Mt.FUJI100(2024)の感想
- GPS
- 29:51
- 距離
- 166km
- 登り
- 6,781m
- 下り
- 6,611m
コースタイム
- 山行
- 22:37
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 23:57
天候 | ☀️ 10~21℃ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
FUJI100(旧UTMF)は毎年コースが変わります。 全体的に林道、ロードがそれなりにあります。山中湖きららから道志山塊に入ると一気に山深くなり、後半の体力的厳しさも重なって過酷さが増します。 あくまで2024のコースの話ですが、タイム上の中間地点の基準は100km地点で、本格的にキツくなるのは山中湖きららからだと思っておくのが良いと思いました。 |
写真
感想
昨年は怪我でリタイア続きだったトレイルランニングレース。初の100マイル完走はMt.FUJI100で達成できました。睡魔と吐き気が辛かった気がするけど、終わってしまえば楽しかったという記憶が残るのが不思議です。
最初に正直に言ってしまうと、トレイルランニングの大会ってあんまり自分の志向とは合っていないという想いも持っていました。本当は決められたコースじゃなくて、自分で決めた道を自分で歩く方が好き。もちろん自分は大したことはないけど、そうやって歩いている人(例えば山野井夫妻)をリスペクトしている。
そもそもランニングでも練習で誰かと一緒に走ったこととかって、本当に一度もない。どちらかというと自分の拘りを突き詰めていくタイプ。人がいると気を遣いすぎてしまうから、一人で山にいるのがいちばん自由になれる。
そこは性格なので今も変わらない。でもトレイルの大会に出るようになって思うのは、他人がいるってすごいってこと。運営、エイド、応援、選手同士の励まし、競い合い。どれも自分一人では生まれない。そういう意味ではチートにも感じるほどの力をもらえる。コース誘導で声をかけてくれるおじさん、急登の先で鈴を鳴らして出迎えてくれる人。吐き気と睡魔の登りでお互いに声をかけ続けた選手たち。小倉山の手前で熱い応援をしてくれたお姉さん。きららのエイドで温かい豚汁をよそってくれたお兄さん。夜中のロードで車を停めてまで声をかけてくれたお姉さん。朝方のゴールを握手で迎えてくれた六花さん。あんたいつ寝てんだ。寝てないのか。
思い出すときりがなくて、自然と感謝が湧き上がってくる。こんなことってなかなかない。一人の山とトレイルの大会の違いはそのあたりにあると今は思っていて、そこが好きなところです。
自分の山を探しつつ、まだまだいくつも100マイルを完走してみたいと思う。
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以下、記憶をたどりつつ、今後のためのメモ。
■スタート~富士宮(25km)
バスで到着してからスタートまで3時間。芝生の上で横になったけど眠れなかった。もし雨が降ったら低体温症になる人がいるんじゃないかと思った。4/26の0:00にスタート。この区間はロードと林道が中心の下り基調25km。送電線の巡視路で真っ直ぐなトレイルが5㎞ほど続く。心拍が140程度を越えないようにゆっくり走った。あんまり記憶がない。
富士宮エイドではあんぱんとバナナ、水分を補給してすぐに出発。サックスでの応援の演奏がとても上手だったのが記憶に残っている。
■富士宮~麓(52km)
ロードを5㎞弱走ってから天子山地を縦走して林道を駆け降りる区間。急登になるけど頑張らないようゆっくり進んだ。前日に仮眠に失敗してしまったのもあってか、既に意識消失して眠りながら歩く。登りは転びにくいから気が緩んで眠くなる。以後、ほとんどのトレイルの登りで睡魔と戦うことになった。下りは集中して脚を省エネしつつ快調に下れた。
麓エイドでは富士宮焼きそばを頂く。まだまだ元気。たまたま隣で補給していた人がNHKの取材に応じていて、滅茶苦茶いいコメントをするのが耳に入る。「これ絶対使われるな」と感じる。自分が話しかけられたら逃げようと思っていたけど幸い(?)そんなこともなく出発。
■麓~精進湖(70km)
オフロードのあと竜ヶ岳への登りと下り、そのあと樹海を通って精進湖に。朝になって晴れたのは素晴らしいけど、暑さも感じるようになる。案の定睡魔で意識が飛んでいて登りで抜かされまくるんだけど、下りになると目が覚めて挽回するパターン。少し脚の疲労を感じ始めるけど痛いところはない。
精進湖ではスープパスタをもらい、水を被って首に濡らしたタオルを巻いて出発。
■精進湖~富士北麓公園(97㎞)
少し樹海を抜けてから国道の緩やかで長い登りを走る。暑い。なるべく歩かず、しかし心拍を上げないように進む。鳴沢から足和田山に向かってのゆったりとした登りでまた寝始める。体力が尽きたのかと思ったけど、下りや平坦地になると目も覚めるし体は動くので単純に眠気の問題のようだと気づく。途中、不意にふくらはぎがブツンと切れるような感覚があったけど、普通に動くので「まあいいか」と無視。既にランナーはまばらになっていて、ほとんど一人で進行。すると追いついてきた人が「大丈夫ですか。少し話しましょうか」と声をかけてくれ、雑談しながら進むと一気に眠気が吹っ飛んだ。これには本当に助けられた。自分一人だと意識が迷宮に入り込んでいくのに、他人がいるってすごいな。
河口湖畔に降りてからもロードが長く、特に北麓公園に向かっての一直線の登りが単調で苦行だった。北麓公園がタイム的には折り返し地点になる。13:32で着いたのでかなりいいペースだ。ドロップバッグを受け取って足のケアと着替えをする。ちょっと胃の気持ち悪さを感じ始める。トイレを済ませて出ようとしたがエイドの出口側にはなくて我慢することになり失敗。
■北麓公園~忍野(113km)
ロードとちょっとしたトレイルのイージーな区間のはずが、体調的には苦しかった。着替えの際にウールのシングレットの上にTシャツを着たのだけど、これが通気性と速乾性が良すぎて着ていないよりも冷えてしまう。お腹がとても弱いので一気に補給が難しくなりペースダウン。忍野エイドについたときはぐったり。無理やり補給したが吐き気を感じ始める。
■忍野~山中湖きらら(122km)
短い区間の登りなのに睡魔と吐き気でとぼとぼ歩く。ほとんど覚えていない。横に揺れながら歩いていたら追いついた人が話しかけてくれて、意識が回復して走れるようになる。甘いものやジェルが体に入らなくなってきた。それでも、きららで出た豚汁にはおにぎりを入れて美味しく食べられた。これが最高だった。既に18時を過ぎて夜がやってきている。ここからが本番だ。気合とカフェインを入れなおす。
■山中湖きらら~二十曲峠(136km)
この区間は体感的にはもっとも長く感じた。道志山塊の中に入っていき、ほぼ登山道だけの区間となる。北麓公園でヘッデンのバッテリーを交換していたのだが、ここで点灯してみるとバッテリーが切れているのに気づく。うげげげげ。充電はしていたのだが、おそらくロックをかけてなかったから中で点灯させたか壊れたか。大失敗。仕方ないので予備ライトを中心に使って節約しながら進む。
明神山への登りはカフェイン大量投入のおかげか初めて睡魔を感じず快調に登れた。しかしその後も登山道のアップダウンがとにかく長い。豚汁のエネルギーが切れた頃、補給ができなくなってガス欠で失速する。この辺になるとほとんどの選手がぐったりしながら踏ん張っている。同じくらいペースの人と声を掛け合うと、不思議とまだまだ走れる。
■二十曲峠~富士吉田(148km)
エイドに着いて吐き気を抑えながらゆっくりコーラを飲んでいると、さっき並走していた方が話しかけてくれる。僕はまだ復活していないけど、この方は元気そうだ。ぼんやりした頭でどこかで見たことのある人だと思ったら、TJAR2022ゼッケン29番の井嶋さんだと別れたあとに気づく。還暦すぎているのに、さすが強い。マネジメント力が凄いのだろう。
早く追いかけたいが、ジェルが全く飲めなくなり、あんぱんも食べられない。コーラとポテチくらいしか手がつけられなくなる。ポテチって何で置いてあるのかと思ったら、こういう時に口に入るのか。
この区間は杓子山への急登があり、コース上の核心部にあたる。とにかく進もう。ほとんど寝ながら一歩ずつ進む。これまでより一層眠い。耐えきれずその辺で転がって5分ほど寝てしまい、寒くなって起きる。鎖場が出てくると警戒するのか意識がクリアになって進める。登り切ったと思ったら杓子山の山頂はその先でがっかり。山頂からは長い下りになるが、下る脚は残っていた。さっきの自分のように意識がなくなりながら歩いている人が前にいたので、話しかけてしばらく並走。いちばんきつい区間をその場にいた4人で励まし合って富士吉田のエイドに着いた。
■富士吉田~北麓公園Finish(166km)
あと18kmだ。そのまま出発できればよかったが、眠気に加えて補給できないのはまずい。まだ一山越えなければいけない。やむを得ず20分だけ仮眠をした。すっきりとまではいかないけど、さっきよりは落ち着く。吉田うどんとコーラが口に入る。あとはゴールだけだ。
夜中のロードを5kmくらい走って、最後の登りとなる霜山を目指す。最後なのでとにかく力を出し切って脚を動かす。唸りながら前の人の光を追いかける。がんばれば標準CTの4割くらいのスピードがまだ出せた。霜山からの下りで、さっき並走していた人達に追いつき、一緒に最後のトレイルを下って富士急ハイランドを越える。
あと5km地点で、29時間が経過した。せっかくなので30時間は切ろうと励まし合う。みんなボロボロだ。北麓公園へは登りなので歩いていたら間に合わない。スパートのつもりで先行してがむしゃらに走るが、膝裏が痛くて脚が曲がらなくなる。これ以上は着いていけず、最後は一人でヘロヘロと進む。あと3kmがあと2km、あと2kmがあと1kmになるのが信じられないくらい遅い。ようやく北麓公園の中に入ると、もう終わるんだなと胸がいっぱいになる。ゴールを超えて、六花さんに握手で迎えられると同時に脚がカクンと落ちてしまう。よく頑張った。今日はもう頑張らなくてもいい。
■完走後
ゴール後は何度か仮眠したり日帰り温泉に入ったりしてゆっくり帰宅した。1日経つと割と元気になっていて早くまた動きたい気分。ただ、左脚の腓腹筋内側がおそらく肉離れになっていて、少し治るのに時間がかかるかもしれない。たぶん中盤にブチっと切れた感覚がしたときのやつ。ハセツネ30で転倒したときに痛めていた箇所だったので治り切っていなかったのだろう。週明けに受診してみる。軽症だったのでパフォーマンスにはほとんど影響しなかったとは思う。やはり長い距離は眠気と補給の影響が大きい。
■よかったこと
・自分のように寒さに弱くお腹がとても弱い人はメリノウールのウェアがいい。暑さに応じてシングレットかTシャツかを変えるといいだろう。
・アルファハラマキは素晴らしい。
・ペースの落ちる後半の夜は、Octaのロングスリーブでちょうど良かった。Primaloft ActiveやAlpha Directなどなら何でも良いだろう。
・ペースは良かった。決して心拍150を越えないように抑えると後半も持つ。
・雨がほぼ降らなかったのもあるが、足にマメは全くできなかった。一度ソックスを変えて保護クリームでケアをしたのがよかったと思う。ソックスはインナーファクトのラミーとアクシオウールの足袋型を使った。
・3月末から始めた姿勢の矯正には劇的な効果を感じた。Garminのデータ上でもストライドがはっきり伸びてきている。もともとO脚傾向で股関節が硬くて、ハムストリングを使えないので前腿外側を使っていたのだとおもう。股関節の可動域って大切。こんなにフォームが変わることがあるのかと驚いた。ハムストリングが負荷を吸収してくれるので、腸脛靭帯炎は起きにくくなったはず。
■反省点
・後半になると補給が全然ダメだった。胃薬でも飲むようにするか。甘くない固形物も持っておきたい。ドロップバッグに塩おにぎりを入れてもいいくらい。
・ここまでの眠気は去年のアルプス縦走でも経験がなかった。前日の睡眠は大切。マルトデキストリンだけじゃなくて果糖も入れるなど血糖値の安定とカフェイン摂取には気をつけたつもりだが効果を感じなかった。
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