塩見岳日帰り、赤色チャートと緑色片岩のメランジュ
- GPS
- 10:23
- 距離
- 27.9km
- 登り
- 2,764m
- 下り
- 2,752m
コースタイム
- 山行
- 9:14
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 10:23
天候 | 快晴、台風一過 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
極度の高所恐怖症の視点から。 最後の高度100mの岩場は、滑落してしまうという危なさは冷静に考えるとなかったと思います。塩見岳の岩場で怖さを感じたのは岩塊を見上げたときの高度感、どこを通って登るかわからない未知への怖さです。 岩塊の登りはこれ以上挑戦させられるとと折り返しを考えるちょっと前75点の高度感でした。私の高所判断に新しい基準ができたので、これからは塩見岳とどっちが怖い?と聞くようにします。景色は最高なので悩むところですが、もう一度登ってといわれたら私にはやや罰ゲームですね。 岩場はヘルメット持参が推奨されています。他の登山者と上下に距離を置き、なるべくずれる、常に他者の位置を意識していれば危険度は小さく出来るように思いました。 その点で、過度に恐れることはなく車に乗るにはシートベルトのような安全対策という個人的な感覚です。 最後の岩場以外、塩見小屋までは勾配緩く一定ペースで歩け、下りでも気をつかって飛ばせない北岳や茶臼岳に比べると歩きやすく、同じ高度差でも疲労は少なめに感じました。 |
写真
感想
3回目の南アルプスで、360度完璧な晴天に恵まれました。
今年、北岳、間ノ岳、茶臼岳は山頂に近づくまで山体がわからない雨まじりでした。南アルプスは2回雨を経験すると、3回目には全天真っ青の完璧な晴天がプレゼントされるようです!!!
日程は、前日に大鹿村中央構造博物館で地質を学び、翌日は塩見岳に登り、実際に地質を見ながらフィールドワークで復習する計画でした。大鹿村中央構造博物館では元学芸員の河本様にじっくり解説していただき、いろいろ疑問に思っていたことを丁寧に教えていただきました。博物館で予約すると有料で説明していただけます。
いろいろな知識を一気に詰め込んだので、実物の地質を山でを見ると、えーっと、これは、、、となり、頭の整理ともちろんもっと勉強が必要ですが、筑波山の地質についても教えてもらったので、また新たな目線で登ってみようと思います。
地質研究の世界は、案外当たり前と思っていたことが新しい研究で覆ることがあるそうで、教科書に載るような定説になるのは時間がかかるというのも面白いお話しでした。私には、この案外分かっていないということがまた面白い発見です。
気がつくと、飯田市街で朝3:00に起きて、登山後、運転して家に着いたのは2:00で、ほぼ24時間動き続け。帰りの運転はなかなかタフでした。
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前日の予習:中央構造線博物館での勉強メモ(未編集)
前の日のヤマレコ記録。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3584762.html
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Q.中央構造線を境に地質がズレるのはわかるが、数十キロくらいなら別の場所にあった同じ成り立ちの石が接してもいいように思う。
なぜ、花崗岩と付加体がぴったり接するような状態になのかよくわからない。
Q.中央構造線(露頭で見るような)を境にきれいに地質が左右で異なるということは、中央構造線は幅を持っていない2次元の面なのか。
A.中央構造線の西側、領家変成帯側の花崗岩はマグマ由来なので高熱の場所、東側の三波川変成帯は低温高圧条件で、出来た状態がまったく異なる。
この2つが接していることが中央構造線の特異な点。
中央構造線=昔の大断層は、水平に500km動いただけではなく、垂直にも数10km動いた。
このため、違う深さにあった花崗岩(浅い)と付加体の変成岩(沈んだプレート境:深い)が接することになった。
Q.中央構造線を境に西側(北中央アルプス)に溶岩性、東側(南アルプス)に海洋性の付加体が主となるので、北中央アルプスは岩のとがった山が多く、
南アルプスは緩やかまたは侵食で削られたとがり方の山が多いというとらえ方で合っているか。
A.そうとはいえない。中央北アルプスも含め、日本全体が付加体。領家変成帯の花崗岩は、付加体にマグマが貫入した。北アルプスがとがっているのは氷河の浸食が要因の一つ。
Q.三波川変成帯の名前をよく聞く。地質の帯の中で特殊なのか。
A.三波川変成帯も付加体のある時期の帯で、変性が強い。付加体の元は、三波川変成帯の私のイメージした緑の縞の石だけではなく、あらゆる種類(泥岩、チャート、石灰岩、緑色岩)が変性したもの全てが三波川変成帯の変成岩である。
Q.中央構造線の秋葉街道の谷は断層がアクティブなころに形成されたもので、今は活動がないのでこれ以上谷が進行することはなく埋まっていく一方?
A.地面の活動としては
Q.北岳から茶臼岳周辺の石は、みな付加体で、海洋性の石なのか。見た目や色が異なる石がたくさん集まっているのが特徴に見える。層状のものもあれば塊の岩もある。
A.付加体の中には、プレートを作った玄武岩もあれば、移動してくる間に積み重なった泥岩、石灰岩、チャートもある。
Q.石に10cm以下の層がある石は海洋性の積み重なって出来た層と判断していいか。細かい膜状の重なりの場合は結晶片岩で溶岩由来?
A.(分離しやすい結晶の再編が少ないから、)変成が少ないと言えるかもしれないが、泥岩の場合もメランジュの場合もありうる。
Q.塩見岳の登山道で特徴的な石はありますか。
A.鳥倉登山口は三波川帯は過ぎて、すでに秩父帯。途中で仏像構造線を過ぎると四万十帯。秩父帯は石灰岩が多い。塩見岳の頂上付近は白チャート、赤チャート、緑色片岩などメランジュ。
塩見小屋付近に白チャート、烏帽子岩付近に赤色チャートがある。
Q.筑波山は同じ山に密度、組成の違う花崗岩と斑れい岩があるのはなぜか。違う場所で出来た?
A.マグマの成分はあまり広くない範囲数キロでも変わるし、同じ場所でも年代で組成が変わる。違った成分が同じ場所で出るのは普通。
・花崗岩は墓石で使うように丈夫に見えるが風化しやすい。
・筑波山、加波山のような山の頂上でも、結晶の隙間に水が浸透し、割れを作り風化するので、転がらなくても丸くなる。
火山岩と深成岩の組合せ。火山岩は急速に冷えた。深成岩はゆっくり冷えるので大きな結晶化が進んだ石。
・花崗岩(深成岩)と流紋岩(火山岩)は同じ成分。シリカ:二酸化ケイ素が多い。白くて軽い。
・閃緑岩(深成岩)と安山岩(火山岩)は同じ成分。中間
・斑れい岩(深成岩)と玄武岩(火山岩)は同じ成分。シリカが少ない。重くて黒い。プレート、緑色岩の成分。
・カンラン岩はマントル
実際にはっきり区別があるわけではなく、安山岩に近い成分の玄武岩など見た目で判定できるものではない。
地質図navi(産総研)のサイトで、地理院図に重ねて地質を見ることができる。
https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php#11,35.69338,138.13699
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