗闇の中下った道を登り返すと程なくして賑わう雲取山の山頂へと到着。そして真っ先に目に飛び込んでくるのは雪化粧を施した見事な富士の山容!本当に惚れ惚れするほど端正な顔立ちだちで、心底ウットリしてしまう。雲取山から小雲取山、奥多摩小屋と続く稜線上からはずーっと富士山を右手に見ながら歩く最高のロケーションだ。
やがて奥多摩小屋のテント場を通過。場所柄おニューのテントをお披露目するにも適したテント場だろう。七ツ石山との分岐を鴨沢のバス停に降りれば間もなく登山も終了だ。旅のフィナーレを彩るように山麓の紅葉が迎えてくれている・・・と思ったら、登山道終点から鴨沢のバス停までは結構な距離。本当のフィナーレはまだ先なのだ。舗装路に入ったとたん背負っているバックパックの重みがズシリと双肩に食い込むのは気のせいだろうか?アスファルトにけだるい足音を響かせながら鴨沢のバス停へと下りればこの旅もおしまいだ。
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