9歳児とゆく富士絶景の御正体山プリンスルート【山梨百名山】
- GPS
- 07:36
- 距離
- 13.3km
- 登り
- 1,066m
- 下り
- 1,051m
コースタイム
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 7:33
天候 | 快晴のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
龍の口手前あたりでルートが不明瞭(というか何本もある) 竜宮跡〜山頂間にちょっと気を付けたいポイントあり |
その他周辺情報 | より道の湯 もうほんとここは最高 |
写真
感想
息子の山梨百名山75座めは御正体山と決めていた。いや、息子がそう決めた。かみさまにおいわいしてもらいたいから、と。
それで先週、張り切って金曜日夜に富士吉田に泊まったものの、まさかの雨。降っていない甲府盆地に移動して甲府名山を4つ攻略したのだった。
さて、この週末。土曜日には予定があったから、行くなら日曜。でも日曜に疲れると大変だよね月曜日へろへろだよね、と言っていたのだけれど。
息子さんはもう、早く75座をクリアして前に進みたいのだ。5歳で大菩薩嶺に登ったとき、そこに「小学生で山梨百名山をクリアしたおねえちゃん」がいてあこがれをもった。そして先日、節刀ヶ岳の頂上でお会いしたハイカーさんに「山梨百名山をクリアした小学生がいるらしいよ」という話をされた。しってるその子。
そんなわけで土曜日の夜、富士吉田に宿をとった。調理場のある宿で、焼肉とステーキを食べて75座の前祝いをした。明日は早起きして7:00には出発しよう。
……「たいへん!」と妻の声。よく寝たなーと思って時計を見ると7:00である。おーわ、やっちまった。急いで朝ごはんを食べて出発! 今日は気持ちのよい晴れ。
御正体山に登るルートは5つ。御正体入口バス停(大野)から、道坂トンネルから、道志村の御正橋から、山中湖方面から、そして池の平から。この池の平からのルートが、当時の皇太子殿下、現在の今上天皇陛下の登られたいわゆるプリンスルートである。
ただ、池の平に至る林道が数年前の台風でダメージを受けて車両通行止め。知らずにきた息子と自分がこのあたりをさまよってしまったこともある(その日は結局倉見山へ)。もうすぐ再開通予定だが、今のところ長い林道歩きを余儀なくされるので不人気ルートになってしまっている。
それでも今回、このプリンスルートで御正体山を目指すことにした。その理由としては、眺望があまりないと評判のこの山で多少は望めること、そして妙心上人の祀られていた場所が途中にあること。あとはまあ、息子をプリンスに見立てること?
車止めゲートは御正体神社の少し先にある。ゲート付近は林道再生の工事車両が通るので駐車厳禁(レッカーするぞとのオドシあり)、神社のところの空きスペースに車を停める。
御正体とは、カイコのこと。カイコ神様の山である。天皇が登られたのもそのことと関係がある。神社に軽くお参りして、本日のやまのぼりスタート。神社の前に「一番」のナンバリングお地蔵様がいらっしゃる。となるとこの神社から登り始めるのはとてもクラシックで正しいことなのかもしれない。
ゲートをすり抜けて、川沿いの林道を進む。朝日がものすごくまぶしい。寝坊したせいで1時間20分ほど遅れてのスタートである、早歩きで進む。自分のせいで遅れたくせに張り切ってるんじゃないよ、と妻に言われる。40分ほど歩いて池の平登山口に到着。駐車場らしきスペースと、人が来なくなって苔むした立派な東屋があった。
登山口には立派な標柱、そして皇太子殿下ご登頂の立て札。そこから簡易舗装の道が続く。林道のおかわりである。ふー。
ショベルカーが置かれ丸太が積み上げられているところで作業道は終わり、岩だらけの登山道が始まる。台風で破壊されたのだろうか、もと道だったぽい平坦部が岩だらけすぎる。細い踏み跡が迂回するようにつけられている。
沢を細い木を並べた橋でわたる。落ち葉でトレースが完全に埋もれて消えている。「登山道→」という看板があるのでなんとか迷わずに進む。
さっきの橋よりいくぶんましな木の橋を渡ると、杉林の中へ。今度は一転、トレースが何本もあって散乱している。とりあえず古い道らしき掘れたトレースを進むが、ナンバリングお地蔵様たちが沢の対岸にいらっしゃるのであっちにも道があるらしい。やがてそっちの道からの橋が見えて、「龍ノ口」に到着。妙心上人が水ごりをした場所だそうだが、気持ちのいい平地になっている。水場があって、これが龍の口なのかなと一瞬思う。ベンチがあるので、ここでちょっと休憩。
ここからが、ものすごい急登パート1だった。ゴムの段がつけてある急な登山道をひたすら上がっていく。段がないとおよそ登れないような急斜面である。妙心上人や御堂の参拝客はどうやってこれ登ったんだろう? 途中、岩がぱっくり割れたところを通るが、なんとなく入口の門のようで雰囲気がある。
このあたりから、振り返ると富士山の姿が木々の枝越しに見えるようになってきた。葉が落ちたからかもしれないが、やはりちょっとうれしい。
急登が終わって、尾根を回り込むように進む。ピンクテープが明らかに登山道ではないところにつけられている。作業用なのだろう。ちょっとまぎらわしいよねと息子が軽くご立腹。
まったくの平たい場所が出てきて、なんだろうと思ったらそのすぐ上が上人堂跡だった。昔はいくつか建物があったのだろうか、小さな広場のようになっている。
妙心上人。御正体山を開山し、ここで即身成仏となられた方。妻の出身地と同じ、岐阜県のご出身である。プリンスルートにこだわった理由のひとつが彼の存在である。
私が妻と付き合い始めてしばらくの頃、地元に行くべきお寺があると妻に連れられて行ったのが揖斐川町にある両界山横蔵寺。そこに、妙心上人がいらっしゃった。僕にとって初めてお会いする、本物の即身仏。自分は無宗教だがさすがに厳かな気持ちになった。
あれから20数年。まさかこんな形で縁が続くとは思わなかった。たぶん妙心上人も「ほーほ、あんたも岐阜かね、ようおんさったね」なんて言ってくれるね、なんて話をしつつ彼が修行に使ったという坐禅岩などを眺める。
振り返ると、それは見事な富士山。妙心上人はお坊さんでありつつ、富士講の行者でもあった。ここから毎日、富士山を眺め拝んで修行をしていたのだろう。そして明治の廃仏毀釈運動までここにあった上人堂に、人々は参拝しつつ富士山を眺めていたのだろう。当時のことを思いうかべる。
ここから、急登パート2。斜度はそれほどでもないが、なんとほぼ直線。ジグザグになってないぶん、進めば進むほど足にくる。妻が珍しく弱音を吐く。林の中の切り株に腰をおろしてちょっと休憩。プリンスへの尊敬の念がわく。
なんとか必死に登って、文台山分岐点にたどり着く。思いがけず、ここの眺望のよさに驚く。御正体山は眺望のない山と聞いていたけれど、あるじゃないの!
おしり型の文台山を眼下に、三ツ峠山、奥に本社ヶ丸の連山、そして遠くに八ヶ岳までくっきり。杓子山&鹿留山のむこうに、裾野を含めた富士山がどーん。快晴の日に登ってきて本当によかった。
ここからは尾根道。のんびりした登りかな?と思ったけれど、それなりにキツい。妻がダウン気味である。
さらに細野方面からの稜線に乗る、ここはなだらかだ。細野(御正体入口バス停)からの道が合流するあたりにも富士山がしっかり見えるポイントがあった。ベンチがあるが、予定より少し遅れているのでここはパス。
合流より少し先に、小さな祠とそれを囲む石灯籠があり、ちょっと異界な感じ。峰神社とある。ちなみにヤマレコのマップ上では分岐点が「竜宮跡」になっている(サイト上では「峰宮跡」)。
今度こそ山頂までゆったり尾根かな、と思いきやそうは問屋が許さない。楽な山ではないのだ。下り、登りを小さく繰り返す。今日あまり調子のよくない妻が「先に行け、そして湯をわかしておけ」という。しかたなく息子と先に進む。
岩稜の切れ目のようなところでは、いったん少し下がって進むようになっていた。しかしその下がるところ、ズルッとやってしまうと派手に落っこちるほぼ崖のような急斜面なので少し緊張が走る。息子とロープにしっかりつかまりながら進む。あの高貴な方もこんなところをお進みになったのだろうか。
と、後からきた妻が下におりるポイントを見逃して岩の切れ目で右往左往している。こっちこっち、と呼ぶとほっとした様子。こんな岩の絶壁をどうするんだ、無理だ引き返そうと思っていたらしい。
ここからはゆったりした気持ちいい尾根。富士山がちらちら、ずっと見えている。最後、広い林からゆるい登りがあって、山頂標が見えた。快適なビクトリーロードだ。12:50、御正体山頂上に到着! 山梨百名山75座め、おめでとう!
まずは息子と、御正体のかみさまにおまいり。山頂にはテーブルがあるので、ここで湯をわかしておく。妻も続いて到着。よくがんばりました!
頂上は木々に囲まれた小さな広場。小さなお社と山頂標、ベンチテーブルがあってなんとなく公園っぽい。今日のような晴れた日だととても明るく、ハイキングっぽさが満喫できる。
本日のお昼ごはんは、息子の75座記念ということでステーキラーメン。何のことはない、前夜残ったステーキを入れただけではあるが。刻んだキャベツも入れてアクセントに。
さて、ごはんを食べたら山をおりよう。かなりよいペースで登れたが、寝坊したぶんの遅れがまだ少し響いている。この時期はいちばん日が早いから、暗くなる前に降りなければ。13:35、山頂出発。
山頂付近の尾根道は多少のアップダウンはあるもののとても歩きやすい。岩稜の切れ目のところ、山頂方面からはそう怖くない(けど慎重に)。富士山がちらちらのぞく道をのんびり進んで峰宮跡、細野方面との分岐。ベンチのところで見える富士山を横目に高度を下げていく。
文台山分岐まではちょっと斜度きつめの降下。しかし登りのときは気づかなかったけれど、この尾根筋からは都留の街が一望できる。景色に気を取られすぎないように進む。
文台山分岐に到着。ここにはやはり、立ち止まりたくなる見事な眺望がある。鹿留&杓子山の向こうにどーんと富士山。現在林道が通行止めゆえに細野ルート・道坂ルート・御正橋ルートがメインになってしまいこの御正体山は「あまり眺望のない山」「峰宮跡からちょっと富士山(細野ルートのみ)」とされているけれど、プリンスルートを選べば雄大な富士山をちゃんと楽しめるのだ。
文台山分岐から、ジグザグのない直線的な降下。妻が怖がる、息子は駆け下りる。息子はあっという間に上人堂跡に着いてしまった。
登りのときにしっかり見られなかった坐禅岩などを見て、妙心上人に手をあわせて下山続行。ここからもなかなかの富士山が楽しめる。妙心上人は富士山を信仰の対象として毎日崇めていたのだろうけど、この富士山の姿は確かに神々しい。
ここから少し進んで、階段(ステップ)によるかなり急な降下。たまにストーンと切れ落ちている場所があってぞっとする。
龍の口までおりてくると、あとはのんびり。散逸するルートをそれぞれ追いながら進み、岩だらけ落ち葉だらけのところ(ルート埋もれぎみ)を抜ければ作業道に出る。そのままのんびりくだって、登山口到着。お疲れさまでした!
池の平登山口、15:40。ちょうど2時間くらいでおりてくることができた。この時期、もう少し遅かったらすぐに真っ暗になってしまう。
ここからの林道がちょっと長い。ただロードサイドにときおり現れるナンバリングおじぞうさまがかわいらしく、こんなところにいたーなんて言いながら進む。林道再生工事の現場横を抜けてゲートに到着、御正体神社にただいまの報告とお礼をしてこの日のやまのぼりは無事終了。おつかれさまでした!
このあとは、もちろん温泉。お久しぶりの「より道の湯」でごはんを食べてからお風呂、出てから読書スペースでのんびり。思う存分堪能して、帰路についた。
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