八ヶ岳横岳三叉峰〜杣添尾根から
- GPS
- 07:30
- 距離
- 8.1km
- 登り
- 1,065m
- 下り
- 1,065m
コースタイム
天候 | 快晴、強風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年12月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
海ノ口別荘奥は、指定の8台Pに停めないと、他で少しはみ出ただけで、別荘管理者から注意のステッカー。 登山口標識はしっかりしている。 |
写真
感想
グレートサミッツ NO2(国内編)
八ヶ岳 杣添(そまぞえ)尾根から横岳 1011・12
降雪が来ているのに、スキーをするほどの積雪がない。こんな条件は、年のうちのわずかな期間だけだ。しかも今日は緩い冬型で、新潟は雨。それで東京は気温12度と、冬だというのに生ぬるい天気。でも雪山へ行きたい。仕方がない、消去法で地域を限定していけば、八ヶ岳しか残らなかった。困ったときのリザーブか。
何しろ登山口の標高が1800m。新潟の山なら頂上だ。
たまたまこの秋に二十年ぶりに、佐久から八ッに登って、でも強風でちょっと条件が悪かった。ならまた行くか。一度行くと、二度三度と、納得いくまで登りたくなる。それに山は雪を被ると超一流の衣装替えになる。まさか、アイゼンがいるか、ピッケルは。いや別にいらぬ心配するよりも、「行けるところまで」がオレ流。ダメならそこから戻ってくればいいじゃない。部屋でごろ寝しているよりも、ずっといいものだ。でもアイゼンだけは持っていくよ。靴も夏用はやめよう。
杣添尾根という地味なルートがあるが、地味でも2800mに行けるなら歓迎してやる。というようなことが昭文社のガイドに書いてあるが、八ッの横岳稜線に、地味なまま登れるなんてホントに理想的なことがあるんだろうか。
海ノ口の別荘地帯の一番奥に登山口があった。でもなあ、冬の標高1800mに別荘があっても、他人事ながら大丈夫なんだろうか。気温すでにマイナスだし、アスファルトが凍っていてタイヤも空転する。霜柱が立ってそれも溶けずに昼間でも凍っている。それでいて積雪はない。低温の加減だけをいうなら、八ッの海ノ口高原でも、清里高原でも、北海道と同程度くらいまで低温地帯じゃないだろうか。
登りだすと、八ッ特有の火山性のシラビソが密生して、景色は全くというほど見えない。夜のうちに移動して薄明りの中を登り出したものだから、目的の山を一切見ないで登って、ようやく見えたのは4時間後に、標高が森林限界を超えてからという、こちらも超ド級の異様さだった。
スタートして2時間ほど登ると、雪が出てきた。昨日も少し降ったようで、その下に薄い根雪もある。積雪10センチ。
樹林帯に雪が出てくると、なんだか気持ちがウキウキする。靴底が滑るというのは、足を引きずって移動すればいいという屁理屈が通ることで、ものぐさにとっては手抜きでも登れるということになる。万が一スリップしても樹林ならば怖いことがない。
さらに登れば、雪の厚みも増してくる。降雪情報は、天神平や白馬のスキー情報でも、関越トンネルのチェーン規制でもいいのだが、しかしスキー場は雪不足、関越道はこの冬まだ一度もチェーン規制になっていないと思う。本当に八ッとはいえ、雪があるの? それだけが不安だったのだが。
その心配もいらなくなった。だんだん雪が増えてきた。積雪は50センチくらいまで増えている。アイゼンに履き替える。
誰もいない道だと思っていたら、後続の4人組に抜かれた。おお、この時期に同じルートに来るとは、選択眼のいいことだ。今日だけは間違いなく快晴になる。但し、風がどのくらい強いかはその日次第。
アイゼンを履いてからは、立木が疎林になり、シャクナゲ林の後にハイマツ帯で、岩稜になった。でも緩い岩稜だから心配なかった。八ッの佐久側特有の、ハシゴとクサリが一切ないのが、雪の時期には大いに安心させられる。横岳の稜線にこんなに簡単に到達できて、インチキじゃないのかと錯覚する。立木が消えて遠望できるようになると、稜線に出た。上ではテント組を含めて、やはり人通りが多い道である。すぐにパーティとすれ違った。
ドピーカンだ、快晴である。風もまだ強い。一体どこを見れば方角が分かるんだと、おお低いところに諏訪湖が確認できる。その右側に北アの連峰があるが、諏訪湖の左にあるのは、乗鞍か。さら左へ中アもあるし、白山も見えるような。地図と見比べるのは下に降りてからにする。そしてもちろん、隣の赤岳がデカイし、この間の紅葉のときにも思ったのだが、阿弥陀というのも、かなり大きな山だ。そして逆側には、うねっているような横岳の続きとその向こうに硫黄岳。そうそいう赤岳のわずかに横に、南アの北岳、さらに右にお馴染みの甲斐駒。すべての山がすでに白い。遠くに富士山も白い。
ただ東の方角は、奥秩父でも浅間山でも、まだ真っ黒のままで冬用に生え換わっていないとは、見るに堪えない。
よかったね。わずかに一日だけのチャンスでも、こうして登って、「チャンスにベットした」というのか、「リスクをテイクした」というのか、期待した念願が成就したというわけだ。登り切ってしまえば、八ッとは、南北中にプラスするもう一つの「八ッアルプス」である。お子様ランチと言われるのは、登山口の標高が高いから楽できるというだけのことで、上部の気象条件は同じである。
見晴らしのよさに気を奪われて書き忘れたが、出た稜線のコブは、横岳のピークの一つの三叉峰というところだった。何て読むのか? 「さんじゃほう」らしいね、地元の観光協会に聞いてみたよ。体のどこかにあるのは、三叉(さんさ)神経なのにね。
4人パーティとほとんど一緒に登頂して、15分ほど滞在して降りた。ちょっとだけクラストした斜面を、ザクザクザクと音を立てながら下山する、あのアイゼンで踏む積雪の快感が、シーズンスタートを予感させた。風はまだ強いが快晴である。パーキングに下山しても、気温2度とは、嬉しいような低温が続く。
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