定山渓天狗岳(中央クーロアール~中央稜)
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- GPS
- 09:58
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 946m
- 下り
- 924m
コースタイム
- 山行
- 9:38
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 9:58
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
近シーズンの雪山は、山スキー山行から少し離れて、登攀系の山行に集中した。昔登ったことのあるルートばかりではあるが、どこのルートもリードしたのは一昔前で、実に新鮮な気持ちで登ることができた。
昔に比べて道具が格段に良くなったこともあるし、経験を増したこともあるのだろう。若かりし頃と違い、少しばかり落ち着いて周りを見渡すことができたし、喉がカラカラになることもなかったように思う。でも、体力的にはかなり落ちたように思える。
あの頃は20才上の先輩を師匠と仰ぎ、岩、沢、アイス、登攀的山行に金魚の糞のように付いて回ったものだ。そんな俺が、20才下の後輩を連れて、若かりし頃の軌跡を巡っている。時の流れを感じる。自分が教わったことを後輩に伝え、後輩が次世代の後輩に伝えていく。自分のために、そして会のために。連鎖とか伝承とか、使い古された言葉の意味をしみじみと感じる年になった。兎にも角にも、もう少し5年くらいはこういう山行を続けていけば、春の残雪期のやさしい利尻バリエーションルートや日高の!!!といわないまでも!!☆の沢に挑戦できるだろう、きっと。
というわけで、この週末は5年ぶり(前回は2015/3/8)に定山渓天狗岳のバリエーションルートを登った。相方の若者とは、前年の4月末に中央ルンゼからピークを踏み、いつかバリエーションを登りに来ようと話していた。
ピークまでの完登を思い、5時自宅発の早出をしたが、林道入口に到着して、まさかのメット忘れ。今回は俺ではなく、相方。今シーズンのこれまでの山行で俺の忘れ物ばかりが先行していたが、これでお互い様と言えるだろうか。メットを取りに戻って、1.5時間遅れの出発となった。林道入口には車が複数台停まっており、定天の人気の高さを思わせた。出発が遅れたので時間を見ながらの途中下山を覚悟。それでも、中央稜を少しでも前に進みたい、次の機会に向けて。
それにしても相方の歩みは早い。20才の差とはこういうことなのか。
天気は良く、気温も高い。アウター不要のアプローチ。天狗平からは先行パーティのトレースをありがたく使わせてもらう。
中央クーロアールが見えるところまで来ると、既に1パーティが2P目を登り、もう1パーティが足回りをスノシューからアイゼンに替えて、登攀準備をしていた。順番待ちになれば、2P登って終了かなと思いきや、準備していたパーティは中央クーロアールの取り付きを過ぎて、上に登って行った。左クーロアールを登るのだろう、きっと。
中央クーロアールを登っているパーティは、セカンドが2P目に取り掛かっていたので、我らの準備が整い次第、登れる。とここで、胸元に入れていた中薄手の左手袋がなくなっていることに気がつく。どこかで落としたようだ。ガーン。
中央クーロアールの取り付きでルートを間近に見て、思っていた以上にイワイワしていることを知った。いつも使っている冬用手袋だと登れる気がしない。右手を薄手の手袋、左は冬用グローブにアウターだけにして登ることにした。薄手の手袋を落としたことが悔やまれたが、アウターでもそこそこいけた。
バイルが刺さるところなどなく、のっけから岩登り。何度か上がったり下がったりするが上に行く踏ん切りがつかない。キャメを1本取って、アイゼンの爪を岩の突起に乗せて立ち上がり、そっとゆっくり慎重に岩を登る。3級の岩登りと分かっていても、こわい。3mほど岩を登ったあとは、バイルがきくところを探しながらそれほど労することなく登ることができ、残置スリングがぶら下がっているところでピッチを切った。そして、いつもぶら下がっている環付きカラビナに確保器がないことに気がつくのだった。下にいる相方に確保器が落ちていないか確認するも、「ない」と無情の返事。オーマイゴット!どこで落としてしまったのか。登攀用具をザックから出したときには目にしたように記憶しているので、準備したところから取り付きまでの間で落としたのだろう・・・。装備不備を理由に下山することが脳裏をよぎったが、それでは少しばかり情けない。イタリアンヒッチで後続を確保。
過去の経験では、2P目のイワイワ部を越えるところに苦労した記憶があったが、残置ピンが豊富でそれほどこわい思いをすることなく、登ることができた。先行パーティと同様にガイドブックで紹介されている2P目終了点の5m下のテラスでピッチを切った。相方も労すことなく登ってきたので、そのまま本来の2P目終了点までロープを伸ばしてもらった。この5mも残置ピンが2つもあった。
4P目は中央稜までのやぶ漕ぎ。やぶ漕ぎを嫌って、雪のある所をたどって右側から大きく巻こうとしたが、50mほどロープを伸ばしても、中央稜に上がれるところがなかった。急がば廻れと、出発地点に戻って藪を漕ぎ、中央稜に上がった。
5P目は、若者がリード。約50m登ったところでピッチを切る。そこから先は細尾根で細尾根の先に左クーロアールを登っているパーティが見えた。時間切れを理由に左クーロアールから尾根に上がるコルで下山することを考えたが、尾根の先に見えたピークと青い空が気持ちを後押しした。
6P目の細尾根は雪がまったくついていない。ここは雪があるときの方が恐ろしいだろう。細尾根のコルから10mほど登ったところで左クーロアールパーティがセカンドを確保していた。俺もそこまで行ってピッチを切った。
7P目は、若者がリード。ここも約50m登ったところでピッチを切る。そこから先も細くて急峻な尾根となっていた。8P目の雪のない急峻さを見て、またしても時間切れを理由とした下山が脳裏をかすめ、一度は若者に下山を提案するも、ピークが近いという気持ちが、ロープを伸ばさせた。ピークの20m手前でロープ残り5mの合図でピッチを切る。そこからピークまではコンテで登る。そしてピークゲット。
15時過ぎの山頂となったので、下山連絡に一報を入れて、急ぎ下山の道。中央ルンゼを下り、落とし物を探すべく、登った道を忠実にたどって天狗平へ。手袋は見つけたが、確保器はなかった。おれの赤いペツルのルベルソはいずこ?
下りも若者の足は速く、あっという間に見えなくなった。それでもヘッドランプを灯す前に林道車止めに到着。
今回も行動食はろくに取らなかったが、行動水は1Lを飲み切った。それでも喉がカラカラ。なので、ふろ上がりのビアはサイコー。そして、寝落ち。思っていた以上にコテコテに疲れ切っていたようで、泥のように深い眠りについたのだった。こういう眠りは久々で悪くない。心地良い疲労感の背後に沸々と沸いてくる充実感を感じるまでもなく、朝だった。
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