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Yamareco

記録ID: 54093
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無雪期ピークハント/縦走
道北・利尻

11.利尻山 「今しかない今だから」

2002年08月15日(木) [日帰り]
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akira1969 その他10人
GPS
--:--
距離
20.1km
登り
1,720m
下り
1,715m

コースタイム

利尻ぐりーんひるYH−北麓野営場−甘露水−長官山−山頂−長官山−甘露水−北麓野営場−利尻富士温泉−利尻ぐりーんひるYH
天候 晴れのち雨
過去天気図(気象庁) 2002年08月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
○僕は利尻ぐりーんひるYHに宿泊して、一緒に泊まり合わせた人と一緒に登りました。このYHでは利尻島一周ウォーキングもやっているので時間に余裕があれば挑戦をお勧めします。

○立ち寄り湯は「利尻富士温泉」。露天風呂には何と利尻昆布が入っています。

○2002年当時は携帯トイレは無料配布だったのですが、現在は一人一個購入が義務付けられているみたいです。

○九合目からの登山道の侵食が激しいので、登山道を外れて登らないこと。
利尻岳山頂にて
ちょっと登ったところで振り返って
ちょっと登ったところで振り返って
香深に向かうフェリーから見た利尻岳
香深に向かうフェリーから見た利尻岳

感想

第11座 今しかない今だから

 最初に北海道に行ったのが1989年の夏、僕が20歳の時であった。当時ライダーだった僕は北海道の自然を思う存分堪能したものであった。そして数年後には北海道に戻って来ると誓ったのであるが・・・・。
 それがどういう訳か13年の歳月が経ってしまった。
「う〜む、いつか俺も北海道に行ってやる!」
という思いを胸に秘めつつ、津軽海峡を越えるチャンスを伺っていたのであった。

 そして2002年の夏、津軽海峡を軽く越え、長い間行きたいと憧れていた利尻島と礼文島に行くのだ。
 8月14日、僕は利尻島の鴛泊行きのフェリーに乗船した。そのフェリーが港から離れると稚内の街並みがどんどん小さくなり、走るように進むフェリーの後ろをカモメが護衛兵のように付き従って飛んでいた。前を見ると利尻島が迫るように山容を現した。
「これが、利尻島・・・・」
島全体が大きな山と成しているその姿に圧倒され、僕は言葉を失い、眺めるしか術はなかった。さすがに男も女も惚れるその勇姿である。明日はこの山に登るのだと思うと武者震いがした。
 8月15日の早朝、利尻ぐりーんひるYHに一緒に泊まり合わせた10人の人達と共に出発した。左手にサロベツの大海原を眺めながら登山道に入り、利尻北麓野営場に着いた。いよいよここからが本格的な登山道が始まる。さあ、登るぞ! と気合を入れる。
 その前に、甘露水と呼ばれる水場で水の確保を行った。その水を飲むと冷たさとおいしさが五臓六腑にしみわたる感じがして、いつもなら山に来て良かった思える瞬間であった。
 僕達は近くの休憩所でおのおのYHで用意して頂いた弁当のおにぎりを食べ始めた。さぁて僕もと思ったが、ここで弁当を忘れたことに気が付いた!
 忘れ物がなかったのを確認したはずなのだが、まさに「一笑の不覚」である。でも幸いなことにカンパンなどの食料を持っていたのでひもじい思いはしなかった。
 途中、山道の脇でシマリスに出会ったり、高山植物を愛でながら登って行くと、8合目である長官山に着いた。頂上を仰ぎ見ると霧がかかり始めていた。浜風もこのあたりから激しくなり、
「これで雨でも降られたら・・・・」
阿蘇山の再現なのか? でも僕にとっての利尻岳は今日のワンチャンスのみ。今日が駄目なら明日があるさなんていってられない。
 長官山から利尻山避難小屋でしばしの休憩を取った後、9合目に差しかかるとザレ場の滑りやすい登山道に変わる。握りこぶしほどの大きさの石を手に取れば溶岩塊であり、活火山であった太古の昔の利尻岳の姿が偲ばれた。このザレ場は一歩登れば半歩後ずさりしてしまうので、皆ここを登るのに苦労していたみたいだ。このあたりで雨にも降られ、山頂への道は過酷なものとなった。
 その苦難もものともせず、利尻岳の山頂に立つことが出来た。展望の方は霧がかかっていて、近くにあるはずのローソク岩さえ見えなかったほどだ。
 途中、一人の中年男性が体調不良を訴え、付き添いの3人の男性と共に下山したものの、6人が山頂にたどり着いたのであった。山の展望は残念ながらの結果になったが、北の最果ての名山の頂を踏んだ喜びのほうが強かった。
 僕達は雨に追いたてられるように下山し、利尻富士温泉へと入った。やっぱり登山の後は温泉とビールだよな! 
 その後、町に出て居酒屋で刺身やホッケなどの海の幸を食べ、ほろ酔い気分でYHに帰ったのであった。
 8月16日、利尻島を後にして礼文島に向かった。この日は晴天で雲ひとつない天気であった。
「俺の昨日の苦労は何だったんだ?」
と、今日利尻岳に登る人々は360度の大パノラマを堪能しているに違いない。そう思うと羨ましくも思い、悔しくも思ったりもした。
 フェリーが鴛泊港から離れ、礼文島の香深港へと進んでいく。その時見た利尻岳は島全体が天に向かって引き絞られている山容で、稚内から鴛泊に向かう途上で見た利尻岳よりも美しく見えた。いい角度から利尻岳を船上で見られたことだけでも僕にとってはせめてもの救いであった。

礼文島 愛とロマンの8時間コースへ続く・・・・

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