残雪の燕岳
- GPS
- 08:33
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,457m
- 下り
- 1,462m
コースタイム
- 山行
- 3:43
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 5:14
天候 | 1日目 曇り 2日目 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
東横イン松本駅東口 シングルルーム素泊まり:6794円 □往路 JR松本駅5:56発 大糸線信濃大町行 →穂高駅にて下車 ∧羚皹6:40発 南安タクシー中房温泉行き定期バス →中房温泉にて下車 □復路 ・Xのフォロワーさんの運転で塩尻駅まで (運転ありがとうございました、、!) |
コース状況/ 危険箇所等 |
・中房温泉登山口〜第2ベンチ 第2ベンチまではほぼ雪なし。日陰にはわずかに残雪があったが、チェーンスパイクをつけるほどではなかった。 ・第2ベンチ〜合戦小屋 第3ベンチ付近から雪が増え始め、チェーンスパイクを装着。 ・合戦小屋〜燕山荘 合戦小屋から少し登ると森林限界に入るので、ここでアイゼンを装着。登山者が多いのでトレースはしっかりついており、特に問題なく歩けた。燕山荘直前の階段には雪がなく、アイゼンのまま階段を登ることになった。気になる人は手前でアイゼンを外した方がいいかも。 ・燕山荘〜燕岳 東側斜面には雪庇が張り出していたが、登山道にはほぼ雪なし。途中何か所か残雪があったが、1日目の12時台に歩いた時は雪が緩んでいたので、ツボ足のままで問題なかった。一方、2日目の6時台に歩いた時は雪が凍結していて滑りやすく、ツボ足では不安を感じた。 |
その他周辺情報 | ■有明荘 ・日帰り温泉 750円 ※燕山荘宿泊者は割引券提示で100円引き |
写真
感想
前々から泊まってみたかった燕山荘の予約が取れたので、1泊2日で残雪の燕岳に登ってきました。
1日目は高曇りですっきりしない眺望でしたが、2日目は100点満点の快晴。燕はもちろん、残雪の表銀座、裏銀座、立山や後立山までも見渡せる最高の景色を楽しめました。
燕山荘も山小屋とは思えないほどの快適さでした。きれいすぎるトイレに充実メニューの美味しい食事、さらに寝室には仕切り用のカーテンがあったりと、大人気なのも納得。ぜひまた泊まりたいと思いました。
今シーズンの雪山はこれで最後です。
夏山シーズンを目前にして、思い出深い雪山納めになりました。
〜以下山行記録〜
□1日目 中房温泉登山口〜燕山荘〜燕岳
穂高駅から中房温泉行きのバスに乗り、1時間ほど揺られて中房温泉に到着。序盤に雪がないことは知っているので、移動用のスリッポンから冬靴に履き替え、ツボ足のまま出発した。
合戦尾根は相変わらずの急登で気温の高さも手伝い、歩いているとすぐに汗が出始める。たまらずソフトシェルを脱いだ。それでも夏の表銀座(テント泊)の時よりは装備が軽いので、順調なペースで第1、第2ベンチを通過する。
第2ベンチを過ぎたあたりからわずかに残雪が現れたが、チェーンスパイクをつけるほどではなかった。
第3ベンチあたりから雪が増えてきたので、チェーンスパイクを装着する。合戦小屋の少し先までは樹林帯が続くのと、多少緩んではいるが蹴りこめるくらいの柔らかさだったので、アイゼンを着けるほどではないと思った。
10時半ごろ、合戦小屋に到着。
小屋の売店でパンとお汁粉を買い、ベンチで小休止する。急登で疲れた体にお汁粉の甘みが嬉しい。合戦小屋からさらに急登を登ると森林限界になるので、休憩後にアイゼンを履く。思えば唐松岳以来3週間ぶりの雪山だから、装着に少し手間取ってしまった。
合戦小屋を出発し、短い急登を登るうちに展望が開けてくる。残雪を纏った表銀座の稜線と、標高が高くなるにつれて、槍の全体像が浮かび上がってくる。とはいえ思っていたより感動はしなかった。高曇りの鼠色の雲を背景にしているせいで、山肌の白さが今一つ際立たないからかもしれない。
12時頃に燕山荘に到着。小屋の受付をする前にザックをデポし、燕岳に向かう。相変わらずの高曇りだけど、雨が降らない内に山頂を踏んでおきたかった。
燕岳に至る気持ちのいい白砂の稜線を歩く。ほぼ雪がないのでツボ足で問題ない。2か所わずかに残雪があるものの、緩んでいたのでチェーンスパイクを着けるほどではなかった。
12時40分、燕岳に登頂。去年の7月以来2回目になる。
山頂からの景色は相変わらずで、高曇りで四方の山を見渡せるものの、雲のせいでいまいち山の白さが際立たなかった。
記念撮影を済ませた後は燕山荘に戻り、宿泊の受付を済ませる。予約していた者ですと小屋番さんに伝えると、すでに住所が印字された受付票を渡され驚いた。書く必要があるのは名前と年齢だけだった。すごいな、こんなところも効率化されてるのか。
案内された寝室は通路に面して2段あり、部屋と部屋の間は壁で仕切られている。その区画ごとに2人ずつ割り当てられ、自分は2段目の部屋なので梯子を上ると、部屋の中央に隣の人と仕切るためのカーテンがあり感動した。
知らない人と隣り合わせで眠るのは苦手だから、布一枚とはいえ、プライベート空間が確保できるのはありがたかった。
荷物の整理と着替えを澄ませたら、食堂に行きモンブランとコーヒーを注文した。山小屋でケーキが食べられるとは。いたれりつくせりだ。
そのあとは小屋内を散策したり、部屋で本を読んだりして過ごした。17時半から夕食なので食堂に向かうと、山小屋とは思えない充実メニューの食事が待っていた。
ハンバーグや焼き魚、煮物などのおいしい食事に箸が進む。
夕飯の後は電波の通じる談話室に行き、天気予報やXを見て過ごす。窓の外はガスに包まれ全く視界が効かないけれど、明日は快晴予報が出ている。朝日に焼ける燕岳と表・裏銀座が見れそうだと胸が高まった。
19時ごろ寝室に戻る。前日からの寝不足と疲労が重なり、案外すんなりと眠れた。
□2日目 燕山荘〜中房温泉登山口
目が覚めたのは0時ごろだった。
トイレに行き、もう一度布団に入ったけれど、中途半端な時間に起きたせいで寝付けず、2時ごろまで悶々と過ごす。どうせ寝付けないなら夜空を眺めようと思い立ち、ダウンとソフトシェルを着た。
入口のドアを横に引いて外に出ると、冷たい風がメリノウールの手袋を貫通し、指先がかじかむ。たまらずシェルのポケットに手を突っ込んだ。
昨日まで四方を取り巻いていたガスは嘘のように晴れ渡り、見上げると満点の星空が広がっていた。満月とはいかないけれど月も明るい。
燕岳、裏銀座、表銀座が月光を受けて闇から浮かび上がり、幻想的な雰囲気を放っていた。
どうにかして写真に残したいとスマホを取り出し、シャッターを切るものの、撮れたのは真っ暗な写真だけだったので溜息をついた。
それでも諦められずにカメラの設定をいじっていると、夜景モードというものを見つける。最大6秒まで光を取り込めるらしい。さっそく小屋の裏手に回り込み、表銀座にスマホを向けて6秒間待つと、月光を受けて浮かび上がる黒い山肌が撮れた。
もちろんスマホなので大したクオリティではない。
それでも、月光と山という貴重な組み合わせを撮れたことがたまらなく嬉しくて、シャッターを切る指が止まらなかった。
気づけば2時間以上、写真を撮りながら小屋周りをうろうろしていた。これじゃあ不審者だ。次第に空が白み、小屋から宿泊客が一人また一人と出てくるにつれて、東の空がオレンジに染まり始める。
名前も知らない登山者同士が、一斉にひとつの方向を眺めるご来光の時間は、やっぱりいいものだなと思った。
十分に景色を堪能したので小屋に戻り、朝食を食べに食堂に向かう。朝食も相変わらずの充実メニューで、すごく美味しかった。
朝食後はもう一度燕岳に登頂した。
昨日とは打って変わり満点の快晴で、立山や鹿島槍、白馬までもを見渡せる大パノラマに思わず頬が緩む。
鼠色の雲に囲まれていた槍と表銀座も、真っ青な空をバックによく際立っている。山肌に残る雪が日光を反射して、じっと眺めると眩しいくらいだった。
残雪の時期に最高の天気の中、燕岳に来れたことが本当に嬉しい。
燕山荘に戻り、荷物をまとめて下山を開始する。名残惜しさにまた表銀座の写真を撮ってしまった。次に来れるのはいつになるだろう。
雲一つない快晴で、まだ8時台なのに汗ばむ陽気だった。気温が高いせいで雪は緩んでいて、アイゼンを履いていても崩れやすく、バランスを保つのに苦労した。
9時10分ごろに合戦小屋に到着し、アイゼンからチェーンスパイクに切り替える。この先は木の根と雪のミックスになるので、アイゼンでは引っかけやすいしむしろ危険だと思った。
途中、雪がシャーベット状になっているところで滑って転倒した。幸いケガはなかった。それ以外は順調に第2ベンチまで下り、これ以降は雪がほぼなくなるのでツボ足に切り替える。
もう今シーズンの雪山は終わりなのかと、改めて実感して寂しくなった。
11時半に中房温泉に下山。
Xのフォロワーさんの運転で有明荘に行って温泉に入り、そのまま高ボッチ、塩尻駅までお送りいただき、塩尻駅からはあずさに乗って神奈川に帰った。
(運転ありがとうございました!)
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する