爺ヶ岳〜鹿島槍〜五竜岳(夏の終わりの後立山核心部プチ縦走)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.6km
- 登り
- 2,736m
- 下り
- 2,612m
コースタイム
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 5:31
天候 | 2日間とも快晴、午後時々ガス |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
復路:テレキャビン山麓駅より神城駅まで徒歩 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・コース中、要所に案内標識あり、特段の危険・不明箇所等なし ・八ツ峰キレット通過注意 |
その他周辺情報 | 松本駅近くの銭湯(おかめの湯)にて帰京前に入浴 |
写真
感想
以下、大学サークル会誌の後輩H君執筆の山行記録を抜粋・編集〉
就職の内定したsatonao1は、夏休み最後の週末、とにかく下界から脱出すべく、後輩H君を半ば強引に誘い、百名山巡りの一環として後立山連峰の核心部コンパクト縦走へ。ヤマラー愛用?の松本行き夜行から鈍行を乗り継ぎ、信濃大町に到着した我々2名は、ラッキーなことにアルペンルートを周遊券なしで横断するというOL3人組とタクシー相乗りで扇沢へ。登山口を出発して間もなく、展望のない樹林帯の急登となり、登るにつれて左方に後立山の主稜線が時々見えるように。沢筋にはまだ雪がかなり残っており、2ピッチ目後半からは尾根を巻き気味に進みます。道端には亜高山性の野苺・ベニバナイチゴが大粒の真っ赤な実を付けており、手当たり次第に食べながら歩を進めるうち、やがて涼しげなダケカンバか現れてきます。ガイドでは「雪渓を通過」とあり、期待して進むもさすがに夏の終わりということで、ガレ場となっていました。ここから主稜線まですぐかと思いきや、再び急登となり、最後に風の吹き渡る草原に飛び出し、小ぎれいな感じの種池山荘に到着。ここまで来ると、タップリと残雪を湛えた立山が登場。傍には直径数メートルほどの小さな「種池」があり、サンショウウオが多く棲息しています。
ここから爺ヶ岳の主峰・南峰までは一登り、山頂には「爺ヶ岳 2,669.8M」という立派な山名標識があります。爺ヶ岳はこの南峰の他、中峰・北峰の三座からなりますが、トレースを素直に辿れば残りの2峰はスルーして下ることになります。夏山シーズンの名残で、この辺りでは絶滅寸前と言われるコマクサやホタルブクロも咲いています。この日の宿泊地・冷池山荘へ下ると、ここでは「カシマンジャロ」という名のコーヒーなど、受け狙いの商品が種々並んでます。水は1100円という比較的安い値段で売ってますが、satonao1がアルバイトの女子から聞き出したところでは、西に15分ほど下った沢筋から引いている由。山荘から少し離れたテン場にテントを張り、H君は西日を避けて東面のお花畑の傍に寝転びしばし休憩。北方の劔に沈む豪快な夕陽を眺めた後、最近のクセになりつつある花火をボコボコ打ち上げ、ワインを飲んで夜8時にはバタンキューです。
2日目、1:30に起床し、ナメコ・大根・ミツバ入りの味噌雑炊で朝食。これがなかなかの美味でした。この日の行程は非常に長いため、まだ暗い中をヘ電点けて出発。トウヤクリンドウやハクサンフウロなど、盛夏には見られなかった花々が足下に纏わり付くように咲いています。登り着いた鹿島槍南峰にて、寒さに震えながら日の出を待つと、白馬、毛勝、劔、立山、薬師、水晶、鷲羽、槍・穂高、そして中ア・南ア、八ヶ岳、浅間、菅平、北信の山々と日本を代表する名山たちが鮮やかなシュイロニ染まる感動的なご来光が拝めました。やはり「早起きは三文の徳」! 大満足して吊尾根を辿り、北峰にはアッサリ到着。ここから五竜まではひたすら険しい岩場が続く本日の核心部。その第一関門が名物スポット・八峰キレットですが、早朝ということで対向者がいないお陰もあり、コースタイムの3分の1以下でどうということもなくキレット小屋に到着。この小屋は当時ちょうど増築中で、ヘリコプターがせわしなく行き交っています。
ここから五竜まではまだまだ長い道のり。次々現れる岩峰G4、G7などの「G」は、ドイツ語の岩稜を意味する「グラート」の略の由。いつの間にか、後立山名物のガスが安曇野側から湧いてきますが、黒部谷から吹き上げてくる風に押し返され、稜線を越えそうで越えられません。次々立ち塞がる多くの「G」をよじ登り、五竜山頂へと登り着いた時には、2人揃ってバテバテ状態。山頂の三角点は、縦走路からやや西に外れた「立入禁止」のカンバンを少し入った所にありました。
五竜山荘で水を1隼兎れ、次のピーク・白岳をアッサリ巻いて遠見尾根を下ります。右に見えるシラタケ沢から涼しげな沢音が聞こえてきますが、この遠見尾根は相当に不毛なコースで、暑さが身体に堪える上、ひとしきり下っていい加減疲労困憊の終盤になって、結構な登り返しがあったりします。途中、有名な雪渓「カクネ里」の望める小ピーク・中遠見山には、この地で命を落とした登山家の立派な慰霊碑がありました。コース上、目に付いた花はカライトソウ、ハクサンシャジンなど。後半になって、神城から予定より1本早い電車に乗ろう、とH君が突如猛ダッシュをかけますが、結局諦めてsatonao1の顰蹙を買います。
テレキャビン山頂駅に程近い地蔵の頭からは、ゴンドラへの連絡リフトが付けられており、冬場のスキー場さながらに、あちこちのスピーカーからサザンのデビュー曲やレベッカなどの歌声が虚ろに響いています。テレキャビンの車中からも、ピンクや黄緑色のメルヘンなレストハウスが見え、気分はすっかりミーハーです。山麓駅からはペンションやテニスコート、そして古い農家の混在するアンビバレントな光景の中を黙々と神城駅まで歩き、松本の「おかめの湯」で山の汗を流した後、我々は帰京の途に就いたのでありました。長い1日でしたが、残り少ない学生生活のよい思い出となりました。 〈完〉
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