記録ID: 2555824
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無雪期ピークハント/縦走
鳥海山
鳥海山
1996年09月14日(土) ~
1996年09月15日(日)
- GPS
- 96:00
- 距離
- 28.5km
- 登り
- 2,409m
- 下り
- 2,376m
コースタイム
●東北の山に登る
山行記禄を改めて振り返ってみると、97年〜98年にかけては東北の山に良く出かけていました。97年の盆休みには、「八甲田山」〜「早池峰山」の青森・岩手の山に、そして9月の休みに「蔵王山」〜「月山」の山形の山に登っています。東北の山の良いところは、麓に必ずと云っていいほど温泉が涌いていることで、『登山→温泉→移動→幕営』を繰り返しながら、沢山の山を訪ねられる事ではないでしょうか。勿論、飯豊や朝日の様に、縦走が基本の山もありますが、多くの山は軽装日帰り山行で、その山頂を踏むことが出来ます。紅葉の季節を狙って、「たおやかな」東北の山を楽しんでくる事にしました。
初日、東北自動車道で仙台まで北上し、遠刈田温泉から蔵王を目指します。風が冷たい一日でしたが、駐車所から約1時間で蔵王熊野岳の山頂を往復、下山後「奥羽山脈」を横断して日本海側を北上、「なのはな温泉」で汗を流した後、「鳥海高原家族旅行村」まで入り幕営、翌日鳥海山を目指す事にしました。
●遥かなり鳥海山
2日目朝は4時に起床、手早く朝食を済ませテントを撤収、湯ノ台口の登山口まで車で移動して、さっそく登りはじめる事にします。時計を見ると、ちょうど時半でした。駐車場から程なく、「滝ノ小屋」の前を通過、幾筋かの沢を横断し、次第に傾斜が増す登山道を軽快に登ります。まだ朝早いせいか、今日の一番乗りの様でした。高度が上がるに従い、次第にガスの中を進むようになり始めました。朝露に濡れた下草を掻き分けながら進むこと約1時間、河原小屋へ到着です。9月後半のこの時期、関東近県の山小屋は閉まることがありませんが、東北の山は小屋じまいの時期が早い様で 、河原小屋はもう閉まっていました。この頃になると、霧の湿気が濃くなり衣服をぬらし始めました。カッパの上下を身に付け、装備を固めて出発です。
次第に濃くなる霧の中を進んでいくと、程なく雪渓に取りつきました。用意した軽アイゼンを装着しますが、ガチガチに固まった雪渓の氷床は驚くほど堅く、軽アイゼンノ歯が氷に食い込んでくれません。自然と軽アイゼンは土踏まずを押し上げる結果となり、何とも歩き難い雪渓でした。雪渓に取り付いてから30程上ったしょうか。霧が一段と濃くなり始めました。時期が遅いせいか、ベンガラも踏み後も判別できない状態です。霧の中、他に登山者の姿もありません。雪渓の幅が結構広く、後ろを振り返っても、登って来たルートが確実にトレース出来ない状況になるに及んで、ルートを再考する事にしました。単独行で、道に迷う危険を冒したくはありません。一旦、可原小屋まで戻ることにしました。
可原小屋からは、「鳥の海」に向かってトラバースする道が、地図に載っています。これを行けば、直登コースより大周りになるものの、御田ヶ原を経由して稜線に上がれそうです。幸い時間は十分あります。小屋の少し上で分岐して、「鳥の海」を目指すことにしたのですが..、草原の中を5分も歩かないうちに、道が消えてしまいました。草の中に「踏跡」がスッと消えているのです。霧は相変わらず濃いままで、前方を見通せません。強引に進んで道を見つけ「鳥の海」に辿りついたとしても、帰りが心配です。とうとう諦めて、一旦下山する事にしました。
駐車場戻ると、8時40分でした。まだ早い時間です。象潟側の鉾立からのコースタイムを見ると、7時間あれば山頂を往復出来そうです。大急ぎで車を廻す事し、いったん海岸線に出て「鳥海ブルーライン」を駆け、鉾立に10時に到着。今度は象潟口から山頂を目指して登り始めました。鳥海山は、この象潟口からのコースがメインルートの様で、この日も結構大勢の登山者が登っています。45分で「賽ノ河原」に、1時間少々で「御浜小屋」に到着しました。小屋を覗くと、小さな小屋の中で大勢の登山者が休んでいます。聞くと「横風が強く、収まるのを待っている。」との事でした。確かに小屋のある稜線取付部から上は、横風が強くなって来ています。ただ朝一で撤退した「可原宿」ルートと違い道は明瞭で、迷うことは無さそうです。もう少し進む事にしました。が、進むに従い横風が強くなり、程なく真直ぐ歩けなくなりました。「今日は登んなさんな。」と、いう事の様です。再び撤退です。この日は鉾立から日本海に面した「吹浦」に降り、松林の中にある「吹浦西浜キャンプ場」で幕営する事にしました。
●東北一の高峰「鳥海山」
翌朝は日の出と共にキャンプ場を出発、再び鳥海ブルーラインを鉾立てに上がります。昨日までとはうって変わり、青空が広がる中、昨日引き返してきた道を再び登りはじめました。まだ早い時間でしたが、鉾立からすぐの所にある「白糸ノ滝展望台」では、大勢の登山者が休んでいます。昨日は横風が強く、真直ぐ進めなかった御浜小屋から先の稜線部も、昨日の風がウソの様に風が凪いでいました。右手を見下ろすと、エメラルド色の水をたたえた「鳥ノ海」が、時折流れる筋雲の間から、その姿をのぞかせています。
千蛇谷で雪渓を横断し、片斜面の岩稜帯を進むこと約1時間、大物忌神社の御本社に到着です。神社の横からペンキのマークに導かれ、巨岩の隙間を直登すると、東北の最高峰「鳥海山・新山」山頂に到着しました。山頂は少し足場が悪いものの結構広く、この日は天気が良かったこともあって、大勢の登山者が思い思いの場所で昼食を取っていました。周囲の眺めは素晴らしく、岩木山、岩手山、月山、蔵王...と、東北の名だたる山が一望出来ます。見下ろせば眼下に真青な日本海が。3回目のトライで漸くたどり着いた鳥海山、その頂きで飲んだビールの味は格別でした。
山行記禄を改めて振り返ってみると、97年〜98年にかけては東北の山に良く出かけていました。97年の盆休みには、「八甲田山」〜「早池峰山」の青森・岩手の山に、そして9月の休みに「蔵王山」〜「月山」の山形の山に登っています。東北の山の良いところは、麓に必ずと云っていいほど温泉が涌いていることで、『登山→温泉→移動→幕営』を繰り返しながら、沢山の山を訪ねられる事ではないでしょうか。勿論、飯豊や朝日の様に、縦走が基本の山もありますが、多くの山は軽装日帰り山行で、その山頂を踏むことが出来ます。紅葉の季節を狙って、「たおやかな」東北の山を楽しんでくる事にしました。
初日、東北自動車道で仙台まで北上し、遠刈田温泉から蔵王を目指します。風が冷たい一日でしたが、駐車所から約1時間で蔵王熊野岳の山頂を往復、下山後「奥羽山脈」を横断して日本海側を北上、「なのはな温泉」で汗を流した後、「鳥海高原家族旅行村」まで入り幕営、翌日鳥海山を目指す事にしました。
●遥かなり鳥海山
2日目朝は4時に起床、手早く朝食を済ませテントを撤収、湯ノ台口の登山口まで車で移動して、さっそく登りはじめる事にします。時計を見ると、ちょうど時半でした。駐車場から程なく、「滝ノ小屋」の前を通過、幾筋かの沢を横断し、次第に傾斜が増す登山道を軽快に登ります。まだ朝早いせいか、今日の一番乗りの様でした。高度が上がるに従い、次第にガスの中を進むようになり始めました。朝露に濡れた下草を掻き分けながら進むこと約1時間、河原小屋へ到着です。9月後半のこの時期、関東近県の山小屋は閉まることがありませんが、東北の山は小屋じまいの時期が早い様で 、河原小屋はもう閉まっていました。この頃になると、霧の湿気が濃くなり衣服をぬらし始めました。カッパの上下を身に付け、装備を固めて出発です。
次第に濃くなる霧の中を進んでいくと、程なく雪渓に取りつきました。用意した軽アイゼンを装着しますが、ガチガチに固まった雪渓の氷床は驚くほど堅く、軽アイゼンノ歯が氷に食い込んでくれません。自然と軽アイゼンは土踏まずを押し上げる結果となり、何とも歩き難い雪渓でした。雪渓に取り付いてから30程上ったしょうか。霧が一段と濃くなり始めました。時期が遅いせいか、ベンガラも踏み後も判別できない状態です。霧の中、他に登山者の姿もありません。雪渓の幅が結構広く、後ろを振り返っても、登って来たルートが確実にトレース出来ない状況になるに及んで、ルートを再考する事にしました。単独行で、道に迷う危険を冒したくはありません。一旦、可原小屋まで戻ることにしました。
可原小屋からは、「鳥の海」に向かってトラバースする道が、地図に載っています。これを行けば、直登コースより大周りになるものの、御田ヶ原を経由して稜線に上がれそうです。幸い時間は十分あります。小屋の少し上で分岐して、「鳥の海」を目指すことにしたのですが..、草原の中を5分も歩かないうちに、道が消えてしまいました。草の中に「踏跡」がスッと消えているのです。霧は相変わらず濃いままで、前方を見通せません。強引に進んで道を見つけ「鳥の海」に辿りついたとしても、帰りが心配です。とうとう諦めて、一旦下山する事にしました。
駐車場戻ると、8時40分でした。まだ早い時間です。象潟側の鉾立からのコースタイムを見ると、7時間あれば山頂を往復出来そうです。大急ぎで車を廻す事し、いったん海岸線に出て「鳥海ブルーライン」を駆け、鉾立に10時に到着。今度は象潟口から山頂を目指して登り始めました。鳥海山は、この象潟口からのコースがメインルートの様で、この日も結構大勢の登山者が登っています。45分で「賽ノ河原」に、1時間少々で「御浜小屋」に到着しました。小屋を覗くと、小さな小屋の中で大勢の登山者が休んでいます。聞くと「横風が強く、収まるのを待っている。」との事でした。確かに小屋のある稜線取付部から上は、横風が強くなって来ています。ただ朝一で撤退した「可原宿」ルートと違い道は明瞭で、迷うことは無さそうです。もう少し進む事にしました。が、進むに従い横風が強くなり、程なく真直ぐ歩けなくなりました。「今日は登んなさんな。」と、いう事の様です。再び撤退です。この日は鉾立から日本海に面した「吹浦」に降り、松林の中にある「吹浦西浜キャンプ場」で幕営する事にしました。
●東北一の高峰「鳥海山」
翌朝は日の出と共にキャンプ場を出発、再び鳥海ブルーラインを鉾立てに上がります。昨日までとはうって変わり、青空が広がる中、昨日引き返してきた道を再び登りはじめました。まだ早い時間でしたが、鉾立からすぐの所にある「白糸ノ滝展望台」では、大勢の登山者が休んでいます。昨日は横風が強く、真直ぐ進めなかった御浜小屋から先の稜線部も、昨日の風がウソの様に風が凪いでいました。右手を見下ろすと、エメラルド色の水をたたえた「鳥ノ海」が、時折流れる筋雲の間から、その姿をのぞかせています。
千蛇谷で雪渓を横断し、片斜面の岩稜帯を進むこと約1時間、大物忌神社の御本社に到着です。神社の横からペンキのマークに導かれ、巨岩の隙間を直登すると、東北の最高峰「鳥海山・新山」山頂に到着しました。山頂は少し足場が悪いものの結構広く、この日は天気が良かったこともあって、大勢の登山者が思い思いの場所で昼食を取っていました。周囲の眺めは素晴らしく、岩木山、岩手山、月山、蔵王...と、東北の名だたる山が一望出来ます。見下ろせば眼下に真青な日本海が。3回目のトライで漸くたどり着いた鳥海山、その頂きで飲んだビールの味は格別でした。
天候 | 初日曇り強風、2日目晴れ |
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自家用車
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