7歳児とゆく富士山ビューと急坂が予想以上の杓子山
- GPS
- 05:47
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 825m
- 下り
- 824m
コースタイム
天候 | 抜けるような快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
鳥居地峠〜高座山:ものすごい急坂。小雨でも乾燥してても登れないと思う。思わず下りは回避した 高座山〜大ザ首峠:軽いアップダウン、軽い岩場、軽いロープ場あり。気持ちのよい尾根道 大ザ首峠〜杓子山:きれいに整備された登山道。九十九折のところはむしろ楽。最後に階段 大ザ首峠〜鳥居地峠:旧林道→ショートカット山道→旧林道→ショートカット山道、を繰り返す。道しるべが充実しているが、あまり人が歩かないのかヤブがかなり発達している。最後、尾根を登ってゆき中腹で右折して林の中を進んでゆく。踏み跡がうすく、なんてとこを通るんだという印象。GPSがないとかなり不安だと思う |
その他周辺情報 | 富士山溶岩の湯 泉水 →客が多すぎることなく、かなり快適 →あひる湯に息子大歓喜 |
写真
感想
久しぶりにからっと晴れた週末。ぜひともおやまにのぼろう。
土曜日は息子の学校が授業だったので、今週も日曜日のやまのぼり。正直月曜日が本気でキツいが、仕方がない。
どこの山にしようか。大月秀麗富嶽をクリアした今、山梨百名山か都留市二十一秀峰か、そのあたりを目指してみよう。
そこそこの晴れなら御正体山、快晴なら富士山に会いに杓子山に行こう。そうして中央道に車を走らせたら、見事なまでの快晴である。よし、杓子山だ。
河口湖インターまで行き、コンビニでお茶を買ってトイレ……って前のおっちゃんが全然出てこない! 車に戻ると息子と妻が冷たい目で見てくる。俺じゃないから!
ちなみにインターをおりて富士吉田市から忍野村に入っていくのだが、でかい富士山がずっとそこにいる。もう山登んなくてもよくないです?という心の声と、僕も妻も戦い続けていた。息子はヒマなのでママを間違ってパンチしひどく怒られたりしている。
そんなこんなで杓子山登山口となる鳥居地峠の到着は10:30になってしまった。妻は明日月曜日に響くことを警戒し、「13時時点でどこであろうと引き返す」と強く宣言した。いやだな、変なところでの引き返し。
駐車場は満杯、すぐそばの路肩も満杯。なので少し先のカーブで道が広くなっているところのわきにとめた。息子がトコトコ追いかけてきた。来なくていいのに、と言うと「いや来てみたかった、それだけだ」的なことを言われた。
鳥居地峠からしばらく砂利道を歩く。ガッチリ車止めされたゲートがあり、不動の湯方面と書いてあった。そこを過ぎるとすぐに登山道入口である。
森に入ってすぐに、視界が開ける。切り開かれた斜面が金色に輝いている。目の前の少し高いところが高座山かな。いいね、このまっすぐ伸びる道。
まっすぐ!?!?!?
森と草原の境目を進む道、まさかの超直登である。妻が「これ帰りどうすんだ」と冷酷な目で訴える。うん、ごめんこれ知らなかったよ。
息子もさすがにきついと見え、あまり進まない。背中を押す。しかし押しすぎると全体重をかけてくる(つまりなまける)のでたまに手を離す。息子、うしろによろけて「もう!ちゃんとおしてよ!」と言う。なまけんじゃねえ歩け、と応えてケンカになる。妻はズカズカ先を進んでいる。
森のほうには花や実がいっぱい。息子の愛するオヤマボクチ、他の方がそう言っていたのでわかったヤマラッキョウ。真っ赤なガマズミの実。とくにリンドウはよく咲いていて、ハチが頭をつっこんでいる。クマバチがみっちり花に入っているのを息子と観察する。山はやっぱりおもしろいね。
急坂の途中にひとやすみポイントがある。ここで後ろをふりむけば、どーんと富士山。やはり高いところから見ると雄大さ大幅アップである。忍野村の街並みもいっしょに見える。
引き続き、必死の急坂登り。花の写真を撮りながら登っておられるご夫婦によると、この山の最後の坂がもっとハードだという。ロープがもともとあったものを、トレランのために外したそうな。マジですか。
ご夫婦に応援してもらい、力をもらった息子はなんとか進んでゆく。そんな坂の真ん中にトゲのきっついイバラが生えていて、これ帰りどうすんの絶対刺さるやろ、てな心配をしている。
そんな急坂にあっても昆虫探しの手を緩めない息子、まずは踏まれて絶命したオオセンチコガネを拾いあげる。だれだふんだやつ!おなじめにあわせてやる!みたいなことを言っていて非常に物騒である。観ても読んでもいない「鬼滅の刃」の影響だと思われる。パパ、それ仇とるほどのもんじゃない気がするけどな。
そうして無事に元気なオオセンチコガネを見つけるに至る。いっしょにのぼろうね。なんて言うのは簡単だけど、ここは急坂の途中。息子のリュックから虫入れをとりだして虫さんがつぶれないように入れる、の一連を、坂から滑り落ちないように靴のエッジで立ちながら行うのである。でもキラキラのオオセンチだもんな。宝だよな。
またひといきつくところがあり、今度は最後のハイパー急坂である。いやこれなんでロープ外したの!!
妻が身動きできず、坂にへばりついたままになっている。そこにひょいひょい息子が近づきちょっかいをかけたので、妻は子を守る母ライオンのようなキレ方をしていた。息子は一瞬ヤベッて顔をしてまたひょいひょい登る。両手が必要なほどの急坂のほうが得意なのだ。
しんどい思いはしたけれど、高座山(たかざすやま)山頂に到着。さすがに見事な富士山である。お茶を飲んでひとやすみ。
中国のご家族が先に来ていて、このあと先に進むか迷っていた様子。忍野に来て2年、ここに初めて登ったのだという。お母さんが息子をハンサムだとほめてくれた。ふふんという顔の息子。
ここから杓子山まで2時間くらいだとお伝えすると、ご家族、とくにお母さんは(無理そうやで、、、)という雰囲気を出していた。おわかれして杓子山に進む。
まずは下り、息子は走る。やがて岩がちな尾根道となり、ロープ場も出てくる。アップダウンがあまりないので楽しく進む。ここにもトリカブトがたくさん生えている。妻はトリカブトについて何も言わない。
鉄塔をくぐり岩を越えると、また下り坂に。おりきったところが大ザ首峠(おおざすとうげ)、広場のようになっている。道が枝分かれしている。
山をおりてきたご年配の夫婦に妻が話しかけている。このご夫婦も高座山下の急坂をくだるのを心配している様子。別ルートを検討、不動の湯方面経由でおりられるのではないかという。ヤマレコで地図を見ると、たしかにそっちにルートがある。がしかし、オレンジの点が少ないな、、、あんまり人が通ってないのでは? ご夫婦はそっちに行ってみるとのことだった。無事を祈り、杓子山に向かう。
最初のほうは少し急。しかし道が九十九折のように蛇行すると一気にゆるやかになる。マユミの実がきれいなピンクで、満開の桜のようだった。
妻がおりてきた女子チームと話している。やはり下り道が不安だとのこと。けっこうみんな心配している。うちは妻のことが心配だ。
マムシグサの実がぽろぽろ落ち、残ったあとが巨大なイチゴみたいになることを発見。ノボリリュウタケのようでいてシャグマアミガサタケのようでもあるキノコもあった。
残りどれくらいか、と妻も息子と頻繁に聞くのでずっと「あと300メートル!」と言い続けていたら「何回同じことを言うのか」とふたりから怒られた。けれどこれなら1時にギリギリ間に合いそう。通り過ぎる登山客を尻目に登山道で湯をわかしてごはんなんていやですからね。
すれ違った年配の方が教えてくれたとおり、最後は木の階段。転ばないように気をつけながら上がっていくと、空が広がってきて、
杓子山の頂上!
やったねよく登ったね!
360°の眺望、と聞いていたとおり、まわりすべてが見渡せる。そして富士山が、どーーーん。これはものすごい景色だ。
駐車場の混み具合から想像したとおり、山頂にはそこそこに人がいた。息子よりちいさな子も何人かいたが、息子は「おんぶでつれてきてもらったにちがいない」と断定していた。いや決めつけるのはよくないですよ、、、
山頂の鐘があるので、息子とりあえず鳴らす。鳴らしすぎに神経を尖らせる僕と妻。
テーブルがあいたので、そこでごはんにしよう。おにぎりと鶏ハム、スープ春雨とミニサッポロ味噌ラーメンを持ってきた。
こんな風景のなかでごはんだなんて、ものすごい贅沢だ。息子はおにぎりにかぶりつき、鶏ハムをほぼ独り占めして春雨をすすっている。ミニラーメンは大事にしすぎて酸化していた。
コーヒーを飲んだら、山をおりよう。山梨とくれば「いちやまマート」「温泉」「ほうとう」をクリアしないと帰れない。4時には下山したい。
富士山に飛び込んでいくような下山道。ここを駆け抜けてゆく息子。ヒーヒー言いながらついてゆく父、どこかでまっててねーと言いゆっくりおりてくる母。まいどの光景である。
さほど急なところもないので、ほどなくオオザス峠に到着。ここから、どうするか。未来を予測するに、急坂をころがってゆく妻の姿しか思い浮かばない。それは困るので別ルートにしよう。ピストンじゃないほうが楽しいしね。
峠から廃林道のようなものが伸びているがそっちではなく、「不動の湯方面」と書かれた道しるべにしたがっておりる。かなりヤブっぽいが、すぐに林道に出る。
少し進んでショートカットの山道へ。ここの道端、クサイチゴがたくさん実をつけていた。もちろん取りまくる息子、だがクサイチゴは6月に実るものだ。季節外れのイチゴ、ひとつ口にいれた息子「おいしいよたべてね」。はい、想像どおり味しません。むしろタネが苦い。ニコニコしている息子。それでもひとつだけ甘いのがあった。
また林道に出てしばらく進む。道しるべが現れ、斜面をおりるようにという。途中まで踏み跡があるもののなんとなく消滅、といったところで旧林道のような道に出る。全然違う方向、しかも山を登るほうの木にピンクテープが巻かれているのを見て「こっちではないのか」という息子。うむ、ピンテを追うのは正しいぞ。しかしいま大事なのは、俺らは下山しようとしてるってことだ。
旧林道?はすぐさきほどの林道に合流。進むとゲートがあり、そこにベンチがあった。ビューポイントとある。なるほど、ベンチのところから富士山が見事に見える。買ってきたちょっといいクッキーを食べてひとやすみ。よき富士山にたくさん会える日だな。
そこからまた、道しるべがヤブの中を行けという。ノイバラが左右からかなり伸びていて、トゲがささりっぱなし。そんなところでさえ下り坂なので特急となる息子、いてーいてー言いながら駆け抜けてゆく。ヤブがおさまってさらにスピードを上げる。途中キノコの大群があったが、写真を妻に任せておいかける。僕の足が悲鳴をあげる。いやもう走るの無理、というかちょっといわした! 待て! ふーん、という顔で止まる息子、何食わぬ顔で「いいよーここからはさんにんでいこうね」
という。ええ、あ、はい。足いてえ。
旧林道に出ると、道しるべが不動の湯方面と鳥居地峠方面を示している。後者のほうに進む。ここからしばらく、旧林道を歩いてゆく。
岩がこなごなになって崩れてたりする、およそ車の通れなさそうな道。それでも林道ゆえに、高度はほとんど一定に保たれる。みんなでのんびり歩く。みずたまりがいくつかあり、そのすべてにイノシシの足跡がたくさんついていた。人よりイノシシのほうがよくここを通るようだ。
まだ遠いのかな、なんて思っていると、道しるべが林道を離れ稜線の山道をのぼるように言う。ここまできて登りかー。スギエダタケだらけの杉林を進む。妻はこういう登りはどんどん進む。息子はやる気を失ってうしろから押されるのを待っている。やだよ押さないよ。
妻が面白いものを見つけた。倒木のなかに、クルミがたくさん詰まっているのだ。たぶんリスが冬眠用に隠し、そして忘れたものだろう。なんだかかわいい。
このクルミポイントで道は右に折れ、斜面をトラバースしていく。踏み跡は薄め、倒木のところで分かりにくくなるところもあったがおおむねピンクテープが道を示していた。息子が「お〜いお茶」の空き缶を見つけて、これは相当古いものではないかと面白がっていた。
このトラバース道をなかなか長く歩き、やがて行きに見かけた「不動の湯方面という道しるべのあるガッチリ車止めされたところ」に到着。あとはゆったり歩いて、鳥居地峠に到着。おつかれさまでした!
忍野中学校の横を抜け、県道717号に合流するところで、夕焼け空に見事に富士山が浮かび上がっていた。その後のいちやまマート城山店の駐車場でも。
※いちやまマートのステマじゃないですよ
よい温泉を探しあぐねて、富士急ハイランド併設の温泉を目指していた(「とても混雑しています」とGoogleさんに言われてイヤだった)ところ、ロードサイドに営業中の吉田うどんの店を発見。吉田うどんは昼しかやってない店がほとんど、珍しいのでここで食べよう。そして入っていくと、となりに日帰り温泉も発見。なんというラッキー!
この吉田うどん玉喜亭、値段は安くダシがやたらと美味かった。すりだね(山梨特有のマーラー味調味料)を入れるとさらに美味い。麺は硬いかというとまあ少し硬めかな、というところだった。これが吉田うどんとしてどういうポジションかはまだわからないけれど、相当美味かったと思う。
おとなりの温泉、泉水。こちらもガラガラではないが空いていて最高だった。この日のイベントは「あひる湯」、ビニールの黄色いアヒルが浴槽に大量に投入されていた。息子は完全にあひるたちの先生となり、おふろタイムのほとんどをそこで過ごした。
想像以上に美しい富士山にいだかれた1日だった。想像以上の直登急坂とほどよい山、ほどよいうどん、ほどよい温泉。笑ってしまうくらいに全部うまくいった。息子はきっとまたこの日のことを思い出すだろう、「あひるさんたちとおふろにはいれたひ」として。
オオセンチコガネを連れ帰ってしまった……。
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