長沢背稜(奥多摩駅〜雲取山〜奥多摩駅)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 56.9km
- 登り
- 4,471m
- 下り
- 4,473m
コースタイム
2日目:酉谷山避難小屋(4:35)-水松山分岐(5:40)-芋ノ木ドッケ(7:15)-雲取山荘(7:55)-雲取山(8:15)-七ツ石山(9:05)-高丸山(9:50)-鷹ノ巣山(10:55-11:20)-六ツ石山(12:15)-水根(13:30)-奥多摩駅(15:20)
天候 | 1日目:曇り時々雹・雨・雪 2日目:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2011年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
帰り:JR奥多摩駅 |
感想
長沢背稜は、2年ほど前から歩きたいと思っていたコースだ。できれば、日原からではなく、奥多摩駅から縦走したいと思っていたのだが、なにせ距離が長い。途中にテント場などもなく、1日で雲取山荘までたどり着ける訳もないので、これまで先送りにしていた。
しかし、酉谷山にテント泊している記録を発見し、GWの初日に実行することにした。
■1日目
GW初日ということもあり、電車は登山客で溢れている。奥多摩駅から、本仁田山(1224m)に向かう。奥多摩駅の標高が340mほどということは、900m近くを一気に上り詰めることになる。
道路終点から取り付くと、尾根ではない急斜面を九十九折って登っていく。異様なほどの急坂だ。
下山後に知ったのだが、この登りは急坂の多い奥多摩の中でも急なことで有名らしく、奥多摩三大急登?の1つになっているらしい。どうりで、きつかった訳だ。尾根に登ってからも、厳しい登りが続く。
テント装備が肩に食い込むが、曇り空と涼風に助けられ、なんとか本仁田山に到着。山頂からは高水三山方面が若干開けているものの、あまり展望は良くない。この山が川苔山と比べて人気がないのもうなずける。
すぐに川苔山に向かう。途中、尾根を直進する道と巻道の分岐で、尾根道が「悪路」と書かれていたので、巻道を選ぶ。
しかし、この道は、かなり危険だ。東側が崖になっていて落ちたらただでは済まなそうなところが数カ所ある。結局、今回の山行で危険を感じたのは、ここだけだった。
少し寄り道をして川苔山山頂にも行くことにする。すでに何人かの登山者がいる。さっきから暗い空模様が気になっていたが、ここで、雹が降り出した。天気予報に騙されたと、初老の男性がぼやいていた。
雨具を身につけ、先を急ぐ。今日は、いい天気のはずだったが、空は一面雲に覆われていて心配になる。
日向沢ノ峰までの登りも、つらかった。しかし、そこまで登れば、今日の残りは、なだらかな稜線歩きになるはずだ。
蕎麦粒山の山頂は、岩が多く狭い。短時間で昼食を済ませ、先に進む。
天気は、なお悪く、雨になったり雪になったりしている。しかし、GWということもあって、何人もの登山者とすれ違う。
前日の寝不足と急登で、疲労がかなり蓄積しているようだ。三ツドッケに登る気力が湧かず、巻き道を進んでしまう。やはりテント泊の場合、1日目は、10kmほどに抑えておいた方が良いのかもしれない。
ここからは、ずっと稜線の南側を巻いていくように登山道が作られていて、アップダウンがないのが助かる。
七跳山へは尾根上に山頂に向かう踏み跡があり、山頂まで行くことができた。
今日の目的地、酉谷避難小屋までは、あと少しだ。くねくねと巻き道を進んでいくと、きれいな小屋が目に入った。
15時前になんとか避難小屋に着くことができた。避難小屋はすでに満員で、小屋前のスペースもテントで埋まっている。
細い水場で水を調達してから、稜線まで上がった。事前の情報から、ここにテントを張ろうと予定していたのだが、すでに2張のテントがあった。幸い、もう2カ所ほどテントが張れそうな平らなスペースが残っている。そこにザックを置いて、空身で酉谷山を往復。
戻ってくると、すぐにテントを設営。夕食を済ませると、異常な疲れから、一瞬で深い眠りに落ちた。
■2日目
朝3:30起床。昨日は17時半には眠ったので、10時間ほど寝たらしい。睡眠とはすごいもので、昨晩は1歩も動きたくないくらい疲れていたのが、完全に疲れが取れている。
結局、稜線上のテントは6張まで増えていた。避難小屋前に3張ほど張れるので、最大で10張くらいまでならいけそうだ。
テントを撤収し、薄暗い中、4:30に出発する。
水松(あららぎ)山までは、昨日に引き続き、稜線の南側を巻きながら進む。
足の調子がとても良い。今日は天気も良く、気持ちのよい朝だ。
野鳥の元気もいい。さっきから見え隠れしているのは、ルリビタキだろうか。頭が薄緑、脇が特徴的なオレンジ色でヒィッヒィッという鳴き声が聞こえる。
芋ノ木ドッケまで、我ながら驚くほどの速さで到達。以前、芋ノ木ドッケから水松山まで歩いたときは、倒木が沢山あって苦労した記憶があるのだが、今はとても歩きやすくなっている。雲取山荘に泊まったという登山者とひっきりなしにすれ違う。
雲取山荘の横を通りすぎ、山頂に向かう。この区間だけ、少し凍結部分が残っていたが、アイゼンは全く必要ない。
雲取山山頂に到着。雲取山は5回目だ。山頂は、大勢の人でごった返している。富士山と和名倉山を確認して、すぐに後にする。富士山は、うっすらとしか見えなかった。
足の調子がすこぶる良く、快調に下る。8:40頃、奥多摩小屋の前を通過する。こんな時間になっても、まだ、テント場に10張ほどのテントが残っている。おそらく、今日は下山するだけの人たちだろう。
七ツ石山の手前の登りで、少しバテるが、まだまだ調子がよい。本当は、ここから赤指山方面に下山し、峰谷からバスに乗る予定だったのだが、時間が早すぎるので、先に進むことにする。
ここから高丸山、日影名栗峰に登ることにする。以前、石尾根を歩いたときは、暑さにやられ、この2つの山を巻いてしまったため、まだ登ったことがない。
高丸山へ向かう尾根道は、広い草地となっていて、開放的で気持ちのよい道だ。南側の眺めも良い。
最後の急坂で疲労が増すが、小学生くらいの子供が元気に登っているのを見て、励まされる。
日影名栗峰は、ちょっとした丘のような山であまり特徴がない。そのまま鷹ノ巣山へと向かう。
鷹ノ巣避難小屋から、少し下った水場で水を補給してから、鷹ノ巣山に向かう。
なだらかな斜面を登ると、眺めの良い鷹ノ巣山に到着する。さすがに人気のある山で、10人以上の人が休憩している。私も、シートを敷いて昼食&休憩とした。今日は、既に20km近く歩いている。足の筋肉は、まだ大丈夫だが、足裏が少し痛い。
休憩しながら、この後の予定を考える。ここまで来たら、奥多摩駅まで歩いてしまいたい。石尾根を進んで、奥多摩駅まで行ってしまうのが最短ルートだが、このルートは歩いたことがある。できれば、歩いたことの無いルートを歩きたいということで、六ツ石山から南に下って、奥多摩むかし道経由で奥多摩駅に向かうことにする。
十分な休息をとった後、六ツ石山に向かう。鷹ノ巣山の下りで、熊鈴を付けた男性(同年代くらいか)登山者を追い抜いたのだが、その後、この男性が速度を上げてぴったりと後をついてくる。私をペースメーカーとしてくれるのは全然構わないが、私は熊鈴の音が苦手なので、困ってしまう。
抜き返してくれると助かるのだが、それもしてくれない。チリン、チリーンという音が私を苦しめる。あの音を聞きながら一日中歩ける人は、よほど忍耐力が強いに違いない。
私も以前、熊が恐くて熊鈴を買ってはみたものの、付けた5分後に取り外してしまった。それ以来、熊に遭遇したら諦めることにしている。
仕方がないので、速度を上げて、引き離すことにする。ようやく音が届かないくらい離れることができたが、オーバーペースで疲れが増す。
六ツ石山分岐で、石尾根に別れを告げ、南に向きを変えて、六ツ石山に向かう。登る途中、振り返ると、熊鈴の男性が石尾根をそのまま進んでいくのが見えた。ありがたい。
六ツ石山の山頂は広く、草地となっていて、気持ちがよい。
ここからは、奥多摩湖に向かって下っていく。しばらく、なだらかな斜面が続くが、そこを過ぎると、ものすごい急坂になる。800mほど一気に下りるようだが、ずっと急坂が続き、膝が休まる暇がない。
どうやら、ここが奥多摩三大急登の1つと呼ばれる急坂らしい。本仁田山の登りと合わせて、今回の山行で2回目の三大急登だ。急斜面に檜がびっしりと生えているのは、少し怖い光景だ。膝が壊れそうになりながらもなんとか下山する。
下山口には、むかし道への道標があり、それに従って進む。細い山道を進んでいくと、一般の方とちらほらすれ違う。
この道は、町中の格好でも歩けるように整備されている。谷が落ち込んでいるところを巻きながら進むが、かなりの高度感だ。
山道をしばらく進むと舗装道路にでた。この道路が、川に沿って奥多摩駅まで延々と8kmほど続く。
この道は、小河内ダムを眺めたり、吊り橋があったり、きれいな川を覗き込んだり、対岸の山を眺めたりできて楽しい。車が通らないのもいい。
結局、今回の山行での一番の景色は、この道から見た対岸の山だった。濃い緑から淡い緑まで、多種多様の緑で一面覆われた山は美しかった。
奥多摩駅に着いたのは15時すぎ。テント装備で1日30km以上歩いたのは初めてだ。さすがに歩き過ぎで満身創痍だが、とても充実した山行だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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johndoeさん」、こんにちわ!!marcyと申します。
地味ですが素晴らしいコースを歩かれましたな!!
オイラも昔、3月に行って、芋の木ドッケあたりで膝上ラッセルを強いられたことがあります。
一時期、オールシーズン、オールルートで雲取山を登る一環で行った記憶がありますわ。
from marcy
marcyさん、こんにちわ。
長沢背稜は、前から歩きたかったルートだったので、念願叶ってよかったです。
私は、登山開始から4年目ですが、無雪期の縦走メインで、まだまだ初心者の域をでません。
marcyさんがやっているような、岩登りや沢登りは、全然知らないので、羨ましいです。
4/30の帰り、御嶽駅からクラッシュパッドを持った若者が電車に乗ってきましたが、腕の筋肉がグキグキで、かっこ良かったです。
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