トカラ列島中之島 御岳(トカラ富士)
- GPS
- 05:34
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,123m
- 下り
- 1,139m
コースタイム
- 山行
- 4:53
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 5:35
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口まで舗装道路で危険な場所はありません。 登山口からは狩り払われた藪地ですが、ここも危険なし。 |
その他周辺情報 | 滞在宿:中之島荘 港の温泉(利用料はお気持ち)でしか入浴ができません |
写真
感想
ここは鹿児島県の離島、トカラ列島は中之島。
この日記では中之島のことも含めた感想を書き連ねますね。なのでとても冗長です。
登山の記録は5/21(日)から記載していますので飛ばして読んでくださいな。
[トカラ列島中之島]
鹿児島県十島村中之島。成田から鹿児島を経て、フェリーに一晩揺られることでたどり着ける素敵な島です。(屋久島よりも遠いんですよ!)
登山界隈で言うと、すぐお隣の諏訪之瀬島が噴火を続けていることで有名でしょうか?鹿児島から見ると、諏訪之瀬島の1つ手前の島になります。
この島に来た目的は、トカラ列島最高峰の御岳を登ること。トカラ列島は火山の連なる島々で、火山好きとしてはたまりませんよね。
さてこの島にたどり着こうと思うと、交通機関は先述のフェリー以外はありません。週2往復のこの航路以外は、島を出て隣島へ移動することさえも叶いません。
島に気軽に使える商店はありません(1件あるようなのですが鹿児島に出かけていてこの日は休業でした。なんなら多分普段からそんなちゃんと営業してなさそうに見えたし)。自販機は港のそばに1つだけ見かけました。宿は民宿が3つもあります。だけど島の工事に携わる人たちの重要な拠点ですので、旅人に充てることのできる部屋の数はどうしても少なくなるのです。
[旅行日記]
5/19(金)
この日の深夜、鹿児島港からトカラ経由奄美行きのフェリーに乗り込む。
フェリーとしま2は就航から5年の新造船で、最新設備満載な贅沢仕様の船は揺れも少なく快適そのもの。今回は寝台席を使いましたが、二等船室も清潔感があり過ごしやすい船でした。
5/20(土)
早朝6時に中之島に到着。
予約していた中之島荘さんのお迎えで宿まで向かいます。
宿につくとすぐに部屋へ案内されたので、朝食の時間まで仮眠を取ることにします(そう!初日の朝食がいただけるのです!)
朝食をいただき、また少しお昼寝をして雨がやんだ9時半ごろから散策に出かける。
この島は東西5キロ程度の広さがあり、集落は西海岸の漁村集落2つと島の中央高台の集落1つに別れています。今日は高台の方にお出かけです。
道中は、南国らしいシダ混じりの森と聴いたことのない鳥の鳴き声を聞きながら、立派な舗装道路をトコトコと歩く。
島の西側から歩いて30分ほどで高台の放牧地帯に着きました。牧場ではトカラ馬という欧州種の血が一切流入していない貴重な在来馬が飼われていて、方々好き気ままに草をはんでいてとても可愛い。
柵に近寄ってみたらお馬さんたちがトコトコ近寄ってきてくれる。馬体は小柄で目線が人間より低いので威圧感もなくとってもプリティー。
餌はないよ、と手の内を見せても知ったこっちゃないと首を伸ばしてくるので、わしゃわしゃと撫でてあげるとずっとその場で身体を触らせてくれました。噛んでこないし、臭いもしないし、鼻先はぷにぷにで気持ちよいですよ。
馬を愛でるだけで1時間以上長居してしまいました。ついでにこの間随分とブヨに食われまして、露出していた肌を15箇所ほど刺されました。虫除けと長袖長靴下は必須でしたね・・・・
宿でお昼をいただき、午後は先ほどの牧場にある十島村歴史民俗資料館に行きました。(事前予約が必要なことを知らずに、当日慌てて連絡を入れて入らせてもらいました・・・うぅ、反省・・・)
資料館は今は若い夫婦が運営されていて、館内を案内していただきました。ご夫婦のお子さんとそのお友達のちびっ子集団が館内を駆けっていて笑顔になっちゃうやつ。
資料館は規模は小さいながら、田舎の資料館にありがちな「展示品ポン置き、手書きのわかりづらい説明書き」、、、みたいなことはなく、島の自然、文化、生活ごとに分類整理して、見やすい展示にわかりやすい説明が掲示されていてとても濃度が濃いです。丸木船がそのまま一隻展示されていたり、悪石島のボゼ(なまはげのような神様)3体がまるっといたりとても貴重。展示のガイドもしていただき対話型で学べるのも素敵でした。
恐らく開館を担当した先代の管理者の方のキュレーションだと思いますがとても現代的な仕事ぶりでそこも関心します。設備的にも公金がなきゃ無理な立派さだなとは思いますが、これまで見て来た小型の資料館の中で5本の指に入る真っ当な博物館です。少し説明書きが古くなりつつあるようですが、今後も更新していく予定のようですのでとても期待大です。
ちなみに脱線しますが、この島に土産物屋のようなものはありません。というか多分土産自体もトカラ列島にはほぼ存在しないのでしょう。宿の数にしてもそうですが、とことん外からの客に依存する気配のない強い島です。
よって唯一見かけたのはこの資料館で売られていたスポーツシャツ!買いました!(後からフェリーでも見かけましたが(笑))
翌日が早いので、この日はこれで宿に帰り。
宿には風呂やシャワーはない。港にある天然温泉を使う必要があるが、宿から高低差があるのでこれが絶妙に面倒くさい。そしてこの温泉に共用の洗髪材はないので石鹸は持参だ。お忘れなく。
港の温泉に浸かり、宿の他のお客さんとお喋りをしながら夕食をいただいて就寝。
(島嶼学のフィールドワークをしているお兄さんのお話を、さながら講義のように聞けてすごく面白かったんだあ。あれこそ博物学だね)
この前日から夜中は港の岸壁でトビウオ漁をしているそうで、ホントなら見たかったなあ・・・夜の浅い時間帯に満潮になる日が見学オススメだそうですよ
5/21(日)
ここからは中之島御岳(トカラ富士)について記載する。
am10時半ごろに帰りのフェリーが着くので、それに絶対間に合わせる予定でかなり前広に行動する。なにせ事前情報が随分と少ないので・・・
[ルート安全性]
この山の登山ルートは完全に1本道。麓から山頂直下まで危険箇所はない。山頂火口縁は崖なのでそこだけ気をつける。
また、この島には登山者の生命を脅かすような島固有の生き物は存在しない。ハブやクマ・イノシシといった生物はおらず、唯一いる野生ヤギも人が視界に入ると一目散に逃げていく臆病さなので恐らくは気にしなくて大丈夫。
[補給について]
先述した通り、島では補給が困難なので必要なものは鹿児島で揃えておくこと。島の物資は島の人たちのためのものと、なるべく意識しておきたい。
[記録]
2時ごろ:起床
2時半:出発。この日の朝ご飯の代わりにおにぎりを2つ結んでもらってバックに詰め込む。
集落の中ではちらほらと街頭があるものの、やはり暗いものは暗いのでヘッドライトに頼る。
2:45ごろ:夜道をしばらく山手に進むと、漁港を抜けて登山道への分岐道に至る。分岐には必ず標識が立っているので安心できる。
ここからはひたすら頂上登山口までつづらに舗装道路を登っていく。
夜だというのに森は南国っぽい鳥の鳴き声でうるさいし、真っ黒な空は隅々まで星でいっぱいだ。写真を撮る技量がないのが勿体ないなって思う。
たまに光る球体がこっちを見ている。いたるところでネズミだのテンだのイタチだのヤギだのの目が光っては逃げていく。
しばらく登り進めて景色の開けた場所にでると、星空に山頂の形の影が見える。天気は良さそうだ。
舗装道路はNTTの電波塔用でしっかりと整備されているのか、舗装破れやがたつきもなく傾斜も緩くつけてありとても歩きやすかった。
4:10ごろ。標高800mの山頂登山口に到着。途中休憩を挟みながら来たがそれでも時間が余ってしまった。
日の出時刻は5:20ごろ。宿の主人から登山口から山頂まで2-30分と聞いていたので休憩がてら時間調整をする。
関東の感覚からするともう空が白んでいていい時間だが、やっぱり西国は時差を感じる。これもいい。
夜露も乾いて乾燥する風当たりのいい舗装路に寝転んで、おにぎりを齧りながら星空を眺める。星のことはほとんどわからないけど、天の川や夏の大三角がパッと見でわかるのがいい。もしかしたら南半球の星も見えたりしたのだろうか?わからないものは仕方ないけど豊かな時間だ。
4:40:空が白み始めて来たので出発する。ここからはちゃんと登山道を歩く。
登山道は木段が整備され、笹藪も狩り払われているので歩きやすい。(時期によっては笹藪がひどいかも?)
4:55ごろ:快適な登りを終えると火口縁に出る。正規の道がどれかはよくわからないが、草の生えていないとこを火口に向かって歩けば間違いない。
立派な火山の景色だ。
惜しむらくは、、、星空煌めく快晴はどこへやら。山頂だけは分厚い雲に覆われていた。
5:00ごろ:山頂に到着。
これはもう完全に晴れそうにない。
上空どころか火口の中までまったく見えないのは本当に残念だった。
6:00:1時間粘ったがついに晴れることはなかった。船の時間的には余裕はありすぎるが、万が一怪我だのしたときに船を逃すリスクが大きすぎた。なんせ逃せば次の船は72時間後だ。仕事をクビになってしまう。
宿で車借りて来りゃ良かったかなあとは思ったけど、島の山は全部歩きたいんだ。
前日買った中之島シャツで記念写真を撮る。
登山で十分使えたよ!
下山を開始し標高を50m下れば島全体が見渡せた。やはり雲が出ていたのは山頂だけだった。
気持ちの良い青空の下、元来た道を帰り下る。
7:30ごろ:集落に到着。振り返って見上げた山頂は未だ雲の中だった。
バッテリー温存のために電波を切っていたスマホには宿から着信が。
非常識な時間から出かけると宣言した客が無事戻って来れているのか、心配して安否確認をしてくれていた。
慌てて折り返して無事の下山を報告する。あったかいところだ。
宿に戻り、残りのおにぎりと飲み物を消費して仮眠をとる。
10時には村内放送でフェリーの出港時刻が流れてきた。予定通りらしいので、ご主人夫婦にありがとうを伝えて港へ向かう。
港の温泉でひとっぷろ浴びてから、フェリー岸壁に向かう。
船は予定通り11時ごろに出港し、その後18時過ぎに鹿児島に到着した。空港までよアクセスと飛行機の時間を考えると、この日のうちに関東に帰るのは現実的ではないので、翌日に帰ることがおすすめだ。
中之島をはじめトカラ列島は観光化されていない土地でした。
つまりは島の資源に依存したスタイルの観光客を受け入れる余力に乏しいということになります。登山前の宿というと普段なら日常生活の延長ですが、ここではさながら山荘にお邪魔するがごとく自分で準備できることは準備しておくのがよさそうです。
島へのビジターとして感じた印象は、ここは『ぼくのなつやすみ』の田舎です。
山に登り、海で釣りをし、森で虫を捕まえて、夜に星を見る。疲れたら宿の部屋にもどってドアも窓も開け放して、聞き慣れない鳥とカエルと鳴き虫の鳴き声のなかでお昼寝しましょ。
そんな場所でした。
宣伝じゃないですが、資料館のご夫婦が島中央の日出集落に近々に宿を開業する予定のようですので、キャパ的にはもう少しだけ島に滞在しやすくなりそうです。
帰りの甲板から見た御岳は足下から頭のてっぺん、空の先にいたるまですっきりと全部姿を見せてくれました。
試されているなあと、そんな感慨をもっていつかリベンジすることを誓う
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