神室山 西ノ又沢雪渓をつめる
- GPS
- --:--
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 1,144m
- 下り
- 1,121m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
*神室山への秋田県側コースである西ノ又コースを辿り、三十三尋の滝手前付近から雪渓となっている西ノ又沢をつめて、前神室山とレリーフピークの間の主稜線に上がりました。 *第1吊り橋・第2吊り橋共に、足場の板は取り外されていました。 *下山は、前神室山から北東に延びている夏道の無い尾根を下り、西の又コースに合流しました。 |
写真
感想
ちょうど一年前、神室山に夏道の無い北東側から登った際、西ノ又コース上の御田の神に出たはいいがその後がわからず、やむを得ず西ノ又沢の雪渓に移って主稜線に上がったことがあった。わずか50mほどだったが、急な雪渓の登りは爽快で、下を見ると十分に登ってこれそうにも見えた。以来、この雪渓登高を考えていた。
問題はタイミングだろう。西ノ又コースは一般ルートとはいえ沢沿いの道、雪の残る時期の急斜面のトラバースは困難が予想される。かと言って夏道がしっかり出た後では、肝心の雪渓がズタズタになっているかもしれない。今回は急斜面でのトラバースに強いスパイク付き長靴を履き、急斜面の雪渓を登るために登山靴とアイゼンをザックにつめて出かけた。沢を歩いて濡れることも想定して替えソックスも忘れずに。
目覚ましを掛けずに普通に起床して準備、出発が遅くなる。白い部分がほとんどの鳥海山がきれいに見えている。今日は数百人のスキーヤー・ボーダーが向かうのではないだろうか。秋田自動車道を南下すると、高松・栗駒・そして神室と、スライドのように前方に姿が現れる。今日は好展望が期待できそうだ。
神室山の役内口、パノラマコース登山口の少し先に車を止めて林道を歩きだす。木々の芽ぶきが始まって、すがすがしい朝だ。西ノ又沢の水流は勢いがあって、ゴウゴウと音を立てている。一般コースとはいえ、このコースは初めてなので、気を引き締めて歩く。
第1吊り橋は高さがあって、正直怖かった。骨組みのパイプに次の足を伸ばすのは足の短い私には大変で、横のワイヤーにも足を掛けつつ慎重に渡る。第2吊り橋を渡って左岸の道は、少し広い林の中でホッとする。それもやがて急斜面のトラバースや枝沢の雪渓トラバースが現れ、ピッケルを突き刺しながら通過する。
次第に道は沢の高さに近くなり、自然に、すでに雪渓となっている西ノ又沢の上を歩く。沢を埋める土砂の量はすごい。沢のほとんどを黒く埋めているところもある。落石が静かに近づくので、足元と共に上方にも気を配りながら慎重に歩みを進める。左手に、高さこそさほどではないが水量豊富な豪快な滝が現れた。これが三十三尋の滝だろうか。
はるか上方に主稜線が見え、傾斜が次第にきつくなってきたところでザックから登山靴とアイゼンを取り出し、スパ長靴と履き換えた。さあ、サクサクと登ろう、長靴オヤジもイッパシの登山家に変身だ・・〜それはいいが、すぐに息が上がる。長靴歩きとは違う筋肉も使うようだ。こんな重い靴を履いて重い荷物を背負い、ラッセルをして登る登山家たちの体力はいったいどうなっているのだろう・・と改めて感心し、尊敬の念を新たにする。
休み休みだが順調に標高は稼いで、主稜線がグングン近付いてくる。雪庇は落ち切っているようで、ブロック雪崩の心配はまず無い。主稜線まで一面雪の急斜面は続き、最後はピッケルを突き刺して、前神室とレリーフピークの間の主稜線に這い上がった。
神室山頂に立ったのは5回目になるが、これまでで一番の大展望に恵まれた。真っ白い鳥海・月山を始め、朝日連峰・蔵王・船形・北方遥かには和賀岳の左に秋田駒、右に岩手山まで見える。もちろん、神室山から小又山に続く残雪豊富な稜線は一級品の美しさだ。台山尾根の向こうには、水を引いたばかりの田圃が穏やかに光っている。山頂で1時間以上もゆっくりしたが、可能ならこのまま一泊したいとさえ思った。山頂でお会いしたのはご夫婦一組と単独男性お一人のみ。風弱く、光明るい静かな神室山の頂であった。
下山は前神室山までパノラマコースを行く。前神室からは、せっかく残雪があるのだからと、北東に延びる尾根を下ってみた。残雪が無くなると藪になったが、「漕ぐ」というほどの藪ではない。次第に急になる尾根を木々や藪につかまりながら、第2吊り橋の少し上流側登山道に下り立った。
斜面が剥ぎ取られて沢に押し寄せる大量の土砂、勢い強く流れ下る水流、これらは冬の間の大量の雪がもたらしたものだろう。神室のダイナミックな自然の力を改めて目の当たりにした今回の山登りだった。
残雪の尾根歩きが好きな自分にとってのハイシーズンはこれで終了。毎週山に行っていて、家族にはヒンシュクをかっていた。しばらくは半日程度の近郊ハイキングに留め、たまには一泊の山歩きができたらいいなと思っている。
コメント
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素晴らしい天気の中、またまた神室の残雪期限定ルートでしたね!
kamadamスタイル、いつも凄いです
この高度感、私も味わってみたいけど、この吊り橋というより、綱渡り、これダメだわ〜
kamadamさんや去年これ渡ったwaqueさん、高いところ得意なお二人でも緊張するんですね…私は帰っちゃうかな 和賀の残雪をみられなかったのは残念でしたが、今シーズンも素晴らしい雪稜歩き、楽しめました。
追記:息子さんたちのプレゼント、ちゃんと今年利用できてよかった 冬靴重いけど、真冬は暖かいよ
waqueさんだと1mぐらいの間隔で付けられている骨組のパイプをヒョイヒョイと渡られたのではないかと思いますが・・足の短い私は大変でした 下山時は地震のあった時間帯に渡っているかもしれません・・どうせ揺れているから分からないか
山頂からのすばらしい大展望、kiyoshiさんにも味わってもらいたかったです
(追記ありがとうございます)
当日朝に値札を切って、なんとか返品せずに使うことになりました しかしこんな重い靴を履いて高速で登るkiyoshiさんたちはどうなってるのと思ってしまいましたよ でもアイゼンは昔のよりずっと軽くてコンパクト。進化にも感動でした
kamadamさん、こんにちは〜
最新の神室の状況が知りたくて、ひょっとしたらkamadam
さん行ってるかもとひらめき 、ヤマレコを見
たらやっぱり行ってましたぁ〜。うれしい〜
今年は残雪が多いのでしょうか。残雪と新緑がとてもき
れいですね。
去年の宿題をやり遂げようと、近々再訪の予定です。
都合により通常の残雪期を逃してしまった日程だと思っ
てたけれど、kamadamさんの記録を見て安心しました。
よいタイミングでのいい記録と写真をありがとうござい
ました
タイミング良かったみたいで、私もうれしいです
今年は残雪多いですね〜ただ、奥羽山脈でも太平洋側はそれほどでもないというコメントを散見しますが・・虎毛山頂部や鬼首の禿岳もほとんど雪がないように見えました・・日本海側はまだ多いです。神室も写真29番のように台山尾根なんかまだたっぷり。細い主稜線上でも登山道が雪に覆われている箇所が結構ありましたよ。
新緑もこれから勢いを増して高みへ上がっていくことでしょう。akoさんの雄大で感動的なレコが楽しみです
高度をぐんぐんと上げていく臨場感、素晴らしいです
いつもいろんな方々が歩く神室のレコを拝見しておりますが
あまりにも玄人肌が似合うような山域ですのでなかなか懐に入って行けませぬ
いつか、ここを歩けたら…と思います。
今回は顔出し〜
渡辺陽一さんに似ていますね。
温和で柔和な方なんでしょうね〜
話し方も…
あはは・・顔出して失礼いたしました 渡辺陽一ですか?言われたことありませんが・・顔が斜めだからモアイ像なんて言われたり・・ 話し方は渡辺さんに似てるかも
神室連峰の一つの山を登るのは、山慣れたmeikenさんなら余裕なのではないでしょうか。大東岳周回を何度か歩いておられるなら問題なく歩けるかと思います。ぜひぜひ展望のきく天気の良い日を選んで これから花もいろいろ出てくるでしょう
西ノ又コースは仰るとおり、雪の状態を見極めるのが難しいかもしれませんね。
写真を拝見する限りではベストタイミングだったのではないでしょうか
そのように考えると、この沢を登高するルートは賞味期限短そうです
僕も来年歩いてみたくなりましたよ。
今回もkamadamさんらしいシブい山行を堪能しました。
神室もいろんなコース取りが出来るので、バリエーションを考えるのが楽しい山域ですよね。
また僕も歩きに行かないと
実はtooleさんをお誘いしようかと考えていたのです 雪渓の登高は爽快だろうし、写真も人物を写し込めば絵になるだろうな・・と。そしたらtooleさんのことだから、「下山は三角石山経由にしましょう」なんて言い出すんじゃないかな・・なんて
でもタイミングが飯豊遠征に重なることと、スピードがマジ違い過ぎる 私が雪渓をフーフー登っている時に、tooleさんなら山頂小屋でゆっくりコーヒー飲んでいることでしょう
沢登りのできない私が登れる沢は場所と時期が極めて限られますが、のんびり探そうかな、なんて思ってますよ
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