知床岳
![情報量の目安: S](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
- GPS
- 09:10
- 距離
- 18.3km
- 登り
- 1,335m
- 下り
- 1,334m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年03月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
評価☆☆☆☆☆ 知床の極地登頂成功ぶるぶる〜〜 相泊までは大雪以外は通年除雪(道路工事どんどんしている) 崩浜までの海岸線は、純の番屋(テレビ)があったとされる、ほとんど遊歩道 カモイウンベからは地形図に従って左岸台地に上がるべき。取り付きだけが急登。 そのまま主稜線のP801mまで登って、稜線沿いがいいのかもしれない。 どのルートを取ったとしても、高度750m〜950mは急登。 高度1000mからの上部台地は恐ろしく広い。 |
写真
感想
グレートサミッツ国内編NO7 知床岳
昭和32年の1月、19歳のその青年は、東京から夜行列車を何日も乗り継いで、網走からウトロに出て馬橇を降りた。60キロの大荷物を背負って大雪原をトボトボ歩きながら、一人で知床岳に向かっていた。ヒマラヤ登山に備えて、単独で極地法をやっていたのだろう。詳細な記録は確かに残っているが、知床岳のオホーツク側の入山地点に辿りつくまでに1週間ほど。そこから火口壁目指して登り出して見事に登頂して、また登路を同じように戻った。登山期間は都合1ヶ月。彼は立田実といい、生前に数回お会いしたことがある。
50年以上も前の、斜里やウトロとは、どれだけの寒村だったろうか。しかも戦後わずかに10年の冬山装備と言われても、アイゼンやピッケル、軍靴はあったろうが、防寒着の程度などは相当に知れている。食料にしてもそうだ。ましてや大雪原に閉じ込められたら、脱出はどう考えていたのだろう。ずっと前にこんな記録を聞いても何も理解できず、ようやく自分が知床岳に登ってみようと思ったときに、ふと思い出した。あの人がひと月かかった登山を、今は日帰りでできる。時間の進化、時代の恵みとはこういうことかと思う。面映ゆい気がする。
今では反対側の羅臼の方が開けている。相泊(あいどまり)というところまで、冬でも除雪が入る時代になった。それでも本州では考えられないのだが、そこから先の知床半島には夏でも道がない。カナダのウィスラー(バンクーバー郊外)以北は、アラスカまで道がなくて、海からは観光船で、もしくはヘリで空路接近するしかないのと、条件は同じである。今の時代に残すべき自然遺産とは、こういうことなのだ。
……こうした知床岳の登山から二年がたって、しかし忘れたことがない。
海岸線に立つ自分の目線は水平方向だけが海である。屁理屈を言うなら、山に登って海を見降ろすなら、目線には足元まで海が入り込んでくることになるのだ。空と海の視界が相当に広くなって、地面の幅はほんの少し。
反対に山から下るときは、わずかに足元に残っているだけの雪面を滑って行くのだが、まさか食み出したら海に突っ込んでしまわないかと、錯覚する。スキーの先端のほんの10センチほど上に、真っ青な根室海峡が視界に入る。
そんな異様な解放感を、もう一度だけでいいから味わいたいと思うのだが、天候と条件が揃うことも少ないだろう。知床という言葉に、あの奇妙で不安定な快感を、いつも思い出す。2012/1
春休み、知床かぶれ。普段の行いがいいのか、晴天を確約で、羅臼の宿泊「まるみ」(お勧めだよ。そこのPCからアクセスしてます)で3時起き、4時出発。
相泊から先、スキーで海岸線を歩くなんて人生初めてだ。どんな危険が待っているかと思ったが、北の国からの純の番屋があったところだなんて地元の地図に出ていて、おいハイキングっぽくて安心した。ほんの20分くらいの海岸歩きで、美しい日の出が国後から上がる。
出合ちょっと勘違いして、上りやすそうな右岸台地(左側)に上がってしまう。行き詰って高巻きしたり、雪の条件はいいのだがどうにも効率が悪くて、ついにちょっと先の緩傾斜から本流に下りることにした。高度わずかに120m。1時間半もかかった。この辺りならもうブリッジが残っていて自由に左右に渡れる。河原も広い。
さてどんどん進む。台地から本峰前衛が見えるが(本峰ってのは、下から見えないんです)どこを登るか。尾根が3本。どこを登っても中間部が急で、一番奥の尾根にしようと思う。そこに到達すると、その向こうに谷があって、風が強くてイヤになって、谷の中なら風除けになるのと、雪の条件は谷の中がいいと思ったもので。
しかし高度750mからは、アイゼンに履き替えて登るほど急斜面。どうせどこでも同じだ。それを上りきって、上部プラトー(台地)にでる。まだ本峰は見えないが、感激だ。後は時間の問題。またスキーに履き替える。がちがちに風でクラストしている。直射で暑いほどなのに、雪が溶けない。風は少し穏やかになってきた。半島付け根方面は硫黄山の大ガレとトロイデ山頂がみえる。
ナビで頂上方面にあわせて、進んでいくと見えてきた。こっちからはただのなだらかな山。大回りしても高度が落ちないようにする。
ついに12時前に頂上にでる。がしかし、足元だけ見て登っていたらいきなり目の前が大ガレ。旧噴火口が目の前に出てきた。あせって怖くなる。多分本峰は西峰が主峰で東峰もあって、その間が噴火外輪山で全部頂上なのだ。その中間部に出たが、正確に頂上までいく気分に慣れなかった。動くのが怖いほど。しかしついに日本の東の果ての山に登頂した。こんな山人生で多分登れないとずっと思っていたのに。
下りも慎重にいく。急斜面がまだ雪が硬いままでアイゼンで下る。傾斜35度+の難儀ものだ。降りてからスキー。下のほうになったほうが滑りやすくなった。下部は登りで失敗したから、左岸台地を滑ったが、数日前のスノーモービルの跡を辿っていった。山スキー10年、200ルート。こんな素晴らしい登行してしまって、明日からどこに登ればいいのだ。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する