【日没ビバークの危機!】中ア・横川渓谷から経ヶ岳往復


- GPS
- --:--
- 距離
- 15.1km
- 登り
- 1,736m
- 下り
- 1,720m
コースタイム
- 山行
- 10:52
- 休憩
- 2:24
- 合計
- 13:16
天候 | 曇り時々晴れ |
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アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
切り開かれたばかりのコースのため、クマザサを刈った後の根元の部分が残ってて歩きづらかった。 羽広コース合流点より上は背丈を超えるササヤブで方向感覚が狂う。よって、頂上からの下りの途中で方向を見失い、下山のハズが頂上に戻る大失態を犯してしまった…(汗)。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ロールペーパー
時計
タオル
カメラ
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感想
私が信州大学在籍時に購読してた新聞は、1年目は朝日新聞、2年目は日本経済新聞、3年目以降卒業時まで信濃毎日新聞(以下、信毎)だった。信毎は地方紙なので、新しい登山道が切り開かれた場合や廃道同然だった登山道が再整備されて通れるようになった場合には地域ニュースとして記事が載ることがあり、それらの記事を切り抜いて保存し、実地に現地に赴いたりもしていた私。上伊那郡辰野町の横川渓谷から中央アルプスの経ヶ岳に至る登山道が整備された…との記事を目にして、現地に向かったのは1992年11月15日土曜日のことだった。まだまだ登山経験が浅く、世の中にはトンデモナイ整備状況の山があることをそんなによく解っていなかった…(苦笑)。
秋の日は釣瓶落とし…という言葉はすでに知っており、日没までに帰って来られるよう可能な限り早立ちをしたかったので、登山口の横川渓谷の三級ノ滝入口には朝6時半には到着してた。三級ノ滝入口にクルマを置いて、6:40に登山開始。三級ノ滝には10分で到着。滝の写真が一枚も残っていないのは、まだ夜が明けきっておらず薄暗かったので帰りに撮るつもりだったからだろう。まさか、帰りは完全に真っ暗になってて滝の写真を撮るどころではない…とは考えもしなかった(苦笑)。
三級ノ滝を過ぎてなおも黒沢谷沿いに付けられた道を往く。8時に大洞林道に出て、林道の橋を渡って黒沢の左岸に付けられた登山道に入る。やがて道は沢筋を離れ、急な登りを上り切り、9時半に黒沢山から北西に伸びる尾根に出た。ここからは尾根上を歩き、10:01に黒沢山の左肩で主稜線に到達。
黒沢山左肩からは主稜線に沿って経ヶ岳を目指す。木々の間から八ヶ岳や南アルプスがみえる。道じたいはハッキリしているけど、ササが刈られたばかりで切り口が生々しく、転んだり滑ったりして手をついたら鋭いササ株の切り口でザックリいきそうで、決して歩き易いコンディションでは無かった。黒沢山左肩から1時間ほどの歩きで、経ヶ岳登山のメインルートである羽広からの道と合流。この合流点から先は背丈を超えるほどのササが繁茂していた…。最初これをみた時、何かの冗談かと思い、ちゃんとした道があるに違いない…と「正しいルート」を捜してみたけど、勿論、そんなモノは無かった…。意を決して、背丈を超えるササヤブに突入。ウチの大学の農学部の学生たちによる山サークル、伊那ワンダーフォーゲール部(以下、伊那ワン。モロに地元だ…苦笑)のプレートがある9合目を11:33に通過。ササヤブ地獄を脱出した先に、経ヶ岳頂上が待っていた。到着は12:21で、この時点ではほぼ計画どおり。頂上からは中央アルプスの主峰・木曽駒ヶ岳と、甲斐駒から仙丈、北岳、農鳥、塩見にかけての南アルプス北部の山々がみえた。帰りも長いので、経ヶ岳頂上を12:33に出発。再度背丈を超えるササヤブに突入した。
背丈を超えるササヤブは、ずっと同じ光景が続くこともあってこちらの方向感覚を狂わせる。往路では上手く頂上までたどり着いたから油断したのかもしれない。ようやくササヤブを抜けて羽広コース合流点に着いた!…と思った場所は、経ヶ岳頂上だった…(汗)。ササヤブに完全に惑わされ、下山してるハズなのに元の頂上に戻ってる…。濃霧や吹雪の時に起こるリングワンダリングという現象については知識として知っていたけど、ササヤブのなかで、しかも自分の身に起こるとは考えたことすら無かったため、この時の絶望感といったら半端無く、30年経った今でも忘れられない…。
経ヶ岳頂上を13:20に再度出発。すでに1時間近くタイムロスをしており、これ以上迷っていられないため、今度は慎重にササヤブを通過する。往きでみた9合目の伊那ワンのプレートに遭遇し、今度こそは間違いない…と確信、無事に羽広コース合流点に出た。後は往路を忠実に戻るだけだけど、リングワンダリングでロスした約1時間はずっしりと重く、黒沢山西肩で15:09、北西尾根到達点で15:36、そして大洞林道まで下りた時点で16:39になってしまった。もう、辺りは薄暗くなってる…。あのリングワンダリングさえ無ければ、もう下山してる時間なのに…。
それなりの場数を踏んだ今だったら、車道に出たならそのまま車道を歩いて下りればいいじゃん…ってなるけど、当時はそこまでの経験値が無いので三級ノ滝へのコースに入ってしまった。最初のうちは薄暗くてヘッドランプでなんとかサインテープ類をみつけられたけど、そのうち完全に真っ暗になってしまいヘッドランプだけではサインテープが見つけられなくなってしまった…。万事休す…。沢沿いのコースということもあり、17:59にこれ以上の行動は危険と判断し、ビバークを決意。枯葉の吹き溜まりのような場所に横たわって全身を枯葉のなかに埋もれるようにしてそのまま一夜を明かすつもりだった。しかし、寒い! 寒過ぎる! 1時間余りはその寒さに耐えていたけど、このままでは凍死してしまう!…と、ビバークは断念。生還のために何が何でもサインテープを見つけ出し、下山するんだ!…と必死の思いで捜した結果サインテープがみつかり、ほうほうの体で19:56に無事三級ノ滝入口に下山した。往きでは滝入口から三級ノ滝まで10分しかかかっていないのに、真っ暗で光が乏しい下りでは15分もかかってた(苦笑)。
リングワンダリングも日没ビバーク(未遂だケド)の両方を経験する教訓的な登山となった。この時以降、リングワンダリングも日没ビバークも経験は無いのは、この時の教訓を活かせているからだろうか?
横川渓谷からの経ヶ岳の道は長過ぎるのが嫌われたのか長くは続かず、今や廃道状態と聞く。経ヶ岳には再訪していないけど、再訪するとしたら…やっぱ、別ルート経由だな(苦笑)。
(2022.11.24・記)
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