南北八甲田残雪ぎりぎりスキー縦走(バス式)


- GPS
- 40:00
- 距離
- 22.6km
- 登り
- 1,997m
- 下り
- 1,822m
コースタイム
5/12JRバス東北「みずうみ号」谷地温泉9:12→仙人橋9:16
仙人橋9:23 赤倉岳北1020コル引き返し13:00 蔦温泉15:15
JRバス東北「みずうみ号」最終便
蔦温泉16:05→萱野茶屋17:00→自宅17:30
天候 | 初日晴れのち高曇り時々ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
今年は比較的残雪が多い年と言われている。 萱野茶屋周辺は雪が無い。火箱沢林道分岐からは雪が繋がっている。 稜線上部、1500m帯はハイマツで、元々風が強く積雪が少ないため雪が無い。全体に風下側の東面斜面に残雪が多い。 仙人橋周辺Co600mはもう遅い。残雪を拾って行く感じ。葛温泉方面はCo500m台で雪全くなし。 素敵な温泉とバスを組み合わせて、もう少し早い時期ならさらに多くの計画が作れそう。谷地温泉の二食飲み放題風呂浴び放題5800円は破格。しかも温泉の湯は一級品です。値打ちある温泉宿。厳冬期もやっています。 |
写真
感想
3月4月と地震で忙しく、ようやく休暇。でも雪がメルトダウンしている。青森でいちばん雪の多い、八甲田高山帯の未踏峰をつなぐ計画を立てた。標高の低い500m、600mあたりで雪が無いと、薮コギで大変なのでそこで知恵を絞る。
前岳の北斜面には、ブナ純林の盛大な斜面がある。ここをひた登るのが今回の山場の一つ。八甲田にロープウエイで登っては男がすたる。萱野茶屋からスキーで出発と計画したが雪がもはや無かった。火箱沢林道分岐までスキーを背負って(シートラ)行き、登りだす。雪は硬く、スタスタ前進。風で落ちたか枝が散乱し、結構直進できない。特に植林のカラマツは落枝が多く、始末に困る。傾斜が急になるとシールでずり落ちる事多くなり、シールはずして、トップに紐を付け、引っ張って登る(シーズリ)。このほうが楽。前岳山頂下では雪が無くなり、アオモリトドマツの薮になる。右側に回り込み残雪をつないで山頂に至る。初登。気分よし。
赤倉へのコルへ滑降。今回初めの痛快斜面だが1分でおしまい。再びシーズリで赤倉目指す。上部ハイマツ帯は雪が無いのが見えていたので、夏道に当てるよう意識して登る。遠くではよく見えるが近づくと道は見えない。雪の切れ目、ハイマツの始まりで運良く道に当てる。ここから地面でシートラ。
赤倉岳、井戸岳のあたりは初登だ。どちらも爆裂火口でガケを持つ。井戸岳の最高点は火口の向こう側で、道からは離れている。ハイマツの薮を行く気がせず、パス。次回氷の季節にでも行きたいもの。
避難小屋周辺では何人か人がいた。小屋の中でおにぎりを食べる。秋田出身青森在の御婦人と居合わせ世間話。
大岳は何回も登っているし、雪が無くて黒いのでパス。今回は大岳東面の大雪斜面を斜めに棒立ちで滑る。ものの数分で小岳コルに。この斜面では7、8人のスキー、ボードの、滑り専門パーティーが二組いた。
小岳もシーズリで登る。高田大岳は晴れているが、大岳、井戸赤倉はガスに巻かれている。
小岳から高田大岳への斜面は痛快だった。ものの数分だが、この快感はスキー場ではだめだよ。僕の時代遅れスキーでも十分楽しい。
高田大岳も山頂手前50mほどのハイマツ帯は雪無く真っ黒。ここに見える夏道へ、はずさず到達するのが結構な課題だ。勘を駆使してなんとか当てる。山頂付近はまったく雪無し。最高点の先にケルンと祠あり。厳冬期は100m手前の「だいたいピーク」までで、ここまで来なかったから、一応初登。真っ白な南八甲田と谷地温泉が見える。谷地温泉はすぐ横に直径500mの湿地(萢、谷地)があるので分かり易い。その手前の△974も分かり易くて助かる。ただ、高田大岳は傾斜が急で山頂からだと中腹が見えない。はたして快い斜面があるのか。薮こぎだったら悲惨だ。ひとまず雪が出るまではと、夏道を下るが、この道もハイマツが覆いかぶさり廃道間近なクラスだ。雪のあるところまで降りて、道が不明になったが、小藪が多く、あまり気持ちよく滑れない。しばらくシートラで下ると、ジャンプスキーコースの様に、麓まで薮が無い、真っ白な一直線ラインを発見。幅20mほどだが、ターンには影響無い。伐開線か、土石流跡か謎。この滑降コースを使って一気に△974辺りまで滑り下る。△974はほぼ道通りに左に巻いて、水芭蕉の咲く谷地へ。温泉の匂いがぷ〜ん。谷地温泉へ直滑降。
白濁、クラクラの強烈な硫黄泉で、木材の湯船に浸かり、晩ご飯お替わり自由、酒飲み放題で、狭いながらも畳に布団で一泊5800円(年中定額)。素泊まりなら3900円で自炊室ありの通年営業。
二日目。
水芭蕉咲く谷地のバス停でバスに乗る。このバスが9時過ぎなのできょうの行動が短くなった。でもまあ宿で朝ご飯おかわりして、朝風呂入って、連ドラひまわりまで見られた。見上げる高田大岳は右半分がばっちりな雪面だ。初めから知っていればこっちを滑ったなあ。
5分で仙人橋。でも歩くと1時間。仙人橋周辺で雪はもう余り無い。でも残雪をつないで歩いては行ける。道は残雪のせいですぐ分からなくなる。ここらのブナ林は、夏でもたいした薮が無く気持ちのいい山域だ。それも見込んで、雪が無くてもなんとかなるだろうと赤沼を目指す。
赤沼を右に見下ろす尾根の上を経由して、赤倉岳北のコルを目指して西へ西へと進むが、スキーを履き続けられるほど雪が繋がっておらず、結局シートラのままでコルまで行く。この辺りで時間切れ。もっと雪が十分なら、行きも帰りも短時間で行けたろう。赤倉岳はまた雪が十分な季節にこよう。このコル経由のルートは記録ないが、稜線に比べ雪も多く、ササも少なく、積雪期には良いと思う。巨木多数のブナ純林を延々歩き、小川のせせらぎもあちこちにある。赤倉岳東側は爆裂火口起源の広く大きな浸食谷で、風当たりが少ないため、巨木が多い。蔦温泉周辺の湖沼群は、その地滑り地形の影響と思われる。
帰りは・804の松森山を経由する。一面ブナ林のこの広い谷ん中でこの山頂にだけコメツガの森があってとても目立つ。誰かが植えたのか、不思議だ。この山は赤岳爆裂火口の谷の中の溶岩体のかけらのようなもの。少しだけ高まりになっている。きっと昔の人は何か特別なところに感じたのではないかなあ。今の人の僕でも少し霊的な中心を感じるぞ。何か眼には見えないが感じる場所というのがある。
と下山して本を読むと、大町桂月も何かここに惹かれて何度も来たという。大正時代からすでにコメツガの森だったようだ。
松森山から蔦温泉には古い地図には夏道があったが今は廃道寸前。しかもまだら残雪でほとんど不明だが、幸い、薮が易しいので地図と磁石で雪山のように直進でき、蔦温泉周辺沼巡り遊歩道にたどり着く。とはいえバスの時間もあるし、地図に無い小地形が多くて迷う事幾多。久しぶりに真剣な地図読みをした。ほぼ狙い通りに当てる事ができて満足。GPSなんかじゃ味わえない充実の時間だ。この不安と孤独感がぬるま湯の日常には無いもの。月沼の前に出て、鏡沼、蔦沼とぷらぷら歩いていたら、七目木さんに会った。おひさしぶりの挨拶をかわしたが、今月いっぱいで転勤との事。またどこかであえるでしょう。
蔦温泉でやっぱり木造の湯船に浸かり、土産屋のばあちゃんにラムネ頼んで長い靴べらを買う。この土産物屋はそこらの土産物屋と全然違う。置いているものが、どこにでもあるみやげじゃ無いのだ。竹の杖なんか、用も無いのに欲しくなる。聞けばおじさんはこの辺では指折りの古老。山の事なんでも知っているそうだ。バスがきちゃったのでみずうみ号に乗り、アイスなめながら萱野茶屋まで。みずうみ号は新幹線はやぶさとおんなじ塗装の新車で、ナンバーは8823なんだよね。
残雪ぎりぎり山行。この季節は麓からスキーで登る主義じゃ駄目で、標高1000mの笠松峠発着の計画ってもんだね、常識的には。でも楽しかった。
コメント
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yoneyamaさん、仕事の合間のいい山(と温泉)でしたね。仕事しているとちょっとのところでベストの時を逃すことがありますね。では来年のお楽しみに、というのもまたいいものかもしれません。「男がすたる」のくだりは、yoneyamaさんしか言えない言葉ですね、微笑んでしまいます。シーズリとは山屋さんの言葉? バス式ってねじ式思い出しました。
谷地温泉とあわせて是非一度のんびり歩いてみたい山域です。
スキーを背負うのはドイツ語のシー+トラーゲンの略で、山岳部で昔からいうのですが、シーズリのズリは日本語でしょう多分。最近の現役が言っていたのでまねして使っています。なんちゃってドイツ語ですね。うちの山岳部でしか通じないことばです。が、残雪期は結構あると便利なことばです。
谷地温泉はねじ式のつげ義春マンガに出てきそうな雰囲気ある湯船でした。
yoneyamaさん、こんにちは。
八甲田、蔦温泉、谷地温泉等、懐かしい名前につられて着ました。良いところですよね。
20年程前ですが、年越しはおいらせYHで毎年過ごしていた事が有りました。バックカントリー用のスキーを持参して、周辺を散策するのです。
また酸ヶ湯でキャンプして、今回のyoneyamaさんの様に八甲田から谷地温泉等に滑って降りるのを楽しみました。今回のyoneyamaさんの様に、周回バスが運行している頃です。適当な温泉が有る場所に滑り下りて、バスで戻って来るのです。でも登りはyoneyamaさんの様に足で登らず、ロープウェイを使いましたが(ちょっと軟弱ですね)。
バックカントリー用のスキーでもエッジの有るタイプなので、滑ったりシール無しで登ったりできるのです。yoneyamaさんのは山スキーですか?
写真を見ると、僕がいつも行っていた時期よりは遅いですね。これだと滑り難かったのでは無いですか。地面や藪が所々で見えていますね。レコを読んでもスキーを外したり履いたりで大変そうですね。やっぱり完全に雪に覆われている時期の方が楽ですね。
ところでパイネに行ってましたね。 あそこは良い場所ですね。僕も好きです。 プンタアレーナスとかサンチャゴとかの地名に、思わずにんまりとしました
フタロさんこんにちは
ことしの僕の時期はもう周回バスが終わっちゃって、乗ったバスは通年の路線バスです。
あのへんの温泉はたたずまいも泉質も文句無しですね。またいずれおいで下さい。パイネは秋にNHKBSのグレイトサミッツでやりますよ。
シール無しで登れるスキー?鱗付きなんですか?ぼくのは山スキー+バンド締めシールです。
このレコを見て、また行きたくなりました。子供たち次第ですが、上の子の部活が有るので難しいですね。
今年の年末は難しいので、行くとすると来年でしょうか。
はい、鱗付きです。僕の板はロシニョールなのですが、昔の板なので210センチとロングです。鱗の面が多くて登り最強と言われていますが、逆に下りは最弱でテレマークはし辛いです。
昔、志賀-草津ルートをグループで行く事になった際、熊の湯で土曜日にゲレンデで滑った後、日曜日の草津への帰りの偵察に行き、そのまま草津白根山に登って、お鉢巡りをして、万座スキー場に降りて数本ゲレンデを滑ってから、志賀高原まで登り返せた位、登りは強いです。
パイネのグレイトサミッツ、楽しみにしています
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