塔の丸
- GPS
- 03:48
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 433m
- 下り
- 439m
コースタイム
天候 | 晴一時霧 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく踏まれた登山道 |
その他周辺情報 | ラフォーレつるぎ山。見ノ越に数軒の民宿と食堂。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
シュリンゲ
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感想
9月下旬には必ず祖谷を訪ねることにしている。マツタケ狩りが目的である。昨日は実に立派なベストコンディションのマツタケを5本、名人のガイドのおかげでゲットし、さっそく炭火でホイル焼き。天にも昇る気分で酒もついつい飲み過ぎた。そして今日、晴れ渡る剣山系の秋を楽しむという計画だ。先週、六甲でひざを痛めたため、今日は楽ちんなコース取りで、夫婦池から塔丸のピストンとする。
夫婦池から貞光方向にわずかに国道を北進したところが、塔丸登山口である。道はモミの大木が天を衝く北八(キタヤツ)風の森林の中を巻いてつけられている。なぜかゆるりゆるりと下っており、もったいないなと心の中で呟きながら、それでも久々の亜高山帯的雰囲気に期待が高まる。周囲はモミの純林からブナやダケカンバの目立つ温帯広葉樹林に変わり、そうかと思えば再び苔むしたモミの森林帯へと入ってゆく。これを繰り返しながら進むうち、道は鞍部から稜線上に乗る。急に明るい雰囲気に包まれ、シラビソの若木の切れ間から剣山と次郎岌の圧倒的な山容が臨まれるようになる。それにしても、四国のフローラは不思議だ。中部山岳から北に分布し、近畿にはないダケカンバが、さらに西の位置する四国には普通に生えている。シラビソにしても、近畿では大峯にしかなく、中部山岳から北に分布するものが四国には普通に生えているからだ。東京と仙台で長く暮らし、中部山岳と東北の山々になじんだ身としては、これらの木々が懐かしい。
さて、尾根が右方向に曲がるあたりから、石灰岩と思しき大きな岩が随所に顔を出すようになる。やがて左方向に、なだらかな丸みを帯びたササ尾根の突端に塔丸が姿を現す。そしてさらに一歩、足を進めると、左手に大きな白い岩がそびえる地点となり、そんな岩の上に上がってみたりしながら、西に向かってよく踏まれた登山道を進む。その先は遮るものなき広大な笹原が広がっている。左の深い険谷を隔てて三嶺から次郎岌、剣山、背後に丸笹山のこんもりした山頂部、そして右遠くには特異な風貌の黒笠山に端正な姿の矢筈山と、全方位に素晴らしい眺望が開ける。
足元の笹原には、すでにリンドウが紫の大輪の花を競うようにつけている。北日本では花びらの開かないオオヤマリンドウが一番普通なのだが、ここのリンドウはしっかりと花弁が開いて蕊が見えているのが、自分には新鮮だ。道沿いにはやや矮性のツリガネニンジン、小さく可憐なセンブリ、黄色のアクセントをつけてくれるアキノキリンソウ、クサノオオバノギク、イワオトギリ、また、大岩のたもとにはウメバチソウ、と、意外にも多くの花々が美を競っている。この季節、花への期待を持たずにやって来たのだが、これはうれしい誤算だった。
それにしても、全方位の雄大な眺めに、気分は爽快この上ない。この雰囲気、なぜか既視感がある。そうだ、あれは山形県の北端、神室山地だ。この丸みを帯びた緑の頂稜、そしてあちこちに咲く高原の花たち。もっとも神室山地の場合、麓からこれでもか!の急登をしのいでやっと達する主稜線。こちらは鞍部まで車道が通ってお得な山旅という点が大きく違っていた。
真っ青な空のもと、雄大な笹原のなだらかな尾根を高揚した気分で進むうちに、塔丸の山頂に飛び出した。三嶺がぐっと近づいてきている。ひとしきり展望を楽しみながら、昼食をとる。名残惜しいが、いつまでもここにとどまるわけにもいかない。ゆっくりと立ち上がって、往路を戻ることとする。帰りは帰りでまた違ったアングルで眺望をほしいままにし、変化に富む稜線の姿を堪能しつつ、夫婦池へと戻ったのだった。
今夜は打ちたての蕎麦を堪能しつつ、イモ焼酎の酒盛りである。実に充実した秋の一日ではないか。
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