【第二次西穂演習】上高地〜西穂独標〜西穂高岳【甲40.2】
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- GPS
- 07:44
- 距離
- 12.9km
- 登り
- 1,545m
- 下り
- 1,553m
コースタイム
- 山行
- 7:06
- 休憩
- 0:39
- 合計
- 7:45
コースタイム比:0.579
距離:12.88km
上り標高差:1.338km
下り標高差:1.363km
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況: 絶好の山行日和で地面も乾き、山自体の状況は上々。ピラミッドピークの手前で緊張する場所があったが、それ以外は難無く歩けた。○や×の印もたくさんついて山行の助けとなる。上述の箇所と主峰の手前は難儀している人が多かった。 しかし、山道自体の危険が晴天により小さくても山行者がわざわざ危険を発生させていると思われる事例があった。それは本稿にて詳述することとする。 登山ポスト: 登山口にあり。 下山後の温泉: 竜島温泉せせらぎの湯(カーナビが「目的地周辺に到着しました。案内を終了します。」となった後しばらくで「竜島温泉ココ右折」という看板があるので、それに従い、橋を渡ってしばらく行くとある。) |
写真
感想
天気予報に一喜一憂の穂高山行。当初9月の第1三連休を予定していたが、台風接近により順延。第2三連休に望みをつなぐ。天気予報(高山・松本)は晴れ一時雨、曇り時々晴れ、曇りとコロコロ変わり、予報確度も低いままと、そんな中でギリギリまで天候を見極め決行。雲中晴れ間あり程度かと思っていたら、晴れメインで我々が稜線にいる時はずっと青空。天佑に無上の喜びを感じた。
昨年、しょうもない理由により西穂高登頂を断念した我々は、別途西穂を目指し、連れが風邪をひいて体調が悪化したという、これまた不本意な理由で撤退したグスタフ氏と共に3名で今年こそは西穂再訪を期すこととし、その機会をうかがっていた。
しかし、上述の通り、女心と秋の空という如く変わりやすい空模様に翻弄される。順延が決まり、この三連休の天気を見極めているうちにグスタフ氏が風邪をひき脱落。残るヒロシ氏と二人で目指すこととなったが、山行予定日である日曜の天気がハッキリしない。どうも土曜日の方が天気がよさそうだ。単独山行であれば、じゃあ土曜にしようとスパッと決められるが、共同だとなかなかそういうわけにはいかない。雲が多くても、山頂に到達することをメインの目標として、当初予定通り日曜に決行することとした。
前日、上高地方面へ向け出発。道の駅風穴の里泊。交通量、駐車量ともに多い。当日沢渡へ向かうと、第1、第2駐車場は満車で入れず。前の三連休が悪天だったので、その分人が流れているのだ。こんなことでは稜線も大渋滞が予想される。空の模様は懸念に反して良好で、あとの不安は稜線渋滞だけだ。しかし、これもバスが思ったよりも早くから動いていたので大した問題とはならなかった。
山行者が二人となったことで主脈縦走という案もあったのだが、直前まで天気が見通しにくかったことと先ずは西穂という考えがあったこと、それと直前に計画変更するのが面倒くさかったことにより、昨年と同様、上高地から登り西穂高岳に登頂の後、同じ道を下るという堅実な計画とする。
前回と同様、帝国ホテル前で降り、梓川を渡り、登山道へ。一つだけ前回と違うのは道が乾いているということ。前回は雨の降った後だったかで下がずんだらべっちゃらとして歩くのに大変難儀をした。それが今回は無い。全く無い。快適な山行を楽しめる。
そのうち、宝水近くで標高2000mに達し、木の合間から周囲の山々が見えてくる。焼岳分岐まで来れば西穂山荘以降の稜線は間もなくだ。
宝水手前、サルがあちこちで遊弋し、周囲が騒がしくなる。前を行くヒロシ氏が誰かに挨拶したので下山者かと思ったら、正面から大きなサルが登場。こちらはアワアワと色めきたってしまったが、相手は物怖じせず堂々悠々と我々の隣を擦れ違っていた。もはや人間に慣れているといったレベルではない。人間なんか歯牙にも掛けないといった感じであった。自然恐るべし。
さて、西穂山荘を発って、歩いていくも思ったほど人が多くなくストレスを感じない。西穂独標より先は独標までよりも山行者数がグンと落ちると聞いていたので、これならサクサクいけるのではと期待を抱く。独標には多くの人がいたが、これは想定内。前回はここから一つ目のピークを過ぎた辺りで引き返したので、これからはほとんど初めて歩く道だ。あの時は酷かったなあ。稜線はどんよりとした雲に覆われて視界は一つ先のピークまで。横からやや強めの風が吹いて、水滴まで飛んできた。それが今回は青天旭日、風は穏やか。視界は明朗!
グスタフ氏が5分間スタックしたというのはピラミッドピークの一つ手前のピークである。体を外側に乗り出させる必要があるので心理的に恐怖感が高まるとともに、下の方が若干見づらく、足の置き場を探る必要があるので、個人的には今回最も緊張した箇所である(総合的には主峰直下での落石が最も緊張した瞬間)。そこさえ過ぎれば暫くは落ち着いた山行を楽しめる。
西穂山荘から西穂高岳までの稜線には十数のピークがあるが、独標が約2700mなのに対し、本峰は約2900m。約200mの標高差がある。そのため、独標からの歩きも途中から急に高度を上げる箇所が存在する。核心に近づくにつれ、人の多さが目立ってくる。独標までの道以上の人出ではないか。この天気なら行けそうだと思う人が増えるのもやむなしか。さすがに最初は西穂本峰を考えていなかったけど皆行くから行ってみようという感じの人はいなかったように思うが。
そして今回物申したい一つ目が、西穂高岳直下の急斜面の事例である。
ちょうど下山のパーティが下りるのに難儀をしているところであった。その中には岩に背を向けてほとんど尻をつけるくらいの感じでズリズリ降りてきている人もおり、むむむ、といった感じだったのだが、それは今回の主題ではない。問題は我々の後続グループである。
急斜面で確かな足場を確保できる所の少ない岩場と来れば、当然どこで擦れ違うかというのを考えないといけないわけだが、後続グループが後ろを詰めてきて、下山者が急斜面を降りた後に独標方面へ抜ける道を塞いでしまったのである。それでいて「上る人を先に行かせた方が良いんじゃないか」と言い合っている始末。上る人を行かせる前に下ってきた人を捌かせないと駄目だろうが。
私は下山者に譲るためにガレている所に降りていたのだが、後続グループに動く気配が全く無いので、さらにそこも退いて若干危険ではあるが迂回できるスペースを作った。結果として人が捌けて、また事故も起こらず何よりだったが、山行の安全のためには自分のグループに気を配るだけでなく、時には他の山行者・集団にも声を掛ける必要があるなと勉強・反省した次第である。
何はともあれ、無事西穂高岳主峰に到着。落ち着こうにも人が多すぎるなと感じたところ、ちょうどすぐ近くに人のいないピークP1が。これ幸いと早速移動してP1でゆったりくつろぐ。北は奥穂高や前穂高など、人跡薄くさらに緊張を強いる稜線。西は笠ヶ岳等々、東は雲が多いが遠くは八ヶ岳まで見えているのであろう。360度の大展望を満喫。
帰路、西穂高岳直下の斜面は、こちらに向かってくる人が少なかったこともあり、往路よりもごたつかず通過。ごたついたのは、往路も緊張したピラミッドピークの隣のピークである。ピラミッドピーク側に降りてくる人はやはり慎重にならざるを得ないので、ここで擦れ違い渋滞が発生。
前の方にいた男性が「交互に行きましょうよ!」と声をかけ、降りてくる側の先頭の男性も「ここで待ってます」と応じたのだが、その結果、痩せて危険なピーク上で擦れ違うこととなった。上にいる人に降りてきてもらって我々のいる鞍部で擦れ違った方が安全なのではないか、と疑問に思い、私は対向者が降りてくるのを待つこととした。進んだ人達は無事ピーク上で擦れ違い、対向者は前が詰まっている分、次々とピーク上に並んでくるので、「便乗して行ってしまえば良かったかなあ」と後悔したのだが、その後対向に切れ目ができ、無事通過。こういう所は、両方の側に全体を把握して交通整理できる人がいないとなかなか歩くのが難しいと思われる。いや、「交通整理できる人」と書いたが、そんな奇特な人が常時いるわけではない。我々一人びとりが意識を高く持って歩かないといけないのだ。
独標に至ると、往路の時に倍する山行者の数。西穂山荘側の斜面も行列ができ大渋滞。そんな中を降りていったわけだが、ここで物申したいこと二つ目。
一つ目でも書いたが、ただでさえ慎重に行かねばならない所。擦れ違うとなれば、さらに気をつけるのが当然と思う。しかし、ここでも後続に問題が。私の立っている後ろが足場がしっかりしていて擦れ違うのにちょうど良い場所だったのだが、後ろを詰めてきた男性がその場所に進出し、その結果、上る側の人が前に進めなくなってしまった。
その男性とはしばらく抜きつ抜かれつ同じ空間を歩くこととなったのだが、「ピタットハウスかよ!」と突っ込みを入れたくなるほど所かまわず後ろを詰めてくる。しまいには上りの人達がガレた狭い道上に列をなしている中に、声を掛けつつも猛然と突っ込んで擦れ違っていった。「猛然と」というのは誇張があるかもしれないが、自分が目を丸くしたのを覚えているので、強引な擦れ違いをかけたことは間違いない。イメージとしては「片側が切れ落ちているセンターラインの無い道路でスピードを落とすことなくやってくる対向車」というのがしっくりくる。
何を急いでいるのか皆目わからないが、稜線の渋滞を甘く見ていたのであれば想像力が足りないということだし、タイムトライアルか何かをしていたのであれば、強引な追い越しや擦れ違いをかけて得たタイムなど本当のタイムではないと言いたい。
こういうことがあったので、西穂山荘の混雑にも嫌気が差して休憩は焼岳分岐にてとる。上高地への下りは静かで落ち着いた最高の山道だった。
上高地に降り立つと穂高の稜線には大きな雲がかかっていた。つまり、我々はまさに最高の時に稜線にいたわけだ。天地の恩寵に感謝感激である。
ヒロシ氏は次には奥穂に行きたいようだったが、なかなか一筋縄ではいくまい。さらに気を引き締め、来年へ向け計画を練ることとしよう。
〜おしまい〜
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