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Yamareco

記録ID: 7689643
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
塩見・赤石・聖

厳冬期の光岳は踏み抜き地獄

2025年01月12日(日) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 長野県 静岡県
37拍手
体力度
7
1~2泊以上が適当
GPS
26:59
距離
26.3km
登り
2,421m
下り
2,431m
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20 km
歩くペース
ゆっくり
1.41.5
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
17:33
休憩
1:43
合計
19:16
距離 13.9km 登り 2,128m 下り 319m
2:41
53
3:34
3:46
88
5:14
5:16
52
6:08
165
8:53
9:14
85
10:39
10:58
222
14:40
14:48
287
19:35
20:08
73
21:21
21:29
28
日帰り
山行
7:37
休憩
0:09
合計
7:46
距離 12.5km 登り 292m 下り 2,112m
5:29
92
7:01
7:06
169
9:55
27
10:22
10:24
43
11:07
11:08
25
11:33
49
12:22
12:23
52
天候 1日目:快晴/弱風
2日目:曇天/風あり雪→薄曇り→雪→霰
過去天気図(気象庁) 2025年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
多治見駅からカーシェア利用
中央自動車 飯田山本IC-三遠南信自動車道 龍江IC・喬木IC-下栗の里-芝沢ゲート駐車場
※芝沢ゲート駐車場のお手洗いは冬季閉鎖中のため利用できません。
コース状況/
危険箇所等
芝沢ゲート-易老渡登山口:道路歩き。滑り止め無しでも歩けるが、凍結箇所があるので転倒注意。落石も注意。

易老渡登山口-面平:急登をくねくね登る。薄雪が乗って滑る感覚があったので12本爪アイゼンを着けた。最適なのはチェーンスパイク。

面平-三角点:急登が続く。徐々に雪が深くなっていき、足が沈むようになる。人間のものと思われる踏み跡があったが、しっかり沈んだ。

三角点-易老岳:間のコルがとても急で、しかも両側が急斜面になっているため、アイゼン推奨。

易老岳-三吉平:踏み跡無し。踏み抜いて腰付近まで沈む箇所がほとんどだった。

三吉平-イザルガ岳分岐:沢状の部分に道がある。変わらず踏み抜きはひどい。徐々に木が少なくなり、開けた場所を歩くようになる。雪崩地形

イザルガ岳分岐-光岳小屋:傾斜は少ないが、変わらず踏み抜きは多い。

光岳小屋-光岳:ほとんど樹林帯の中を歩く。最後まで踏み抜きがひどかった。
その他周辺情報 下栗の里:「日本のチロル」と呼ばれる景勝地。聖岳や上河内岳など南アルプスの山々も見える。

天龍峡:飯田市の名勝

昼神温泉:長野県下伊那郡阿智村にある有名な温泉地。中央自動車道の園原IC(名古屋方面のみ)に近い。
愛知県出張が終わり、名古屋で腹ごしらえです。

栄の「黒豚屋らむちぃ」で味噌カツ定食をいただきました。
※ネギは標準量です。
2025年01月10日 19:45撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
2
1/10 19:45
愛知県出張が終わり、名古屋で腹ごしらえです。

栄の「黒豚屋らむちぃ」で味噌カツ定食をいただきました。
※ネギは標準量です。
中央線で多治見駅まで行き、ここから運転です。
2025年01月10日 20:57撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/10 20:57
中央線で多治見駅まで行き、ここから運転です。
芝沢ゲートから道路を歩き、1時間弱で易老渡登山口まで着きました。
2025年01月11日 03:34撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1
1/11 3:34
芝沢ゲートから道路を歩き、1時間弱で易老渡登山口まで着きました。
登り始めは薄雪です。
登山道に沿って動物の足跡がありました。
2025年01月11日 04:30撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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登り始めは薄雪です。
登山道に沿って動物の足跡がありました。
少し滑る感覚があったので12本爪アイゼンを着けました。
最適なのはチェーンスパイクだと思いますが、持参していませんでした。
2025年01月11日 05:06撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/11 5:06
少し滑る感覚があったので12本爪アイゼンを着けました。
最適なのはチェーンスパイクだと思いますが、持参していませんでした。
面平までは順調に進めました。
2025年01月11日 05:15撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/11 5:15
面平までは順調に進めました。
夏山が前提としても、やや強気な時間設定な気がします。
…ただし、「光岳に登りに来るような人」と考えればこれくらいが妥当なのかも。。
2025年01月11日 05:18撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1
1/11 5:18
夏山が前提としても、やや強気な時間設定な気がします。
…ただし、「光岳に登りに来るような人」と考えればこれくらいが妥当なのかも。。
まだまだ積雪は薄いです。
2025年01月11日 05:34撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/11 5:34
まだまだ積雪は薄いです。
明るくなってきました。
2025年01月11日 06:23撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1
1/11 6:23
明るくなってきました。
姿勢を落として這った方がよさそうです。
2025年01月11日 06:25撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/11 6:25
姿勢を落として這った方がよさそうです。
這った方が楽でした。
2025年01月11日 06:28撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 6:28
這った方が楽でした。
向こうの連なりは中央アルプスか。
2025年01月11日 07:13撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 7:13
向こうの連なりは中央アルプスか。
雪が深くなってきました。ワカンを着けます。
2025年01月11日 07:29撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 7:29
雪が深くなってきました。ワカンを着けます。
人の足跡のような気がしますが、この上を歩いても沈みます。
2025年01月11日 07:48撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 7:48
人の足跡のような気がしますが、この上を歩いても沈みます。
兎岳と聖岳と思われる。
2025年01月11日 08:43撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 8:43
兎岳と聖岳と思われる。
太陽が見えてきました。
2025年01月11日 08:45撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 8:45
太陽が見えてきました。
三角点付近
2025年01月11日 08:54撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/11 8:54
三角点付近
三角点を過ぎると痩せ尾根になりました。
踏み跡はトラバース気味ですが、自分は直進を選びました。
2025年01月11日 09:00撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 9:00
三角点を過ぎると痩せ尾根になりました。
踏み跡はトラバース気味ですが、自分は直進を選びました。
三角点と易老岳のコルが核心部で、滑落注意の看板があります。
木を使ってワカンでも行けなくはありませんでしたが、12本爪アイゼンが確実です。
2025年01月11日 09:02撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 9:02
三角点と易老岳のコルが核心部で、滑落注意の看板があります。
木を使ってワカンでも行けなくはありませんでしたが、12本爪アイゼンが確実です。
ワカン使用でも膝まで沈みましたが、なんとか易老岳まで着きました。
2025年01月11日 10:34撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 10:34
ワカン使用でも膝まで沈みましたが、なんとか易老岳まで着きました。
易老岳はいい天気です。
2025年01月11日 10:37撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 10:37
易老岳はいい天気です。
東北の樹氷ほど雪に覆われてませんが、モンスター感があります。
2025年01月11日 11:09撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
3
1/11 11:09
東北の樹氷ほど雪に覆われてませんが、モンスター感があります。
易老岳からの下りで見えたイザルガ岳・光岳。

…こうして見るとそこまで遠くはないし、日没前後には小屋まで着ける気がしていました。
ここから先、腰付近まで沈むことが多くなり、なかなか先へ進めなくなりました。
2025年01月11日 11:24撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 11:24
易老岳からの下りで見えたイザルガ岳・光岳。

…こうして見るとそこまで遠くはないし、日没前後には小屋まで着ける気がしていました。
ここから先、腰付近まで沈むことが多くなり、なかなか先へ進めなくなりました。
中央アルプス方面。おそらく大きな山が恵那山です。
2025年01月11日 11:35撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 11:35
中央アルプス方面。おそらく大きな山が恵那山です。
到着予想が遅れ続け、ようやく三吉平付近に着きました。
2025年01月11日 14:20撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 14:20
到着予想が遅れ続け、ようやく三吉平付近に着きました。
三吉平からの上りも沈み続けます。
この登りの途中で日没を迎えてしまいました。
2025年01月11日 15:36撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 15:36
三吉平からの上りも沈み続けます。
この登りの途中で日没を迎えてしまいました。
すっかり夜になってしまい、ようやく小屋に着いたのが19時半頃。
荷物を置いて山頂へ着いたのが21:20です。

最後まで踏み抜きに苦戦し、来るものを拒み続けているようにさえ感じられました。
2025年01月11日 21:20撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/11 21:20
すっかり夜になってしまい、ようやく小屋に着いたのが19時半頃。
荷物を置いて山頂へ着いたのが21:20です。

最後まで踏み抜きに苦戦し、来るものを拒み続けているようにさえ感じられました。
帰りは自分の踏み跡があるにしても、前日の行程を考えると相当早く出発しないと今日中に東京へ戻れそうにない。。

…ということで1時起床にしようとアラームを設定したものの、まったく気づかず起きられたのは4時半でした。
ようやく5時半頃に出発し、イザルガ岳分岐を過ぎたころに明るくなりました。
目の前は南アルプスです。
2025年01月12日 06:50撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 6:50
帰りは自分の踏み跡があるにしても、前日の行程を考えると相当早く出発しないと今日中に東京へ戻れそうにない。。

…ということで1時起床にしようとアラームを設定したものの、まったく気づかず起きられたのは4時半でした。
ようやく5時半頃に出発し、イザルガ岳分岐を過ぎたころに明るくなりました。
目の前は南アルプスです。
昨日の自分の踏み跡の上に足を載せても沈みます。
むしろ踏み跡が崩壊します。
2025年01月12日 08:06撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 8:06
昨日の自分の踏み跡の上に足を載せても沈みます。
むしろ踏み跡が崩壊します。
上りで沈むのがとにかく辛いです。
2025年01月12日 08:54撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 8:54
上りで沈むのがとにかく辛いです。
さらば光岳
2025年01月12日 09:02撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 9:02
さらば光岳
ようやく易老岳まで戻りました。
心理的にはだいぶ楽になりました。
2025年01月12日 09:56撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 9:56
ようやく易老岳まで戻りました。
心理的にはだいぶ楽になりました。
細い道に注意。
2025年01月12日 10:15撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 10:15
細い道に注意。
三角点まで戻りました。
2025年01月12日 10:23撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 10:23
三角点まで戻りました。
まだ多少は沈むものの、大きな時間のロスはなくなりました。
2025年01月12日 10:29撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 10:29
まだ多少は沈むものの、大きな時間のロスはなくなりました。
5人組パーティーの方とすれ違いました。
今回初めて人を見かけました。
足が沈んで時間がかかって仕方ないということと、自分の踏み跡を信用しないでほしい旨をお伝えしました。
2025年01月12日 11:07撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 11:07
5人組パーティーの方とすれ違いました。
今回初めて人を見かけました。
足が沈んで時間がかかって仕方ないということと、自分の踏み跡を信用しないでほしい旨をお伝えしました。
ここまで戻ればもう少し。
かなり雪は薄いです。
2025年01月12日 11:32撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 11:32
ここまで戻ればもう少し。
かなり雪は薄いです。
ここに来て疲れが一気に押し寄せ、足が震えるようになりました。
2025年01月12日 12:13撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 12:13
ここに来て疲れが一気に押し寄せ、足が震えるようになりました。
ようやく登山口まで戻ってきました。
2025年01月12日 12:22撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 12:22
ようやく登山口まで戻ってきました。
あとは道路歩きです。霰が降ってます。
凍結した上に薄雪が乗っていることがあり、一回滑って転びました。
2025年01月12日 12:22撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 12:22
あとは道路歩きです。霰が降ってます。
凍結した上に薄雪が乗っていることがあり、一回滑って転びました。
小さな氷瀑
2025年01月12日 12:46撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 12:46
小さな氷瀑
これまたいい眺め。
2025年01月12日 12:53撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 12:53
これまたいい眺め。
ようやく戻ってきました。
2025年01月12日 13:14撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
1/12 13:14
ようやく戻ってきました。
帰りは昼神温泉へ行き、下山メシはソースカツ丼にしました。
2025年01月12日 18:07撮影 by  iPhone SE (2nd generation), Apple
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1/12 18:07
帰りは昼神温泉へ行き、下山メシはソースカツ丼にしました。

装備

個人装備
長袖シャツ 長袖インナー ハードシェル タイツ ズボン 靴下 グローブ アウター手袋 予備手袋 防寒着 ゲイター バラクラバ 着替え ザック アイゼン ワカン ストック スノーバスケット ピッケル 昼ご飯 行動食 飲料 水筒(保温性) ヘッドランプ 予備ヘッドランプ 予備電池 GPS 日焼け止め ロールペーパー 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ポール テント テントマット シェラフ
備考 ワカンの効果は感じられなかった。ピッケルは無くてもいい気がする。

感想

厳冬期の光岳に挑戦しました。

結果的に事故や怪我もなく行って帰ってくることはできたのですが、計画が破綻していました。
恥さらしだとは思いますが、真似する人がいないよう失敗事例として公開することにします。

【当初の計画】
<1日目>
1:00芝沢ゲート
2:30易老渡登山口
11:30易老岳山頂
12:30三吉平
14:00イザルガ岳
14:30光岳小屋
15:00光岳
15:30光石
16:00光岳
16:30光岳小屋

<2日目>
7:00光岳小屋
9:30易老岳
13:30易老渡登山口
15:00芝沢ゲート

※1日目を終えた段階で下記に変更
1:00光岳小屋
8:00易老岳
11:00易老渡登山口
12:00芝沢ゲート

【結果】
<1日目>
2:41芝沢ゲート → 面平までかなり順調に進むも、雪が深くなりペースダウン。ワカンを着けたが容赦なく足は沈んだ。
10:39易老岳 → この時点で16:30くらいには光岳小屋に着けると見込んだものの、ルート取りと踏み抜きに大苦戦し到着予想が下方修正を続け、イザルガ岳分岐に着く頃には完全に夜となった。
こののち光岳小屋前の樹林帯で道を誤り、更に時間をロスした。
19:35光岳小屋 → この状況で登頂するか悩んだが、向かうことにした。正確な道を歩けず、さらに最後まで踏み抜きに苦しめられた。この結果、山頂着は21:21となった。

かろうじて体力こそ持ったものの、すっかり気力は無くイザルガ岳山頂と光石は断念した。

<2日目>
5:29光岳小屋 → 寝坊により出発が大きく遅れただけなく、いきなり大きく道を間違えてしまい、早くも時間をロスした。
足の装備は小屋から登山口まで12本爪アイゼンで通した。自分の踏み跡を狙って歩いたが、やはりそれでも踏み抜いた。
それでも下りがメインだったこともあり、心配したほどの時間はかからず進むことができた。
9:55易老岳 → 徐々に歩きやすくなっていったこともあり、ここからは順調に進むことができ、13:15には芝沢ゲートへ辿り着くことができた。

【アクシデント】
・1日目の夜明け前の時点で誤ってカーボン製ストック1本をアイゼンで踏んでしまい、使用できなくなった。
⇒1日目はピッケル+残りのストックで対応。2日目はストック1本のみ使用。

・充電器を2つ持参したものの途中でケーブルが断線したらしく、充電できなくなった。充電できなくなったのが2日目昼前のタイミングであったので影響は少なく済んだ。

・1日目の日没後に木の枝にぶつかりヘッドランプを落としてしまったが、満月の3日前で開けた場所はかなり明るく、しばらく気付くことができなかった。予備を持ってきていたために助かった。(翌朝、落としたヘッドランプが光り続けていたために容易に発見することができた)
※昨年11月の六甲全山縦走大会時にヘッドランプを家に忘れてしまい、三ノ宮駅前で急遽購入していたために持っていました。予備が大切なのはその通りなのですが、この時家に忘れていなければ持っていなかったと思います。

・風を感じる場面がほとんどなく、短時間なら素手になっても冷たくならないことからグローブを外してしまうことが多かった。この結果、親指と人差し指がすっかり荒れてしまい、とにかく痛くて仕方ない。

…一方で、冬季避難小屋があったこと、両日とも風の影響はほとんど無かったこと、どうにか体力は持ったこと、喉が渇くことも少なく食料・飲料ともに余る程度だったこと、寒さに震えることもなかった点は、大きく有利に作用したと思います。


【感想】
訪問ハードルの高い南アルプス南部。
特に、悪沢岳・赤石岳・聖岳・光岳を縦走しようとすると位置関係的にネックになるのが光岳です。
結局昨年の夏は南アルプス南部へ行けなかったし、今度の夏に計画するにしても簡単でないのはわかりきっています。

一方で、調べてみると冬に登っている人もいるようです。
夏なら単体で登るのは勿体なく感じてしまうのですが、冬なら自分を納得させることもできます。

気になる三連休の天気予報も悪くはありません。
夏でも距離が長いことは有名だし、ラッセルが大変で覚悟が必要だということでしたが、これらを理解した上で、この土日で挑戦することにしました。


腹ごしらえと買い出しを済ませ、芝沢ゲートの駐車場に着いてみると、他に車はありません。
今まで登った山で完全に自分ひとりしかいないということは無く、きっと後続の方が現れると思っていたのですが、一向に人の気配は感じられません。

易老岳から先は完全にまっさらな雪です。膝上を越えて腰辺りまで沈んでいきます。
また、大きく道を外れないにしても、最適解を探しながら進まなくてはいけない点も難易度を上げていきます。
誰か人に会えることを期待してしまったのですが、とうとうこの日は誰にも会うことはありませんでした。
今回最大の失敗は、単独行動で臨んでしまったことだと思います。

到着予想は下方修正を続け、小屋に着いたのは出発から17時間後です。
寝る時間や、翌日中に帰ることを考えると目的地自体も見直さないといけません。
光石とイザルガ岳は早い段階で諦めましたが、山頂へ向かうかどうかはかなり悩みました。

潔く小屋を最終地点とするのが客観的には正解な気がしますが、向かったのは意地だったと思います。

最後の最後まで踏み抜きに苦しめられ、途中身動きも難しくなるくらいでした。
山頂に到達できても、普段のような気持ちのいい達成感とは違います。
まるで来るものを拒み続けているようにさえ感じられます。

それでも小屋上部から見えた雲の無い景色は見事です。
月明かりに照らされた雪原の向こうに、赤石岳や聖岳が恐ろしいくらいにくっきりと厳めしい姿を見せています。
そして南側に見えている夜景は静岡県の市街地でしょうか。
こんなに人里離れた山深い場所から海に近い街(おそらく)が見えているとは、想像もしませんでした。
綺麗に写真に収められないのが悔しくて仕方ありません。
(あいにく翌日の出発時は雲の中でした)

どうにか2日目は心配していたほど時間はかからず、面平の手前で5人組パーティーの方とお会いすることができたときには心底安心し、下山直前で一気に疲れが押し寄せました。

無事に下山できたのはよかったし忘れられない体験になったと思いますが、人様には到底お勧めはできません。
最終的には自己責任であるにしても、この時期にソロで一泊二日を前提にしない方がいいです。

そしてどうにか無事でいられたのは、冬季避難小屋の存在が何より大きいです。
テントに泊まるのもいいかもしれませんが、安心感が段違いです。
冬季休業期間中に荒らされてしまった小屋の報道もある中、それでも開放いただいているのは感謝しかありません。

今回はイザルガ岳も光石も行けませんでした。
ぜひ夏の営業中に訪問し、直接お礼を言いたいです。
本当にありがとうございました。

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