唐松沢氷河・捜索山行


- GPS
- 13:30
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 1,887m
- 下り
- 1,910m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
1月に消息を絶った2人を探して、2回目の捜索山行で唐松岳へ。山に登る理由は(細かく分けると)たぶん100個以上あって、捜索というのもその1つに過ぎない。仕事ではなく、単純に行きたいから行くのであって、誰かのためというわけではない。もちろん、見つかってくれて誰かのためになるのが最良なのだけれど、今回もそうはならなかった。メンバーは、呼びかけに応じてくれたカーン、一石(敬称略)で3人パーティ。個人的なもう1つの目的は、2016年の初冬に見た氷塊の正体を知ること。そういう意味で、夏の唐松沢遡行はかねてからの希望だった。
今回の山行を計画するにあたって、夏に黒部側の捜索に入っていた民間の捜索チームの方と連絡を取り合い、調査状況について情報をいただいた。入渓点については、二股からか黒菱〜無名沢経由かで迷ったが、南滝下流に巨大な雪塊が残っている可能性や2018年9月に氷河調査チームが無名沢から入っていることなどを考慮し、後者を選択。また、調査に同行した楽Pの店主と電話で話す機会があったので、沢の様子等について情報をいただいた。当初、1泊2日で考えていたが、幕営地などの情報がなく、降雨予報もあったため、日帰りに変更。以下は、参考にしたページ。
http://shop.rapie.jp/index.php/archives/7444
https://www.nsd-hakuba.jp/pdf/karamatsuzawahyouga.pdf
3時に集合し、車を一台にまとめて黒菱へ上がる。かろうじて駐車できた。準備をして急登をこなす。入山者は既にちらほらおり、後立山の稜線にはヘッドランプのあかりがいくつか見えた。八方池のあたりでカーンがドローンを飛ばし、下降路を偵察する。結果、飯森神社のあたりから入ることに。このあたりは植生があるので、そっと歩く。ガレ場を下ると、斜面に山荘の取水ホースがあった。山行全体を通してこのあたりが一番歩行に注意を要する。無名沢へはもろい赤い岩をクライムダウン。
無名沢に合流してからは、これといった滝も無く、ただひたすら沢を下る。途中、何シーズンか前のものと思われる折れたスキー板(ワスカランに古いディナフィットTLT RADICAL ST?)を見た。あとは、取水ホースの残骸が転がる。単調な歩きでとにかく下る。無名沢出合に着くと水量が増え、徒渉が必要になる。ここでもカーンがドローンを飛ばしてくれ、南滝の下流側を見ることができた。あると思っていた雪塊はほとんどないようで、水流通しは危険を伴うが、右岸から巻くことはできそうだった。一石さんからNZのバー、カーンからUSAのバーをいただくなど。
とりあえず、南滝より上流を捜索することにして、遡行を開始する。石や流木などに遺留物が引っかかってないか探しながら歩く。いくつか発見はあったが、残念ながらいずれも今回探している物とは違うようだった。唐松沢氷河末端には左岸のモレーン状の地形から取り付いた。クランポンとアックスを持ってきていたが、石や土砂が大量に乗っていたため使わず。また、もしかしたら氷河内部を見るかもしれないと思って持ってきたアイススクリューやロープ、ハーネス、プーリーなんかも全く出番が無かった。沢の水量が少なく、ジャンプ渡渉で済ませたため沢靴も使わず、これらはただのおもりになった。
午後の降雨やタイムリミットを考え、今回は1930m地点までで引き返すことに。最後にカーンがドローンを飛ばして、上部を偵察した。下りは、登りの右岸側ではなく、左岸側を中心に探す。アックスなどいくつか落とし物があったが、彼らのものではなさそう。無名沢出合で協議した結果、未知の要素がある南滝の巻きと二股への下山はやめて、おとなしく無名沢を登り返すことに。ここはとにかくしんどかった。何度か休憩しながら八方池に出た時には、歩き出しから12時間が経過していた。下山後、みみずくの湯で人権を得て、駅前でご飯を食べて解散。5時間半下道を運転して帰宅。泥のように眠った。
唐松沢は、冬にはよく行くし記録も見るのだが、夏の記録はあまり見ない。おそらく沢登り的な面白さがなく、魚もいないからだろう。とはいえ、個人的に特別なこの場所の夏の姿を見れたことは、ちょっとした感動だった。氷河見物に行くにはそれなりに大変だし、いわゆる遡行価値も無いだろうと思う。あそこはやはり、冬に行くのが最高だ。幕営適地もいくつか見つけることができたので、これから捜索に行く人の参考情報として載せる。残念だったのは、捜索範囲を絞ることすらできなかったこと。彼らがどこに行ってしまったのか、自分にとってはまったく謎のままだ。
今月初めTomahawkさんから唐松沢に行かないかと連絡を受けた。仕事柄平日休みが多いが3連休中日が休みで、ご一緒することができた。
カーンと私は1月に行方不明になった2名と唐松山頂付近で会っており、その後何度か捜索が入ったようだが依然見つからないままだった。近くに暮らす者として、どこかから唐松沢が見えるたびにそのことが気にかかる。
4時前には黒菱駐車場に着いたが、連休ということもあってかあちこちにヘッデンの明かりが見え、不帰も三山の稜線もくっきりと見えた。八方池から登山道を外れハイマツを漕いでいく。付近に小さな池が2つあるのを初めて知った。なんとなく踏み跡ぽくなっている部分もあるが、浮石も多く気を使いながら下る。無名沢は黒や赤っぽいもろそうな石が多かったが、唐松沢に合流すると白く花崗岩ぽいきれいな岩が多かった。雪渓があるからか吹き下ろす風もすがすがしい。深くはないが渡渉も多く、ローカットの登山靴はあっという間に浸水したが、暑いのでそれほど気にはならなかった。しばらく上がると不帰沢の雪渓の末端が見えた。崩壊の仕方と土砂をかぶっている様子が物々しい。唐松沢氷河は、楽Pのブログで見たものと全然違っていた。雪面の多くは土砂で覆われ、縁の大きな穴は底が見えず側面はつるっとして吸い込まれそうだった。冬とは違うスケール感があり、ここからなにかを見つけるのは途方もないことのように思えた。
今回は唐松沢の上部には行けず、手がかりも見つけられなかった。今後何かあるとすればもっと上の方かもしれないが、何度も入っている山域にも関わらず想像より大きく、手に負えないもののように感じる。それでも普段見ることのないこの時期に来ることができて、また唐松沢を好きになった。
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