オホーツク分水嶺踏査 C14-② 羅臼岳〜1351二ツ池
過去天気図(気象庁) | 2014年04月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
4月27日朝、快晴の羅臼平ベースキャンプから、オホーツク分水嶺の最終区間の踏査が始まった。前々日の25日に、京極さんたちが知床峠〜羅臼岳間を踏査したとの報が入り、2007年5月に始まった分水嶺踏査も、いよいよ羅臼岳〜1351二ツ池間の5.2km?4.3km?を残すのみとなっていた。われわれはこの区間を、27日は羅臼平から1351m標高点まで、翌28日は羅臼岳までを往復して踏査する計画だ。
前日の26日に、重荷を背負って岩尾別温泉から標高差1100mをスキーで7時間以上かけて登ってきたメンバーはかなり疲労していたが、オホーツク海に沈む夕日に癒され、風のない穏やかな一夜を過ごして、元気を取り戻していた。
踏査班5名に加え、サポート班の西山支部長も途中まで同行することになり、6時20分、シートラーゲンして、アイゼン、ピッケルでキャンプを出発。羅臼平から延びる何本かの雪渓のうち、分水嶺の小尾根のすぐ左の雪渓を使い、羅臼岳を背に三ツ峰本峰へと直登する。途中、雪が消えかけているが、ハイマツ漕ぎもなく、岩の間を抜けて山頂に立った。
ここからが本日の核心部。サシルイ岳を前方に、恐竜の背のような稜線を下る。高度感があり、後ろ向きに下ったり、左側の斜面をトラバースするところもあってスリリング。雪稜下りが終わったところで、キャンプに戻る西山支部長と別れ、踏査班はスキーに履き替えて進む。
サシルイ岳の西の肩へは、三ツ峰側から2本の顕著なラインが延びている。ここは二重山稜になっていて、夏道は三ツ峰の西峰から延びる左の尾根に沿っているが、分水嶺は今踏んできた三ツ峰本峰からの右の尾根。2つの尾根の間を流れ下る沢が、左のオホーツク海へと注いでいるからだ。
振り返れば三ツ峰の双耳峰が屹立し、その間に羅臼岳が姿を現してきて、サシルイ岳へと登るにつれ、より高くそびえ立っていく。サシルイ岳の山頂は分水嶺から外れているので寄らず、西の肩から今日一番の標高差200m超の下り。クラストしてガタガタの不整地で、滑りは楽しめない。進行方向にはオッカバケ岳と、その上に硫黄山や知円別岳が見える。
オッカバケ岳も双耳峰。分水嶺の通る西峰に登ると、ようやく目指す1351m標高点が見えてくるが、これが全然目立たない。何しろ、こぶとも言えないほどの小突起。現在地より100mも低く、あとはほとんど下るだけ。
地形図に凹地記号のある巨大な穴のすぐ横を下り、雪に埋もれた二ツ池と思しきあたりを横目に緩く登ると、向こう側が切れ落ちた崖っぷちに出る。正面には谷越しに硫黄山がそびえ、ここが硫黄山カルデラの外輪山上なのだわかる。右に連なる南岳や知円別岳、東岳も外輪山の一角だ。ここからちょっと左へ行くと1351m標高点だった。時に11時40分。残された踏査区間は羅臼平〜羅臼岳のみとなった。
帰りは分水嶺にとらわれず、オッカバケ岳の東峰や、本日の最高点サシルイ岳の山頂も踏み、ここからは今日初めてシールを外して、広い沢型の滑降を楽しんだが、標高差200mはあっという間。三ツ峰へは二重山稜の中央の小尾根から、双耳峰のど真ん中のコル目がけて、巨大な門を通るように登る。コルからは、ベースキャンプ目がけて最後の滑りを楽しみ、15時40分着。その晩は、前夜とは打って変わって強風が一晩中テントをたたき続け、眠れないほどだった。
28日朝、強風は止まず曇っているが、羅臼岳ははっきり見える。天候悪化が懸念されるので、朝食前にアタックすることに。羅臼岳に登らなければ踏査は完了しない。5時20分、体調不良の黒川さんの見送りを受け、工藤Lを先頭に6人は空身にピッケル・アイゼンで出発。分水嶺に沿って直線的に登っていく。次第に傾斜がきつくなり、二段目の上から核心部にかかる。分水嶺を外れないようルートを選びながら、雪壁や岩を縫うように進むと、山頂を取り巻く岩場の下に出る。雪の付いたところから慎重に上がると、羅臼岳山頂は目の前だった。
だが、これが、セロトーレのスノーマッシュルームもかくやと思わせる巨大なエビのしっぽ。5mほどの雪壁を登って上に立たなければならない。難しくはないが、強風にあおられたら、と思うと足がすくむ。工藤Lが苦闘の末に登り切ると、続いて全員が登頂。こうして2014年4月28日7時、7年近くに及んだオホーツク分水嶺踏査はフィナーレを迎えた。夏道沿いにベースキャンプに下っていくと、黒川さんが出迎えてくれ、まるで、ヒマラヤ初登頂アタック隊のベースキャンプ帰着のようだった。
最後に、小雨降る中、重荷を背負っての夏道尾根滑降という試練が待っていたが、13時過ぎには岩尾別温泉へ下山。温泉に浸かった後、北見へ。25日に前泊させてもらった北見の増子さん宅に再び泊めていただき、北見名物のホルモン焼きで踏査の完了を祝った。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する