権現沢左俣〜東稜バットレス〜左俣下降〜おまけの左方ルンゼ大滝
コースタイム
26日出合小屋6:20-9:20バットレス11:10-11:30稜線分岐-11:50権現岳頂上-
13:30権現沢左俣大滝-14:30左方ルンゼ大滝15:50-16:30出合小屋17:10-18:20美し森駐車場
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
このところは寒暖の繰り返しで、当日は気温が下がり、特に朝方は雪が締まり好条件でアプローチできた。 新たに雪が降らなければ現時点ではルンゼは雪崩も落ちきり安定していた。 左方ルンゼの大滝は東面では有るがほとんど日が当たらないのか硬く締まっていた。また吹き降ろしの 風が落ちてくるのかここに居るときだけやたら寒かった。 左方ルンゼの大滝は弱冠緩み始めていた。 出合小屋は快適に使わせていただき感謝です。 |
写真
感想
出合い小屋に前日の夜入りでN氏と待ち合わせる。今回の一番の失敗はインナーにあった。
既に陽気は春山で服を着込む必要は無い。前回太ももがすぐに売り切れて終始不調だったことも有り、
スポーツタイツを下に着て行ったのだが、今までに感じたことの無いくらいキツイ。最近体重は変わら
ないのだがどうも筋肉が増え、腰回りもひとまわり大きくなったようで腹が苦しい。かといって他に
インナーを持ってこなかったので、とりあえず腰のゴムを鋏で切った。これで一応楽になったのだが、
夜寝ていると体温がいつになっても上がらずに寒い。2時間ぐらい我慢していたが全く寝ることができ
ないので、締め付けられているスポーツタイツの上をとりあえず脱ぎ、上はインナーを持ってきてい
たので着込むと、すぐに上半身の体温は上がった。これで下半身にも影響すると考えていたのだが、や
はり下半身は寒いままだ。結局朝まで殆ど熟睡する事無く過ぎてしまった。
真っ暗な中1人ヘッデンで出合い小屋まで歩くのだが、1度昨年の終わりに訪れて以来にしては意外と記
憶が定かではない。ただ沢筋を詰めあがるだけだから大きな道間違いはない。
踏み跡を照らしながらどんどん進んでいく。ほぼ満月に近いのでヘッデンを消し月明りの下、動物の気配
や山の匂いを感じつつ歩くのも気分の良いものだ。
ただ夜になって2時間くらい降った霰や小雪が石の上に薄っすらと積もり、渡河をする折ほとんど這いつく
ばって越えることになってしまった。
最近物凄い勢いで山に入っているN氏だが仕事終わりで夜中に小屋へ入ってきた。当然寝不足で疲れているはず
だが、そんな心配はいらないようだ。
ただ朝はやはり起きるのが辛かったらしく予定より弱冠遅めのスタートになった。小屋までのアプローチ
で意外と踏み抜きがあった。同じ状態だとアプローチが大変なのだが天気予報だとその日は冷え込みが強
いそうだ。12月に訪れたときは新雪のラッセルになり、足をとられ時間も疲労も蓄積したが、今回は完全
に雪が締まり、アイゼンの軋む音を聞きながら快適に歩くことができた。
ゴルジュ帯のすばらしい造形美を越えてルンゼを登っていくと、デブリが現われてきた。流石にこの時期
になるとこういったものも出てくるようだ。権現沢の左俣もガイド本によると特に大滝から上はかなり雪
が安定しないと登らない方が良いと書かれている。
大きな雪塊が大量に押し流され周りの雪を削り取り、木を折り倒し巻き込んでいる。雪崩調査官にでもなっ
たような気分で上へと足を進めて行く。
どうも雪の量やデブリからするとまずF1は完全に埋まっているようだ。自分は一度訪れているはずなのだが、
大分雪の状態も変わり、ヘトヘトで付いて行ったせいもあり記憶が定かでない。
今回もN氏がどんどん登っていくのを付いて行ったのだが、最初に大滝を登るつもりがいつになっても現わ
れない。雪で埋まってしまったのかとも思ったが、どうもルンゼを間違えたっぽい感じもする。下山は左俣
を源頭から下降したので解ったのだが、やはり間違えていたようだ。
ルンゼを詰め上がるとバットレスが見えてきた。N氏は1度訪れているそうだが、その時は気象条件も悪く
核心を弱冠巻いたので、今回はすっきり登りたいということでリベンジに来た。
バットレスは3ピッチで核心は2ピッチ目だそうだ。つるべで私が1ピッチ目と3ピッチ目をリードしN氏が核
心の2ピッチ目をリードすることにし取り付いた。
体感として1ピッチ目元薀泪ぅ淵垢1箇所トラバースがちょっとドキドキでランニングも少ない。2ピッチ
目元蕁3ピッチ目は卦蕕箸い辰燭箸海蹐。確かに気象条件が厳しいと辛そうだ。以外に手のホールドが
甘いので、いかに勇気を持ってアイゼンの前爪に乗り込めるかが重要になってくる。後は初めてだとライン
取りに手間取るかもしれない。
好条件で意外と早く頂上に着いたので、頂上辺りで少しぷらぷらし源頭から沢の下降を始めた。
N氏はフリーでガンガンと急斜面を下っていく。ひょっとしたらいきなり大滝の上部に出るかも知れないの
に怖くないのだろうか。
しばらくすると「あったー」と声が聞こえてきた。やはりこちらが本当の左俣のようだった。
以前に使った右岸の木のビレイ点が雪崩に流されたのか見当たらないので、少し登り返し上のしっかりした
木を使い懸垂で基部に降り立った。
N氏がまずリードで登り私がフォローで登り、その調子をみてもう一つ下に有る滝でリードするか決めよう
と考えていたが、楽勝かに見えた滝も体が疲れているのか見た目以上にとてもきつく感じた。またN氏も滝
の一番難しそうな所を選んで登るので、思いっきりアックステンションをかけながら登ってしまった。
上でN氏はスクリューでビレイ支点を作り、上の木まで行くのは面倒だからと既にスクリューでV字スレッド
の穴が作られていた。ただ今回2人とも22cmスクリューは持参しなかったので15cmのスクリューで作った浅
めの穴だ。。捨て縄も使わない。。さんざん大丈夫なのか、自信は有るのかと確認してしまった。。まずN
氏が先に下降する。穴をずっと凝視していたがどうも大丈夫っぽい。。キ○タ○が縮みそうになりながら初
めてのV字スレッドを使い続いて下降した。
そこからコースを間違えた三又はすぐ下に在るのだが、この頃が私の疲労のピークとなった。三又から左方
ルンゼの大滝はすぐ目の前に在る。
N氏がバテバテの私に気をつかい「どうします?」と聞いてくる。N氏は登りたくてしょうがない様子だ。
自分は行くだけ行って、どうにも調子が悪ければビレイだけしていれば良い。とりあえず大滝へ向った。
もうノーテンでリードする体力はない。
まあ、それでも落ちることができないというのはリード独特のものなのだが、そういった精神力はもうない。
まったく無い。(笑)
N氏は初め空荷でやりますかとも言っていたが、やはりそれは違うと50mロープの入ったザックを背負ったまま
リードを始めた。
またもや最も難度の高そうなラインを選んで登っていく。ただ見た目以上に難しいらしく意外と苦戦している。
その間に私は今日使おうと思って忘れていたドーピング(PowerBar)を摂り、目の前の氷柱を舐めながら体の
回復を待った。これが以外に効いたのか目の前の滝がだんだん楽しそうに見えてきた。
N氏が登りきると続いて私はザックを置き、フォローですっきりと登ることができた。
滝の最後の抜け口辺りは体感としてはオーバーハングでガイド本には検棔銑后櫃藩るが、「后椶聾世げ瓩
かもしれないけれど」と言う位で、控薜未詫ったのではないだろうか。
ここは水も流れ始めスクリューの効きの甘い所も有ったが、滝の形状も面白くN氏も本日のおまけとしては手ご
たえが有ったようだ。
N氏は下りながら尚左右を見ながら登れそうな所を捜している。しまいにゴルジュを抜けたところに在る下の
繋がっていない氷柱で遊び出すしまつで、もし煽ったらそのままフリーで上まで抜けてしまいそうな勢いだ。
出合い小屋まで戻ると平日の無礼講で出しっぱなしにしていたシュラフなどを片付け、ヘッデンのお世話になら
ずギリギリセーフで美し森の駐車場に帰り着いた。
今回はすこぶる密度の濃く充実した1日を過ごさせてもらった。N氏のパワーに引っ張り続けられた感じだ。
最近、少しはクライミングに適応した身体ができてきたのか、クライミングが楽しくてしょうがない。
これも日々の努力の賜物なのか。
と身体中心地の良い筋肉痛を感じながら、この文章を書いている今日このごろ。
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