積丹岳-ポンネアンチシ山-余別岳〜滝ノ沢左岸尾根から我呂ノ沢源頭を経て余別岳北尾根へ〜
- GPS
- 14:15
- 距離
- 26.4km
- 登り
- 1,888m
- 下り
- 2,007m
コースタイム
【4月30日】幕営地6:01-6:55 P838-8:08ポンネアンチシ山-8:19最低鞍部-9:28余別岳山頂10:10-10:53 960m鞍部-11:15 P1029西尾根上-11:50 P949.1付近-12:01 P756-12:51林道ゲート13:00-13:44国道-13:53岬の湯14:04-14:39美国15:09-16:29小樽16:35-円山第一鳥居-自宅
天候 | 4月29日■雨のち霧の地吹雪 4月30日■快晴のち霧 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
写真
感想
毎日がGWのような生活だが、やはりGWにはそれなりのところに行きたい。休みだからという訳ではなく、残雪があって日が長い、一年で一番山登りに適した季節だから。
と言っても、一泊しかできず、車も免許もないので、それほど遠出はできない。ということで、積雪期に行ったことのない積丹に決定。今年2度目の札幌脱出。
当初は、神恵内側からポンネアンチシ山に登り、余別岳へ縦走して北尾根を下ろうと思っていたが、直前に、美国側から積丹岳を越えていくルートに変更。文献と地形図を見ていて、我呂ノ沢源頭に泊まり、そこからポンネアンチシ山への緩く広い尾根をたどってみたくなったのだ。
自宅からタクシーで琴似駅まで行ってJRに乗り、小樽駅からバスで積丹へ。
実は、積丹の神威岬まで行く朝のバスは、7時丁度に小樽駅前を出るのだが、札幌からの始発列車が小樽に着くのが7時。ギリギリ間に合わない。神威岬行きの次の便は昼近くになってしまう。この接続の悪さはどうにかならないものか。
仕方なく美国止まりのバスに乗る。
神威岬行きのバスに乗れれば、婦美で降りて夏道コースから積丹岳に登るところだが、美国から歩くと結構あるので、タクシーに乗ることにする。どうせタクシーに乗るなら、標高差は変わらないものの歩く距離が短くなる滝ノ沢左岸尾根を登ることにして、美国川沿いの道を上流へ行ってもらい、橋のところで降りる。
少し戻ったところの開けたところに林道の入口。雪が繋がっているようなので、スキーを履いて登り始めるが、雨が降っていて気分が乗らない。断続的に、時々強くなり、雨具の上を持って来なかったので、濡れる。上へ行けば風が強いはず。濡れた体が冷えるとイヤだなあ。
今日明日は、好天のはずだったのだが、数日前からどうも予報が変わってしまった。明日回復する見込みがなければ、こんな天気では中止にしているところだ。
はじめは滝ノ沢の左岸沿いに登っていた林道が分岐しているところから、尾根をトラバース気味に登っている右の道をたどる。一ヶ所雪が切れてスキーを脱ぐが、しばらく行くと尾根の上に出る。美国川の対岸にP545.7の岩場が見える。
ここからは傾斜の緩い尾根上を行く。はじめは細い尾根だが歩きやすい。やがて尾根は広くなり、傾斜は少し強くなってくる。右には沢型もあり、そこを絡めながら登っていく。シラカバやダケカンバが多い。翌日も含めてハイマツ以外の針葉樹はほとんど見なかった。
626m標高点付近まで来ると、尾根はだだっ広くなり、傾斜は再び緩む。木は疎らになってきて、スキーは滑りやすそうだが、当然のごとく風が強くなる。といってもさほどではなく、寒くもない。P826を過ぎて、夏道との合流点が近くなると、右の方に数人のパーティが見えた。登っているのかと思ったら、夏道コースの方へスキーで降っていった。すでに昼過ぎ、今朝頂上まで登って下ってきたのか、あるいは強風で引き返したのか。
頂上稜線に出てP971あたりまで来ると、尋常じゃない猛烈な風。頂上は雲の中。ここから我呂ノ沢源頭に下ってしまおうかとも思うが、やはり、ここまで来たら頂上までは行きたい。頂上から下ってきた単独の人とすれ違う。
尾根を登って行くに従って、さらに風が強くなる。吹きつけてくる雪が顔に当たって
痛く、なかなか前に進めない。時折、雲が強風に吹き飛ばされて青空がのぞき、頂上が見えるが、それも一瞬。P1130の西のコルから、我呂ノ沢源頭に何とか下れそうなことを確認する。
何とか積丹岳の山頂にはたどり着いたものの...ここから南斜面を我呂ノ沢源頭に向かって滑るつもりなのだが...視界不良で急斜面の下がよく見えないということもあるが...それ以前に...風が強すぎて、風上のこの斜面の方を向けない。30分ほど様子を見たが回復の兆しはなく、時折ザックが飛ばされそうになるほどなので、あきらめて来た道を降り始める。
もうあきらめて北尾根でも下ってしまおうかとも思うが...先ほど目をつけていたP1130の西のコルまで下ると、風が少しだけ和らぎ、南を向けるようになったので、ここから南斜面を下る。極端に急な斜面ではなく、雪質もそれほど悪くはないが、悪天候のためもあって思い切って滑れない。下るに従って風も弱まり、途中から右の沢型に入って標高差400mほど下ると、かなり平坦になってくる。
幕営地を探しながらさらに下っていく。ここまで下ってもかなり風が強い。木がそれほど多くはなく、風除けになる針葉樹もないので、ツエルトに毛が生えたテントもどきに適したところはあまりない。ちょっと沢筋まで下ってみるが、あきらめて適当な木のそばにテントを張る。適当にブロックも積むが、一時は弱まっていた風がまた強まり、一風ごとにテントがほとんどつぶれそうになる。
結局、この夜は、寒さと風のためにほとんで眠れず、深夜に弱まったかに思えた風が3時頃から、今度は北の山の方からさらに強くなって吹いてきた。天気が悪ければ、P971の方に登り返して夏道コースへエスケープするしかないだろう。そんなことを考えながら3時半頃テントの外を見たら、東の方に黄色い光が見えた。何だろう?後から考えたら月だった。
そして4時。相変わらず風は強いが、外に出てみると雲ひとつない青空。そして、その下に、ポンネアンチシ山から余別岳、積丹岳と連なる山稜が、我呂ノ沢源頭を取り囲むように広がっていた。まるで円形劇場。これは行くしかあるまい。
ここから余別岳に登ってもいいが、やはりポンネアンチシ山に緩く広い東尾根から登ってみたい。よく見ると頂上直下がかなり急で、雪庇も見えているが、何とかなるだろう。南西方向へ、尾根を乗り越しながら、複雑に入り込んだ沢の源頭を巻くように、とりあえずは838m標高点を目指して登っていく。こういうところをルートを考えながら行くのも楽しい。
838m標高点まで来れば、後はだだっ広い尾根を登っていくだけ。正面にポンネアンチシ山、後ろには昨日下ってきた積丹岳の南斜面(その向こうには海)、右には余別岳。ポンネアンチシ山から余別岳への稜線の最低鞍部のこちら側の急斜面には、雪庇崩壊によると思われる雪崩の跡が見える。
ポンネアンチシ山の頂上直下はやはり、結構急そうだ。右(北)側は雪庇があるので、左(南)側の岩場の上の傾斜の緩そうなところに斜上し、そこからさらに南側に回り込んで、南西尾根に上がる。尾根上はハイマツが出ていて歩きにくいが、頂上の巨岩まではすぐ。南西方向には、珊内岳やガニマナコの特徴的な山容が見える。
ポンネアンチシ山から余別岳へ。最低鞍部までひと滑り、あっという間、という記録も見たが、それはもっと早い時期のこと。今はハイマツのおかげで、とてもまともに滑れたものではない。だからシールを付けたまま行く。
最低鞍部からも、先ほど見た雪崩跡の記憶も新しく、尾根の右(北東)側は雪庇が怖くて近づけない。尾根上のブッシュ(ハイマツ)の際を行ってもいいのだが、ここは左(南西)側の斜面を行くことにする。しかし、こちら側はハイマツが露出しているので、かなり下を巻く形になる。左に、余別川の源頭を見ながら、南西の肩に上がる。
珊内岳やガニマナコは雲に隠れたり現れたり。珊内岳は巨大なジャンプ台のよう。北東の緩斜面を油断して滑っていったら、あっという間に真っ逆さま!そうこうしているうちに、西側の空にはどんどん雲が...。
余別岳の山頂からは、南東斜面を我呂ノ沢の源頭に向かって滑ってみたいと思っていた。しかし頂上に着いて間もない9時半頃、あっという間に雲に包まれてしまう。雪が降っていないだけで、昨日と同じような状況。のんびりしていては、下るのも大変になるかもしれない。南東面滑降はあきらめ、北尾根を降り始める。
尾根上はハイマツやダケカンバが出ているので、尾根の左(西)側の下の方をトラバースすることになる。ガスで視界が訊かないので雪庇も怖く、困難さに拍車をかける。
尾根が広くなる949.1m三角点のところは左から巻く。このあたりから雲が晴れてくる。かなりの緩斜面だが、やがて今日一番の快適な滑り。木も多くなって林間滑降となる。最後は尾根が細くなり、この尾根上に細く残った雪を積丹岬の海に向かって滑っていき、林道のゲートに達する。スキーを担いで野塚の温泉施設まで歩き、バスで美国まで行き、寿司を食い、寿司折を買って帰った
コメント
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昔、余別川からガロの沢へ沢で行きました。ポンネアンチシ山頂の大岩、登りましたよ。懐かしい。
積丹三山の見事な独自ライン、ガロノ沢源流のカールのような広大な集水域に泊まる、車使わず縦走のっこし式など、僕好みの山行組立です。温泉に美国の寿司がつけばあこがれのフルコースです。ここ、温泉あるんですね。
嵐の後の素晴らしい山容写真もとれましたね。山のデータの写真に登録お願いします。ポンネアンチシの写真なんてなかなかないですよ。
我呂ノ沢源頭は素晴らしかったですね。円形劇場のようで、ここに定着してもいいぐらい(風は強かったですが)。もっとポピュラーになってもよさそうなものです。
最初は神恵内側から登ろうと思っていたのですが、地形図を見ていて、我呂ノ沢源頭からポンネアンチシ山への尾根の太く緩くカーブしている等高線のラインを無性に登ってみたくなってしまいました。
こうした沢が入り組んだ源頭部は、どこを登ろうかとルート取りを考えながら登っていくのも楽しいですね。
余別岳北尾根は、yoneyamaさんの記録も参考にさせていただきましたが、時期が遅かったので、上部の尾根上はハイマツやダケカンバが出ていて、ほとんど西側の斜滑降・トラバース。中間部分の緩斜面はあまり滑らず、下部の林間が、滑りとしては一番楽しかったです。
温泉はバス停があるから行っただけで、時間がなくて入れませんでした。バスの時間の関係で、「温泉にしますか?寿司にしますか?」ということになってしまったので。
一日目にはよっぽど、積丹岳の頂上から北尾根を下ってしまおうかと思ったのですが、二日目の朝には、そうしなくてよかったと思いました。
しかし、余別岳の頂上に近づく頃には、珊内岳の方から雲が押し寄せ、9時半にはあっという間に雲の中。前日に近い状況になってしまいました。おかげで余別岳から我呂ノ沢源頭に滑れなかったのが残念です。
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