白馬スキーツアー (猿倉→白馬大雪渓→白馬岳→雪倉岳→蓮華温泉→白馬大池→金山沢→猿倉)
- GPS
- 23:50
- 距離
- 36.8km
- 登り
- 3,838m
- 下り
- 3,845m
コースタイム
- 山行
- 7:29
- 休憩
- 1:53
- 合計
- 9:22
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 7:07
- 山行
- 6:17
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 6:50
6:15猿倉駐車場-9:13スキー担ぐ(2200m付近)-10:41スキー履く(2450m付近)-12:12白馬山荘着-12:51白馬山荘発-13:06白馬岳-13:26白馬山荘-14:30旭岳-15:06旭岳スキー滑走発-15:10スキー終了、スキー担ぐ-15:39白馬山荘
5月2日(土)
6:50白馬山荘-7:06白馬岳-8:55鉢ヶ岳のコル-10:00雪倉岳避難小屋-10:46雪倉岳-11:35雪倉岳スキー滑走発-12:25瀬戸川渡渉点(シール貼る)-13:58蓮華温泉
5月3日(日)
6:30蓮華温泉-8:40天狗の庭-10:03白馬大池-11:35船越の頭手前のドロップポイント発-12:35大雪渓出合-13:19猿倉駐車場
天候 | 5月1日(金):快晴、無風・微風 5月2日(土):快晴、無風・微風 5月3日(日):快晴後晴れ、稜線は微風、それ以外はほぼ無風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
稜線の雪は全滅と言っていいほどなかったが、谷筋や標高の低い所は十分だった。 ・猿倉-白馬尻-白馬大雪渓-村営宿舎-白馬山荘:雪は繋がっていて白馬山荘直下までスキーを外さずに登高可能だったが、村営宿舎と白馬山荘の間の稜線は既に夏道。雪質は6時過ぎの猿倉出発だったが既に十分緩んでいた。大雪渓に入っても雪質は変わらず、両脇の雪も落ちきっているように見えた。急傾斜(葱平)付近はまだステップができておらず潜りやすい雪質。大雪渓、小雪渓共にまだ大きなクラックは見られず。 ・白馬山荘-白馬岳山頂:完全に夏道が出ている。 ・旭岳周辺:山頂付近は一部地面が露出していたが、縦走路付近から各斜面には雪が付いていて滑降可能。 ・白馬岳山頂-鉢ヶ岳のコル:数カ所を除いて完全に夏道が出ていて、スキーを使うようなところはほぼない。あっても雪田レベルなのでスキーの取り外しをする分時間がかかるため、夏道の縦走路をスキーを背負って歩いてしまったほうが早い。何カ所かある雪道は早朝は雪が硬いので念の為アイゼンを使用したほうが良い。スキーなら滑ってしまっても良い。 ・鉢ヶ岳のコル-雪倉岳避難小屋-雪倉岳:鉢ヶ岳をトラバースする夏道はまだ雪の下で、この区間だけはスキーが使えるが、避難小屋までハイマツが露出している箇所もあり、スキーを外さなくてはならない。雪倉岳避難小屋の手前で雪が消えて、雪倉岳山頂までは完全夏道、ここもスキーを背負う。 ・雪倉岳-瀬戸川渡渉点:雪倉岳直下は快適な大斜面だが、すぐに縦溝が現れてガタガタの斜面になる。数10cmの溝ができていて、満足にターンができない。標高が下がると縦溝以外にクラックも見られ気が抜けない。雪倉の滝付近では消雪のため一度スキーを外して歩くが、ここにはマーキングが着いていた。瀬戸川渡渉点のスノーブリッジは問題ない。 ・瀬戸川渡渉点-蓮華温泉:アップダウンがあまりなくトラバースがメイン。マーキングは多く見られるが、蓮華温泉付近は錯綜しているので地図と方向を見ながら進まないと誤った方向に導かれる。雪は豊富。 ・蓮華温泉-天狗の庭-白馬大池:天狗の庭を過ぎるまでは基本的に傾斜が急。特に天狗の庭付近はかなり急なのでスキーでジグザグで登るときは要注意。雪はしっかりついているのでスキーで歩ける。白馬大池はそろそろ水が出そう。 ・白馬大池-船越の頭:夏道が出ている箇所が多いのでそれをたどるか、白馬大池から南側を回って船越の頭に達するかのどちらか。後者の場合、途中で雪切れとなるため金山沢へのドロップは船越の頭からは難しく、手前からとなる。 ・船越の頭-大雪渓出合(金山沢):雪はまだ豊富だが標高が2000m程度以上は縦溝がひどく快適に滑ることができない。標高が低くなると縦溝もなくなってターンできるようになるが、大雪渓との出合付近ではデブリもあり、雪割れもあるので要注意。 |
写真
感想
5月1日(金)
世間の連休より1日早く休みを取って6連休として猿倉に向かう。途中から見た後立山連峰は黒々としていてとても5月連休の装いではなかった。6時前に駐車場に着いたが閑散としていた。準備をしに外に出ても暖か。今回は2泊3日でなるべく食料は持参するつもりなので、32+10リットルのザックがほぼいっぱい。外にヘルメットやスコップを取り付けてもいる。このザックを満杯にしたのは初めて。駐車場では遭対協の方が早朝の平日にも関わらず登山届けに目を通している。頭が下がる思い。届けを出し、スキーを履いていざ出発。スキーは駐車場から履くことができた。
林道歩きは大抵退屈だが、今回は天気が良いので案外楽しい。途中白馬岳がドーンと見えたが、やはり5月初旬のようには見えない。1時間ほどで白馬尻到着、重荷なれどまあまあのペース。大雪渓の両脇はこの時期ならもっと雪が付いていそうだが今年はそれもなく、もうあらかた雪は落ちてしまった感じ。それでも時折パラパラ音がして岩が落ちているのは大雪渓ならでは。徐々に重荷と傾斜がきつくなり、2200m付近に来たときに先行者が板を背負っているのをみて自分も休憩しつつ板をザックに背負う。ここでアイゼンを履き念の為ピッケルに持ち替えたがこれが大失敗。ピッケルを刺すとズボッと潜ってしまい使い物にならない。ほんの少し登っただけで再度ダブルストックに持ち替える。まだ連休前の大雪渓なので階段状のステップもできておらず、グズグズに雪に足を取られるので中々先へ進めない。天気は抜群に良いため、日差しと照り返して大変に暑い。ザックも重いので遅々として進まないが慎重かつ確実に先に進む。急斜面を無事登り切り、ザックを降ろして再度シール歩行に切り替える。このあたりから見る天狗菱もほぼ雪が付いていない。この付近で既に標高2500mを超えていて、久々の高所に息が続かない。のろのろのシール歩行で最後の斜面を登り切ると稜線が目に入るようになるが雪が全くない。想像以上に今年の雪消えは早いようだ。白馬山荘直下までシールで登り、最後はスキーを手でもって小屋に到着。重荷に耐えて約1600メートル登ってきた。ここで一度小屋に入って受付を済ませ、行動に不要な荷物をデポする。受付時、今日の泊まりは10名程度と少ないが、明日は連休初日で80名くらい予約が入っていると聞く。1日でこうも違うものかと改めて愕然とする。
この後の予定は特になかったがまだ昼過ぎで天気も大変良いのでまずは白馬の山頂へ。ここから先は夏道でスキーブーツでは楽ではないが他に手段もないので仕方ない。山頂まで15分ほどあるいて到着。約2年ぶりの白馬岳である。写真数枚を撮りつつ明日行動する雪倉岳方向を見るが、、、全然雪がない。ほぼ夏道が出てしまっている。本当にスキーで行動できるのか心配になりつつ下山する。小屋に着いてもまだ時間がたっぷりあるし、白馬の山頂からだけでは明日のルートの視察が十分でない気がしたので、旭岳へスキーで往復することに。小屋からしばらく板を手でもって夏道を下って雪の上に出る。この山の北面・東面はエクストリーム向けだが、何面であればなんちゃってスキーヤーの自分でも何とか登って降りてこれそうだった。実際、登りはちょっと急に感じたがそれも少しの間だけで意外と簡単に山頂付近に到達できた。最高点付近では先行者がいて、話をすると明日は雪倉岳を経由して蓮華温泉へ行くという。自分と同じルートである。そしてやはり雪が少ないことを懸念している。どうしたものか、これだけ夏道が出ているなら、ブーツでの歩きがしんどいのを覚悟で夏道を歩くのが確実かもしれない、等々話す。しばらく観察後にシールを剥がして何面にドロップ数ターンで平坦地に到着してしまったので、あとはスキーを背負って雪上と夏道を歩き小屋に戻る。翌日の良いアイディアは特に浮かばないままこの日の行動は終了。外は5月初旬の2800メートルとは思えないほど穏やかで暖かかった。小屋泊者は少なく20名程度。みな個室状態だった。
5月2日(土)
日の出と共に起き出して準備開始。6時過ぎには準備も終わって手持ちぶさたになって外に出る。さてどうしたものかと思いGPSやら地図を眺めていると、雪倉方面に出掛ける人達があらわれる。が、みな決定打がなく、結局今日雪倉方面に出掛ける人はその場で歩きかスキーかを考えることになった。6時50分に白馬山荘を出発。白馬山頂を経由して北に向かう。普通の登山靴に登山装備であれば快適この上ない縦走路だが、今日は完全スキー装備のためペースも上がらない。気温が比較的高いのでブーツのプラスチックがガチガチに硬くなっていないのが幸い。所々で偵察をしつつ進むが雪は切れていてスキーを履くタイミングが現れない。ほぼ同時刻に出発したパーティは雪田が現れると板を履いて滑っていたが、先を見ると縦走路が目に入ってしまい、中々板を履く機会がなかった。一度ここなら行けるかと思い滑ってみたがここも途中で雪が切れていてダメ。結局鉢ヶ岳の鞍部まで、出発から2時間以上板を背負ってスキーブーツで歩いた。こんな長距離・長時間をスキーブーツでこなしたのはもちろん初めての経験。最初はかなり違和感があったが次第に慣れてきたのには我ながら面白かった。鉢ヶ岳の手前でシールを貼ってトラバースをする。念の為クトーを使ったが既に雪面はユルユルだったので不要だった。一度ハイマツが出て着るので板を外した後に再度トラバースをするがまたも雪消え。板をザックに付けて雪倉岳避難小屋に到着。ここから雪倉岳山頂までは約200mの登り。夏装備なら30分かな、と思い登り始め、35分ほどで山頂に到着。完全夏道をスキーブーツで歩くのもここがようやく最後となった。雪倉岳に来るのは2度目だが、前回は縦走の途中だったのであまり記憶がない。今回はここから蓮華温泉に下るだけだし、時間も11時前、しかも快晴無風の天気なので長居しない理由がない。ここまで同行下人達と色々話などしつつ休憩とのんびりと滑るをする。そうこうするうちに蓮華温泉から登ってきたテレマーカーの猛者が到着。
天気が良くて昼寝でもしたいくらいの陽気だったが、この先のルートは全くの未知なのでボチボチ出発する。山頂付近から少し標高を下げると大斜面が見えた。この斜面は斜度、雪質共に最高で、いつまででも滑っていたかったが、山頂から2-300メートルほど下がるとあの忌まわしき縦溝が現れるようになった。こうなるとスキー格好はほぼお手上げ。縦溝は大変深いので板の先が刺さりそう。それを回避するにはとにかく大回りするしかないので快適なターンは全く刻めなかった。そうこうすると快適大斜面は終わり狭い急斜面が現れる。ここは降りられても登るのは嫌だな、と思いつつ先に進む。一箇所マーキングの着いているところがありそこで先行者が待っていてくれて板を脱ぐところを教えてくれた。感謝。もし自分のみだったら気付かず先に行って登り返していたかもしれない。その後も順調に高度を下げ、雪が泥や枝でだいぶ汚れてくるようになって瀬戸川の渡渉点に到着。スノーブリッジとのことだったが、完全に雪に覆われていて全く見た目では分からなかった。ここで大休止しつつシールを貼って歩行の準備。準備中は風もあって涼しかったのだが、歩き始めると何故か風も止んで灼熱状態に。アンダー一枚になって歩くがそれでも暑くて仕方ない。飲料水は1.5リットル持参したが途中の消費も多く、最後までもつか心配になるほどだった。シールを貼ってからの歩きは樹林帯のトラバースが主体で、地形も特徴がないので歩いていてもあまり面白くない。何よりとにかく暑いので、5月というより6月時分の残雪歩きの様相だった。樹林帯内にマーキングは整備されているのだが、蓮華温泉に近付くとマーキングが複数出ていて、誤ったものを視認すると別の方角へやられてしまう。一度間違って北の方に向かいそうになったが修正して無事蓮華温泉が目に見えるようになった。最後の最後で暑さにやられたが無事宿に到着。1日行動して汗まみれになった後に温泉に入れるのはなかなか嬉しいものである。この日の泊まり客は多かったが、各部屋に詰め込まれることもなく、比較的余裕のある部屋割りだった。
5月3日(日)
この日も好天の予想。蓮華温泉からの登り返しは1000m以上あるが、金山沢を滑って猿倉に戻るにはこれしかないので腹をくくって行動開始。昨日終日行動が一緒だった方と同行する。どうせ使うのだからと思い、クトーは始めから装着した。このルートは一度スキーで上っているがほとんど記憶がない。尾根の取付点に着いた時に後続の4人パーティと一緒になる。このパーティは後になって分かるが、足並みも揃っているし、急斜面でのターンも上手く、後ろから見ていて見習うことが多かった。この尾根は雪は付いているものの基本的に等高線の間隔が狭く、つまり傾斜がきつい。スキー捌きの上手い人なら問題ないのだろうが、自分のような者は時折失敗して数メートル滑落などもした。でも雪が柔らかいので滑っても止まるし大事には至らず。このルートで最も怖かったのが天狗の庭の直下付近で、比較的狭い斜面でジグザグに標高を上げなければならず、ターンで失敗してズルっとやったら多分数10メートルは滑落するので気が抜けない。かなり怖い思いをしたが何とか失敗することなく天狗の庭をクリアし、傾斜の緩やかなポイントに到達。一度歩いているルートなので見覚えもあり、最難点を超えたことを把握した。急傾斜を超えるとあとは白馬大池までの緩やかな歩き。途中、左手には白馬乗鞍岳が見えたが、全く雪は付いておらず、地面と露岩が出ていた。今回は栂池には降りないので関係なかったが、あの露岩をスキーブーツでは歩きたくない。
大池で休憩しつつこの先のルートを確認。夏道が出ているものの、雪が繋がっていそうな雰囲気だったので、そのままシールで登り始める。それほど急な斜面ではないし雪も緩んでいるので天狗の庭付近の緊張感に比べれば楽勝だった。先行のパーティが止まり準備をしていたが、そこはかなりの崖。雪が切れていて船越の頭に到達できないのでここから滑るという。自分と同行者はエクストリーマーではないので、一段下がってそこから滑ることに。とは言えここでも結構急なので最初のドロップは気合いが要った。が、斜面に入って1ターン決めれば後は雪質がザラメだったこともあり何とかなった。がしかし、やはりここも縦溝だらけで、とても何度もターンができるような状況ではない。洗濯板の上を滑っている間隔で、デコボコの上を板で横切るものだから気分も悪くなってくる始末。快適に滑る、と言うよりも安全に標高を下げ、右手のほうにトラバース気味に移動して2300メートル付近のテラスに到着。下から見上げるとこれから船越の頭に向かう人の姿も。しかもここをシールで登っている。すごい人もいる者だと関心。
台地状のテラスから先(標高2000m以下くらい)は比較的雪質が良くなって、ターンも決められるようになる。金山沢を滑るのは初めてだが、雪質がもっと良かったら、、と思わずにわいられない。標高が下がるとデブリも出始めるが、それでも縦溝に比べたら滑れる分だけマシ。たが最近落ちたばかりと思われるデブリもあり緊張もする。落ちている岩や樹木の枝にヒットしないよう慎重に滑って大雪渓との出合に到着。斜面を登らなくてはならないのでここで面倒がらずにシール装着。本来なら駐車場までノンストップで滑れるのだが、今年は林道のトレースにアップダウンがあって、しばらくシールを付けたほうがよかった。最後の5分くらいでようやく下り一辺倒になったためシールを剥いで林道を滑り無事に駐車場到着。3日間のスキーツアーが終了。
最後に、2日目、3日目に行動を共にした方々、本当にどうもありがとうございました。単独でも乗り切れたと信じたいですが、やはり同じ方向を目指す人がいると様々な局面で心強いものだと改めて思いました。またどこかでお会いした際はよろしくお願いします。今度は雪のたっぷりあるところがいいですが、、。
白馬岳山荘から蓮華温泉までご一緒したテレマークの者です。
今回はGWの山なのに熱中症になるのでは?と思える程の高温で、スキーを満喫というより、白馬の稜線歩きを満喫したってかんじでしたね。
私もhidekazu様他、数々の力のある方々がいたから、大変心強く、とても有難く思いました。
また、宿でのお話も面白く、「あの四人の一味・・・大雪渓で横に並んでた」や「安全第一」などのエピソードは今後もしばしば思い出すことでしょう。
大変お世話になりました。また、いつかお会いしたらよろしくお願いします。
hiro-kuwanaさん、こんばんは。こちらこそどうもありがとうございました。5月1日の大雪渓は色々あって(あり過ぎて?)面白かったですね。
この3日間は天候に恵まれたことはもちろんですが、あらゆるギア類を駆使し、体を酷使し、暑さと重荷に耐え、スキー山行なのに雪がないという悪条件(珍条件?)の中無事ゴールできたので、自分としては大変満足度の高い山行でした。ただ、もう1回同じ条件で行くか?と問われると、さすがに2回目は雪のある時がいい、と言うと思いますが。これからも安全第一で山行を続けたいと思います。
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