谷川岳・万太郎山(過去山行)


- GPS
- 13:00
- 距離
- 13.9km
- 登り
- 1,764m
- 下り
- 1,755m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
写真
感想
過去の山行記録です。
土合駅まで夜行で行きそこから歩きます。
午前2時半、駅待合室で出発準備をする。実は今日の山行は歩行時間14時間という超強行軍なのである。どうして、こんなスケジュールになってしまったかというと、とにかく、今年は、谷川と平標を結ぶという計画を立ててしまったこと及び、前回のチャレンジが台風により渡され、日程的に一日しかとれなくなってしまったことによるのである。
そうゆうわけで、今日中に平標迄行く為には、夜行軍で登るしかないというわけである。しかし、準備を終えた段階で困ってしまった。実は、一度、登ったことがあるものの数年前なので、登山口までの道に自信がないのである。前回、登ったときは何人もの人が夜そのまま歩き始めたので今度もそうだろうとたかをくくっていたが、皆さん寝る用意をはじめている。
『どうしようかな』と思っていたところ、一人の方がスタスタと歩き始めたので、金魚の糞作戦でその後をのこのことついて行った。
途中、登山指導所で、その方ともはぐれてしまい、まったくの一人ぼっちとなってマチガ沢出会い迄、車道を歩き続けた。
マチガ沢出会いでも車は何台も止まっているものの、歩きだそうとする人は誰もいなかった。結局、仕方なく、巌剛新道に一人で入っていった。
しかし、登山道に入ればもう迷うことはない。これは定説である。従って、少々歩きにくい以外は特に不安はなかった。
『おかしい』、そう思ったのは新道入り口より約45分後ぐらい。目の前に大きな岩が立ちふさがっていた。なんとか、よじ登って見たものの先に道が続く様子はまったくない。
『でも道は一本だった。それに少し前に岩に○がついていたし』。実はこの○が、問題だったのだか、その時は気がつくはずもなかった。
沢沿いに少し戻ってみると道らしきものがある。ここかなと思いながら歩き始めるとEPIガスのカートリッジが転がっている。これですっかり安心して進み始める。
しかし、10分程度で沢に出てしまい、道は再び途切れている。
沢沿いに少しあるくが小さな滝が完全に行く手をふさいでいる。
どこかで間違えた!これは確実だった。とにかく、通らしきものがないかどうか、確認しながら戻る。○が付いている岩までもどった。ここまではOKだ。もう一度、慎重に進む。途中分岐らしいところは、全て確認しながら。
やはり、小さな滝がある沢にでてしまう。今度は沢の両側に取り付き点がないか、丁寧にさがす。どこにもそれらしい道はない。道は完全にここで途切れている。
ラジオが5時を告げた。『もうダメだ』。戻る決心をして下り始めた。
○が付いている岩の付近で人の声が聞こえた。右の方向である。しばらく、待ったが、こちらに登ってくる様子がない。『仕方ない。逆にこちらから降りて接近するしかない』。そう思って、下り始めた。
少し下って、『確か右の方から声が聞こえたはずだが』と思いながら、右を注意して見ているとなんと、右の方に、矢印がある。道は途中から、右の尾根に曲がっていたのだ。そこを気づかずに通過し1時間半近くうろうろとマチガ択をさまよっていたわけだ。
ホッとするのと、道に迷ったことが悔やまれるのとが錯綜しながら、再び登り始めた。少しいったところで、声のぬし(影の恩人)を追い越す。子供達れの登山者だった。尾根迄の道は、結構厳しい。『こんなにきつい登りだったっけ?』。数年前の記憶を辿るもののどうもはっきりしない。
しかし、道標が道はこれで正しいことをしめしている。とにかく、喘ぎながらも登るしかなかった。
やっとの思いで尾根にでたときは、完全にバテていた。岩の上にゴロンと横になってしまった。考えたら、2時過ぎから今までロクに休憩もせず、また昨晩は殆ど寝ていないのだから、あたり前かもしれない。
とにかく、30分近く休んでようやく重い腰をあけた。朝日が山々にあたり、紅葉が映えている。美しい眺めである。このまま、もう少しポッーとしていたいが、先は長いのである。
尾根からも稜線漫歩というわけにはいかない。まだ、谷川岳迄はかなりの高低差があり、速度はいよいよ遅くなっていく。歩くというより牛歩戦術の出番となる。但し、以前は、ガスっていた為、視界が殆どなくただトボトボと歩くという感じだったが、今回はよく晴れわたり、マチガ沢の絶壁等の絶景に気がまぎれさせられる。
天神尾根が近づいてきて、天神尾根を歩く人々の姿もよく見える。『やつらに負けるわけにはいかない!』。ロープウェイに乗ってきた奴らの方が早く山頂についてしまうと、一体、なんの為に朝2時過ぎがらゴソゴソしていたのかわからない。
休みたい気持ちを抑えて、肩の小屋まで急いだ。
肩の小屋についた時点で山頂はやめる。ここまで、時間がかかりすぎている点とかなり疲れていることを考えると先を急いだほうがよさそうだからであった。
肩の小屋に近づいていくと知った顔がいる。『どうしようかな』と一瞬考えたものの、ここで挨拶もせずに通り過ぎるのはあまりにも変だと考えて彼らに近づいていった。
K労山のT木さんとN村君、そして女性2人である。彼らは、ハーネス、ザイル、カナビラをガチャガチャいわせた格好をしている。話を聞くとやはり、一の倉沢を登ってきたとのこと。すごいという気持ちでいっぱいだ。あの谷川の魔の一の倉沢の岩をやるなんて。
でも、自分には、どうしても岩に典味がわかない。きっと、一生、岩はやらないだろう。
それは、ともかくとして、彼らといろいろと話をしているうちに30分ばかり過ぎてしまった。これでいよいよ平標は遠くなった気がする。
8時45分、労山のT木さん一行とさよならをして、平標へと尾根推定にはいった。
国境の山々が連なり、邁か彼方に平擦らしきものが見える。『これはダメかもしれない』、そんな気持ちが心の中で次第に大きくなっていくのを感じる。天気は頗るよい。まさに縦走にはもってこいの日、夏の名残を感じさせる日である。
しかしながら、道は快適な縦走路という程度にはいかないようだ。幾つかの小ピークを上り下りさせられる。足取りは重たい。早朝からの疲れと睡眠不足がきいている。登りで何度も立ち止まってしまう。完全にバテている。尾根と小屋の休憩程度では、体力の回復には結び付かないようだ。
速度はほとんどコースタイムどおりだ。このままでは、平標は非常に厳しい。
加えて、素晴らしい天侯が影響を及ぼしてきた。水分の消費が激しすぎるのである。
何処か途中で、水を入手しないと途中でなくなってしまいそうだ。万太郎山の手前に水場の印が地図についていた。万太郎山自身が丁度、尾根の中間地点であることから、ここを目標とすることにした。ここに何時につけるかと水が補給できるかで、今後の進路を決めることにした。
もし、ダメなら万太郎から尾根を土樽に下ることにする。
やがて、ようやくのことで、地図上の水場のところについた。しかし、水の気配はない。とうやら、沢に10分程度下らないとないらしい。
この時点で、平標の縦走を諦めた。往復30分の時間はとても痛い。かと言って、水が手に入らなければ、どうしようもない。こうなると、最初の1時間半近くのロスが痛い。あそこで道に迷わなければ、きっと、縦走できていただろう。
万太郎への最後の登りを前にして大休止に入ることにする。今まで、節約していた水もゴクゴクと飲む。そして、大の字になって、30分近く休んだ。十分な休憩後、万太郎にむけて歩き出す。あんなに休憩した甲に足取りが重い。やはり、疲れきっているようだ。12時前にようやく、万太藤山頂に辿りついた。前方には、縦走路がうねうねと続いている。改めて、ここ迄がやっとだったなという気がする。
『これで、来年に持ち越しになってしまったな・・・』。少し寂しさが胸に込み上けて
きた。
じっくりと上越国境の山々を目に焼き付けたのち、土樽駅に向けて、下山を開始した。下山道は、快適とは言う難いものがあった。急な下りに加えて、整備が十分でない為、ズルズルと下に落ちていきそうなのだ。立ち木等につかまって、足をふんばりながら、なんとか降りていく。
道はやがて尾根筋をはずれていくが、やはり、同様に、坂を転げるように、どんどんと降りていく。長い長い下りであった。しかも急である。きっと、登りに使ったのであれば耐え切れないだろう。
『今度、来る時は、やはりここから登るのはやめて、平横側から登ろう』。そんなことを考えながら、下り続けた。
自分では、かなり降りたつもりだが、なかなか下に着かない。沢を二つほど横切ると林道に着くはずなのだか、一向に見えてこない。やがて、本当に歩くのが嫌になってしまった頃、ようやく、沢を横切った。後、林道迄、少しの距離であった。そして数分後、林道到着。
林道から、土樽の駅は、まだ一時間程度歩かねばならないが、もうここ迄きたら、鼻歌まじりである。
ところが、ポクポクと歩いていると突然、声をかけられた。
『何処までいくの?』というから土樽の駅迄と答えるととてもたいへんだという顔をされる。こちらとしては、歩いてもたかが5KM程度、たいした事はないと思っているのであるが。
どうやら、山菜取りの人らしい。話を交わして、こちらが『それじゃ』と言おうとすると『送ってやるから車に乗っていかない?(おばさんである)』と持ちかける。どうしようかな−と思案していると『途中で温泉にでよってさあ』とたたみかけるように言う。
温泉!もうだめである。『よろしくします』と答えてしまった。
というわけで縦走くずれの山行は、ここで終わってしまったのである。
この後、おばさんは、川湯温泉の近くで園芸店を営んでいる人と一緒に山菜取りに来ていた為、ひとまず、その方のおうちへよらしてもらう。
そこで、なんの関係のない自分迄一緒に、うちに上がらせてもらい、漬物等を御馳
走になり、くつろいでしまう。
その後、おばさんの車で川湯温泉へ向かい、露天ぶろでくつろぐ。後は一路渋川迄
送ってもらったが、なんと途中で、晩飯まで御馳走になるしまつ。
十分なお礼も言えず、お名前も聞けなかったけれども、おばさん、本当に有難う!
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する