日光白根山 西面3ルンゼ、北西稜 帰って来ました!骨折後初のアルパインソロ!
- GPS
- 06:08
- 距離
- 6.1km
- 登り
- 884m
- 下り
- 891m
コースタイム
- 山行
- 5:07
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 6:02
天候 | 快晴! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ロープウェイチケット購入時に登山届の提出を求められますので、先に記入して置きましょう。登山届はチケット売り場に向かって右側に有ります。 ロープウェイ往復2000円+保証金1000円で、下山しカードを返却して保証金1000円は返ってきます。カード返却時に氏名を告げて下山報告となります。 ロープウェイ運行時間は8:30〜15:30ですが、混雑時は運行開始前からロープウェイ待ちの列が出来ますので、早く出発したい場合は並んで置いた方が良いです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
西面ルンゼ取り付き付近までは一般ルートを行きます。トレース有り。 一般ルートを外れてから西面ルンゼ取り付きまでの状況は日によってまちまちで、樹林帯のラッセルになる事も有りますが、トレースが有る事もあります。過去の例ではトレースを辿って楽々取り付けたことも有りますが、ワカンで腰ラッセルになった時もありました。スノーシューなら万全ですが、全くのお荷物になることもあります。最低限ワカンが有れば安心です。 西面ルンゼから3ルンゼまでは気温によって雪質が変わります。クラストしたカリカリ雪面+粉雪の吹き溜まりの時もあれば、腐れ雪と踏み抜き地獄だった事も有ります。この辺りで状況に応じて、アプローチ装備からアイゼンやクライミング装備への変更を行います。 西面3ルンゼ内は日陰の為、割合的にはカリカリ雪面が多くなります。寒い事が多いので登攀装備に変更する際に、それに応じた服装に調節しておくと良いです。中間に氷化した部分が出来ていて、長さに差は有るものの3月〜4月位なら例年存在します。規模が小さければ避けて登れますが、大きい時も有りますのでダブルアックスの方が安心でき、積極的にアイスパートを楽しめます。 アイスパートをクリアすると二俣っぽい感じで左右に登れそうな所に出ます。左側の方が容易ですが北西稜に乗ってしまいます。3ルンゼを完登したい場合は右側を登ります。 右側の上部は降雪の少ないシーズンや、時期によっては雪が少なく岩が出ているところがあります。日が当たっている場合は岩の結合が脆くなって剥がれたり、落石が起きたりします。フッキングの見極めとテスティングを行い、安易に荷重しないように、優しく登りましょう。 初心者には必要に応じてロープを出しますが、ボルトとか無いので支点はシャフトを埋め込んだアックスに取ります。2本有ればそれなりに信頼感も増しますので、ここでもダブルアックスが有効になります。 3ルンゼを抜け、右に見える雪壁を登れば山頂のあるピークに至ります。 下山に使用する北西稜ですが上部は薄藪と岩がらみの急斜面で、踏み抜き等で足首にダメージを受け易いので注意が必要です。北西稜少ピークの先に北に向かって少ルンゼ状に落ち込む斜面が有りますが、基本に忠実に正対姿勢で下った方が安全だと思います。 北西稜を忠実に降ると七色平避難小屋付近に出ますが、藪が濃くなるのでそれを避ける為、左へ向かって高度を下げます。樹林とルンゼに落ち込む岩壁の間を抜ける感じにルートを取りますが、時間的にアイゼンに雪団子が付きスリップによる滑落注意です。肩掛けリーシュが有効で、何時でもシャフトを雪面に刺せる様にしておきましょう。 北西稜下部では全層と言う事は無いと思いますが、雪質によっては雪崩れます。今回は表面が陽光で腐り始めていましたが、去年のように雪崩れる事はありませんでした。 |
写真
感想
丸沼高原スキー場、ロープウェイ山頂駅から見上げる白根山。そこに刻まれた一筋の岩溝を辿る西面3ルンゼ。数年前から毎年のように登っている、この時期定番のお気に入りルートです。
難易度的には通常の雪山登山よりはハードではありますが、慣れている方なら確保なしでもクリア出来る程度のプチアルパインと言った所です。それでも山頂にダイレクトに突き上げるルートの合理性や、様々に変化するコンディションは何度登っても飽きる事が無く、自分にとってアルパインクライミングの原点となるルートです。
特に今シーズンは、去年9月に奥多摩の沢でやらかした右足関節脱臼骨折の為、全滅状態だったアルパインの再始動といった意味合いが有り、特別な思いを込めた山行となりました。
何度も登ったルートですが、骨折後のアルパインソロは初めてなので、心の重圧がそれなりに有ります。簡単なルートといってもミスをすれば相当な距離の滑落になる為、入山するまでネガティブなイメージが付き纏いましたが、プレッシャーに耐えるのもアルパインクライミングの重要な一部と受け止めました。
まあ始まってしまえばそこは大好きな雪山。登山道を外れ樹林帯をラッセルし、好天に恵まれ陽光に輝く西面ルンゼに迎え入れられれば心は一気に高揚します。
雪壁を捉えるアイゼンの感触、叩き込まれるアックスの手応え、ガチャが奏でる登攀のリズム。それら全てが調和したアルパインの世界に、ドップリと浸る最高の時間が待っていてくれました。
冷たい風が吹き上げる3ルンゼで、今まさに一手一手、己をより確実な生へと向かわせる行為に心は研ぎ澄まされ、始まる前のプレッシャーが大きい程に高まる登攀の喜び。これだからアルパインはやめられません。
骨折から7ヶ月。まだ腫れが引かず左足の1.5倍くらいに太い右足首ですが、この足でようやくアルパインの世界に戻ってくる事ができました。まだまだ道のりは長いですが、一歩一歩着実に前へ進んでいきたいと思います。
<今回の個人的ポイント>
・バリアント52更新。
今まで使っていたオスプレーバリアント52は旧モデルだったのですが、今回現行モデルに更新しました。背負い心地も非常に良くなり素晴らしいフィット感。使い心地もシンプル且つ合理的にシェイプされ、前モデルよりも確実に進化しています。更新してよかったなぁと思います。
・足の治り具合。
6時間程度の行動時間でもヨレヨレ感はそれ程深刻では無く、格段の回復です。その一方でアイゼン付けた状態で、雪に隠れた岩などを踏むと思わぬに方向に足を捻られますが、健康な足に比べてすごく痛みます。まるで捻挫したかのような感じなので、多分まだ靭帯が弱ヨワなんだと思われます。
<過去の西面3ルンゼの記録はこちらです>
2016年 下降は北西稜
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-835033.html
2015年 下降は北西稜
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-605117.html
2014年 下降は旧登山道
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-417792.html
怪我から半年しか経っていないのに
もうアルパイン復帰ですか、早いですね。
庇っている健全な脚を痛めないようにしてくださいね。
そうなんですよ〜。長期間の固定の影響で、足首の稼働域が狭くなっているのを他の関節で補うせいか、膝痛が出やすかったりするんですよね。正座も1分で限界だし。ランを含めた日帰りロングを骨折前と同等にこなせれば完全復活と言えそうですが、まだまだ遠い目標です。
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