二人の博士のための予演は失敗(魚谷山-貴船山)


- GPS
- 05:33
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 862m
- 下り
- 1,477m
コースタイム
- 山行
- 4:52
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 5:33
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:現在叡電は市原駅までの往復運転。市原駅まで歩きました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
花脊峠-天狗杉:倒木は目立つが、ほとんど問題なし 天狗杉-旧花脊峠:山と高原地図、ヤマレコらくルートでは実線。多少道はわかりづらいが、危険箇所なし。GPSあれば問題なし。 旧花脊峠-京見坂:林道を歩くだけ。問題なし。 京見坂-芹生峠:山と高原地図にはルートなく、らくルート破線だが、危険箇所はない。道がわかりづらいが、GPSあれば問題なし。 芹生峠-柳谷峠:山と高原地図、らくルートとも破線。しかし、これまで同様、倒木が多少あるが危険箇所はない。ただ、これまでもそうだが、普段より倍くらいGPSを確認しながら歩いたし、時々違う尾根に進んでしまいそうになる。踏み跡はあまりはっきりしない。テープもさほど多くない。普段ルートファインドしながら歩いている人なら問題なく歩けます。 柳谷峠-魚谷山:踏み跡は薄いが迷う要素なし。 柳谷峠-滝谷峠:谷筋で、岸に崩落箇所もある。倒木も多め。くぐったり乗り越えたり、渡渉したりを繰り返す。破線記載されてもいいかも知れない。ただし、気をつければきちんと歩けるし、迷う要素もない。今西錦司プレートを見落とした私が言うのはよくないが。 滝谷峠-貴船山:非常に歩きやすいハイキング道。 貴船山-貴船ユリ分岐:山と高原地図では谷筋に道が引いてあるが、恐らく谷の東を通っているのだと思う。私は谷の倒木が激しいので谷の西を南下してしまい、そのためにひどい目に遭った。道に復帰してからは問題なく歩ける。 貴船ユリ分岐-貴船口:分岐には全く記載がなく、途中まで歩いてから「貴船ユリは通れない」と書いてある。構わず進むと、実際に通行止めになっていて(6月まで?)、滝谷峠に戻れと書かれている。しかし、東に降りる明瞭な道があるので、それを通って貴船口に降りた。降りたところの標識には、滝谷峠からは雲ヶ畑へも奥貴船橋へも倒木多くて危険と書かれている。貴船口への下山路はさほど問題ある道とは思えず、それがあるのに(あるいは、大岩経由で夜泣き峠への道もあるのに)、滝谷峠に戻れというのは如何なものかと思った。 渡渉箇所が多いので、トレッキングポールはあったほうがいいと思います。 |
写真
感想
下山してもまだ、今日起こったことが幻ではなかったかと思えてならない。
2月最後の日、私はかねてから懸案にしていた魚谷山に行くため、バスに乗っていた。この山には、今西錦司名誉教授の功績を讃えたプレートがあることは知っていたが、まだ訪れたことはなかった。そこへ、学生時代の同級生から、「昔自転車でプレートを見に行ったことがあるが、随分前なので歩いて再訪してみたい。案内してもらえないか」と打診を受けた。彼は現在は母校ではないが教授を務めており、私とは比べ物にならない立派な男だ。彼からの頼みなら断るわけがなく、計画は立ててみたのだが、様々な理由で1年以上そのままになっていた。しかし、この機会に下見を済ませておこうと思ったのだ。
彼はスポーツもこなす男だが、山を歩いた経験は少ないというので、雲ノ畑岩屋橋から出発することを想定していた。しかし今回は花脊峠から芹生峠を経て魚谷山に到達し、その後は当日と類似の道を辿ろうと思っていた。しかし、花脊峠から柳谷峠までの道は、かなりの部分が破線で記載されている。従って、私は本日の核心部は柳谷峠までをいかに無難に終えることだと考えていた。花脊峠からしばらく急な登りがあり、その後尾根をしばらく歩くと天狗杉(三輪谷三角点)に到る。ここから先、迷いやすいという情報を得ていたため、普段より頻回に携帯端末で位置を確認した。そうしていてもなお、何度か別の尾根に進みかけてしまったが、道自体は所々倒木が邪魔をするものの、決して歩きにくい道ではなかった。
そうするうちに芹生峠に到る。ここの登り口を少し間違ってしまったが、この箇所が本日で最もきつい登りであった。その後も目印も少なめで踏み跡もさほど明瞭でない道が続くが、携帯端末を頻回に参照すれば、特に問題となるほどではなく、注意さえ怠らなければ破線と言うほどのものではなかった。柳谷峠から魚谷山山頂へは少々きつい登りがあるが、距離的には短い。山頂は静かで、眺望はなかった。再び柳谷峠まで戻り、ここから滝谷峠までの細ヶ谷に件のプレートがあるはずである。数ヶ月前に歩いた人の記録では荒れていると書かれていたが、もともと実線箇所なのでさほど問題ではあるまいと考えていた。この時、私は破線箇所を終えてしまって、気が緩んでいたのかも知れない。すっかり、久しぶりの低山縦走の単独行が無事楽しく済ませられそうだと、楽しくすら感じていた。
とはいえ、ここからは山歩きに慣れていない同級生を連れて通らなければならない道である。どれくら歩きやすいだろうかと思っていたら、想像していたより倒木が多い。基本的に谷筋であり、片方の岸が倒木や崩落で通れなくなっていると、その都度渡渉しなければならない。初心者には少々歯ごたえがあるかも知れないが、杖などを用意して貰えればさほど問題ではないだろうと考えた。そして、北山小舎と書かれた看板を通り過ぎ、さらに歩を進める。私の記憶では、このあたりから道は二本に分かれ、再び合流する少し手前にプレートがあると考えていた。そのため、途中から両岸を何度も確認していたのだが、いつの間にやら林道に出てしまった。
これはいけないと、携帯端末を確認しようとしたが、プレートの位置が記載されている山と高原地図はこの状況では見ることができなかった。それ以外の地図にはプレートの位置が書かれていない。しばらく歩き回ってみたが、電波が届かないためか、山と高原地図を見ることはあたわなかった。この時点でも「合流点の手前」と思い込んでいた私は、少し谷を戻ってみたりしてみたのだが、結局プレートを発見することはできなかった。
その後滝谷峠までの道は谷筋ではあるがかなり急な登り道で合った。ただ、距離的には短い。滝谷峠に到達するが、ここでなぜか人の声が聞こえた。しかし、見回してみても誰ひとり人影は見えない。奇妙に思ったが、そのまま歩を進めることにした。貴船山山頂までの道は、極めて歩きやすい道であった。その後、道は左右に分かれる。左の道を通れば素直に二ノ瀬に向かうが、右の道を通ると双耳峰である貴船山のもうひとつの山頂に到る。私は右の道を選んだ。さして時間がかからず三角点のある山頂を通過したが、樋ノ水峠から先が難渋した。ここで私は、峠の名前が記された標識をわざわざ見に行ったのだ。そこから端末が指示する方向に歩くと、大変倒木が多い。国土地理院の地図では谷筋に道が記載されており、私はその道が倒木で覆い尽くされているのだと考えてしまった。本来は、一度峠まで戻って、谷の東側を通ればよかったはずだが、私はなぜか谷の西側を通ってしまった。しばらく倒木の上を歩いたりして谷を降りていったが、倒木がましになったと思ったところで再度端末を確認すると、道よりかなり西を歩いていることに気付いた。ここでようやく崖を登る決心に到る。そうやってしばらく斜面を登ると、そこにはあの倒木に埋まった谷とは比べられないほどの、落ち着いた道があった。私は狐につままれたように思いながら歩を進め、その後はさしたる問題もなく市原の駅に着いたのだった。
あの、細ヶ谷でのプレートの見落とし、滝谷峠での不思議な人の声、樋ノ水峠からの不可解な谷道。私は何かに憑かれていたのだろうか。無事家に帰って日記をしたためていても、あれが現実だったのかどうか、どうにも自信がない。ただ、最初から同級生を連れてもう一度魚谷山に行くつもりであったため、プレートはその時に捜せばいいことだと言える。道の具合がどれくらいかはわかったので、初見で行くよりは適切な助言ができるだろう。望むらくは、その時にふたりとも化かされないことを祈る。
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