イチャンコッペ山


- GPS
- 02:58
- 距離
- 7.3km
- 登り
- 626m
- 下り
- 634m
コースタイム
- 山行
- 2:53
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 2:58
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
北海道への旅行の最終日、この日は午後の遅くとも15時にはレンタカーを返却し、新千歳空港に戻る必要があるので、短い山行に限られる。宿泊先に近いこともあり、イチャンコッペ山を山行先に選ぶことにする。本州ではあまり知られていない山に思われるが、なだらかで好展望の稜線が続き、北海道ではかなりの人気の山のようだ。
イチャンコッペという山名はこの山の東麓を流れ石狩川に注ぎ込むイチャンコッペ川に由来する。アイヌ語でイチャンは鮭や鱒の産卵場、コッペとは急流の川を意味するらしい。通常、川の名称が山に由来することが多いが、山名が川に由来するとは珍しいが、川の名称は明らかにアイヌの文化を象徴しているように思える。
スノーシューのストラップが前日の山行で切れて、スノーシューが使用する山行が難しいのだが、いずれの山も前日の土曜日にはそれなりに多くの人が登っておりトレースが十分に形成されいることが予想されるので、スノーシューが不要であることが期待される。
問題は天気である。しばらく前まではこの日は曇りの予報であったが、前日の予報では午後に晴れ間が覗く予報に変わる。前夜の支笏湖の温泉からは綺麗に星空が見えていたが、朝に起き出してみると空にはすっかり雲り空が広がっている。それでも雲の高さは十分に高いと思っていたが
朝食をとっているうちに、雲の高さが急速に下がり、支笏湖の対岸の風不死岳はみるみるうちに山麓に至るまで雲の中に飲み込まれていく。
それでも登山口となる幌美内展望台に到着すると、急に上空には青空が広がり始める。対岸の風不死岳の再び雲の中から姿を現した。展望台には既に5台の車が停められていた。まずは登山口の様子を確認しに行くと、大きなスノーボードを背負ったカップルが出発してゆくところだった。予想通りしっかりとしたトレースが完成されており、スノーシューがなくとも登れそうだ。
車に戻り準備をしていると、スノーシューのカップルが出発して行かれる。登山口からはしばらくは急登であるが、150mほど登ると急に斜度が緩くなり、幌平岳という山名の△718.1mのピークの東側斜面をトラバースする。斜面にはほとんど樹木がないが、これは春になって雪が緩むと雪崩が多発する可能性が高いそうだ。雪は十分にしまっており、少なくとも現在はその危険性は少なそうだ。
斜面からは正面には紋別岳、背後に支笏湖を挟んで対岸の風不死岳の展望が大きく広がる。左手には雪原が広がるピークが見えるが、イチャンコッペ山の前衛のp785あるいは八号目と呼ばれるピークである。行手にはp614mとca630mと二つの小ピークが連なるが、トレースは北側斜面をほぼ水平にトラバースしてゆく。
P785の登りに差し掛かると、二組ほど先行するカップルが降りて来られる。樹々の間隔もまばらな明るい樹林となる。ピークが近づくと一面の雪原の斜面となり、支笏湖と、すぐ左手には恵庭岳の展望が大きく広がる。その右手で一際白い稜線と大きな山容を見せているのは漁岳だ。ピークの手前では男性がシートを広げて、休憩する準備をしておられる。
八号目のピークに登るとついに広い稜線の先にイチャンコッペ山のピークが目に入る。なだらかな稜線では樅と思われる針葉樹がジオラマのような景色にアクセントをつけている。家内はもうここでいいんじゃないというが、この雪稜歩きこそがこの山の醍醐味だろう。山頂との間には既に歩いている先行者はいない。風もほとんどなく、春めいた穏やかな日差しの中を山頂を目指して雪原の中を進む。
山頂までは距離があるように見えたが、尾根がなだらかなせいか20分ほどで山頂に到着する。山頂の先に進むと北東の札幌方面の展望が大きく広がる。その彼方には夕張山地が連なっているの筈だが、山々は雲に覆われている様だった。
山頂から引き返すと、登ってくるカップルとすれ違うが登山口で一緒だった二組のカップルとは異なる。なぜか彼らは途中で引き返したようだ。この日は前日に比べると最高気温は5〜6度低い予報ではあるが、それでも日差しに温められたせいだろう、南斜面の雪面が急速に緩んでいくようだ。しかし、今更ではあるが、冬の山の天候の移り変わりが早い。漁岳の上に白い雲が現れたかと思うと、瞬く間にその稜線を覆い隠してゆく。頭上は晴れているが、恵庭岳もまもなく雲に覆われることになるだろう。
八号目のピークから降りると先ほど休憩しておられた男性に追いつく。風もなく快適なランチ休憩をとることが出来たとのことであった。再び尾根のトラバースに入ると雪が降り始める。続々と登って来られる登山者達とすれ違うが、果たして彼らが山頂に着く頃まで天気はもつだろうか。振り返ると八号目のピークは明瞭に見えてはいるが、その上には薄墨色の雲が広がり始めていた。
再び登山口に戻ると、幌美内展望台の広い駐車場には朝の倍ほどの車が停められている。このイチャンコッペ山は北海道ではかなりの人気の山なのだろう。実際、3時間ほどで往復することの出来る山でありながら、これほどの展望と爽快感を堪能できる山はなかなかないのではないだろうか。
この山のいいところは下山後に丸駒温泉がすぐ近くにあるところだ。温泉に移動すると、その駐車場は車でほぼ満車状態に近く、日帰りの入浴客が多く訪れているようだった。いつしか空には再び蒼空が広がり、支笏湖は前日のような青い湖面を見せている。
鉄分を豊富に含んでいるせいか薄緑色を呈し、微かに硫黄の匂いのする温泉の泉質は心地よく、三日間の充実した北海道旅行の最後を締めくくるの相応しい心地よさを提供してくれるのだった。
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