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Yamareco

記録ID: 312
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
八ヶ岳・蓼科

北八ケ岳/天狗岳

1994年02月26日(土) ~ 1994年02月27日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
9.1km
登り
814m
下り
785m

コースタイム

2/26 茅野駅11:30=渋ノ湯12:30−黒百合ヒユッテ15:10(小屋泊)
2/27 黒百合ヒユッテ8:10−9:20東天狗岳10:00−10:50黒百合ヒユッテ11:40−
   13:20渋ノ湯
天候 2/26 曇り時々小雪
2/27 晴れのち雪
アクセス
コース状況/
危険箇所等
渋ノ湯から黒百合平まではトレースもしっかりしており雪山初級者コースです。
しかし天狗へ登る場合、通常黒百合でアイゼン、ピッケルを装備しましょう。
夜は氷点下20度近くまで下がります。
予約できる山小屋
黒百合ヒュッテ
東天狗岳の山頂にて
東天狗岳の山頂にて

感想

(takachin記)

2月26日、天気曇り。時々ちらちらと白いものが舞い降りてくるが
風はほとんどないため支障はなさそうだ。
しかし茅野駅から見たときより雲が厚く垂れ込めているような気がする。
天候はゆっくり下り坂か?

渋ノ湯を出発。橋を渡り幾分きつめの登りを歩き始める。
積雪はかなりあったがトレースされている道を快適に登る。
段々と遠ざかる川の音、それと同時に雪山特有の音として聞こえてきそうな静寂と
どこからともなく聞こえてくる小鳥たちの声に支配される。
人工的な音は僕ら人間が発する乾いた音だけ。
この森の中にいると、吐く息ひとつ、足跡ひとつでさえも
自分たち人間の醜さを意識するのに充分事足りてしまう。
途中休憩を挟み、黒百合ヒユッテには意外に早く15時10分着。

山小屋に辿り着きほっとする。
雪を払い、建て付けの悪い二重構造の扉を開けると
一癖も二癖もあるクライマーの顔、顔・・・
山親父の大きな笑い声、暖炉で火を焚く独特の匂い、
そんなものがいっしょくたになって僕の周りを包み込む。
山の歴史に裏打ちされた張りつめた空気の中に
人間の喜怒哀楽を見いだせるであろうか?
ここに来てよかったと素直に思える。

小屋前の斜面でピッケルを使い滑落停止の練習をするが、これがなかなか難しい。
北八2度目、山登りも2度目の僕はその後初めて「山の飯らしい飯」を食す。
しかし拍子抜けするほど美味。
夜は怪談話で多いに盛り上がる。
(寝る前に皆で固まってトイレに行ったことは言うまでもない)
用を足しに外に出ると(トイレは小屋の外である)
いつの間にか雪は止み、まんまるの月が雪の原野を照らしていた。

2月27日、晴れ。
朝日に照らされ空気中にキラキラ輝くもの、そうダイヤモンドダストを
拝むことができた。
昨日と打って変わっての快晴だから、朝食時から
「ニュウか?、天狗か?」と自分の身も考えずにそんな話で持ちきり。
あんまり良い天気ばかりだと雪山との付き合い方をいつまで経っても
覚えられないなぁと思いながら、結局天候に感謝して天狗岳行きを決行する。

8時過ぎに小屋を出発。左巻きの稜線沿いルートで山頂を目指す。
途中後方にニュウを見ながら、眼前には圧倒的な大きさの天狗岳。
大きい。
森林帯が途切れ、岩とアイスバーンの世界が広がる。
登るにつれて風が否応なしに強まる。
鎖場が現れ急な上り坂が続く。
どんどん登る。どんどん登る。
ピークを越えて越えてのところにあるらしい。
山頂はどれなんだと、半ばうんざりし始めた時
僕はようやく念願の天狗岳山頂に立った。
2645m!自分の足で歩き通した、今まで一生のうちで一番高いその場所は
360度大パノラマの別天地であった。
想像を絶する素晴らしい景色が広がっていた。
そして、何よりも、この自分が、この足で、この足で、登ったんだ、という
感無量とはこういう事を言うのだ。
理屈では語り得ない感激が、僕の意志とは関係のないところから
沸々と沸いてくるのだった。
今日はここへ来て本当によかった。

僕は一通りの記念撮影が終わると、朝、山小屋で買った絵はがきを取り出し
こんな雄大な景色の中で数枚、日頃お世話になっている人たちに手紙を書いた。
「僕は今、地球に立っている」
そう、僕は地球に立っている。

追伸:天狗岳の山頂を拝んだ後、下山を開始。天候はあっという間に崩れ
   午後からは雪交じりの天気に。午後1時に渋ノ湯着。水風呂温泉に
   とっぷり浸かり、茅野駅まではやたら話し好きのおっちゃんが運転する
   タクシーの乗って帰りましたとさ。

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