富士山 敗退
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- GPS
- --:--
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 2,408m
- 下り
- 1,024m
コースタイム
02:20 馬返し(予定03:30)
03:15 二合目
03:30 三合目
03:50 四合目
05:00 五合目佐藤小屋付近(1時間ビヴァーク)
06:30 佐藤小屋
08:45 七合目
11:00 八合目折り返し地点(予定10:00)
13:30 六合目
14:30 五合目富士スバルライン
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
復路: ”抻竜泪丱垢両霾鵑鮓気15:30発のバスを選択 ▲好丱襯薀ぅ鵑留超箸停止しており、バスが来ず(予定時刻を過ぎてもバスが来ないことで発覚) スバルラインの営業状況を知らぬままタクシーに連絡(15:40)。 ぅ織シーが四合目で通行止めにあい、その時点でタクシー会社から警察へ連絡。 シ抻,吠欷遒気譴襦17:30頃)。 ※状況の詳細は感想にまとめます。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
五合目からは既に凍結しているので、アイゼンが必要です。 |
予約できる山小屋 |
里見平★星観荘
|
写真
感想
今回はなんとか無事下山することができましたが、正直何度か危ない場面がありました。下山後も調査不足が露呈し、あやうく富士五合目で予定外のビヴァークになるところでした(詳細は後述)。しかし、基本的に天気は良く(六合目より上はほぼ快晴)、風もさほどなく、条件的には良い方だったと思います。
正直なところ、どこまで公開しようか迷いましたが、今回の山行を真摯に反省し、次回以降の登山に活かすため、また、他の登山者の参考にして頂くため、できるだけ詳細に書くことにしました。調査・準備不足、勢いに任せた登山にご意見、ご批判があると思いますが、甘んじて受けたいと思います。コメントやご質問等ありましたら、お気軽にご連絡下さい。
12/27深夜に富士山駅から一時間のビヴァークを経て、13時までに富士吉田ルートから二名で登頂を目指す計画でした。結果的には時間的な問題、体力的な問題(下山のための余力を残すため)により登頂を断念し、八合目で敗退しました。高度を上げると同時に風が強くなり、恐くなった、というのもあります。
相方が下山途中危うく滑落しかけました。七合目から六合目にかけての比較的なんでもない斜面です。幸い何もありませんでしたが、クラストした地面、あの斜度では滑落停止もままならなかったでしょう。
今回の路面は、アイゼンの爪が利かない程ではありませんし、傾斜もとても登れないような急なものではありません。しかし、それが油断や慢心を生み、逆に脅威になったのではないかと思います。
下山後、バスの乗車予定地点である富士吉田五合目スバルラインのバス停に予定の15:30よりも大分早めに着きましたが、バスがきません。どうやらスバルラインが途中で封鎖されていたようです。バスの時刻表はチェックしていたものの、スバルラインの営業状況を見てなかったのが原因でした。急きょ呼んだタクシー会社からの連絡でそれを知りました(16時頃です)。
その頃携帯のバッテリーが無くなり(気温が低いためか予想より減りが早かった)、通信手段も途絶えましたが、タクシー会社の方の機転により警察に連絡が行き、最終的には警察に拾って頂きました(17時半頃でした)。
今回のようなケースで、自分から警察を呼んだかどうかはわかりません(既に呼ばれてしまったので、なんとも言えません)。幸いシェルターになる施設もあったので、そこで再度予定外のビヴァークをし、来たルートで早朝に下山する選択肢もあったと思います。しかしながら、最終的に警察に救助されたような形になったことは事実です。
計画に実行に至る過程は以下の通りです。
冬の富士山には以前から憧れており、いつか頂点に立ってみたい山でした。しかしながら、ネットや口頭でよく滑落事故の話を耳にしており、まずは雪山での歩行技術、アイゼン、ピッケルワークを習熟させてから、と自分に言い聞かせておりました。当然のことながらネットや書籍等で情報収集を随時行っており、夏山登山時期が過ぎるといつもヤマレコで「富士山」の山行記録を探しておりました。
そんな中出会ったのが下の記録(リンク)です。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-158791.html
11月中ではありますが、冬富士の登頂を富士山駅から達成しています。一般的な富士登山とは異なるスタイルで、夜を徹し、単独での登頂に驚き、同時に「自分にもできるのではないか」という考え、「やってみたい」という強い想いが頭をもたげました。
元々人の集まる山があまり好きでないこともあり、夏とは打って変わって人を寄せ付けない日本の最高峰は、孤高で、憧れる存在でした。その後の登山でも遠くから富士山を眺める機会も多く、「いつかあそこに」という気持ちを強くします。
準備としてはまだ十分でなかったかも知れませんが、昨年は雪山の歩行訓練やゴールデンウィークの北アルプス山行にも参加しました。
今回のコースは、元々9月中に実施予定でしたが、仕事上の都合でキャンセルしました。同じコースを積雪期前に登っておきたかったのです。出張が重なり、気付けば11月になってしまいました。厳冬期に突入する前に挑戦したかったので、11月中に、という焦りもありました。11月中旬までの記録を見る限り、自分達でも行けるような気がしました。
ただ11月下旬の以下の記録は見ていませんでした。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-248458.html
「今シーズン、冬富士デビューを考えていた人は、
もう一年待ったほうが良いかもしれません。」
これを見ていたら違った判断をしていたのかも知れません。
休日は予定があり、行けなかったため、天気図とにらめっこをしておりましたが、低気圧が去り、高気圧がまだ残っている11/28を選択しました。前日の午前中です。兼ねてから富士登山を想定はしていましたが、急な判断により、生まれた準備不足や興奮状況があったと思います。
ただ富士山のクラストについては、想像以上で、滑落の脅威を甘く見ていたことも否定できません。今回は幸運にも重大な事故につながりませんでしたが、積雪期(12〜2月)の富士山へは当分行かないと思います(二度と行かないとは言い切れませんが)。
富士山への畏怖の念は、非常に強くなりました。数年後か数十年後もし、またあの美しくも恐ろしい山に行くことがあれば、その時は確固たる自信と経験を持って臨みたいと思います。
なお、ヤマレコの記録については、あくまでその時々の状況を知る参考材料に過ぎず、実際に計画を実施する段階においては、他からも情報を集め、自分で決断を下しております。つまり、今回の結果につき、上記リンクでも引用した記録自体に何か問題がある訳ではないということだけ、誤解を避けるため記載しておきます。
GPSデータ:
総距離: 23.06km(14.3マイル)
合計時間: 14:58:50
移動時間: 12:30:26
平均速度: 1.54km/時(1.0マイル/時)
平均移動速度: 1.84km/時(1.1マイル/時)
最高速度: 24.30km/時(15.1マイル/時)
平均ペース: 38.98分/km(62.7分/マイル)
平均移動ペース: 32.55分/km(52.4分/マイル)
最大標高: 3250m(10662フィート)
最小標高: 852m(2795フィート)
標高の上昇: 2649m(8691フィート)
最大傾斜: 34 %
記録: 2012/11/27 23:57
コメント
この記録に関連する登山ルート
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はじめまして。makasioといいます。
大きな声では言えませんが、
僕も去年、12月に富士山駅から登頂を試みました。
ただし、佐藤小屋でビバークし、3日をかけました。
今年に比べ、雪も少なく、山頂までは無風でした。
あらゆる好条件が成功をもたらせましたが、
無謀だったと今でも思っています。(経験不足でした)
ただ、挑戦するという気持ちは素晴らしいと思います。
無事に帰ってきたから言えますが、人生で
これ以上の経験はありません。作れないかもしれません。
もし、再挑戦されるなら、どうか、御無事で。
makasioさん、はじめまして。
昨日の出来事が自分に与えたショックを測りきれずにいます。
まだ少し混乱しています。
自分の企画したヤマで、自分の目の前で、相方が死にかけたのですから。
ただ、得難い経験だったことは間違いありません。
今は「また行きたい」とは思えませんが、いつか、もしかしたら、、、
その時はきっとご報告します。
Geldfelsさんの、山行記録も見ました。
しっかりと、ステップアップされての今回の冬富士挑戦。
もっと無謀な登山者は、いっぱいいます。
しかしながら、日本の山で最も困難で危険な山は「富士山」。
だってね、一番と二番目の標高差だけでもねえ。
makasioさんはやさしいけど、「冬富士は厳しい」間違いなく日本一。八ヶ岳なんかとは違う。
でも、真摯ないいレコをありがとうございました。
富士は美しいけどこわいなぁ。
はじめまして、ricalojpさん、長文お読みいただきありがとうございます。
12月は仕事の都合であまり活動できませんが、今冬は初級の冬山で鍛えようと思います。
ずっと行きたかった山が終わり、正直少しスッキリしました。暫くはまた遠目に眺めてます
はじめまして、冬になると時折富士山をうろついているupaです。
帰りのルートで他人に頼るなど計画に無理がありますが、22kmも歩き続ける体力があるのですから、条件さえ整えば山頂は行けそうですね。
失敗は成功の始まりですから、乗り越えるまで何度でも挑戦してみてください。
参考にしたdelfonixxさんはトレランの方ですから、普通の人と比べると早いので、いきなりは真似できないと思います。高所でのスピードに違いがあります。
ワタシはかなり遅いし体力もないので参考になりませんけど、心がけているのは天候を読むこと。天候が予想と違ったときは諦めることです。
写真さえ撮れれば良くて、あまり山頂は狙っていないのですが、過去に2回危険と判断して引き返したときは、いずれも滑落事故が起きていました。恐ろしいヤマです。
最近は七合目くらいが危険ですヨ。危険なところで滑っただけのことです。いい経験をしましたね。
やまちゃんや工場長さんがブログで日々講義をしてくれているので、是非勉強してくださいね。
upaさん、はじめまして。
時間が少し経って落ち着いてきました。
やはり、いつかまた行きたいですね。
焦らずに少しずつ精進します!
ブログとは日記のことですかね。
ヤマレコでは全然見たことがありませんでした。
今度覗いてみます!
初めまして、YOKUと申します。
冬富士はいつも馬返し〜山頂でチャレンジしています。
参考になるかは分かりませんが、せっかくのヤマレコなので情報共有できたらと思い書き込ませていただきました。
冬期の吉田口は年にもよりますが、1〜6合目は登山、6〜8合目は雪山、8〜山頂はアイスクライミングというつもりで臨んでます。馬返しまでは車で、いつも単独行です。
12月〜5月位までは、前日のギリギリまで天候とにらめっこして、山頂が当日昼頃まで晴れて風速15m以下であればチャレンジします。気温は特に気にした事はありませんが、靴・ウェアともに‐30度位は耐えられる装備で行っています。
吉田口の勝負所は八合半辺りから山頂のスケートリンク斜面と頂上直下の突風だと思っております。アイゼン・バイルはサンダ‐(電動ヤスリ)でナイフのようにして挑んでいます。
滑落を前提にして登り、下ります。ですので恐怖の山頂〜8合目を下り、7〜6合目の何でもなく雪も少ない所で転んだりします。
山頂‐20度などは普通ですので、携帯の充電器(乾電池式)とデジカメの予備電池は必ず携行しています。ドリンクは以前は冬使用のハイドレーションで行っていましたが、飲み口がどうしても凍るので、今は山専用ボトル(サーモス)の500ml・800mlプラス250のパック飲料で間に合わせています。食事は下山時6合目にてとり、それ以外は高カロリー行動食です。
これからの時期、スバルラインが積雪などの影響で使えなくなることもしばしば出てきますので、使いません。馬返しまではスタッドレスタイヤでいつでも行けます。
上記のupaさんも記載されていますが、ヤフーブログの「やまちゃんのブログ」等では、富士宮口・御殿場口の情報は群を抜いています。その関係もあってか、冬期は富士宮・御殿場口から山頂を目指される方の情報は豊富です。吉田口側はある程度行ってみないとという事がほとんどなので、こういう場で情報収集出来るのは貴重だと思っております。
因みに今月条件次第で馬〜山頂予定していますので、Geldfelsさんのレコは大いに参考になりますし、助かっております。
今後、冬富士に挑戦されれようでしたら、レコ楽しみにしております。長くなりましたが。。。
YOKUさん、詳細な情報をありがとうございます。
大変参考になります。
まだアイスクライミングの世界に入っていませんで、バイルは持っていません。
参考にしたdelfonixxさんも「最後はダブルアックスで」というように書かれていたので、必要かもしれない、とは思っていたのですが、改めて確認させて頂きました。
風は15辰らいだったと思いますが、八合目以降行かなくて本当に良かったと思います。。。
ちなみに、ロープやハーネスは持って行かれますか?
前にネットで調べていたところ、下りに「小屋の手すりにロープをかけて懸垂気味に降りた」という旨の記述がありました。
下山途中での滑落を防ぐには有効かもしれないと思って見ておりました。
ちなみに、二人組だったのですが、アンザイレンは避けました。
一人が落ちてもとても支えられませんので、かえって危険と判断したためです。
また、毎回確保すると時間がかかってしまうため、ロープ、ハーネスは持参せず、ライト&ファストを心がけました。
工場長とやまちゃんのブログ、今後の検討材料にさせて頂きます。
が、厳冬期は避けて、次回富士山はGW明け以降にしようと思います。
少し、こりました
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