【天武作戦】納宮〜奈良尾沢峠〜天理岳〜両神山〜日向大谷【丙54.2*】


- GPS
- 09:35
- 距離
- 24.5km
- 登り
- 2,194m
- 下り
- 2,288m
コースタイム
- 山行
- 8:48
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 9:35
合計距離: 15.42km
累積標高(上り): 1884m
累積標高(下り): 1625m
天候 | 快晴〜晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
石碑前バス停〜両神温泉薬師の湯経由〜西武秩父駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
納宮〜奈良尾沢峠:入山口は分かりにくいが、そこをクリアすれば後は概ね大丈夫。道は必ずしも尾根の突端を通っているわけではなく、尾根を歩くことばかり意識するとかえってロストする恐れ。 天武将尾根:展望の良い岩場は概ね巻き道があるので、わざわざ危険を冒して岩を下りる必要は無い。天理岳から下る尾根を間違えないよう注意。 両神稜線:岩の登攀が連続する。人との間を詰めすぎないように。焦らないこと。 表参道:鈴ヶ坂など急な下りに注意 |
写真
感想
全く意識していなかったが、200回目の山行記録となる本山行。前回と同じく、近くの山に行くこととし、前々から気になっていた天武将尾根を経て両神山へ到るルートを歩くこととした。
【「廃道」は死道にあらず】
かつて、両神山へは納宮から奈良尾沢峠を越えて日向大谷へ至り、そこから登拝するのが表参道ルートであったが、日向大谷までバスが入るようになって納宮〜日向大谷間は歩かれなくなり、小鹿野町も道の管理を放棄して今では廃道扱いという。
しかし、どうであろうか。小鹿野町営バスの運行状況は大きく変わり、日向大谷にバスで行くには三峰口駅からバスに乗るか、小鹿野町役場と薬師の湯でバスを乗り換えて行くしかなくなった。そして、それだと山行開始がどうしても9時頃になってしまう。
当初、日向大谷から奈良尾沢峠に上るつもりだった私は、小鹿野町営バスの運行状況が変わってしまったことに面食らったが、気を取り直して、北側、納宮からのアプローチに着目した。その昔バス路線の変更により廃れた登山道が、これまたバス路線の変更により歩かれることとなった瞬間である。
実際に歩いてみて、結論から言うと、「人が歩き続ける限り、道は道たり得る」ということだ。人の住まなくなった空き家が早々に朽ちるごとく、人の歩かなくなった道は早々に荒れる。しかし、高村光太郎の詩でうたわれているように、道は人が歩いてできるもの。人が行き交う限り道は死なないし、今回歩いたルートは死んでいなかった。日向大谷へのバスのアプローチが変わったことでまた歩く人が増えてくれば、この道はさらに活き活きと輝いてくることだろう。
【納宮からの入山 〜準備編〜 】
こういうルートを歩こうとする時、もはやガイドブック等には掲載されないルートであるから、先人の山行記録を参考にするのが常道である。私も例に漏れずヤマレコで納宮〜奈良尾沢峠間を歩いた記録を探してみた。しかしながら、そのほとんどは古いもので、前年の記録は3つあったが、そのいずれもが、かつて歩かれていた道が通っている尾根ではない尾根を歩いたものだった。(正規の尾根を上ると、奈良尾沢峠の東側で天武将尾根に乗る。)
さて、どうしたものか。私も正規の尾根の隣の尾根を歩いた方が良いのだろうか。或いは出発が遅れても日向大谷から奈良尾沢峠にアプローチした方が無難なのではないか。直前まで悩んだ結果、私は心を無にして山の導きに身を委ねることとした。つまり、山が私を受け容れるならば道は自ずと立ち現れるだろうが、もし道が行く手に現れなければ、或いは眼の前から消えてしまうならば、大人しく引き下がるということである。この駄目そうなら諦めるという心構えがまず無いといけない。道中、「ここまで来たら引き返すのも難しいな」と思う箇所もあり、見切りは早め早めにするに越したことは無い。
【納宮からの入山 〜実践編〜 】
先に「また歩く人が増えてくれば」と書いたものの、小鹿野町が「迷いやすく危険」としている以上、誰でも彼でもスキルに関係無く入山してしまうような状況を招くことは避けたいので、詳細を記載するのはやめておく。
しかし、納宮から入山しようと思い立つほどの人であれば道はわかるはずだ。道標、渡渉点、林道とヒントもある。因みに尾ノ内沢コースと比較すると、ピンクテープが大量に付けられる前の尾ノ内沢コースの方が、尾根沿いに進む本コースに対して難度は格段に上と感じた。
なお、もう一つヒントを書いておくと、林道を過ぎてから先、奈良尾沢峠まで、道沿いにビニ−ル紐が張られている。最初は林道作業用かと気にも留めていなかったが、大岩を高巻く段になって、それが山行者を奈良尾沢峠へ誘導するものと気がついた。
このように山行の参考になるものは多々あるが、一番大事なのは自分自身が現場の状況をよく見て、足元に道を感じながら、道がどのように延びて行くかイメージしつつ歩くことだということは念を押しておきたい。
【天武将尾根を歩く】
奈良尾沢峠まで来ると「ここまで来れば後は道わかるだろ」と言わんばかりにビニール紐の誘導も途絶える。確かに、ここから先は日向大谷から上ってくる人もいるだろうから通行量も納宮〜奈良尾沢峠間に倍するわけで、踏み跡というか道もしっかりしてくる。
但し、天理岳からの下りには注意しないといけない。天理岳からハッキリした道を下っていくと、山頂では正面に見据えていたはずの両神主稜線がいつの間にか左手側に見えるようになる。どうやら尾ノ内沢に通じる道のようで、ヤマレコにも尾ノ内沢〜天理岳間を歩いた記録が見られる。
天武将尾根に限らず両神山域は地図に無い道があったり、道迷いか獣道と思われる枝道のようなものがあったりと、常に緊張を強いられる。それが魅力であったりもするわけで、もともと両神山は私の想い人ならぬ想い山なのだが、歩きながらますます両神山が好きになってきていることに気がつく。
それはさておき、天理岳まで来ても主稜線までなお3km近くある。そしてここからが最も時間のかかる区間である。納宮〜奈良尾沢峠間とハードさはあまり変わらないはずだが、時間は1.5倍程度かかった。足場の問題や疲労、展望が良くなって立ち止まる機会が増えたためということもあるだろうが、所要時間の算定をする際には気をつけていただきたい。
天武将尾根で追い越した老齢男女グループを日向大谷への下山途中に再度追い越したのだが、リーダーが「足が出るんだから仕方がない」みたいなことを言いながら鈴ヶ坂を小走りで駆け下りたり、メンバーがちょっと休みたいと言っているのに休憩を渋っているような感を受けたのは、恐らく予定よりも時間がかかって日没までに下山できるかどうか微妙という頃合だったからだと思う(剣ヶ峰付近が大混雑していたので必ずしも天武将尾根が遅延の原因とは言えないが)。
私も最初は天武将尾根から主稜線に乗ったら西岳まで行って、帰りは七滝沢コースを通って、、と甘く考えていたが、歩いている途中で早々に考えを改め天武将尾根に集中することとした。そう、納宮から天武将尾根を歩こうとする者は、あまり他の所に浮気すべきではなく、ただひたすら本ルートに集中したほうが良い。特に日没が16時台となっているこの季節は。(日没が18時頃の時期ならちょっと浮気しても良いかなと思わなくもない。)
納宮口〜奈良尾沢峠:距離 約2.8km 標高差 約450m 勾配 16°
奈良尾沢峠〜天理岳:距離 約2.2km 標高差 約320m 勾配 14.5°
天理岳〜両神主稜線:距離 約3.0km 標高差 約490m 勾配 16°
【総括】
今回、青空と紅葉の下、また両神山へ到る道を歩く山行を一つ厳修することができた。両神山は手足の如く尾根が長く伸び、本来登山道も豊富な山。古来多くの人々が修験のため、或いは登拝のため山を訪れ、神気を感じたに違いない。その一端に少しでも触れることができたならば甚だ幸いである。
【補足】
登山口には道標が立っているのに対し、主陵線上の天理尾根分岐には規制線が張られている。天武将尾根を歩こうとする際は、何故そうなっているのか念頭に置いていただきたいものである。
〜おしまい〜
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