ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 1620036
全員に公開
ハイキング
霊仙・伊吹・藤原

紅葉の御池岳へ☆国道306号線が通行止めなら

2018年10月19日(金) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
05:33
距離
12.5km
登り
1,190m
下り
1,190m
歩くペース
とても速い
0.60.7
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
4:52
休憩
0:40
合計
5:32
9:01
100
10:41
10:42
5
10:47
10:49
23
11:12
11:13
6
11:19
11:20
9
11:29
11:29
15
11:44
12:09
8
12:17
12:17
4
12:21
12:26
1
12:27
12:27
7
12:34
12:36
8
12:44
12:44
9
12:53
12:53
8
13:01
13:01
18
13:19
13:19
9
13:28
13:28
20
13:48
13:51
42
14:33
天候 曇りのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2018年10月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
R306は崩土の工事により通行止め、
鈴が岳登山口より
コース状況/
危険箇所等
送電線鉄塔までは巡視路は極めて良好に整備されているが、そこから先は踏み跡なし。
鈴ヶ岳への主稜線上は薄い踏み跡あり。所々不明瞭ではあるものの尾根は歩きやすい。
一本木からの下降のルートもなし。伐採斜面のトラバースは急斜面であり、おススメ出来ない。積雪期は雪崩の危険性の高い斜面になると思われる。
詳細は感想参照
登山口
2018年10月19日 14:33撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 14:33
登山口
植林地に朝日かさす
踏み跡の明瞭な尾根道
2018年10月19日 09:06撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 9:06
植林地に朝日かさす
踏み跡の明瞭な尾根道
最初の送電線鉄塔から
背後に霊仙山が姿を現わす
2018年10月19日 09:23撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 9:23
最初の送電線鉄塔から
背後に霊仙山が姿を現わす
彼方の稜線上に鉄塔
2018年10月19日 09:24撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 9:24
彼方の稜線上に鉄塔
山腹を蛇のやうに走るR306
2018年10月19日 09:26撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 9:26
山腹を蛇のやうに走るR306
植林地を過ぎて自然林へ
2018年10月19日 10:08撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 10:08
植林地を過ぎて自然林へ
遂に主尾根に上がる
2018年10月19日 10:17撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 10:17
遂に主尾根に上がる
踏み跡の薄い蕨の繁茂する斜面を
2018年10月19日 10:20撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 10:20
踏み跡の薄い蕨の繁茂する斜面を
2018年10月19日 10:22撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 10:22
2018年10月19日 10:24撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 10:24
ブナの黄葉を見上げて
2018年10月19日 10:25撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 10:25
ブナの黄葉を見上げて
2018年10月19日 10:30撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 10:30
いつしか蕨はなくなり、再び美しい紅葉の林へ
2018年10月19日 10:36撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 10:36
いつしか蕨はなくなり、再び美しい紅葉の林へ
2018年10月19日 10:37撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 10:37
2018年10月19日 10:37撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
6
10/19 10:37
鈴ヶ岳山頂
周囲はガスで展望なし
2018年10月19日 10:40撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 10:40
鈴ヶ岳山頂
周囲はガスで展望なし
南東の展望
正面奥に御池、右手は1182m峰、左手は1165m峰
この後すぐに左手前のピークも雲の中に
2018年10月19日 10:42撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 10:42
南東の展望
正面奥に御池、右手は1182m峰、左手は1165m峰
この後すぐに左手前のピークも雲の中に
ヒルコバは黄葉が美しいところだった
2018年10月19日 10:49撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 10:49
ヒルコバは黄葉が美しいところだった
鈴ヶ岳を振り返り
2018年10月19日 10:53撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 10:53
鈴ヶ岳を振り返り
元池への踏み跡を探しつつ、南側の斜面をトラバース
2018年10月19日 11:05撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 11:05
元池への踏み跡を探しつつ、南側の斜面をトラバース
鈴北岳へのアプローチ
2018年10月19日 11:07撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 11:07
鈴北岳へのアプローチ
鈴北岳への登りより
霊仙山が辛うじて雲の下に姿を見せる
(わかりにくいですが)
2018年10月19日 11:09撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 11:09
鈴北岳への登りより
霊仙山が辛うじて雲の下に姿を見せる
(わかりにくいですが)
鈴北岳(左)と御池岳(右)
2018年10月19日 11:09撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 11:09
鈴北岳(左)と御池岳(右)
鈴北岳山頂より鞍掛峠方面
2018年10月19日 11:11撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 11:11
鈴北岳山頂より鞍掛峠方面
日本庭園とはよく言ったもの
2018年10月19日 11:13撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 11:13
日本庭園とはよく言ったもの
御池岳を借景に
石灰岩が庭園の石組みのようだ
2018年10月19日 11:17撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
10/19 11:17
御池岳を借景に
石灰岩が庭園の石組みのようだ
苔の中をゆく
2018年10月19日 11:18撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
5
10/19 11:18
苔の中をゆく
鈴北岳を振り返る
2018年10月19日 11:20撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 11:20
鈴北岳を振り返る
オヤマリンドウ
2018年10月19日 11:23撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
10/19 11:23
オヤマリンドウ
いくつかのドリーネの縁を通り過ぎ
2018年10月19日 11:26撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 11:26
いくつかのドリーネの縁を通り過ぎ
御池岳(丸山)への取り付き
2018年10月19日 11:32撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 11:32
御池岳(丸山)への取り付き
枯れた蕨の斜面
2018年10月19日 11:39撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 11:39
枯れた蕨の斜面
御池岳への登りから鈴北岳を望んで
2018年10月19日 11:41撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 11:41
御池岳への登りから鈴北岳を望んで
御池岳山頂
2018年10月19日 11:46撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
4
10/19 11:46
御池岳山頂
奥の平を望んで
2018年10月19日 11:49撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 11:49
奥の平を望んで
正面には広大な山頂台地
2018年10月19日 12:11撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 12:11
正面には広大な山頂台地
山頂台地の南東方面
2018年10月19日 12:16撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 12:16
山頂台地の南東方面
ボタンブチへ
2018年10月19日 12:18撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 12:18
ボタンブチへ
ボタンブチより
土蔵岳(左手)と彼方に藤原岳
2018年10月19日 12:19撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 12:19
ボタンブチより
土蔵岳(左手)と彼方に藤原岳
斜面の紅葉
2018年10月19日 12:19撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 12:19
斜面の紅葉
T字尾根の彼方、正面左手は調子が岳と思われるが、ピークは雲で霞んでいる
2018年10月19日 12:20撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 12:20
T字尾根の彼方、正面左手は調子が岳と思われるが、ピークは雲で霞んでいる
ボタンブチの岩場の下には可憐な花が多数
2018年10月19日 12:20撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 12:20
ボタンブチの岩場の下には可憐な花が多数
咲き誇るヒメフウロの花
2018年10月19日 12:21撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 12:21
咲き誇るヒメフウロの花
T字尾根の向こうに天狗堂、彼方に日本コバ
2018年10月19日 12:21撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 12:21
T字尾根の向こうに天狗堂、彼方に日本コバ
奥の平の登りより
2018年10月19日 12:31撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 12:31
奥の平の登りより
奥の平より山頂台地、テーブルランドを望む
2018年10月19日 12:35撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
10/19 12:35
奥の平より山頂台地、テーブルランドを望む
奥の平よりボタンブチと天狗堂を振り返る
2018年10月19日 12:35撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
3
10/19 12:35
奥の平よりボタンブチと天狗堂を振り返る
奥の平山頂
2018年10月19日 12:36撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 12:36
奥の平山頂
再び日本庭園より鈴北岳
2018年10月19日 13:00撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
10/19 13:00
再び日本庭園より鈴北岳
元池
この後、急に雨が降り始める
2018年10月19日 13:04撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 13:04
元池
この後、急に雨が降り始める
鈴が岳に
2018年10月19日 13:16撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 13:16
鈴が岳に
紅葉の回廊に
再び日差しがさす
2018年10月19日 13:25撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 13:25
紅葉の回廊に
再び日差しがさす
2018年10月19日 13:26撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
4
10/19 13:26
鈴ヶ岳山頂より御池岳を振り返る
朝と異なり、鈴北岳(左端)まですっかり見晴らすことが出来る
2018年10月19日 13:28撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 13:28
鈴ヶ岳山頂より御池岳を振り返る
朝と異なり、鈴北岳(左端)まですっかり見晴らすことが出来る
柔らかな日差しが降り注ぐ尾根
2018年10月19日 13:41撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 13:41
柔らかな日差しが降り注ぐ尾根
桜峠(一本木)の鉄塔
2018年10月19日 13:48撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 13:48
桜峠(一本木)の鉄塔
送電線の伐採斜面
2018年10月19日 13:53撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 13:53
送電線の伐採斜面
伐採地の向こうに工事中のR306
実際にはかなり急峻
2018年10月19日 14:07撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
10/19 14:07
伐採地の向こうに工事中のR306
実際にはかなり急峻
送電線の鉄塔広場に帰ってきた
あとは杉林の中の歩きやすい送電線巡視路を下るのみ
2018年10月19日 14:20撮影 by  E-M5MarkII , OLYMPUS IMAGING CORP.
10/19 14:20
送電線の鉄塔広場に帰ってきた
あとは杉林の中の歩きやすい送電線巡視路を下るのみ

感想

名神高速を彦根のICを降りて307号線を南下するとかなりの渋滞である。平日の朝は混むのだろう。国道を右折し、近江鉄道の多賀大社線に沿って車を走らせ、国道306号線に入ったのは8時半過ぎになっていた。

電光表示板に「崩土につき大君が畑以遠通行止め」と表示されている。これでは鞍掛峠まで辿り着くが出来ないではないか。今から行先を変更出来る山としては霊仙山であるが、夕方には京都の自宅に戻らなければならない予定があるので、この時間からではかなり苦しい山行にならざらう得ない。

とりあえず通行止めの箇所まで行ってから考えることにしよう。大君が畑を抜けたところにある通行止めの立て看板の脇を通過して先へ進むと、まもなく道路に物々しい鉄扉がもうけられ、警備の方がおられる。勿論、ここから先は歩行者も通過することは出来ない。警備の方によると来年度一杯通行止めの予定らしい。

GPSで確認すると、通行止めとなっているのは黒川谷にかかる鞍掛橋を過ぎたところ、国道306がヘアピン状に大きく折り返する地点であった。「山と高原地図」を見るとここから実線の登山道がついている。鞍掛峠まで辿り着くが出来ないならば、ここから鈴ヶ岳を経て御池岳まで登るという手があるではないか。

橋の手前の小さな沢の右手に踏み跡とピンクテープが見え、その登り口には鈴ヶ岳とだけ記された赤いプレートがある。峠までは2時間10分とあるが、何かの間違いではないだろうか。距離からすると実線の一般登山道でそこまで時間を要するとは考えられない。稜線上の登山路は鈴北岳までは破線であり、コースタイムは記されていないが、鈴ヶ岳のみでも構わないから行けるところまで行ってみよう。

登山道は杉の植林地の中へと入ってゆく。すぐに尾根上の歩きやすい道となる。登山道のは明瞭であり、ピンクテープも頻繁にある。地図を確認すると、この尾根は梨ノ木谷の右岸の尾根に相当し、地図で記されているコースとは明らかにコースが異なる。しかし、これだけ快適な登山道であればこの道を進まない手はないだろう。

すぐに二本、ほぼ並行に走る送電線のうち、手前の送電線の鉄塔に出る。途端に好展望が広がり、背後には雲の下に霊仙山がすっきりと見えている。眼下には巨大な蛇のようにクネクネと山腹に沿って蛇行する国道306号線を見渡すことができる。黒川谷を挟んだ対岸の国道からは間断なく工事の音が聞こえてくるのだが、道路には多数の工事車両が並んでおり、あたかも行軍のようでもある。

杉の植林地を抜けるとすぐに二本目の鉄塔に辿り着く。先程の鉄塔広場と異なり、こちらは全く展望のない林間の小さな広場となっている。先程からの明瞭な踏み跡はここでパタリと途絶える。先程まで頻繁に続いていたピンクテープもここから先には見当たらない。

送電線が辿る右手の斜面は森林が伐採されているものの絶望的に急峻な斜面となっており、彼方の稜線の上に次の鉄塔が見える。あまりの急斜面と繁茂する下草のせいで、この斜面を登るのは登山路でもない限り賢策とはいい難い。地図ではこの鉄塔から稜線上の鉄塔へと道が続いているはずなのだが、それらしいルートもどうしても見当たらない。

左手には杉の植林が続いているので、この植林地と伐採斜面の際(キワ)をジグザグに登ってゆく。植林の上端に至るとそこから先は広葉樹の自然林となる。藪漕ぎがキツければ右手の伐採斜面を登ることを覚悟していたのだが、林の中は意外にも藪はほとんどなく、むしろ杉林の中よりも歩きやすい。斜面をジグザグに登ると、やがて傾斜も緩やかとなり、ついに幅の広い主尾根に出る。

尾根の反対側には遠く日本コバが見えるが、雲が多く、鈴鹿の山々の多くは雲に隠れている。鈴ヶ岳への稜線も雲に霞んでいる。
尾根上は踏み跡は不明瞭な箇所が多いが下草もなく歩きやすいので、トレースがわかりにくいことは気にならない。頻繁にテープか現れるが、ピンクのテープの他の鈴鹿10座とプリントされた黄色テープも目立つ。

やがて蕨の繁茂する斜面にさしかかる。テープを頼りに蕨の中の薄い踏み跡を辿る。やがて足元の蕨の繁茂もまばらになると再び下草の少ない歩きやすい尾根になる。尾根は小さな二重山稜になっているようだが、どちらも山頂にいたるので道迷いの心配はないだろう。

鈴ヶ岳の山頂に辿り着くと本来なら北側には霊仙山が見えるのだろうが、ガスで視界は完全に遮られている。登山道の行く手には御池岳が見えるだが、山頂の手前のピークには急速にガスがかかっていく。

ここからはヒルコバに向かって急な下降となる。途中で『鈴北岳→』という道標か目に入るが、踏み跡が不明瞭であったため、尾根筋に沿って少し下まで下降してしまう。すぐにヒルコバは先程の道標を右手に行かねばならなかったことに思いあたり、斜面をトラバースしてコースに復帰する。ヒルコバは鞍部から南斜面にかけて広がる林の黄葉の林がなんと美しい。ヒルがいそうな気配は感じられなかった。

鈴北岳にかけて登り返しである。帰りは1165m峰を経由して下ることを計画するので、斜面の様子を見るために、鹿道と思われる動物の踏み跡を辿って右手の斜面をトラバースしてみる。歩きやすいところから稜線に復帰すると忽然と目の前に、岩の間に緑の美しい苔を纏った鈴北岳が姿を現わす。

鈴北岳の山頂に立つと南東に広大な苔の平原を見渡す。日本庭園とはよく云ったものだ。苔の間に集簇する石灰岩が庭園の石組みを想起させる。北側には霊仙山が雲の下から再びその雄大な姿を現わす。ここからは登山道はようやく実線である。明瞭な道が続いている。

日本庭園の中を回遊するかの如く、ドリーネの縁をかすめながら苔の平原をすすんでゆく。登山道は細いのだが、苔があまりにも美しいので、苔を踏まないように注意を要する。やがて苔の原が終わると再び広葉樹の自然林となる。登山道の脇にはドリーネに溜まった水が小さな池をなす。コグルミ谷方面への分岐を左に見送り、右手に進む。

御池岳の山頂は低木の中の小さな広場なのだが、意外と眺望はない。山頂で休憩してると南から若い男性が登ってこられる。次週に団体登山を予定されているとのことで、その下見に来られたF氏であった。国土地理院の地図の改訂のために登山道を調査するというお仕事もされているらしい。鞍掛峠から鞍掛橋にかけての道は相当に荒廃している可能性が高いので、お薦め出来ないとの情報を頂く。ちなみにこのルートの鞍掛橋に出る手前の林道には「通行不可」と記されている。なぜ、通行不可なのかよくわからなかったが、後日、数年前の山と高原を確認すると同じ箇所に「工事中のため通行不可」と記されている。工事が中断されているということだろうか。

ボタンブチにかけて南東に進むとすぐに御池岳の広大な東の山頂台地、テーブルランドを見晴らす。台地の南端のボタンブチにたどり着くと、深く切れ込んだ南側の谷間には錦繍に彩られた山肌の圧巻の展望が広がる。左手の土蔵岳から連なるT字尾根の彼方には日本コバが午後の日差しの中に霞んで見える。

ボタンブチからは御池岳の東のピーク、奥ノ平へとなだらかな斜面を登ってゆく。このピークも山頂は草原に覆われ、遮るもののない好展望が広がる。斜面からの景色をみると既に落葉してしまった広葉樹がよく目立つ。本来ならば錦繍の真っ只中なのであろうが、先日の21号、24号と二度に渡る台風の到来により落葉がかなり進んでしまったのだろう。伊勢湾からの海水の塩分を相当に含んだ雨水のこの山頂台地の光景を変えてしまったように思われる。

日本庭園に戻り、元池と記された道標を西にむかうと小さな池に辿り着く。踏み跡はここで途絶えるが、すぐその上に見えるる1165m峰へと登り、北西の斜面を下る。このあたりも下草は少なく、歩きやすい林が広がっている。急に空が暗くなり、雨が降り出す。このあたりは行きで観察していたので、おおよその地形を掌握することが出来ている。小さな鞍部にかけて登り返し、鈴北岳からの下りと合流し、再び鈴ヶ岳の特徴的な形の山が見える頃には幸いなことに雨も上がってくれる。

鈴ヶ岳へと登る頃には天気は立ちどころに好転し、紅葉の林に木洩れ陽がさすようになっている。山頂から御池岳を振り返ると御池岳方面もすっかり晴れ、今朝の時点では雲の中に隠れていた鈴北岳も辿ってきた1165m峰の左手にそのピークをすっきりと見せている。

ここからの下山ルートであるが、先程、山頂でお会いしたF氏の話によると私達が辿ろうとした鞍掛橋から鈴ヶ岳の北西の鞍部、一本木(桜峠)へと至るルートは実線で示されているものの、果たして道が存在しているのかどうかわからないという。どうやら我々が登ってきた道を下るのが確実なようだ。しかし、荒廃はしていいたとしても踏み跡くらいは見出すことが出来るだろうと楽観視して、一本木まで稜線をたどる。

稜線上に聳える送電線の二本目の鉄塔広場が一本木の鞍部である。斜面を下る細い踏み跡が見えるので、これを下りかけるものの、どうやら北側の尾根に入ってゆく。地図を確認すると地図上の登山道とは明らかに方向が異なる。再び鉄塔のところまで登り踏み跡を探すが、鹿道と思われる薄い踏み跡が滝谷上部の急峻な伐採地の斜面を横切っているのみだ。まずはこの鹿道を辿って斜面をトラバースする。まもなく自然林の中に入る。登りで通過した林と林相が似ており、下降しやすい。すぐに杉林となるが、梨ノ木谷の上部の伐採地を下るのは難しいので、この杉林の中を可能な限り下る。林の下部に出ると、再び鹿道を見いだし、伐採地をトラバースすると、登りに通過した自然林の下部に出る。あとは鉄塔広場まで杉林の中を下るのみである。

鞍掛橋に下山したのは14時半であった。彦根ICまでの国道307号線はスムーズに流れており、京都の自宅には16時過ぎに戻ることが出来た。早々に着替えて、ネクタイを締めて出張に出かけるのであった。明日はいよいよ黒部峡谷に。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:1518人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

無雪期ピークハント/縦走 霊仙・伊吹・藤原 [日帰り]
鞍掛橋から鈴ヶ岳・鈴北岳・御池岳周回
利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
3/5
体力レベル
3/5

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら