35.黒岳(水晶岳) 「もっと遠くへ」
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.8km
- 登り
- 751m
- 下り
- 1,377m
コースタイム
天候 | 三日目:曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
○三俣山荘から鷲羽岳へ登らず黒岳にいくには、小屋を出てテント場へ向かって右側を歩いて、しばらくして道標があるので、道標に従い降りていきましょう。 ○祖父岳を降りて雲ノ平のテント場を遠回りするような形で歩いていきますが、ルートを間違えたんじゃないか? と心配するところですが、ちゃんと雲ノ平にたどり着けますので心配ご無用です。 ○雲ノ平は確かに「地上の楽園」であることは認めますが、その後の薬師沢小屋までの降りはハッキリいって「地獄」でした。このルートを歩く時は覚悟して下さい。 ○薬師沢小屋は水がおいしいし、食事もおいしいのでお勧めですよ! |
写真
感想
第35座 もっと遠くへ
黒部五郎岳の続き
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この日の朝弁当はご飯の上にシャケなどが載っていて山小屋の弁当としては豪勢であった。例の如く春雨スープとホットコーヒーを作って一緒に食べた。三俣山荘を出たのが5時45分で、間違えて鷲羽岳に向かおうとしていた。分岐がないのでおかしいと思って、通りすがりの登山者に聞いたら、黒部源流に向かう登山道は山荘を出て、テント場にいくと道標があるといわれた。要するに僕は正反対の登山道を歩きかけたことになる。すぐに山荘に戻り、道標を確認して、取りあえずは黒部源流へ向かって降り始めた。
この登山道は背の低い木々が茂っており、クルマユリらしき花も見た。降りていくと、その鞍部に黒部源流の石碑が建っていた。赤茶色の50センチ程の角柱で、僕はここで休憩をした。この先は岩苔乗越まで登っていく。その途中に元気に挨拶する若い男女の5〜6人のパーティーにすれ違った。どこかの大学の登山部といった硬派な感じがなくて、登山サークルーの集りであろうか? 挨拶と共に出る笑顔が印象的だった。あー、若いっていいなぁ〜。
そして、7時40分に岩苔乗越に着いた。ここから先は黒岳山頂を往復するだけなので、ここでザックをデポしようかと登りながら考えていた。僕が着いた時点では他にデポされたザックはなく、僕のザックを置いていくのは心細かったが、ここで無駄に体力を消耗しては元も子もないと思って、結局のところデポすることにした。ザックから小さいアタックザックを取り出し、必要最低限の装備をそのザックに詰め込んで、黒岳山頂へと向かった。間もなくして、ワリモ北分岐を通ったが、黒岳に向かったのかザックカバーを着けたザックが5〜6個固まってデポされていた。
8時50分に水晶小屋を通過した。水晶小屋には帰りに休憩をするとして、ここは先を急ごうと霧の中を進んだ。ここからはなだらかな登山道で突然、木製のハシゴが架けられていたりして、さすがは北アルプスの奥部にあるだけに簡単には登らせてくれないなと思った。そして、9時30分に黒岳の山頂に着いた。2年前に登れなかった山にようやく登れたぞ! しかし、残念なことに霧で何も見えなかったので、記念撮影をして、さっさと下山した。帰りに水晶小屋でトイレ休憩をして、元の岩苔乗越に戻った。帰ってみれば、僕のザックの他に2〜3個ザックがデポされていた。
アタックザックをザックの中に入れて、雲ノ平へ向かうべく、まずは祖父岳に向かった。
この頃になると霧が晴れて、祖父岳へ向かう登山道がはっきりと見えた。登っている数人のパーティーの列も見えた。さぁ、僕もいこう。12時10分に祖父岳に着いた。この一帯は数基の人の背丈程のケルンが積まれていた。祖父岳を後にして間もない頃に、黒岳を覆っていた霧が晴れ、その山容を現した。そして、僕の足元には雲ノ平キャンプ場、その向こうには雲ノ平小屋が見えた。でも何故かここからが長かった。
大岩に「←クモ(雲ノ平)」とペンキで書かれていたので、その通りに木道を歩いたら、だんだんキャンプ場から遠ざかっているような・・・・? 木道の上を歩いている訳だから、間違いようがないのだけれど・・・・? 大丈夫かなぁ〜? 不安ながらに歩いているうちに、いつの間にか雲ノ平の「スイス庭園」の真中を歩いていた。そして、木道は行き止まりになり、右をいけば雲ノ平小屋、左をいけば雲ノ平キャンプ場への木道が続いていた。キャンプ場の向こうには祖父岳がそびえていた。昔は祖父岳から直接キャンプ場にいけたようだが、植林保護のため、今の遠回りの登山道になったらしい。丁度、ここにベンチがあるので、ここで昼食のミートスパゲティを作って食べた。
この頃には霧が完全に晴れて黒岳がそびえていた。「日本百名山」を著した深田久弥は雲ノ平から眺める黒岳は素晴らしいと絶賛していたが、僕はその通りだと思った。雲ノ平もまた「日本最後の秘境」と呼ばれるに恥じない見事な景色だった。手前にはお花畑のなかにいくつかの池塘があって、その奥には多くの岩塊の固まりがあって、その隙間や岩塊のないところにはハイマツや背の低い樹木が生えていた。この景色をいくら優秀な庭師が再現しようとしても、多分無理だろう。まさに雲ノ平は自然が作り出した傑作だといってもいい。もしも天国というところがあるならば、雲ノ平のような場所ではなかろうか? 僕はそう思えてならない。
雲ノ平のアラスカ庭園を通り、木道が途絶えたところから、地獄が待っているとは思わなかった。下り坂なのだが、岩が濡れて滑りやすく、その上、急勾配であるために、僕は何度も足を滑らせたり、転倒したりした。この悪路が二時間前後も続くのだから、さすがに弱音を吐きたくなった。ただ幸いなのが、日没までには充分時間があったことだ。こんなところでブラックアウトを迎えたら間違いなくビバークしなければならない。僕も色々な登山道を通ったが、こんなに苦戦した道は初めてだ。それでも、薬師沢小屋まで頑張ろうと、苦しさをこらえつつ慎重に降りていった。こうして、薬師沢小屋に着いたのが17時40分だった。
薬師沢小屋は黒部川沿いに建つ山小屋で、登山者だけでなく、沢登り愛好家や、渓流釣りをする釣り人も多く泊まっていた。ここから湧き出る水はおいしくて、この日出た夕食は豚肉の生姜焼きやシイタケとカボチャと高野豆腐の煮物とコーンスープであった。おいしい水を使っているだけあって、特にコーンスープはおいしかった。今のところ、筋肉痛は少ないが両足の踵に靴ずれを起こしてしまった。明日は取りあえず太郎平小屋まで登ってみて、薬師岳に登るか否か決めようと思い、19時頃に寝ることにした。あと二日、持ちこたえてくれ! 俺の脚! と祈りながら。
薬師岳へ続く・・・・
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