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記録ID: 4433431
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沢登り
東海

【奥美濃】青葉の猫ヶ洞〜土蔵岳(土倉谷500m左俣から)

2022年06月25日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
7.5km
登り
850m
下り
848m

コースタイム

この山行は,マキノの斧研川を遡行した後の本日2発目の山行だったため,入山時刻がちょっと遅めになりました。正直に書くと諸兄に怒られそうなので,参考に各区間の所要時間だけ記しておきます。

駐車地→(1時間)→土倉谷の500m二俣→(1時間40分)→猫ヶ洞→(1時間)→土蔵岳→(40分)→P937→(1時間)→駐車地

合計 5時間20分
天候 くもり
過去天気図(気象庁) 2022年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
土倉谷林道に入り,土倉鉱山跡を過ぎた後の林道分岐の手前にある空き地に駐車(結構広いので何台か駐車可能)。林道は途中からダートとなるが,普通の乗用車でも奥まで入れる。
コース状況/
危険箇所等
【土倉谷(500m二俣の左俣)】
・奥土倉鉱山を過ぎてすぐ出てくる大きな堰堤は右岸から越えたほうが良いようです(今回,それを知らずに左岸から越えて大変な目に…)。猫ヶ洞に突き上げる左俣が分かれる500m二俣までは,沢筋に薄い踏み跡とピンクテープがあるので,それを辿ると早い。
・猫ヶ洞に突き上げる500m二俣の左俣に入ってからは,しばらくピンクテープが続くが途中で途切れる(誰が付けたんだろう…ちょっとびっくりしました)。初めは植林が目につくものの,少し遡ると濃密な自然林に包まれ,奥美濃らしい奥深い雰囲気を味わえる。大きなサワグルミが多いのが特徴的。基本的に穏やかな谷だが,ときどき美しい小滝も出てきて楽しませてくれる。詰めの薮はそれほど濃くなく,苦労せず稜線に上がれる。

【猫ヶ洞〜土蔵岳】
・基本的に藪はそれほど濃くなく,薄い踏み跡もあり断続的なピンクテープもあり,歩きやすい(ただし,この区間のピンクテープはあくまで積雪期に付けられたものっぽい。後述する藪区間では役に立たないのでご注意を)。素晴らしいブナの森が広がる,気持ちのいい稜線です。
・例外的に,猫ヶ洞のすぐ南側の小ピークと,土蔵岳のすぐ北側の小ピークはシャクナゲの藪が濃いが,シャクナゲが茂っているのは稜線上だけなので,前者は西側斜面,後者は東側斜面を巻くようにすれば楽に通過できる(どちらも獣道が導いてくれます)。

【土蔵岳〜P937〜下山】
・既に様々な方が記録を上げてくださっており,枝打ちやマーキングなどの整備もされているので説明は割愛します。この稜線のブナは本当に素晴らしい。
土倉谷林道の分岐手前にある空き地に車を停め,歩き出す。
土倉谷林道の分岐手前にある空き地に車を停め,歩き出す。
地図で見て,なにこれ?と気になっていた,土倉谷の暗渠部分。本当に暗渠になっている…。これも土倉鉱山の遺構なんだろうなぁ。
地図で見て,なにこれ?と気になっていた,土倉谷の暗渠部分。本当に暗渠になっている…。これも土倉鉱山の遺構なんだろうなぁ。
奥土倉鉱山跡。繁茂する緑が美しくも無慈悲な時の流れを感じさせる。
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奥土倉鉱山跡。繁茂する緑が美しくも無慈悲な時の流れを感じさせる。
奥土倉鉱山跡を過ぎてすぐに出てくる巨大堰堤。右岸から越えるのが定石だそうです。これを左岸から越えてしまったために,このあと大変な目に…
奥土倉鉱山跡を過ぎてすぐに出てくる巨大堰堤。右岸から越えるのが定石だそうです。これを左岸から越えてしまったために,このあと大変な目に…
堰堤を左岸から越えると,下は泥が堆積したダム湖となっており降りられない。しかも斜面の傾斜が強く,無駄に高巻きを続けさせられることになった。下手な滝の高巻きよりよっぽど疲れた…。
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堰堤を左岸から越えると,下は泥が堆積したダム湖となっており降りられない。しかも斜面の傾斜が強く,無駄に高巻きを続けさせられることになった。下手な滝の高巻きよりよっぽど疲れた…。
やっと沢筋に降り立った。
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やっと沢筋に降り立った。
やけに黄土色をした枝谷もある。これも,鉱脈がある影響なのだろうか。
やけに黄土色をした枝谷もある。これも,鉱脈がある影響なのだろうか。
県境稜線への尾根ルートの渡渉用の橋が流されかけていた。
県境稜線への尾根ルートの渡渉用の橋が流されかけていた。
ていうか,この谷に入ってみて初めて知ったのだが,結構しっかりした踏み跡とピンクテープが谷沿いに続いていてびっくりした。釣り人だろうか,それとも土蔵岳か猫ヶ洞へのルートなのだろうか?
ていうか,この谷に入ってみて初めて知ったのだが,結構しっかりした踏み跡とピンクテープが谷沿いに続いていてびっくりした。釣り人だろうか,それとも土蔵岳か猫ヶ洞へのルートなのだろうか?
時々渡渉を交えながら,幸か不幸か予期せずぶつかってしまった踏み跡を辿っていく。
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時々渡渉を交えながら,幸か不幸か予期せずぶつかってしまった踏み跡を辿っていく。
500m二俣に到着。猫ヶ洞へと突き上げる左俣に入る。
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500m二俣に到着。猫ヶ洞へと突き上げる左俣に入る。
と,何と,この左俣にもピンクテープが! まさかこの谷って猫ヶ洞への一般ルートなの?とびっくりしたが,少し遡るとピンクテープは途絶えた。尾根に上がられたのか,それとも引き返されたのか…。
と,何と,この左俣にもピンクテープが! まさかこの谷って猫ヶ洞への一般ルートなの?とびっくりしたが,少し遡るとピンクテープは途絶えた。尾根に上がられたのか,それとも引き返されたのか…。
ここまで植林が目についたのだが,しばらく遡ると爽快な自然林に。立派なサワグルミが多い。
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ここまで植林が目についたのだが,しばらく遡ると爽快な自然林に。立派なサワグルミが多い。
それでも人は入っていたらしく,苔むし崩れかけた炭焼き窯の跡があった。
それでも人は入っていたらしく,苔むし崩れかけた炭焼き窯の跡があった。
3mほどの滝。右岸から巻いた。
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3mほどの滝。右岸から巻いた。
ゴルジュっぽい区間も。
ゴルジュっぽい区間も。
ここはナメ滝が4つほど連なって楽しい区間だった。
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ここはナメ滝が4つほど連なって楽しい区間だった。
冷たい水に沢足袋を浸しながら滝を越えていく。今日は猛暑日だそうだが,ここは初夏の谷の新鮮な冷気に満ちている。
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冷たい水に沢足袋を浸しながら滝を越えていく。今日は猛暑日だそうだが,ここは初夏の谷の新鮮な冷気に満ちている。
遡れば遡るほど,樹林が濃くなっていく。梅雨時の緑がみずみずしい。
遡れば遡るほど,樹林が濃くなっていく。梅雨時の緑がみずみずしい。
何の思い煩うところもなく,ただ美しい森と清冽な水を辿り登る,しあわせな時間。
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何の思い煩うところもなく,ただ美しい森と清冽な水を辿り登る,しあわせな時間。
穏やかな谷だが,ときおり美しい小滝が現れて,目を楽しませてくれる。
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穏やかな谷だが,ときおり美しい小滝が現れて,目を楽しませてくれる。
沢足袋に滑らかな水の流れを感じながら,連瀑を越えていく。
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沢足袋に滑らかな水の流れを感じながら,連瀑を越えていく。
700m二俣を越えたあたりで出てくる小滝群は,なかなか楽しかった。
700m二俣を越えたあたりで出てくる小滝群は,なかなか楽しかった。
背筋をきりりと伸ばしたサワグルミの巨木たちに,挨拶を送りながら通り過ぎる。
背筋をきりりと伸ばしたサワグルミの巨木たちに,挨拶を送りながら通り過ぎる。
水が細くなっても,渓水は小滝となって楽しげに飛び跳ねながら下ってくる。
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水が細くなっても,渓水は小滝となって楽しげに飛び跳ねながら下ってくる。
最奥の二俣を飾る,一枚岩の広いナメ。
最奥の二俣を飾る,一枚岩の広いナメ。
この長いナメ滝を越えると,
この長いナメ滝を越えると,
ブナの源頭へと導かれる。
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ブナの源頭へと導かれる。
薮は薄く,気持ちのいい斜面を稜線へ。
薮は薄く,気持ちのいい斜面を稜線へ。
猫ヶ洞のわずかに南側の稜線に乗った。ブナの気持ちのいい尾根。稜線の薮はそれほどでもなく,薄い踏み跡とマーキングもあり,歩きやすい。
猫ヶ洞のわずかに南側の稜線に乗った。ブナの気持ちのいい尾根。稜線の薮はそれほどでもなく,薄い踏み跡とマーキングもあり,歩きやすい。
ほどなく猫ヶ洞山頂(三等・三ツ又)。笹薮に包まれた静かな山頂だ。猫ヶ洞は積雪期に登ったことがあるが,無雪期は初めて。
ほどなく猫ヶ洞山頂(三等・三ツ又)。笹薮に包まれた静かな山頂だ。猫ヶ洞は積雪期に登ったことがあるが,無雪期は初めて。
確かプレートがあったような…と見回すと,かなり離れたところの木の,かなり高いところ(10mくらい?)にプレートがぽつんと下がっていてびっくり! カメラの望遠でやっとこの写真である。冬季のこの稜線にどれだけ雪庇が発達するか改めて思い知った気がする…。
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確かプレートがあったような…と見回すと,かなり離れたところの木の,かなり高いところ(10mくらい?)にプレートがぽつんと下がっていてびっくり! カメラの望遠でやっとこの写真である。冬季のこの稜線にどれだけ雪庇が発達するか改めて思い知った気がする…。
猫ヶ洞の山頂の近くには,立派なブナの木も。
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猫ヶ洞の山頂の近くには,立派なブナの木も。
しばらくホトトギスの声に聞き入りながら猫ヶ洞の山頂にたたずんだのち,今度は土蔵岳を目指して稜線を南進。
しばらくホトトギスの声に聞き入りながら猫ヶ洞の山頂にたたずんだのち,今度は土蔵岳を目指して稜線を南進。
猫ヶ洞の一つ南のピークはシャクナゲが濃いが,適宜斜面をトラバースすれば藪漕ぎは避けられる。
猫ヶ洞の一つ南のピークはシャクナゲが濃いが,適宜斜面をトラバースすれば藪漕ぎは避けられる。
積雪期に来た時も感動したが,猫ヶ洞から土蔵岳の間の稜線は,広い尾根にひたすらブナの純林が広がり,素晴らしい。
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積雪期に来た時も感動したが,猫ヶ洞から土蔵岳の間の稜線は,広い尾根にひたすらブナの純林が広がり,素晴らしい。
黄葉ブナも冬ブナも美しいが,やっぱり青葉のブナが一番好きだなぁ。
黄葉ブナも冬ブナも美しいが,やっぱり青葉のブナが一番好きだなぁ。
土蔵岳への登りも,ブナが美しいところ。
土蔵岳への登りも,ブナが美しいところ。
土蔵岳の北側の小ピークはシャクナゲが猛烈だが,東側斜面に比較的はっきりした獣道がトラバース状に通じており,楽に通過できる。
土蔵岳の北側の小ピークはシャクナゲが猛烈だが,東側斜面に比較的はっきりした獣道がトラバース状に通じており,楽に通過できる。
猫ヶ洞・土蔵岳分岐。
猫ヶ洞・土蔵岳分岐。
土蔵岳に寄り道。
土蔵岳に寄り道。
積雪期と同じく,どこがピークかわかりにくい,茫漠とした山頂だ。
積雪期と同じく,どこがピークかわかりにくい,茫漠とした山頂だ。
土蔵岳から県境稜線を南進。この稜線も太いブナが多く,良い時間が過ごせる。枝打ちやマーキングもされていて,歩きやすい。
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土蔵岳から県境稜線を南進。この稜線も太いブナが多く,良い時間が過ごせる。枝打ちやマーキングもされていて,歩きやすい。
逆光が眩しいブナの梢を見上げて時折立ち止まりながら,逍遥のような山行を続ける。オオルリも良い声で鳴いているなぁ。
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逆光が眩しいブナの梢を見上げて時折立ち止まりながら,逍遥のような山行を続ける。オオルリも良い声で鳴いているなぁ。
ヌタ場も多数。
P937から少し南西に進んだあたりから下山尾根へ。このあたりは尾根の張り出しが微妙で,マーキングがありがたい。
P937から少し南西に進んだあたりから下山尾根へ。このあたりは尾根の張り出しが微妙で,マーキングがありがたい。
不思議な形をしたブナの巨木。
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不思議な形をしたブナの巨木。
最後は急な小尾根を激下りして,ちょうど車を停めた空き地の裏に降りてきた。
最後は急な小尾根を激下りして,ちょうど車を停めた空き地の裏に降りてきた。

装備

備考 沢足袋使用。ロープなど沢登りの基本装備は携行したが使用する場面はなかった。

感想

 赤坂山の斧研川の遡行(記録は別記)が思ったより早めに終わってしまい,けっこう時間が余ってしまったので,5秒間だけ悩んで猫ヶ洞に登りに行くことにした(どうしてそうなる,というツッコミが入りそうだが)。
 動物の名前が入った山名に何だか弱く,無条件に登りたくなってしまう。犬ヶ岳とか,大猫山とか,猿ヶ馬場山とか,鮭ヶ洞とか(鮭ヶ洞だけ妙にマイナーだが)。猫ヶ洞もその一つで,猫好きな私にはなんだかたまらなく,既に何年か前の積雪期に山スキーで土蔵岳・オオダワ・上原谷滑降の定番ルートとセットで登っている。いや,犬も好きだけどね。
 その時の美しいブナの森が心に残っていて,青葉がきれいな頃に,沢から登ってみたいと思っていた。その願いを今回思いがけなく果たせたわけだが,土倉谷は始めは植林が多いものの,奥に分け入るにしたがって,奥美濃らしい深い緑に包まれた谷となり,現れる小滝も沢足袋に親しげに馴染むようで,半日だけなのにずいぶん奥地まで旅してきたような気分に浸れる,充実した山行となった。谷ではサワグルミの大木,尾根ではブナの巨樹がいつまでも見送ってくれた。梅雨時は森も沢もみずみずしくて,一年で一番生気に満ちているような気がする。大雨で増水するのは勘弁だが,この時期の沢登りはやっぱり好きだ。
 ところで,猫ヶ洞というからには,猫ヶ洞と呼ばれる沢がこの付近にあるのだと思うが,どの沢だろう…。もしかしたら,今日歩いた谷だったりして。だったらうれしいなぁ。

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コメント

2発目なんて、恐れ入りました
そちら側からの、猫ヶ洞なんですね
hillwandererさんにしっかりと感化され、岐阜県側から犬と猫を遭遇させましたよ(笑)
2022/6/29 14:17
moriman1971さん
お疲れ様です!神又谷からの猫ヶ洞、いいですね〜。まさかのゴルジュ地形、谷は入ってみないとわからないから面白いですね。
人はともかく、犬と遭遇するのは初めてで、猫さんもびっくりしているのではないでしょうか笑
2022/6/29 21:56
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