朝日連峰 / 三面川岩井又沢中俣沢
- GPS
- 98:30
- 距離
- 33.3km
- 登り
- 1,566m
- 下り
- 1,340m
コースタイム
8/12(木) 6:20ウデコエ沢出合-9:10畑沢出合C2(沢中泊)
8/13(金) 6:40畑沢出合-18:30中俣沢ゴルジュ帯C3(沢中泊)
8/14(土) 5:30中俣沢-8:00東俣沢出合-12:00稜線-12:30竜門小屋C4
8/15(日) 5:30竜門小屋-8:00日暮沢小屋-10:30大井沢温泉
天候 | 8/11(水) 晴 8/12(木) 曇のち雨(台風通過) 8/13(金) 晴のち曇 8/14(土) 雨 8/15(日) 雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
8/10 東京=(上越新幹線)=新潟 8/11 新潟=(JR白新線)=村上=(タクシー)=奥三面ダム車止め 【復路】 8/15 大井沢温泉=(タクシー)=寒河江=(JR左沢線)=山形=(山形新幹線)=東京 |
コース状況/ 危険箇所等 |
岩井又沢入渓までと、竜門小屋以降は竹ノ沢パーティーと行動 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-74241.html ・日中はアブ、メジロに大量に襲われるものの、例年よりは少ない模様。(防虫ネット必須) ・雪渓は今回ガッコ沢手前の一箇所のみ。 ・エスケープ少なく、中俣沢より先は増水時非常に危険。 ・畑沢はエスケープに利用可能。 ・ガッコ沢出合〜東俣沢出合付近は高巻きの見極めが重要。 ・日暮沢小屋からの林道は、増水時は車通過不能になる。(下手したら人間も渡渉不可) 【ザイル使用箇所】 ・F1左岸高巻きリード。 ・F2左岸高巻きリード。 ・中俣沢内の小滝を右岸高巻きリード。 ・ガッコ沢出合手前雪渓回避の為、左岸上部から50m懸垂。 ・ガッコ沢出合でガッコ沢最初の滝の右壁をリード&高巻き後に確保しながら下降。 ・中俣沢4m滝の右岸巻きリード&高巻き後に50m懸垂。 ・20m滝右壁リード ・トポ不明地帯の大高巻きでのルンゼ通過でFix数回&50m懸垂。 ・2段20m滝右岸高巻き後の50m懸垂。 ・東俣沢出合付近での増水回避高巻き後の懸垂。 |
写真
感想
○8/11(水) 晴れ 〜ウデコエ沢出合C1
新潟駅で夜を明かし、始発で村上駅へ。その後、ジャンボタクシーで奥三面ダムへ向かう。
ここからぶなの美しい登山道を小一時間歩くと、岩井又沢出合に到着。エメラルドブルーの静かな流れに思わず息を呑む。
ここで竹ノ沢パーティーと別れ、沢支度。
ルンゼを懸垂で下降し、いよいよ岩井又沢に入渓。
ここでいきなり朝日の沢の昼の番人「アブ」の襲撃に合う。速攻で流血の大惨事に至ったので、急遽防虫ネットを被り防御に徹する。
歩いても歩いても、マークに定評のある奴らを振り切ることは不可能。これでも今年は少ないらしい…。
大きな釜を抱えた小滝ではハンマー投げで突破しようとするがハンマーが抜けて失敗。おとなしくザイルを出して右から巻く。
釜を覗くと小魚がわらわらいたので、釣り竿を出して即ゲット。ただし、余りにも小さいのでリリースする。
小魚の群れの中に大きなイワナの影も見え隠れするが、用心深くて餌には食いつかず。
その後もたまに泳ぎも交えながら、小滝を全て右から巻き、16:00ウエデコ沢出合いで行動終了。ゲットしたイワナを刺身にして食す。
幕場についても当然アブの襲撃の手は止まないが、特に夕暮れ時の最後の追い込みは壮絶であった。
日が沈んで次第に数が減り、ようやくリラックスできるかと思いきや、今度は薮蚊の大群の襲来。
気にしたら負けなので、防虫ネットを被り、アルコールで眠りの世界へエスケープ。
○8/12(木)曇りのち雨 6:30C1〜9:40畑沢出合いC2。
目を覚ますと満点の星空。幾つもの流れ星が、朝日の山々の上を流れていく。
夜勤明けの薮蚊に御退場願いながら身支度を整え出発。
今まで河原状だった沢はゴルジュ状に徐々に変化し、やがて巨岩帯の通過となる。
大きな岩の中を縫うようにしながら突破し、3時間程度で畑沢出合到着。
この日は午後から台風が通過する予定だったので、畑沢エスケープを念頭にいれながら、ここで行動終了。木々に覆われた高台に鉄壁の防御陣を敷き、台風の襲撃に備える。
昼からずっと暇なので、釣りをするが1匹しか釣れず。焚き火で塩焼きにして食していると、14時頃から激しく降り出したのでタープへ避難。雨風共にそれなりに強烈だった様だが、木々に守られて快眠。
○8/13(金)曇り: 6:40 C2〜18:30中俣沢ゴルジュ内C3
朝起きると、懸念していた水量は平水とほぼ変わらず。台風は夜の内に通過した様で、天気もそれほど悪くない。
昨日の時点では畑沢エスケープが濃厚だったが、予定通り中俣沢へ突入することとする。
ガッコ沢手前付近で今回唯一のスノーブリッジに遭遇。出口付近に小滝もある様なので、右岸を登って50m懸垂で雪渓切れ口にピンポイントで降りて回避。
ガッコ沢出合からすぐ先は登れない滝が聳えているので、まずはガッコ沢の滝を登り、そのまま高巻く。
沢に降りてからもすぐに、釜の深い4m滝が出現するので、左側の草付きをリードで登り、小尾根を越えて50m懸垂。
この後の20m滝はアクアステルスの強烈フリクションや、ザイルでのリードなどで普通に登る。
その後トポで不明となっている地点に差し掛かり、目前の登れない滝を右から高巻き+懸垂で回避しようと登ると、その先に登れそうにない連爆帯が視界に飛び込む。時間も15時過ぎで、このままゴルジュ帯にいる訳には行かないので、大高巻きを決行。
3時間半かけて、急な斜面をルンゼを三つほど越しながら藪漕ぎで前進。疲労困憊で最後の懸垂を降りると、ちょうど視界が夕闇に包まれた。
増水したらすぐに水没しそうな河原であるが、この先もゴルジュは続くようなので、無理やり整地してビバーク。大量の薮蚊が防虫ネットの隙間を縫って攻撃して来て、大変煩わしい。
夜中にポツポツを雨が降るが、朝方にはなんとか止んでくれた。
○8/14(土) 雨 5:30C3〜8:00中俣沢東俣沢分岐〜12:00稜線〜12:30竜門小屋
予報では昼から大荒れの予想なので、朝飯を各自レーションで済まして早々に出発。増水はしてないが、出発後すぐに雨が降り出して安心はできない。
2段20mは左から高巻き+懸垂で回避。この頃から徐々に雨足が強まり、中俣沢と東俣沢の分岐付近で急激に沢が増水。渡渉すらも困難で、下手をすると濁流に巻き込まれる恐れも。
二日前に台風が通過したばかりなので、おそらく山域の保水力が飽和点ギリギリまでに達しており、その為降った雨がすぐに沢に流れこんできたのであろう。
これ以上の遡行は危険と判断し、ここで沢登りは打ち切り。中俣沢と東俣沢を分ける尾根を、藪漕ぎで稜線に抜けることにする。
渡渉可能地点を見極めて尾根の登り口に取り付き、ここからはひたすら藪漕ぎ。
標高差600mを4時間で無我の境地に至りながら漕ぎ続け、なんとか稜線の登山道に感動の到着。後は登山道をサクっと10数分歩き、竜門小屋到着。
小屋では竹ノ沢パーティーがすでに昨日の時点で到着していたとの事で、温かいティーの施しを受ける。その後はパスタの味付け凝ってみたり、シュリンゲであやとりをしたり夜までダラダラ。
暴風雨の中、虫の襲来も増水の心配も無い天国の様な環境で、朝日での最後の一夜を過ごす。
○8/15(日) 雨 5:30竜門小屋〜8:00日暮沢小屋〜10:30大井沢温泉
小屋の主人に見送られながら出発すると、外は相変わらずの暴風雨。
沢筋では濁流の流れる轟音が響いており、昨日のうちに稜線に抜けておいて良かったと改めて実感。
日暮沢小屋には二時間半でサクっと到着。後は軽い林道歩きかと思いきや、いきなり濁流で渡渉可能というまさかの罠。
ザイルで安全に渡渉するものの、その後の林道も終始濁流に侵食されており、とてもではないがタクシーの来れる状況ではない。林道沿いに流れる根子川の濁流も尋常では無い様相を呈している。
また、ここでもメジロに大量に襲撃され、最後の最後まで朝日の自然の過酷さを体感。ここまで執拗に責め立てられると、山の神の意思を感じざるを得ない。
大井沢温泉まで11knを延々歩き、5日間の汗を流した後、虫刺されで腫れ上がった身体を見て大変凹んだ。
コメント
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岩井又沢といえば、朝日きっての険谷なれど尺イワナの宝庫だと聞いたことがありますが、今でもそうなのかな?
ハンマー投げに失敗したところですが、以前真下まで取り付いて強力な吸盤で這い上がろうとしている写真を見たことがあります。効果のほどはわかりませんけど・・
これからもどんどんチャレンジしてもらいたいけど、伸び盛りの若者が命を落としているケースもあるので、慢心せずリスク管理も怠りなく楽しんでくださいね。
コメントありがとうございます!
尺イワナはハンマー投げのところの淵に潜んでいるのが見えましたね〜。
釣りスキルの低さで釣果はさっぱりでしたが…。
魚影を追っている限りでは、イワナの宝庫という感じではありませんでしたが、実際のところどうなんでしょうね。
今後もリスク管理を怠らず、充実した沢ライフを満喫していきたいと思います
最後は増水ですか。でもきれいな沢ですね。山を始めた30年前。あこがれの朝日連峰。今年は水も多そうで沢はもう終わりかも^^一度小渋川が増水してて、大変な思いをしました。怖かった〜
岩井又沢は奥三面ダム付近の下流部が特に綺麗です。
上流域はゴルジュ地形が多く、嶮谷というイメージ。
八月の朝日はメジロが凄いので、沢旅を堪能したいなら七月か九月ですね。
増水した沢は本当に怖いですが、そう行った危険とも上手く付き合いながら、沢旅を楽しみたいものです。
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