記録ID: 37020
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ハイキング
妙高・戸隠・雨飾
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)30・雨飾山を越える。
2006年09月19日(火) ~
2006年09月21日(木)
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 52.8km
- 登り
- 1,613m
- 下り
- 2,856m
コースタイム
9/19 笹ヶ峰ー乙見峠ー小谷温泉ー雨飾山登山口
9/20 登山口ー雨飾山ー雨飾温泉ー知根
9/21 知根ー姫川河口
9/20 登山口ー雨飾山ー雨飾温泉ー知根
9/21 知根ー姫川河口
過去天気図(気象庁) | 2006年09月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
9/19 さすがにこの標高だとシュラフカバーだけでは寒い。まあ寝れたけど。テントは朝露でびしょびしょである。 湖畔の休憩所で食器など洗ってから7時頃出発。 一時間半で真沢出合いに到着。林道に工事車両が入っている。上流のヒコサの滝まで遊歩道が付いているらしかったが、まあ行くまでもあるまい。 しばらく行くと未舗装の頼りない道になる。通る車も殆どない。南の乙妻山方面へ伸びる林道と間違えそうだ。峠まで4時間ほどかかる。上空では風はまだ強いやうで、雲の流れが早い。遠くに何かの山が見えているが、北アルプスは雲の中だ。 道はまた舗装道になったがかなり荒れている。所々落石が転がっていて、車高の低い車だと底を擦ってしまいそうだ。石コロが沢山転がっているので、またしても石蹴りをしながら歩く。先日の失態から、下らない遊びに夢中になるのは止めようとは思っていたのだが、こうも沢山手頃な石が転がっているとついつい蹴飛ばしてしまう。 2時間ほどで小谷(おたり)温泉に到着。下の方に温泉旅館の屋根も見えているが、その手前に無料の露天風呂がある。簡単な脱衣所と湯舟が雑木林の斜面に設えられている。一応料金箱もあったが、お代は志でってことらしい。源泉温度は53度。湯舟の湯は野沢温泉並に熱い。たぶんすぐ近くに源泉があるのだろう。 「ヌルい湯だね。湯冷めしちゃうよ、これじゃ。」 などと、例によって江戸っ子気取りのことを口走りながら痩せ我慢して浸かっていると、ライダー風の3人組がやって来る。年の頃は僕と同世代と見受けた。こいつらがまた「あちー、あちー」と大騒ぎだ。まったくだらしねえな、最近の中年は。昔は他人が平然と入っている湯が「熱い」などとは恥ずかしくて言えなかったものだし、そのやうに教育されたものだが・・・?おめえたちゃ、それでも昭和の男か!などと思っていると後からもう一人入って来る。やはり同世代のように見える。この人は平気な顔をして肩まで浸かっている。そうそう、それが普通なんだ。3人組が行ってしまってから、この人と少し話をする。平然としているので地元の人かと思ったのだが、湯治で来てるんだとか。なんでもまだ幼い娘さんが酷い皮膚病を患っているとかで、かれこれ半年ほど週末などを利用して通っておられるそうだ。親の自分でも正視出来なかった、と仰るほどの酷い患いだったというが、温泉効果のおかげで今では殆ど完治したそうだ。はぁ、それは良かった。他人事ではあるが、えらく感激してしまった。そうそう、なんでもかんでも薬でフタしときゃ良いってもんでもないんだ。これぞ東洋の神秘。温泉、さいこー。小谷温泉はそういった治癒力の高さでは有名なんだそうで、遠くは九州あたりから遥々やって来る方もいるそうだ。無色透明、無味無臭、一見何の変哲もない湯に見える。この露天風呂の湯は飲用不可と張り紙されているから、下の旅館とは源泉が別なのかもしれない。 雨飾山の登山道へと登り返していく。明日は雨飾山を乗っ越してみるつもりだ。ここまでかなり標高を下げてしまったので、厳しい登山になりそうだ。 登山道の入口近くには、立派なキャンプ場がある。あまりに空腹だったので、管理棟で肉まんなど買ってみる。明日の為に羊羹もゲット。登山道入口に休憩室の小屋がふたつあったので、中に無理矢理テントを張って寝ることにする。夕方から小雨だったので丁度良かった。誰も来ないかと思ってたら、遅い時間になってからCoの登山客が何人かやって来たようだ。隣の小屋に人の気配がする。車中泊の人もいるようだ。占領してしまって悪いことをしたかもしれない。 それにしても凄い冷え込みようだ。着れそうなものはみんな着込んで、ザックの中に足を突っ込んでみたが、寒さで目が醒めてしまった。まだ夜中の3時。尿意を抑えることが出来なくなり、渋々外に出てみると、満天の星空である。どうりで冷え込むわけだ。気味の悪いほどの星の数。眼鏡とマットを持ち出してきて、駐車場に寝転がってしばらく眺める。僕はこんな時の為に眼鏡を持参している。たいして視力は悪くもないのだが、眼鏡をすると倍ぐらい見える星の数が違う。タバコでも吹かしてみたいところだが、あいにく切らしてるんだよなぁ。 9/20 テントに戻ってもう一眠り、と思ったのだがもはや寝つけそうにもなく、諦めてラーメンなどすすってみる。5時頃になるとまだ暗い中、出発していく人の足音なども聞こえてくる。僕も6時頃出発。すっかり登山者の仲間入だ。しかし僕の荷物だけやたら巨大でまるで理に適ってない。 平坦な湿原の中の道をしばらくいくと、尾根に取り付いて急な登りが始まる。この急登はピークまで延々と続くことになる。標高差は千メートルくらい。重荷の堪えるルートだ。“いにしえの峠越え”なんてヌルい雰囲気ではない。まるでペースが上がらない。前を行く人の鈴の音がかなり近付いてきたようではあるが、背後からはおばちゃん方の声も追って来ている。なんぼ荷物が重いからといって、おばちゃんに負ける訳にはいかんのぢゃ。 そうこうするうちに荒管沢の渡渉点。大きい沢ではないので、転石伝いに歩いていける。近くには雪渓も残っており、丁度良い水場を提供してくれている。遥か上部を見上げると立派なスラブ壁も見える。ここで皆さん大休止しておられたので、はからずも足並みが揃った感じ。時ならぬ便意に襲われて、沢沿いを人目に付かない辺りまで下降して用足ししていたら、皆先に行ってしまった。 「お前に負けたのではない、ウ○コに負けたのだ。」 などとランバ・ラルふうの負け惜しみを言ってみるも、この急登にこの重荷は堪える。 稜線への抜け口はさらに傾斜が増す。急な岩尾根である。せめてここくらいはもうすこし葛籠を折れなかったものか?道は潔く尾根筋をまっつぐに続いている。これが一番安全なのかもしれない。稜線を辿っていくと、頂上への最後の登りの近くに北面の雨飾温泉へ下る道の分岐がある。ここに荷物を置いて、昼ごはんだけ持ってピークアタック。ザックさえなくなれば足取りは軽い。出発から4時間弱で山頂着。めちゃめちゃ晴れ渡っとる。雲海の向こうに北アルプスの山稜が浮かぶように見えている。実に良い眺めだ。登っている時はあまりにも急斜面が続くので、来たことを後悔したりしたが、やはり来て良かったかな。一緒に登ってきた皆さんも思い思いの場所でたそがれている。お弁当食べて写真とってさっさと下る。 ザックを回収して梶山方面の道を下る。この道も登りの道に輪をかけて急な道である。もう足がガクガクである。やっぱり来るんじゃなかったか。もう、どっちでもいいんだ俺なんか。と泣きながら無事温泉到着。まだ2時を少し回ったぐらい。ゆっくり温泉に浸かることにする。ここの湯は炭酸泉。飲むとちょっとシュワっとしてる。バチャバチャやると泡が体に纏い付いて気持ちいい。一泊八千円で宿泊出来る。こんな山間の宿で山越えの疲れを癒したらさぞやいい気分であらう。ビールなど飲みながら、イワナや山菜をふんだんに使った料理に舌鼓を打つのだ。ちょっと気さくな中居さんが色々と世話してくれたりして。 「まあ、おねいさんも一杯どうですか。」 「あれ、心にもないことを言って。いやな人ですよ。」 なんてね。予算オーバーなので、泣きながら下界まで歩く。一山越えてきたばかりだが、温泉の効果で結構体が軽い。このまま海までだって行けそうだ。右手にはギザギザの岩稜が見えている。鋸山とか鬼ヶ面山とかってあたりだろうか。 上知根の集落まで下ってようやく商店を見付けてタバコをゲット。かき氷のカップアイスも買ってしゃくしゃくとつついてみる。いとうまし。このあたりの田んぼから稜線上の岩山を見上げるとなんとも言えない風情がある。村の雰囲気もどこかやんわりしていていい感じのところだ。このへんで民宿に部屋をとるってのも一つの手だったが、なおも下っていく。夕暮れ頃ようやく姫川のほとり、知根に到着。しかしなんもないとこだな。付近をうろついていたおっちゃんに訊いてみるも、このへんには商店とかはないそうだ。 姫川を見下ろす土手の上で野営。もうさすがに疲れ果ててしまった。飯を作るのも億劫だ。と思っていたら、まんまとうたた寝してしまう。深夜過ぎ、空腹に目が覚めて、おもむろに残っていたラーメンを2人前作って平らげる。そしてまた寝る。なんかとってもいい夢を見た。どんな夢だったかは、内緒。 9/21 ゆっくり朝寝坊した。意味もなくラッパなど吹いて11時頃ようやく出発。今日は休養にするから急ぐ必要は何処にもないんだ。姫川の河口まで行って、焚火でベビーチーズでも焼きながら酒でも飲んで寝てしまえばいい。 久しぶりに日本海からの風を受けながら、のんびりと姫川の河口まで歩いていく。日本海、何時以来だらう・・・。北海道の松前あたりが最後だったやうな?海が近いというのに姫川の水は淀みなくサラサラと流れている。実に綺麗な水だ。それにしても足がガチガチに張っている。昨日の行動のハードさを体が物語っているやうだ。 河口附近の砂地にテント張って、町へ買い出しに行く。これが侮り難く遠いんだ。何の施設か知らないけどインダストリィな一角を抜けて行くと、郊外の量販店などある辺りに出る。スーパーで買い出し。奮発して粗挽きソーセージなど購入してみる。 小一時間もかかって戻って来ると、テントに車が横付けされている。カップルが海辺でお戯れの最中。しかし、もうちょっと車を止める場所、考えてもらえんかね、広いんだから。まあ、いいか。構わず焚火を始める。おぢさん、今日のところは疲れちゃってるからね。いちいち妬んだり嫉んだりしてる元気もないもんでね。 わりとあっさり眠りについたが、真夜中、忽然と目覚めてしまう。それからどうしても寝つけない。仕方がないので、ラジヲ深夜便など聞きながら、夜通し焚き火をして遊ぶ。河口付近ということもあって、流木はふんだんにある。やっぱ火はいいやね。東の空が白んでいくのを、見るともなく、ぼんやり見ていた。すっかりあたりが明るくなった頃、今更のやうに睡魔が襲って来る。 |
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