会津駒ケ岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.6km
- 登り
- 1,432m
- 下り
- 1,347m
天候 | 晴れ時々ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
その他周辺情報 | 駒の小屋は自炊。自炊室はテーブルを囲んで10人強が丸くなる作りで、食事の後は懇親会になる・・でしょうね。そういうことが苦手な人は、屋外で食べるか、時間を早めにするか、工夫の必要あり。 駒の小屋で桧枝岐の立ち寄り湯の割引券が買える。燧の湯なら1000円→500円になる。 |
写真
感想
9月24日(火) 登山口(国道)11:05〜水場13:25/13:45〜駒の小屋15:26
天気:晴れのちガス
早朝発だと自宅から最寄り駅までバスがなく、30分歩きのアルバイトが辛い。それでも野岩鉄道で旅行気分を味わい10時前に会津の入口にいるのだから便利なものだ。バスは黄色くなりかけたソバ畑の間を延々と走り、前回いつ来たか定かでないくらい久し振りの桧枝岐に到着した。ここまでどんよりとしていた雲が切れ始め、薄い陽射しも差し始める。
車道を少し歩き、近道に入るといきなりの急登だ。ようやく車道に出るとさすが百名山だけあって路上駐車が列をなしている。いよいよ本番の登山道に取り付くと、少しカラマツの植林帯を歩いた後、明るい広葉樹の森に入る。急だが、岩が出たりはしていないので、歩幅を小さくしてゆっくり登ることを心掛ける。30年以上前にスキーで来ているのだが、この急傾斜の樹林をどうこなしたのか不思議だ。
歩き始めから1時間ほど経つとブナ主体の森に変わる。下る人とのすれ違いも多くなった。相変わらず急登は続き、時々左手に雲をかぶった山稜が覗くが、どこかは判然としない。紅葉にはまだ早く、上越でよく見る丸い葉の灌木の一部が赤くなっているだけだった。やがて針葉樹が交じるようになり、傾斜が緩んで左に支尾根が見えると、水場分岐の休み場だった。せっかくなので行ってみると、遠くはないが急下降で一仕事だった(手に物を持たないほうがよい。)しかし水は確かに冷たく美味かった。
ここからは傾斜は緩みいくらか楽になるが、道はぬかるんでいる箇所もある。岳樺が現れるとともに霧が漂い、下りてくる人もいなくなったので静かな山の風情を味わいながら登るのが地味に楽しい。一方で疲れも出てきて、この標高差をスキーを履いて登れた歳が遠くなったことを感じてしまう。木道の更新工事をしている箇所を通過すると、ひょっこりと草原に飛び出した。霧のベールに覆われてはいるが、明るいので陰鬱ではなく爽やかだ。色付き始めた草原を愛でながら進むと、前方に小屋のシルエットが浮かび上がってきた。
まずはビールで一息つき、軽荷で頂上に向かう。30年振りの頂上は有難いことに自分ひとり。その時ここにいた仲間の一人は、次の週に上越国境で行方不明となり、その捜索から終結までは、私の人生の中でも大きな出来事となっている。思いにふけりながらコーヒーを一服。時折りガスの切れ目から中門岳のゆるやかな稜線や燧ケ岳の鋭峰が姿を覗かせる。
夕暮れ時には雲が晴れ、越後駒や中ノ岳の藍色のシルエットを眺め、小屋前のテーブルで夕食を取っていると、早くも頭上に星空が広がってきた。
9月25日(水) 駒の小屋5:33〜中門岳6:49/7:17〜駒の小屋8:07/8:13〜大津岐峠9:36/9:50〜キリンテ登山口12:14
天気:晴れ
晴天の下、燧や越後駒を遠望しながら巻き道を辿る。裏に抜けると緩やかな稜線に大草原が広がる。素晴らしいスケールだ。次々現れる池塘に雲が映り、ついつい足が止まってしまう。ハイマツがあるのも嬉しかった。右には大戸沢岳から三岩岳へ黒々とした尾根が延び、行く手の草原の上にはあまり馴染みのない奥只見の山々が中々険しい山容で連なっている。今後行く機会があるだろうか。中門岳の標柱のある大きな池から木道はさらに先に続いており、行ってみると丘の上の池を巡って終点となっている。四周の大観を独り占めしながらコーヒーを飲む。幸せなひと時だ。
帰り道も陽が高くなると草原の色合いが変わり、飽きることなく歩いて小屋に戻った。疲れ具合を見て、予定どおりキリンテを目指す。小屋の裏から樹林の中を急下降する。前日の道と比べると一段とか細いが、迷うようなことはない。地図から平坦な尾根歩きを予想していたが、踏み跡は尾根を右へ左へと渡り返し、意外に険しい。ずっとこれだと嫌だなと思っていると、松の木の生えた小岩峰を越えた先でようやくなだらかな道になりホッとする。正面の燧に向かい、おおむね尾根の左(東)側の笹原をトラバースしていく。風がやや強く、暑くないので助かる。谷の下には国道が走っているはずだが見えず、遠くの送電線のほかには人工物が目に入らないのが気持ち良い。後ろには会津駒が遠く高くなり、駒の小屋が青空に突き出るように望まれる。再び二、三の草原が現れるが、さすがにもう腹一杯の気分だ。少しの登りで大津岐峠の広場に着いた。
左右に翼を広げたような会津駒の眺めもここでさよなら。靴ひもを締めなおしてキリンテへの下りにかかる。岳樺の交じる針葉樹林の樹間から御池への稜線の笹原が高くなっていく。ブナが出てくると道はターンして、思いがけずゆるやかな直線が続く。地図で傾斜のきつそうな所も道は適度なジグザグを切って歩きやすい。滝沢ルートより、特に下りには良いと思った。ほぼ麓まで周りはブナの森となり、素晴らしい巨樹が連続して飽きることがない。この道のおかげか、あまり疲れを感じることなく、締めは沢沿いをしっとりと歩いて国道に下り着いた。キャンプ場の売店でビールを仕入れ、満足感に浸りながらバスを待った。桧枝岐で下車し、燧の湯で汗を流し、次のバスで長い帰途に就いた。
中門岳の稜線は草紅葉の最盛期には少し早かったが、評判に違わず素晴らしい景観と雰囲気だった。ぜひ花の時期にも訪れてみたい。
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