赤岳(八ヶ岳):天国から地獄へ(県界尾根〜杣添尾根)


- GPS
- 08:16
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 1,426m
- 下り
- 1,322m
コースタイム
- 山行
- 7:46
- 休憩
- 0:29
- 合計
- 8:15
天候 | 森林限界以上で曇り・小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
県界尾根上部で鎖場多数。赤岳から横岳の間で岩峰のトラバース多数。他は危険箇所なし。 |
写真
手で持てるホールドは豊富ですが、足の置き場が難しく、ときに登山靴のフリクションを効かせながら登っていきます。
感想
夏の18きっぷ4回め。
昨年、赤岳からの降りで真教寺尾根を通ったのですが、真教寺尾根と並ぶ八ヶ岳でも屈指の難易度を誇る県界尾根を登りで通ってみました。
どうせなら、ついでに未踏のルートである杣添尾根を降って野辺山駅から帰ろうと、軽く考えていたのですが…
【コース状況】
■登山口〜小天狗
・県界尾根の登山口には、清里ピクニックバスでバスでもアプローチできますが、電車との接続が悪いため、タクシーを使いました(1,730円)。
・清里駅から歩けない距離ではないと思いますが、そこそこ標高差があるため、今回は見送りました。
・登山口には、トイレ・水場・登山届等は一切ありません。
・登山口からしばらくは林道歩きです。
・その後、尾根への取り付きから登山開始。すぐに急登が始まります。
・しばらくすると、県界尾根の支尾根に乗り、傾斜がゆるくなります。
・そして、支尾根を登り詰めると、県界尾根に乗り上げ、小天狗に到着します。
■小天狗〜大天狗
・小天狗から大天狗の区間は、緩やかに標高を上げていきます。
・驚くべきことに、浮石どころか、露岩や木の根もほとんどない、純粋な土の登山道です。
・傾斜も、小天狗からほんの少し降るだけで、ほとんど一定の登りです。しかも、足に負担を感じない程度の勾配です。
・これほど歩きやすい登山道は、経験したことがありません。
・大天狗が近くなると、徐々に露岩や浮石も出てきますが、それほど気になりません。
・ほどなく、大天狗に到着します。
■大天狗〜赤岳
・大天狗からは、勾配もキツくなりますが、しばらくは普通の登山道です。その後、県界尾根の核心部である鎖場に突入します。
・鎖場は、ホールドやスタンスが乏しく、これらがハッキリしていて分かりやすい真教寺尾根よりも、難易度は高め。
・最初の巻道の鎖場を通過した後の、スラブ状の岩とその後のルンゼ状の鎖場が核心部。
・ともに手のホールドはそこそこあるものの、足の置き場が難しく、下は崖であるため、緊張を強いられます。降りの場合は、登山靴のフリクションを効かせながら、鎖に頼って降りることになりそうです。
・その後も、鎖場とハシゴが続きますが、ホールド・スタンスとも豊富で、特に問題ないです。
・降りで使う登山者の方が多いようで、意外と多くの人とすれ違いました。
・途中、雨が降り出してきましたが、どうにか鎖場を通過し、赤岳頂上山荘(休業中)の裏側に登り詰め、赤岳に登頂します。
■赤岳〜三叉峰
・あいにくの天気であるため、頂上には誰もいませんでした。写真を撮影し、さっさと横岳方面に向かいます。
・稜線は完全に雲の中で、景観はサッパリです。おまけに小雨も降っているため、岩場で緊張を強いられます。
・赤岳の降りは、傾斜はそれほどキツくはないものの、鎖が整備されている程度の傾斜の岩場です。
・傾斜が緩んだところに、赤岳展望荘(営業中)があります。その後すぐ、地蔵の頭です。
・なぜか勝手に軽快な稜線歩きを期待していたのですが、実態は何度も岩峰をトラバースする、岩稜歩きです。
・岩稜帯は嫌いではないのですが、雲の中で視界がまったく効かず、足元も濡れているため、思いの外手こずりました。
・そうこうしているウチに、三叉峰に到着します。
■三叉峰〜林道
・本来は奥の院まで歩く予定でしたが、天気がイマイチだったため、早々に下山開始。
・杣添尾根は、これまでに経験したことがない、非常に歩きづらい登山道でした。
・下山直後は、ハイマツ帯にある露岩の急降下であるため、慎重に足を進めていきます。
・その後、近年付けられたと思われる、尾根上の登山道を進みます。
・この尾根上の登山道が厄介で、写真にもあるとおり、ハイマツ・シャクナゲが刈払われているものの、根が露出しており、滑るわ引っ掛けるわで、非常に歩きづらいです。
・ハイマツ・シャクナゲの根を通過してからも、露岩、木の根、浮石、倒木が非常に多く、土の上に足を置く機会はほとんどありません。
・このため、降りではまったくスピードが出せないルートです。
■林道〜登山口
・歩きづらい登山道を降りていくと、沢沿いのルートとなり、沢を渡った先に林道と東屋があります。
・林道には、簡易トイレがあります。
・その後、林道の橋を渡った箇所に、再び登山道の入口があります。
・しばらく降ると、別荘地の中の登山道となります。
・何度も舗装された私道を横断し、ようやく登山口に到着です。
・杣添尾根で思った以上に時間がかかってしまい、野辺山駅の最終電車に間に合わない可能性が高いことから、タクシーで駅まで移動しました。
・遅い時間にもかかわらず、川上観光タクシーさん(0267-97-2231)が快く迎車を引き受けてくださいました。
【まとめ】
・県界尾根と杣添尾根は、まさに「天国と地獄」といった感じでした。
・県界尾根は、取り付きこそ露岩や浮石がありましたが、小天狗から大天狗の区間が、非常に気持ちのいい登山道で、これほど軽快に歩ける登山道は、他に経験したことがありません。
・ただ、核心部の岩場、特に前半のスラブ状・ルンゼ状の岩場は、それなりに岩場の経験がないと、難しいものと思われます。
・他方、杣添尾根は、終始足元が悪く、荒れ気味の登山道で、歩きづらいことこの上ないルートです。
・ハイマツ・シャクナゲの根の部分は、最近作られた登山道であるためやむを得ないとは思いますが、そこを通過した後も、露岩、木の根、浮石、倒木、階段等、足の置き場に困る箇所ばかりです。
・もっとも、踏み跡自体は明瞭で、ピンクリボンも豊富であるため、道迷いのリスクは低いです。
・個人的には、県界尾根は何度でも登ってみたいルートですが、杣添尾根は遠慮したいルートです。
【余談】
・下山口からは野辺山駅まで歩く予定でしたが、明らかに終電には間に合わない状況であったため、タクシーを使用しました。
・すでに遅い時間だったため、対応してくれるかどうか不安でしたが、川上観光タクシーさん(0267-97-2231)が快く引き受けてくださいました。大変助かりました。
・車中でいろいろとお話を伺ったところ、信濃川上駅からは、廻目平(金峰山登山口)や毛木平(甲武信ヶ岳・十文字峠登山口)等によく登山者を送られているとのことでした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する