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Yamareco

記録ID: 81475
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
八幡平・岩手山・秋田駒

3泊4日・八幡平から秋田駒へ、北東北・秘湯の山旅

2010年10月05日(火) ~ 2010年10月08日(金)
 - 拍手

コースタイム

10/5 11:30茶臼口〜1400八幡平頂上〜1630大深温泉(泊)
10/6 6:30大深温泉〜7:00蒸ノ湯〜8:00後生掛温泉〜11:30焼山〜13:00玉川温泉=バス移動=16:00乳頭温泉・鶴の湯(泊)
10/7 8:00乳頭温泉〜1000乳頭山〜1100千沼が原〜1400秋田駒八合目避難小屋(泊)
10/8 6:30八合目小屋〜7:30駒ヶ岳頂上(男女岳)〜8:30八合目
天候 曇り、時々降ったり晴れたり
過去天気図(気象庁) 2010年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
【往路】東京〜盛岡 東北新幹線(はやて)で2時間半、盛岡にて県北バス八幡平頂上行きに乗車、茶臼口まで1時間半¥1320
【復路】秋田駒ヶ岳八合目〜田沢湖間ヒッチハイク、 田沢湖〜東京 秋田新幹線こまちで3時間
*途中、玉川温泉〜乳頭温泉間は羽越バスで移動。玉川温泉〜田沢湖畔\1320 田沢湖畔〜アルパこまくさ\500
コース状況/
危険箇所等
本来は八幡平から裏岩手縦走路を乳頭温泉経由で秋田駒ヶ岳まで縦走する4泊5日のプランでしたが、出発日が大雨の予報だったので、直前に急遽プランBを作成、八幡平〜焼山エリアと乳頭山〜秋田駒エリアに縦走を分割してバス移動を含めての3泊4日に組み直して行きました。結果として、秋の山行は天候が変わりやすく日も短いので控えめのプランに変更して正解だったと思います。登山届を出す場所もなく歩いてしまいましたが、縦走とはいえ温泉2泊だったので日帰りのような気分で安心でした。

登山道は全体的にとても良く整備されていましたが、八幡平頂上から大深温泉への下山ルートが石ゴロゴロで途中会う人もなくちょっと歩きにくかったです。

注意事項としてはバス利用の場合、運行日と便数が限られているので時刻表を事前によくよく調べておく必要があります。特に秋田駒ヶ岳八合目行きのバスはこの時期土日しか運行されていないため、下山はバスのあるところまで歩く覚悟で行きました。

秋田駒の八合目避難小屋は設備が立派ですが、駐車場で車中泊を選ぶ人の方が多いことに驚きました。寒いからかな。


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撮影機器:

感想

普段冬以外はシャワーしか浴びないワタシですが、実はかなり温泉が好きでして。しかも秘湯と聞くと胸が騒ぐ。かといって高級旅館にもスーパー銭湯にも興味薄いんですけどね。多分風呂好き、というよりはカヤックとかダイビングと同じで自然との一体感を味わえるアクティビティとして心の琴線に触れるんだろな。そして北アなどのメジャーな山をやり尽くした人がいつか辿り着くのが、東北の山々。たいした標高があるわけでもないのに何故そう惹かれるのか?知りたい。大先輩に話を聞くと、お花のベストシーズンは梅雨まっただ中の6月下旬〜7月&シャイな山々なのでそうでなくてもガスの中に姿を隠していることが多いという。それならば、いっそ天候が落ち着く秋に行ってみよう、湯治場の自炊部と無人の山小屋に泊まりつつ、もちろんみちのくひとり旅で、と心に決めたのが今年の春。

東北といっても会津や仙台、花巻までは行ったこともあるし二本松には短いが住んだこともあるから南部は何となく想像がつく。問題は奥羽山脈がでん、と邪魔して今なお遠く奥深い北部と日本海側なのだ。その山塊をどう歩くか。岩手県人のサトウさんからは「八幡平から岩手山までの裏岩手縦走路がいいよ」と、秋田小町の田村さんからは「乳頭温泉から秋田駒ヶ岳のエリアがいいよ」と聞いていたので、北東北の地図を夏中じっくり眺め、八甲田山と白神山地は別の機会と諦め、八幡平から滝ノ上、乳頭温泉経由で秋田駒まで縦走する4泊5日のプランを組んでみた。しかし、直近になって大雨の天気予報が発覚。急遽プランBを作成、出発を1日遅らし、八幡平〜焼山エリアと乳頭山〜秋田駒エリアに縦走を分割、禁じ手のバス移動を含めての3泊4日に組み直していくことに。

【day1】10/5 11:30茶臼口〜1400八幡平頂上〜1630大深温泉(泊)

東京駅始発の東北新幹線はやてに乗り込み、上野、大宮、仙台たった3駅、2時間半で盛岡に着いた。速っ。上高地に行くより近い。そこから県北バスに揺られること1時間半、息をのむようなブナ・カエデの紅葉の八幡平アスピーテラインを縫って、昼前に茶臼岳登山口に到着する。バス停を降りた瞬間絶景とはなんと贅沢な山行。30分ほどで八幡平三大ビューポイントのひとつ、茶臼岳山頂にたどりつく。立派な避難小屋にて雨をよけつつ、ランチ休憩。

そこから八幡平頂上までは、黒谷地湿原の草紅葉や地塘を愛でつつゆるやかな木道の登りで、途中源太森という第2のビューポイントあたりは山スキーの標識がオオシラビソの高い枝に見え隠れする。この日は曇り空ということですれ違う登山者もおらず静かな山行。やがて木道の先に湖がのぞいて、頂上に到着。雨脚が強くなって来たので八幡沼ほとりの陵雲荘避難小屋で雨宿り。まるで誰かの別荘?と見まごうほど立派なログキャビンで、次回裏岩手縦走をリベンジする際にはぜひとも利用したいと思った。

雨がやんで、登山道を蒸ノ湯方面にとって岩ゴロゴロの道を下ること2時間、硫黄臭の湯煙がもうもうと立ちのぼる沢に出たと思ったら、車道をはさんで右手に蒸ノ湯、左手に大深温泉の標識が出た。今回は日本でわずか2ヶ所しか残っていないオンドルつきの湯治場のうちのひとつ、本当の秘湯・大深温泉に宿を取った。

自炊/大部屋ではあるが、トイレも水洗だし1泊たった2000円で温泉に泊まれるのだから山小屋よりよっぽどいい。はじめてのオンドル泊は一晩中岩盤浴をしながら寝るようなもので、ポカポカ温かいを通り越してTシャツ1枚でも暑いぐらいで、寝具もゴザ1枚で十分だった。お風呂はうっすら白濁の含硫黄単純泉で、肌あたり優しいお湯。水場や台所も掃除がゆきとどき、蒸気を利用した蒸し器まである。雪のため10月中旬で閉めてしまうらしいが、穴場で空いているし次はおかんを連れてきたいな、と思った。

オンドルの先客はなんと同じ横浜市戸塚区にお住まいの女性で、乳がんを煩って以来毎年来ているという湯治客だった。「私も病気をする前はかなり登山やったのよ」というその方曰く、東北の温泉はあちこちまわったけど、こちらのお湯が自分には一番合っているのだという。他に話し相手もなかったので、彼女は夜ご飯を作ったり食べたりしながら東北のあちこちの湯治場や山のこと、隣のオンドルに投宿している常連さんたちのこと、宿の管理人さんのことなどを色々教えてくれた。いいですな、こういう出会いって。

【day 2】10/6 6:30大深温泉〜7:00蒸ノ湯〜8:00後生掛温泉〜11:30焼山〜13:00玉川温泉=バス移動=16:00乳頭温泉・鶴の湯(泊)

一晩中岩盤浴などしたこともなく、背中が熱いし喉は乾くししょっちゅう寝返りを打ったり水を飲んだりして、カラダには良いのかもしれないけれどあまり眠れなかった。まわりに合わせて5時過ぎに起きて朝風呂・朝食のあと、お隣の蒸ノ湯を散歩がてら覗きに行く。泉質はほとんど同じらしいが、こちらはれっきとした旅館。紅葉の渓谷を望む露天風呂あり、さすがの貫禄。

そのあと、大深温泉のオンドル小屋で一晩ご一緒した彼女が後生掛温泉までついて行きたい、というので、ブナの原生林の中を歩く。熊に会うのが怖くて一人歩きを避けているんだって。久々の青空に紅葉が映えて美しい。のんびり歩くこと30分ほどで後生掛自然研究路に出た。ここは後生掛温泉をとりまく遊歩道で、あちらこちらに火山特有の地熱活動を見ることができる。箱根の大湧谷とか立山のみくりが池に雰囲気が似てるけど、あれほど観光地化してなくていい。真っ白な湯がボコボコと湧き出る沼や泥火山、噴気・噴湯現象などを見て歩いた後で、お楽しみの温泉へ。ここもオンドル小屋のある湯治場で、小屋は長丁場で逗留してそうな年寄りでいっぱい。お風呂は古いけど立派な造りの木造で、泉質は白濁の酸性硫黄泉、いかにも効能あらたか。木箱から顔だけ出して入る名物・箱蒸しの他にも、泥湯、浸頭湯、火山風呂、寝湯、打たせ湯など試してみたいお風呂がいっぱい。1時間ほどたっぷり遊んで、すっかり肌はツルツル。ここの泥湯がガスール洗顔と同じ効果があるみたい。「泥の持ち出し禁止」って張り紙がよい証拠(笑 

風呂上がりに売店でゲットした大きなあけびを一つ食べてみる。あ、この味あれだ、南米のチェリモヤに似てる、とろっと甘い。ニコニコ見ていたお掃除中の番台のお婆に「その皮捨てないよ。酢漬けにすっとうんめいから」と言われた。へ〜。これからどこに行くのか聞かれたので、焼山に登って玉川温泉へ下るのだというと、「熊が出っから山さひとりで行がね」と心配されたが、そうもいってられないし。。。と困っていると、泊まりの5人組がさっき登りはじめたというのを聞きつけて来てくれて、「気をつけてな」と送り出してくれた。優しいなあ。

焼山は全国区ではないけれど地元の人は皆知っている、という類の素晴らしい眺望の活火山で、日帰りの遠足にはもってこいの規模だ。山頂付近にはハイマツのじゅうたんを敷き詰めガンコウランの可愛らしい白い花や黒い実がのぞく穏やかな木道の毛せん峠。かと思えばコバルトブルーの水をたたえたカルデラ湖、黒々とした岩肌の鬼が城、地熱と強い酸性で焼けただれ荒涼とした名残峠など、変化に富んだ山道は行く人を飽きさせない。ザレた道をどんどん下って行くと1時間ほどで玉川温泉に到着。

日本で一番pHの数値が低いpH1.2の強酸性泉としてその名を全国に轟かしているだけあって平日だというのに大型観光バスで連れてこられた爺婆満載で皆さんmyござを小脇に抱えて歩き、そこかしこの岩盤の上ではビーチのようにゴロゴロ寝そべる姿が異様な風景。おまけに内湯に入ろうと入浴券を買って靴を脱いでいたら、受付の女性がすっ飛んで来て「まず外で靴を洗ってください」と注意された。靴を清めゲイターを洗って出直すと、今度は両手をシュッシュと消毒される。ワタシはばい菌か。まあ薬効あらたかな温泉にすがって体に傷や病気を抱えた人たちが集まるところなのだから、どっこも悪くない健康体の登山者のいたたまれないことといったら。。。それにしても温泉は強烈。まずは源泉50%でカラダを慣らすが、すでにピリピリしてくる。恐る恐る源泉100%に浸かれば虫さされの痕やすり傷にしみるしみる。飲泉してみると、まるでレモン水。ここでも箱蒸しやら打たせ湯にあたり、たっぷり1時間遊んだ。硫黄泉と一口に言っても、アルカリやら酸性やら効き目の違いは色々あるんだってことを学んだよ。

その後は羽後バスで田沢湖へ出た。日本で一番深い(400m超)ことで有名な湖。あひるボートさえなけりゃ神秘的なんだろうけどなあ。。。乗り継ぎのバスを待っている間、味噌きりたんぽをあぶってもらった。美味しい!鍋に入れるより好きかも。バスを乗り継ぎ、乳頭温泉に向かう。縦走の途中でバスに乗るのは初めてで、山行としてはどうかと思うけど、日程を短くしたしせっかく今回の旅の目玉、憧れの鶴の湯に宿が取れたんだもん。まるで日本昔話に出てくるような鄙びた宿で、露天風呂にはススキの穂が揺れランプの灯りが白濁の湯を照らしてムードたっぷり。番頭さんがなかなか気が利く人で、質素ながらゆきとどいたサービスに、人気の秘密を伺い知ることができた。きのこや山菜、イワナの塩焼きに山の芋鍋など田舎料理を堪能したよ。これで1泊2食つきで8550円だもんなぁ。満天の星の静かな夜に、源泉の異なる3つの温泉にかわるがわる浸かって、大満足で眠りについた。

【day3】10/7 8:00乳頭温泉〜1000乳頭山〜1100千沼が原〜1400秋田駒八合目避難小屋(泊)

まだ夜が明けきる前に起きだし、誰もいないお風呂でもう一度温泉にゆっくり浸かってカラダを暖めてから朝食。一品一品丁寧に作ってあって美味しかった。7:30に宿の車で孫六温泉の登山口まで送ってもらう。今日は乳頭山を通って駒ヶ岳まで歩く、長い1日になるのだ。

普段は農家をやっていて、農閑期だけ手伝っているという運転手のおじさん曰く、このあたりはミズナラが多く、舞茸がどっさり採れるそうな。またどんぐりが大好きな熊もたくさん住んでいて、多い時は年に8回も出くわすんだとか。産卵に来るイワナを手づかみで取れるというし、ま〜山が深いってことだね。曰く、「熊に会うこと心配してたら山に入れませんからね、それにこの辺の熊は悪さしないですよ。」ですよね〜。

広葉樹の明るい樹林帯を登ること1時間半ほどで、田代平という湿地帯に出る。ここにも立派な避難小屋が建っている。そこから先は木道をトコトコと歩いて行き、最後の急なガケをひと登りで乳頭山に到着。田沢湖、森吉山、八幡平、岩手山、秋田駒と360度の眺望をたっぷり楽しむ。秋田側からは乳頭と呼ばれるピークも、反対側の岩手方面から振り返ると、烏帽子のように片側に垂れ下がっているのでまるで違った印象。別名烏帽子山というらしいが、それじゃ全国どこにでもありふれてて個性がなさすぎるよねえ。やっぱり、乙女の乳房のような優しいふくらみの山っていう名前の方がずっとずっとポエティックで柔和な表情のこの山に合っていていい。

スモーキーグリーンの笹原にパッチワークされたような赤や黄色の葉の薮の中を通る登山道を夢見心地で降りて行くと、アオモリトドマツなど針葉樹に囲まれた千沼が原というメルヒェンな地塘エリアに出た。ここでザックを降ろしお湯を沸かしてランチタイム。誰も通らないから、こんな贅沢な景色を独り占め。

そこから秋田駒ヶ岳までは笊森山、湯森山、笹森山と名がついたドイツだか東欧だかの絵本に出てきそうな優しいラインの稜線をたどること3時間。秋晴れのなか、童話の世界に浸りながら丸一日夢のような楽しい山歩きができた。コースタイムよりずいぶん早く八合目まで来たので、駒ヶ岳頂上すぐの阿弥陀池の避難小屋まで進もうか?と考えていたら、大曲から来た年輩のグループのリーダーっぽいおじさんに、「泊まるなら絶対八合目の小屋の方がいいよ。水場もあるしトイレは綺麗だし毛布やなんかも置いてあって設備がしっかりしているし、だいたい上はこの時期だいぶ冷えるよ。どうせ時間にして30-40分ぐらいの距離なんだから」と薦められて、素直に従うことにした。

中に入ってみると、ナルホドなかなかの好物件。昼間は日帰り登山者でずいぶんにぎわっていた小屋も、日暮れとともにあっという間に人気がなくなり、泊まるのはどうやら自分だけのよう。明るいうちに食事して、早々にシュラフにくるまってロウソクを灯し、静かな夜を持って来た小説でも読んで過ごそうかなと思っていたら、マイカーで車中泊しながら北海道は大雪山から紅葉前線を追いかけて南下してきたという男性(年齢不詳)がお酒を下げてやってきた。この方、大雪山系の山小屋やスキー場、石垣島の飲食店や都内の建設現場で働いたりしながら日本全国の山や海や川で遊んでは、元祖B-PALな人生を送っているらしい。聞けば今年で50歳だとか。うーん、自分と同じ根無し草だな。山のよもやま話をしゃべって飲んで楽しく過ごしたのはいいが、このおじさんと2人きりでまんじりともしない夜を共にするのかな?との心配は杞憂で、結局9時頃「イビキをかいて迷惑かけるから」と自分の車に戻っていった。いや〜正直ホッとした。いくら色気のない山女のワタシでも、ああいう生命力強そうな人が相手だとさすがにちょっと身の危険を感じるわ。おかげで貸し切り状態の無人小屋でのびのびと手足を伸ばして寝ることができた。

【day4】10/8 6:30八合目小屋〜7:30秋田駒ヶ岳頂上(男女岳)〜8:30八合目

旅の最終日は、鶴の湯で会った女性登山者に薦められた、焼砂から馬場の小径をぐるりとまわるルートを取ろうと考えていた。田沢湖駅行きのバスは平日は八合目まで来ないので、乳頭温泉行きのバスが通る田沢湖スキー場前まで自力で下山しないといけない。しかも13時田沢湖発の新幹線を予約してあるから、早出必須。ということで朝5時に起きて支度をするも、外はガスが立ちこめて真っ白。これじゃあ何も見えない。どうしよう。

朝食の準備をしていたら、昨夜車中泊をしたおじさんが来て「こんな日は俺は山登りしないで温泉か釣りでも行く」という。ワタシにも「待っててあげるから頂上までピストンしたら降りておいで、車でどこでも降ろしてあげるよ」という。別に待っててもらう筋合いはないのだけど、焼砂ルートは次回来る時の楽しみに取っておいて、空身でピストンというアイデア自体は悪くないな、と荷物を置いて6時半に登山道に取り付く。

霜が降りたように白くけぶった草木が美しい。阿弥陀池付近までは霧が立ちこめて何も見えなかったが、男女岳の頂上まで上がったら、だんだんとガスが取れて青空がのぞいた。雲海の上に青くちょこんと顔を出した乳頭山、深い青の水をたたえた田沢湖、その手前のいかつい男岳など、うっすら虹の向こうにくっきり望むことができ、今回の旅をしめくくることができた。次はお花の時期にリベンジに来るとしよう。

八合目まで下るとまだ9時前なので、それでは新幹線に乗って下界に戻る前に温泉で汗を流すことにしよう、とおじさんの好意に甘えて乳頭温泉まで車を走らせてもらい、湯めぐりの続きをすることになった。まずは気になっていた黒湯温泉へ。ここの露天は渓谷沿いの絶景だけど混浴でハードル高いな、と尻込みして内湯にいったが、やっぱり満足できない。先に露天に入っていたおじさんが出て来て、「今なら誰もいないからチャンスだよ」と教えてくれたので、さっと露天に浸かったら、まるで別天地。熱い湯と茅葺きの山里の景色に心をとろかされた〜。

次に、大深温泉で会った温泉エキスパートの女性のお薦めだった蟹湯温泉へと車を走らせてもらう。しかし、残念ながら露天風呂の掃除の日とかで門前払いをくらった。まあ明日から3連休だし仕方ないか。

でもやっぱりもう1つ浸かって行きたくて、またしても鶴の湯へ。おじさんも「う〜ん、出来過ぎだ。70過ぎたら連泊したいな」と絶賛していた。そうそう、泉質だけでいうならここよりいいお湯って他にもあると思うんだよね。だけど、この雰囲気はなかなかないよね〜。

そして結局、おじさんのお言葉に甘えて、ずうずうしくも田沢湖の駅まで送ってもらって無事こまち新幹線で帰路についたのでした。いや〜、いい旅夢気分とはこのことじゃな。ここには懐かしい日本の、自然と折り合いを付けて暮らす原風景があるわ。すっかり東北の人と自然に癒され、ファンになり、絶対また戻って来よう、と決意したのでした。

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