奥久慈男体山(西金駅よりピストン)食べちゃいたい新緑


- GPS
- --:--
- 距離
- 11.6km
- 登り
- 626m
- 下り
- 618m
コースタイム
古分屋敷 05:30
滝倉分岐 06:00
山頂 06:30
下山開始 06:40
物見岩(筆者勝手に命名、鎖場前半で道をそれると出てくる岩塔) 7:10
下山開始 7:25
滝倉入口 8:00
西金駅駐車場 9:00
天候 | 快晴、ただし空気はかすんでいて視界は不良 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
また古分屋敷、滝倉辺りにも何台か駐車スペース、トイレがあります。 |
感想
なだらかな、それでも里山の中ではそれだけが特別誂のような稜線が国道118戦と合流するところが奥久慈男体山へ続く林道の登り口だ。多くのハイカーはここからさらに登山口へと車を走らせる。だが今回は昨年自分がそうしてきたように交差点を左側に曲がり、水郡線西金駅前の無料駐車場に車を止めた。登山靴の紐を締めなおし、駅のお手洗いで用を済ませると、夜明け直後のひんやりした空気の中を男体山へと向かって歩き出した。
昨年のいくつかの北アルプス縦走を終えてから、自分の力を引き上げてくれたいくつかの山、筑波山、茶臼岳(那須)、明山(茨城、竜神渓谷)に感謝の登山を試みたが、最も頻繁に通ったトレーニング場である奥久慈男体山には昨年初夏以来一度も登山していなかった。今回は自分を鍛えてくれた山への感謝、母の冥福を祈ると同時に、冬場にサボっていた自分の体がどれほどなまっていたかを確認するための登山であった。
大型ザックなど昨年11月の北アルプス以来背負っていないためとても担ぐ勇気がわかず、雨具、ヘッドランプ、水とキャンディーなどの行動食といった最低限度の荷物だけを小型ザックにつめた。日の出前の歩き出しを予定していたが、結局寝坊したために登山開始は4時30分。そのころにはかなり明かるくなっており、やかましいほどに鳥が鳴いていた。鶯のさえずりが里山の中でこだまする様子を聞いたのは生まれてはじめてであった。
ひんやりとした空気の中徐々に傾斜が急になる林道を歩いていくと、遠くに鷹取岩か、入道岩か?奥久慈岩稜の一部が目に飛び込んでくる。2012年の秋に始めてこの山域を訪れたとき、その急峻な岩峰と紅葉とに興奮したこと、昨年春のプチ歩荷トレーニングではこれらの岩稜に遠い槍・穂高の縦走路を重ねながらハイペースで歩いたことを思い出す。今回は当時のように歩くだけで息が上がるほどのペースは取らず。朝一番に楽しむ新緑、鳥の歌声、さまざまな木や草の花を眺めながらゆったりした歩調で古分屋敷を目指した。
古分屋敷の民家が眼に入れば、その向こうに今日のお目当ての奥久慈男体山が現れる。深く切れ込んだ大円地越のコル、朝日に赤く輝く南面の急峻な斜面。なんと格好のいい山なのだろう。林道脇でコーヒーを沸かしながら暫く男体山鑑賞を決め込みたいものだったが、今回のメインテーマは歩くことと攀じること。お茶会はまた別の機会にしよう。ゆっくりとしたペースを楽しみつつ林道を右手に折れ、お蕎麦屋さんの前を通っていよいよ登山道に入る。トレーニングでは、より登りの歩行距離が長い大円地越経由で登り、健脚コースで降りていたが、今回は登はんの感覚を知りたかったので、登り降りともに健脚コースを使用した。
平日5時台の男体山は貸しきり状態だ。ひんやりとした杉林の中、沢、尾根と歩きながら距離を稼いでいく。滝倉分岐を過ぎると右手に一度挑戦して早々に撤退した無名の岩の塔が目に入ってくる。
ここまでは主に草つき。登はん自体は比較的容易に進められたが、落石を何度も起こしてしまう。そうだ、このエリアでトレーニングしていたときの課題のひとつは、小石ひとつも落とさないようにすることだった。奥久慈の山々はれき岩質でもろい。ルートにも指先程度の石くずがたっぷり落ちている。力任せにけり進んでいくとこれらの小石は簡単に落ちていく。混雑時であればこれらの石でも怪我のひとつはするだろうし、しなかったとしても不快であることは間違えない。気をつけなければ。
最初の難所はちょっとしたチムニー風の岩の割れ目。割れ目の間に体を入れて両手両足を突っ張りながら登れば比較的容易に突破できる。下山時にはこの片方の壁だけを使って下降することを試みたが途中で足がいいホールドを捉えることができず断念。このあたりが今の自分が持つ登攀技術の限界か。
このチムニーもどきを過ぎると明るい尾根筋を少し歩いて健脚コースの核心部である鎖場に取り付く。ヤマツツジの紅色の花が目に飛び込んでくる。花の盛りは過ぎたようで、地面にもくれないの花がいくつも落ちていた。
健脚コースを登りで使うのは本当に久しぶりで、たぶん2年ぶりくらいであろう。巻き道がついていてもなるべく岩を直登直登。登山靴の平たい爪先が小さいホールドをうまい具合に捉えていく。この山域はれき岩質でホールドのすっぽ抜けや崩れがしばしば起きるのが悩ましいのだが、多くの人に登られて弱い部分が削り落とされているのか、ヒヤリとすることもなく高度を稼いでいった。最後にやや難しめの登りが二箇所ばかりあると思っていたが、一箇所だけで東屋に到着してしまった。二箇所通過したことを気づかなかったようだ。
東屋のあとは土の斜面を登って山頂へ行くのだが、ここは赤土が滑りやすくなっていて、岩場よりもいやらしい感じであったが、ほどなくして山頂に到着。山頂の三角点に触れてから祠へ向かい、暫くの間手を合わせた。お参りの後は、祠の裏側の断崖からのんびりと景色を眺めた。やや雲が出ていたのか、那須や日光、富士山といった遠方の山は言わずもがな、筑波山もほとんど識別不能であった。一方足元に目をやれば、大子方面の里は雲の下に沈んでいた、里山が雲海の上に島のようにぽつりぽつりと浮かんでいて、瀬戸内海の島々のようであった。朝日に緑が美しい。サラダボールに入れたいような美味しげな奥久慈の新緑の山々であった。
ひとしきり頂上で景色を眺めてから、健脚コースで下山を実行。くだりでは笹や木の枝をつかみながら降りることが多かったのだが、去年に比べると岩場の小さいホールドを案外うまく使いながら降りているようだ。暫くお天気が続いていたから、岩は乾いていて靴の摩擦はよく利いていたこともひとつの要因だろうか。そういえば、下りでは少し低めのホールドをつかんで、腰をやや落とした格好で足場を探ると安定して降りられるのであるが、そのことは忘れていて、少々からだが伸び気味だったようだ。気がついたのは鎖場がほとんど終わるときのことだった。
昨年のトレーニング時期と同様、登りの時間と降りの時間はほとんど同じくらい。勢いに任せて降りられる登山道とは違って、鎖場だと下りのほうがより慎重になることが聞いているのであろう。
鎖場の最後近くにある物見岩(筆者が勝手に命名)で、もう一度奥久慈の山々を眺めた。紅葉の季節の美しさはいうまでもないが、この時期の緑もまた美しい。物見岩が今までのトレーニングに比べるとすんなり登れてしまったのは、登はんの感覚は少し向上したのか?それとも大型ザックを背負っていないことのアドバンテージだったのだろうか。
物見岩(筆者勝手に命名)にいつまでもたたずんでいたい気持ちを抑えてさらに下山を続けた。最後、チムニー状の箇所で片方の岩のホールドだけで降りることを試みたが、先に述べたように途中で断念した。そういえば今日は体が伸びっぱなしで、これじゃあ、どこに足を置くかはなかなか見えないよなと、反省することひとしきりであった。
鎖場を過ぎて、下山は滝倉からにすることに決めた。通常の健脚コースは陰気な森の中を歩くが、滝倉コースは距離が長いものの明るい尾根つたいに歩いていくので気持ちがいい。特にこの季節は晴天だと黄緑色の照明の中を降りていくことができる。ただ一箇所、草つきの岩場のトラバースがあって、難しいというほどではないけれども甘くは見られない。ストックを使うよりも3点支持のほうが安心だと思う。
かくして8時過ぎに滝倉の鳥居を過ぎ、林道へ出た。あとは古分屋敷へ登り返してから、西金への林道をひたすらに下る。鳥の歌声とかえるの合唱は依然活発だ。日差しが強くて、サングラスを持ってこなかったたことを若干後悔した。
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