ストック・カンリ6153m(インドヒマラヤ・ラダック)
- GPS
- 83:29
- 距離
- 38.8km
- 登り
- 3,203m
- 下り
- 3,206m
コースタイム
0935ストック村トレッキングポイント出発(3650m)-1120スチャンマのティーテントで休憩1140-1255マンカルモBC泊(4400m)
【2日目】
0815マンカルモBC発-1000アッパーBC(UBC 5000m)着 休憩、昼食、午睡
1320 UBC発-1420 ゴレップ・カンリ手前5350m地点1440-1525 UBC着
【3日目・アタック】
0115 UBC発-0235アドバンスドBC(5300m)-0800ストック・カンリ山頂(6115m)0820-0850山頂手前の肩0920-1155 UBC着
【4日目】
0915 UBC発-1015マンカルモBC-1130トントン峠-1145スチャンマティーテント-1200スチャンマで昼食1300-1430ストック村
天候 | 1日目・晴れ 2日目・晴れ (早朝の最低気温1度) 3日目・曇り後粉雪、時々晴れ (早朝の最低気温マイナス3.6度) 4日目・快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
飛行機
デリー〜レー → Kingfisher Red |
コース状況/ 危険箇所等 |
・ストック村トレッキングポイントにて登山許可の取得が必要。パスポート必須。5分で発行。2100Rs。 ・トレッキングポイントに商店が2店。キャンプサイト有り。 【ストック村〜マンカルモ】 トレッキングポイントから川沿いの砂利道をしばらく歩く。2,3度渡渉すると、右に高巻きの道が出てくる。以前は川の流れがもう少し左側だったので、高巻かずに済んだという。再び川沿いのトレイルを緩やかに進んでいくと、右手に岩壁、その上に古代の砦(宮殿?)が見える。このあたりにブルーシープが生息。野バラや野生のミントなどあり。左側に木々が生えた場所が現れ、ここをスチャンマ(木)と呼ぶ。木陰があり休憩可能。もう少し進むと、ティーテントがあり、冷たい飲み物やチャイ、軽食(インスタントヌードルなど)を購入可。急坂を登り切るとタルチョ(チベット仏教のマントラが書かれた5色の旗)があり、そこがトントン・ラ(峠)。標高約4000m。更に川筋を詰めていくとマンカルモベースキャンプ(ロウワーBC)に到着する。危険箇所は特になし。 【マンカルモBC〜アッパーBC】 緩やかな坂道を登り始め、徐々に急坂に。川沿いを詰めていく。左右至る所からマーモットが顔を出す。空にはゴールデンイーグルが翼を広げ飛翔。約1時間半でアッパーBCに到着。 【アッパーBC〜ゴレップ・カンリ中腹】 BC左手をトラバース気味に上昇。広い稜線にでて山頂方面へ。5350mまで行き引き返す。下りは斜面を直下降。砂走り。 【アッパーBC〜ストック・カンリ山頂】 BC出発直後から峠に向かい急坂。道は安全だが、峠の先はトラバース道。ナイトトレックとなるため、足下には十分注意。アドバンスド・ベースキャンプを抜けると氷河地帯に突入。雪解け水が勢いよく流れる川を3度渡渉。幅が広く水深も深く、流れは急なため充分に注意を。アイゼンは必要なし。 比較的平面の氷原地帯を抜けると斜面に取り付く。何個か雪渓を渡り、いよいよアイゼン装着。雪の下はゴーロ上の斜面。夜中なので雪は締まっていてアイゼンの爪がよく効く。その後、雪が消えたところでゴーロ上の斜面を登る。途中、もう一度雪渓を横断。いよいよ、稜線に向かう斜面に取り付く。トラバース気味に砂礫地帯の坂道を登る。途中、落石に注意(下山時に落石におそわれたパーティを目撃。1人重傷)。稜線に付くと、そこがストックカンリの肩(約5900m)。残り200mは稜線歩き。極端に狭くはないが、一部スッパリと切れ落ちている場所あり。強風や高所酸素不足による目眩、ふらつきには十分注意。ガイドによってはショートロープで確保する場合有り。 【総評】 総じて今年は雪が少ないようで、アイゼンを使わなくても登れるほどだった。念のためピッケルも持参したが、ダブルストックで事足りた。下りは9時過ぎで気温が上昇していたが、雪はさほどゆるまず歩きやすかった。グリセード出来るような場所はなかった。山頂の標高は6120や6137や6150など様々。私のGPSでは6114mが最高でした。 |
写真
感想
ストック・カンリ登山。行って参りました。当初、不安だった高山病の症状にも悩まされることなく、無事、6000mを登ってこれました。
到着は27日早朝。レーに着いて宿へ行き、休憩してから市街へ散歩に。高台の宮殿やゴンパ(寺院)を巡り足慣らし、息慣らし。28日は西に約20キロ行ったピャンという村のゴンパで仮面舞踏のお祭り見学。29〜30日には片道約6時間かけて、南の湖「ツォ・モリリ(4600m)」に。帰路にはタグラン・ラ(峠)という5326mの峠を車で越えて帰ってきました。高所順応のつもりだったのですが、終始、食欲旺盛、体調万全だったので順応しているのか、そもそもまだ問題が出てきていないのか不明。そんな中での登山開始でした。
ストック・カンリへのトレックは7月31日〜8月3日の4日間。標準的な日程と考えて良いでしょう。時間に余裕がある方は5日ほどあると、ノンビリ出来て良いかもしれません。トレッキングツアー自体はハイシーズンなので、レーに行けばほぼ毎日出発するツアー会社が見つかります。値段は参加人数次第です。値切りも可能ですが、安かろう悪かろうもあるわけで。事実、ハイシーズンでうまくロバや馬が確保できていなかったために、BCへの荷物到着が遅れたり。4日間の予定でツアー入山しているのにもかかわらず、ガイドがその日程が終わらぬうちに次の予約を入れているなど。こういった身勝手な理由で、無理矢理3日間で強行軍しようとしたり、等々。パーティによっては多少のトラブルもあったようです。また、現地ガイドではなくネパールからの出稼ぎガイド(ネパールはこの時期モンスーンなので、天候が安定するインド・ヒマラヤに多く来ているようです)が道に迷ったりといったトラブルもあるとか。値段だけでなく、登山技術もさることながら、地理によく精通しているガイドを探した方が無難です。
私はストック・カンリがあるストック村が地元のスタンジン・ワンボさんにガイドをお願いしました。コックや馬方さんもみなさん、ストックの方。ワンボさんの奥様は池田悦子さんという日本人の方で、英語やラダック語、ヒンディー語が分からない人でも安心できると思います。ちなみにワンボさんも日本語が達者でした。ストック村でホームステーやトレッキングツアーなどを行うトラベルエージェンシー「Neo-Ladakh」( http://neo-ladakh.blogspot.com/ )を運営しています。大変お世話になりました。
これまで日本では単独行をメーンにやっていた手前、最初はなるべく自分で荷物を持ち……というのをイメージしていました。ガイド手配などしてみると、そこには馬方さんやコック、馬3頭も引き連れていくといった内容に最初はびっくり。そんなにいるんかいな?と。しかし、これが何とも最高な山旅への序章なのでした。テントや寝袋、重たい装備はすべて馬がBCまで運んでくれる。BCキャンプでの食事は3食とも、コックとして同行してくれたワンボさんの弟ロートスくんが力作。トゥクパ(チベット風麺料理)やターリー(インドのプレート定食)、ティモ(ラダックの蒸しパン)など毎回違う献立で腹一杯食べさせてくれました。おやつには、インスタントラーメンの「メギ(maggiのラダック訛り)」を出してもらうなど、食いしん坊の私に餌付けするのが大変そうでした(笑) なんといっても、よくテレビで見るように、BCに色んなサポーターが付いてきて、最後のアタックを仕掛けるときに暖かく送り出してくれる場面が実際に再現されて、高揚感も高まりGOOD。海外登山しにきた!というのが雰囲気だけで実感できました(えぇ、クリシェな固定観念デスとも笑)
水やジュースなどは各BCのティーテント(売店)で購入可能ですが、平地の倍の価格。水は多少濁っていますが、川の水を飲むことが出来ました。料理もすべてこの水です。なお、朝は水量が少なく水も綺麗ですが、午後になると雪解け量が増えて水も濁り始めます。飲料水は朝のうちに汲むほうがベターです。
トイレはBCには仮設のトイレがあります。ぼっとん式ですが、乾燥した気候のためにおいはあまりしません。環境のことを考えると、本当は携帯トイレで持ち帰った方が良いのでしょうが……今後、登山客が増えるにつれて直面する問題になると思います。
ガイドの必要性について。ストック・カンリはハイシーズンであれば多くの登山客が入山しており、アドバンスBC(なお、アドバンスBCは現在、テント設営不可)までは道筋も明瞭で、間違いなく1人でも問題なく行くことが出来るでしょう。ただし、それ以降から山頂までは氷河地帯での渡渉、アイゼン歩行での雪渓横断があるなど経験が浅い場合はガイド必須です。また、詳細な地図も現地ですら手に入らないので、一度も行ったことがないのであればガイドがいた方が安全のためにも良いと思います。ただし、本当に慣れている方であれば、日本の山同様に自分ですべての荷物を持ち、登山することも充分に可能だと思います。僕も次回であれば、一人で行けると思いますが、問題は残雪具合。今年は雪が少なめでしたが毎年同じかどうかは分かりません。場合によっては氷河地帯にクレバスがあるので、充分に注意が必要です。
アタックは3日目の未明から行います。午前1時頃出発。暗闇の中をヘッドライトをつけて歩き始めます。いきなり急坂からのスタートなので、寝起きの体に効きます。息が思ったより早くあがり、小休止を取りながら前進。登り切るとしばらく平坦な箇所が続き、この間に息を整えました。
氷河地帯ではガイドに従って雪解け水の流れを渡渉。その後、雪渓を横断し、斜面の残雪地帯取り付き地点からアイゼンを履きましたが、個人的な感想から言えば、アイゼンなしでも登れる程度の雪でした。
雪渓地点を抜けるといよいよ、ストックカンリ山頂へ向けた急登の始まり。砂礫地帯をトラバース気味にあがっていきます。高度はすでに5600m超え。この頃から息の上がりが早くなります。踏ん張って、稜線上の肩につくとここが約5900m。山頂まで残り200mです。一度、大休止を取って、最後のアタックに。荷物は肩にデポすることにしました。休憩してからの出発だったの心にも余裕はあったのですが、体とは言うと、、、、文字通り10歩歩いては深呼吸の繰り返し。5900までと、そこからの200mは全くの別世界でした。ガイドのワンボさんも頭が微妙に痛いとか。僕は頭痛や吐き気などはないのですが、とにかく空気が薄い。脳と肺が全力で酸素をほしがってます。苦しい中、小1時間ほど登ると……目の前には鮮やかなタルチョのたなびく山頂が!最後の一踏ん張りで、なんとか登頂出来ました。あー、、ぐるしかった。
山頂では、焦げ茶色の荒々しい山々が視界の下に広大に広がっていました。登っている最中は粉雪が舞い雲に空も覆われていましたが、僕らが山頂に着くのを待っていたかのように雲が晴れて日光が。舞い上がった粉雪に光が反射してダイヤモンドダスト!まぶしくもその美しい景色にうっとりしました。山頂では持参したタルチョを結び、願掛け。記念撮影などして下山しました。
BCに下山してからは昼食も食べずに泥のように眠り、夜ご飯。ロートスの作ってくれた暖かいご飯を食べ終えると、なんと食後にデザートとしておっきなチョコバナナケーキが!!!!しかも、ケーキの上にはストックカンリの絵が練乳で描かれている……!ワンボさんが登頂を記念してBCで焼いてくれたのでした。感動(T_T)。登頂したときよりこのときの方が感動(笑)ありがとーーーーワンボ〜〜〜!
4日目にストック村に戻ってからはワンボ家である古民家「にゃむしゃんの古民家」にホームステー。帰国日までノンビリさせてもらいました。
〜〜8月9日追記〜〜
高山病による敗退について。登頂の成否の鍵を握るのはテクニカルな面よりも、間違いなく高所順応の有無です。私と同じ日にアタックしていた組では、イタリア人一家のお母さんが山頂手前で頭痛のため登頂断念。山頂手前の稜線に向かう斜面を直登していたグループが落石に遭遇し、断念。その他、数組が体調不良で下山した模様でしたが、登頂成功率としては80%くらいあったのではないでしょうか。比較的、登山者の年齢層も若かったと思います(日本の登山人口の内訳と比べると)。
高山病対策について。高所順応として事前に4000〜5000mに行くことに意味はありますが、結局山頂は6000m台。高山病かかる人はかかります。僕は個人的に、呼吸法に乗り切るしかないと思います。高所で具合が悪くなりつつある人は、だまされたと思って、大げさに呼吸をし続けてみて下さい。息が上がっていなくても、大げさに笑 僕は、しゅうし、ヒューヒュー音を立てて大きく呼吸をし続けていました。もちろんペースを上げれば息は上がりますが、頭痛や食欲減退、嘔吐などはありませんでした。
コメント
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マジうらやましいなぁ!
6000m無事登頂おめでとう( ´ ▽ ` )ノ
やっぱり海外の山はスケールが違う!
おれもいつか海外の山に行けるといいな!
標高差約2500mとエントリーしやすい6000m峰でした。
キリマンジャロの方が標高自体は低いけど、標高差が厳しいから大変かも
いつか海外の山いこう!
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