鶏冠山ー木賊山縦走
- GPS
- 07:00
- 距離
- 13.7km
- 登り
- 1,575m
- 下り
- 1,578m
コースタイム
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:西沢渓谷〜山梨市駅(山梨市営バス) |
感想
前日の夜、登山家の竹内洋岳さんが8000m峰13座目のチョー・オユーに登頂したというニュースを聞いた。今回は、楽な山行を予定していたのだが、これでやる気が出て、急遽、怖くて後回しにしていた山、鶏冠(とさか)山に登ることにした。
■ 計画
この山を登るのには、心配なことが色々とある。
【ルート】
そもそも、この山の登山ルートは昭文社の登山地図にも2万5000分の1地形図にも書かれていない。その時点で、怖くて登る気が起きないが、ヤマレコには、この山の記録がいくつも載っていて、とても参考になる。皆さんのルート図を見ると、皆同じ道を通っているので、ちゃんとした道があるようだ。近年、道の整備が進んで、危険な箇所もあまり無いらしい。
しかも、木賊山まで縦走している記録もいくつかあり、このルートをなんとか歩きたいと思った。縦走した方のルート図を地図プリで印刷して持って行くことにする。
【渡渉】
取り付き部分で渡渉があるようで、靴の中を濡らさずに渡るのは難しいようだ。
サンダルを持って行き、渡渉部分で履き替えることにした。
【時間】
これが一番心配だ。私は、電車・バスの利用で山に登るようにしているので、バスに間に合うように下山しなければならない。西沢渓谷への一番早いバスが、9:10着で、西沢渓谷発の最終バスが、16:25発となっている。ということは、7時間15分で、西沢渓谷→鶏冠山→木賊山→西沢渓谷を歩かなければならない。
他の人の記録を見ても、これはかなり厳しそうだ。
木賊山→西沢渓谷バス停は、歩いたことがあり、かなり急げば、2時間15分で下りられるというのは分かっているので、逆算すると、木賊山に着くタイムリミットは、14:10となる。
残りの行程を5時間程で歩ければ良いのだが、これが可能なのかがよくわからない。
鶏冠山山頂(2115m)から木賊山までは、高度差350mの緩やかな登り2.3kmくらいなので、普通の登山道なら1時間くらいあれば行けそうだ。その2倍+αの2時間10分と想定して、12時に鶏冠山を出発できるようなら木賊山に向かい、12時に間に合わなければ、縦走は諦めて同じ道を戻ることにしたのだが、この計画が甘過ぎた。
---
塩山駅から8:10発の西沢渓谷行きバスに乗る。意外と登山者は少なく、空席もある。
西沢渓谷に着くと、急いで吊橋に向かう。吊橋から鶏冠山が見えるはずだが、今日は曇っていて何も見えない。吊橋を渡ってすぐの所に、鶏冠山の道標があり、ここから沢に降りて行く。
この入口は、以前、黒金山に登ったときに確認していたので、ここまでは順調だ。
沢に下りるところは、急斜面で、ロープが張ってあり、少し危ない。
河原に降りた所が、東沢と鶏冠沢の出合になっている。ここ1週間ほど雨が降っていないことから、靴を脱がずに渡渉できるかと期待していたが、意外と水が多い。
ザックからサンダルを取り出し、履き替える。登山靴をザックに投げ込んで、ソロソロと渡るが、水の力はそれほどでもなく、危険は感じない。ふくらはぎが浸かるくらいの深さのところを、7歩くらいで渡ることができた。渡渉は、東沢を1回渡っただけ。
すぐに登山靴に履き替えて、取り付きを探す。鶏冠谷の方にロープがあり、それを使って岩を越えると、そこが登り口になっている。鶏冠山と書かれたプレートもある。
そこからは、普通の登山道と同じような道が続くが、かなりの急登だ。道はかなり良く踏まれていて、最近多くの人が登っていることを感じさせる。
今日は、先週と比べて相当涼しくなっている。一気に、真夏から晩秋になったようで、Tシャツでは寒いくらいだ。
時間が心配で、急登を限界速度で登って行く。大きな岩が出てくる所までは、特に問題ない。そこからは、急坂で手を使って登るようなところが増えてくる。ロープが張られた所もあるが、危険はない。
急坂をどんどん登って行くと、第一岩峰と呼ばれている岩峰の下に着いた。鎖も付いていて、問題なく登れる。この岩峰の上からは眺めが良さそうだが、今日はガスで眺望はほとんどない。第二、第三岩峰は見えたが、ものすごい岩場で、とても歩けそうには見えない。
時間がないので、先を急ぐ。第二岩峰、第三岩峰の下まで、アクロバティックな動きをする箇所が何カ所もあるが、ロープや鎖などを使えば、危険はない。道がうまい具合に付けられている。
第三岩峰は、巻き道が付けられているので、そちらを行く予定だったが、ここまで特に怖い箇所も無かったことだし、取り付いてみることにする。1段目?を登るところは、なんとか登ったが、その先が垂直の壁で登れそうにない。やっぱり巻き道を行こうと思い、下りようと思ったら、急すぎて下りられない。下を覗くと、急に怖くなってきた。
下る方が怖いので、登ることにする。壁に張り付くように体を付けると、ホールドが見つかり、強引に体を持ち上げ、なんとか登ることができた。
この先が更に難しければ、登ることも下ることもできない状況になってしまうところだったが、そこからは、ロープなどもあり、ヒヤヒヤしながらも登ることができた。
岩を上り詰めると、鶏冠山と書かれた山名標が立っているところに出た。ガスで眺めは確認できず。
ここは、地形図にある山頂ではないようなので、すぐに出発する。山頂は、高度にして50mほど高い所にある。ここから、シャクナゲが登山道にかかって歩き辛くなってきた。それでも、踏み跡はしっかりしている。
11:40に山頂に到着。ここには「鶏冠山2115m」と書かれた手書きのプレートがあるだけだ。想定していたタイムリミットの12時には間に合ったものの、相当急いで登ってきた割には時間が稼げなかった。地形図を見ながら、急いで昼食をとる。
この先、木賊山までは、緩やかな登りで、尾根を登って行くだけなので、尾根から外れなければ問題ないはずだが、道がどの程度しっかりしているのかが不安だ。空模様が怪しいのも気になる。
コンパスで方角を確認して進む。この先は、20m下り、10m登り、30m下り、110m登りで2117m地点に到達するはずだ。
シャクナゲが登山道を覆うように生えているので、道が見えず、分かり辛い。テープも思いのほか少なく、緊張して進む。
30m下りのところで、早速、派生尾根に入り込んでしまった。かなり明瞭な踏み跡をたどったのだが、次第に道が怪しくなり、最後はシャクナゲの薮に行く手を阻まれた。地形図を確認すると、少し方角がずれている。すぐに元の道に戻るも、不安が募る。
相変わらず、道が分かり辛い。シャクナゲをかき分けながら進む。ここは稜線に忠実に進むようだ。
なんとか2117m地点に到着。時間が心配になり、時計を確認して愕然とする。鶏冠山から、ここまでの1km弱ほどの距離に、1時間近くもかかっている。このペースでは、木賊山のタイムリミットに間に合わない。
しかも、雨が降り出した。まだ、13時前だというのに、ものすごく暗いのも不安を募らせる。
急がなくてはならないが、道が不明瞭で、あまりピッチが上げられない。道は、小ピークの西側を巻くように付けられているようなので、それをたどって行くが、獣道のような踏み跡が多数で、どこを歩けばいいのか分からなくなる。テープがあまり見当たらないので不安が増す。
シャクナゲに隠された道を丁寧にたどって行けば良いのだろうが、時間に追われて、焦った結果、怪しい踏み跡に入り込み、どんどん進んでしまう。
方角は間違っていないし、尾根に沿って登っているので、大きくは間違っていないはずだ。この薮が、強引に突き進める程度の薮なら、ガンガン登って行けば、木賊山に辿り着けるのだが、シャクナゲの薮は容赦がない。高密度に生えているので、全く進めない状態になってしまった。
少し戻ったところから、取り合えず尾根に乗ることにして、斜面を登る。シャクナゲをかき分けて登ると、かなりしっかりした踏み跡が見つかった。
テープも見つかって、少しほっとするが、すぐに道が怪しくなる、忠実に稜線を登った方が良かったのかもしれないが、巻き道の踏み跡につられてそちらに入ってしまう。
すぐに不明瞭な道になって、そこを進むと、シャクナゲの薮に行く手を塞がれ、また身動きができなくなる。
この辺りでパニック気味になってしまった。もう、バスには間に合わなくてもいいから、早くこのシャクナゲ地獄から抜け出したい気分になってき た。
うろうろとして、テープを発見するも、ほんとにこれが道かと思えるような薄い踏み跡だ。そこをたどって行くが、すぐに道が分からなくなる。
もうテープ探しはやめて、コンパスに従って北を目指すことにする。なるべく薮がうるさく無さそうな獣道を強引に進んでいくと、明瞭な道に出た。
テープも頻繁に見つかるようになり、その道をたどって行くと、木賊山の山頂の手前に飛び出した。
山頂では、2人の青年が休憩していた。行きのバスで一緒だった人たちだ。
人の顔を見ると、ほっとして、一気に緊張が解けた。
時間を確認すると13:45だ。随分長く、道に迷っていたように感じたが、実際は、2117m地点から、1時間だった。バスにも間に合うことが分かって、ようやく安心した。
木賊山から鶏冠尾根への道標には、立入禁止と書かれ、熟達者のみといったことが書かれている。
それを見て、自分のようなまともにルートファインディングもできない人間が、無茶な計画を立てるもんじゃないなと、大いに反省した。
いつもは、1時間くらいゆとりを見て計画しているのだが、今回は、時間的に相当無理があった。今回の道迷いも、時間にゆとりがあれば、丁寧に踏み跡、テープをたどることができたかもしれない。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
johndoeさん、こんばんは、
感想を読んで、雨が降ってくる暗い雰囲気で道に迷う心細さ、すごく伝わってきました、大変でしたね!!
私が去年の秋歩いた時も、一か所、変な尾根(もしかして同じところ?)に入りそうになってしばらく正しい道を探しましたが、2人だったし時間もあったので安心感が全然違ったと思います。
このルートは、下りだと更に派尾根に入りやすいと、甲武信ヶ岳小屋のご主人から聞いたことがあります。
それもあって、立ち入り禁止と書いているかもしれませんね
C-chanさん、お久しぶりです。
C-chanさんの鶏冠山の記録も、参考にさせてもらいました。しかし、雪がある時期に、よく登りましたね。私は、怖くてとても登る気が起きないです。
最初の道迷いは、鶏冠山のすぐ先のピークの下りなので、C-chanさんが書かれているのと同じところだと思います。この道迷いで、一気に怖くなりました。
やはり時間にゆとりを持った計画が必要ですね。
今回の山行は、全く気持ちに余裕がなく、時間だけが気になってしまいました。
鶏冠尾根は、登りと下りでは、全然怖さが違うと思います。下りは、相当、神経使うでしょう。
---
今週末の3連休は、天気さえ良ければ、ようやくC-chanさんのお気に入りの山に登れそうです。今度も、道が分かり辛いところがあるので、時間に余裕を持って行きたいと思います。
このルートはそのうち行きたいな、とは思ってましたが、なかなか大変なルートのようで、素人の私にはちょっと先になりそうです。
道無き道を、それも一人で突っ込んでゆく様を想像するだけでも手に汗握る体験でしたね。色々トライされたおかげで、終バスにも間に合ってよかったですね。
私のレコにも拍手ありがとうございます。私も破線ルートの楽しさが分かってきた気がしてます。
ShuMaeさん、初めまして。コメント、ありがとうございます。
鶏冠山は、西沢渓谷〜山頂までは道も整備されていて、危ない所も、ほとんどありませんので、ピストンであれば、それほど難しくはないと思います。
ほんと、バスに間に合って良かったです。間に合わなければ、終電の22時に間に合うように塩山駅まで23kmの車道を走ろうかと思っていたんですが、実際は疲れが酷く、全く無理な計画でした。
ShuMaeさんが登った笙ノ岩山は、ちょうど近々行きたいと思っていた山だったので、とても参考になりました。
ShuMaeさんの迷い込んだ所、気をつけたいと思います。
私も電車は、毎回往復で6時間くらいは乗りますが、千葉はもっと大変そうですね。
また、笙ノ岩山行きましたら、記録を載せるようにします。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する