平家岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 24.1km
- 登り
- 1,183m
- 下り
- 1,199m
コースタイム
天候 | 小雨、曇り |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
感想
四月三〇日
ゆったりと谷間を走る電車に揺られていると、早朝に家を出たせいかそのまま眠ってしまいそうだ。小雨にけむる福井県の山並みを車窓から眺めながら時々顔を上げどこかに青空を見つけようと雲の切れ間を探していいたら遠くに雨で霞んだ荒島岳が見えてきた、大野市に入ったようだ。
再び九頭竜川の両岸に山が迫りトンネルに入る、トンネルを出ると峡谷を縫うように走る。終着駅の九頭竜湖駅に一〇時三十分着、駅舎は丸太作りで森林の国という感じがする。
雨は小降り、山に張り付いた雲が色濃くなった山の斜面をゆっくりと昇り始めている、天気が回復に向かっているようである。国土地理院二〇万分の一の地形図「岐阜」「金沢」を二枚つなぎ滋賀県の伊吹山地から両白山地に連なる背嶺を辿ると二七〇二m白山御前峰に達す、さらに北に向かい石川県、岐阜県、富山県の県境の山々を経て日本海に達する。伊吹山、金糞岳、福井県に入り美濃叉丸、笹ヶ峰、冠山、若丸山、能郷白山そして北上し大日ヶ岳、三ノ峰、別山、白山を経て妙法山、三方岩岳へ多くは残雪期を選び何年かかけ歩いてきた。足跡をつなぐと途切れているところがあるものの、ようやく点から線に見えるほどになってきた。そんな中で空白になっている能郷白山から大日岳のほぼ中間にある平家岳にやってきた。
九頭竜湖駅から岐阜県の美濃白鳥駅まで季節バスの運行がある、十一時二五分の出発までの時間駅前のベンチで早めの昼食に持ってきたおにぎりを食べる。
今の時期この辺りに来る人は少ない、バスは美濃街道を鷲ダムの湖岸に出るダムに沿った道を九頭竜湖ダムと同じ高さまで登ると右車窓に湖面が全面に広がってきた、少し走るとダム湖をひとまたぎする橙色の大きな吊り橋と幾本かの桜の木が見えてきた、その橋のたもとが白馬洞入口のバス停だった。
運転手が午後二時までバスは来ないよと声をかけてくれる、礼を言ってバスを下車する、想像していたよりずいぶん大きなダム湖であった。初めて訪ねる所はわくわくする、橋の名前は箱ケ瀬橋、橋を渡り湖岸に沿って面谷川に向かって歩く。
雨の中だが歩き出すと元気がでてきた。道路の両脇にはフキノトウが伸びてきている、湖面に突き出た尾根と谷を二度曲がると面谷川に架かる橋が見えてきた、左岸側に面谷林道がついている、上流に向かう。
頭の中で描いてきた地形と、目の間に広がる景色を比べながらいろいろ先の様子を想像してあるくと単調な林道歩きも楽しい。
四〇分ほど歩いたところで林道が支谷の右上方に延びていたので十分ばかり登ってみたが工事中で行き止まりだった。
面谷川左岸に戻り上流に登っていくと橋を渡り右岸をあるく、対岸には鉱山跡だろう山肌に荒涼とした石垣だけが幾段も残る、道沿いには人が住んでいた跡が残っているが石垣以外は自然に戻りつつある。少し上流にこの鉱山で幾世代かり生活をしていたのだろ墓地が残っている。小さい沢を渡り水量も少なくなってきた頃少し広くなった場所に出た、林道はここまで、山道の入り口に「平家岳」の道標がぽつんと立っている。昔は橋があったようだが今は見当たらない、面谷川を石伝いに左岸に渡るといよいよ平家岳への登りになる。
小さい尾根で最初は急登だ、しばらく登ると左右の谷に残雪が見える、一時間ほどの登りで送電線の走る尾根に出た。道は明瞭で歩きやすい、雨は小降りになってきたがガスが残って視界が利かない、木々の間を吹き抜ける風の音に耳を傾けながら黙々と歩く。尾根の北面に入ると所々雪が出てきたのでスパッツを着ける。頭上に幾本か黒い筋が濃いガスの中に現れた、何か不思議な感じがしたが送電線の一部がガスの中に消えたり現れたりしていたのだった、今日は久しぶりに荷物を担いだせいか腰が痛い。P一二五〇付近の送電線鉄柱の横に雪もなくテントが張れそうな場所があったので今夜の宿泊場所にした、テントを張り終えたころから風が出てきた、山にかかっていたガスも濃淡が出てきて回復の兆しが出てきた。
明日は天気が回復することを期待して夕食の支度をする、夕食後は寝袋に足を入れていると心地よい眠気が襲ってきてすぐに寝てしまった。
五月一日
外はガスが残っていて視界は良くないが雨は上がっていた、ラジオの天気予報が一時天気は回復に向かい再び崩れてくると報じていた、とりあえず頂上まで登り下りは岐阜に下るか元の道に戻るか空の様子を見て決めることにして出発する。尾根には残雪が豊富に残って冬の豪雪を思わせる、雪の上は歩きやすい、広い尾根上を進
む、いつ頃伐採されたのだろうか大木の切り株が雪の上に幾つも残っている樹齢百年を越えそうな木々が生い茂った尾根であったようだ、今伐採前の大木に出会えないのが残念だ。標高が高くなるにしたがってガスも切れ西の空に青空が出て展望にいい尾根になってきた、身勝手なものでがぜん元気が出てきた。P1420を西から回り込み送電線の鉄塔に出た、日ノ谷源流を挟んで笹に覆われこんもりとした平家岳の頂上が見えてきた。ピークの南面は夏道が出ていた、P1420に登る細い踏み跡がみえる、道は美濃平家岳に向かう県境の尾根に続いている様で送電線に沿ってP1410の東側下部を巻いている。ここから平家岳に向かう尾根通しに登ると赤布が所々あった、稜線上のP1410に出ると平家岳が目の前に主稜線から少し外れた西側に迫ってきた、日ノ谷源流鞍部に一旦下り登りなおしてコブを二つ越えると頂上に出た、熊笹と背の低い灌木の間から一気に展望が広がった。
北西に荒島岳がそして少し離れ北に経ヶ岳から赤兎山を経て別山に至る白い稜線が雲海に浮かぶ島のようだ、白山にかかっていた雲が風に流され真っ白な山頂に陽の光が反射し輝いてきた、その周辺でゆっくりと波打つ雲海の上に突き出た峰々の頂が浮き沈みしている様は幻想的な眺めだ。
南の岐阜方面は濃いグレーの山並みが厚い雲の下に幾重に重なり目の届く限り続いている、写真を撮った、しばらく地図で周辺の山を確認しながら満ち足りた気分で両白山地の懐に腰を下ろす。
隣の美濃平家岳山頂にはまだガスが残っている、岐阜県側の空はこれから天気が下りに向かっている気がした、重畳の山を見ているとあまりにも遠く感じた、岐阜県に下るのは次の機会にしよう、いつか岐阜県側から登ってみよう。今回は来た道を戻ることにした、戻ると決めたら一目散、白山を存分に眺め気分よく下る、帰路はお土産に蕗を摘みながら白馬洞まで歩く。
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