紅葉の御池岳へ☆国道306号線が通行止めなら
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- GPS
- 05:33
- 距離
- 12.5km
- 登り
- 1,190m
- 下り
- 1,190m
コースタイム
- 山行
- 4:52
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 5:32
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
鈴が岳登山口より |
コース状況/ 危険箇所等 |
送電線鉄塔までは巡視路は極めて良好に整備されているが、そこから先は踏み跡なし。 鈴ヶ岳への主稜線上は薄い踏み跡あり。所々不明瞭ではあるものの尾根は歩きやすい。 一本木からの下降のルートもなし。伐採斜面のトラバースは急斜面であり、おススメ出来ない。積雪期は雪崩の危険性の高い斜面になると思われる。 詳細は感想参照 |
写真
感想
名神高速を彦根のICを降りて307号線を南下するとかなりの渋滞である。平日の朝は混むのだろう。国道を右折し、近江鉄道の多賀大社線に沿って車を走らせ、国道306号線に入ったのは8時半過ぎになっていた。
電光表示板に「崩土につき大君が畑以遠通行止め」と表示されている。これでは鞍掛峠まで辿り着くが出来ないではないか。今から行先を変更出来る山としては霊仙山であるが、夕方には京都の自宅に戻らなければならない予定があるので、この時間からではかなり苦しい山行にならざらう得ない。
とりあえず通行止めの箇所まで行ってから考えることにしよう。大君が畑を抜けたところにある通行止めの立て看板の脇を通過して先へ進むと、まもなく道路に物々しい鉄扉がもうけられ、警備の方がおられる。勿論、ここから先は歩行者も通過することは出来ない。警備の方によると来年度一杯通行止めの予定らしい。
GPSで確認すると、通行止めとなっているのは黒川谷にかかる鞍掛橋を過ぎたところ、国道306がヘアピン状に大きく折り返する地点であった。「山と高原地図」を見るとここから実線の登山道がついている。鞍掛峠まで辿り着くが出来ないならば、ここから鈴ヶ岳を経て御池岳まで登るという手があるではないか。
橋の手前の小さな沢の右手に踏み跡とピンクテープが見え、その登り口には鈴ヶ岳とだけ記された赤いプレートがある。峠までは2時間10分とあるが、何かの間違いではないだろうか。距離からすると実線の一般登山道でそこまで時間を要するとは考えられない。稜線上の登山路は鈴北岳までは破線であり、コースタイムは記されていないが、鈴ヶ岳のみでも構わないから行けるところまで行ってみよう。
登山道は杉の植林地の中へと入ってゆく。すぐに尾根上の歩きやすい道となる。登山道のは明瞭であり、ピンクテープも頻繁にある。地図を確認すると、この尾根は梨ノ木谷の右岸の尾根に相当し、地図で記されているコースとは明らかにコースが異なる。しかし、これだけ快適な登山道であればこの道を進まない手はないだろう。
すぐに二本、ほぼ並行に走る送電線のうち、手前の送電線の鉄塔に出る。途端に好展望が広がり、背後には雲の下に霊仙山がすっきりと見えている。眼下には巨大な蛇のようにクネクネと山腹に沿って蛇行する国道306号線を見渡すことができる。黒川谷を挟んだ対岸の国道からは間断なく工事の音が聞こえてくるのだが、道路には多数の工事車両が並んでおり、あたかも行軍のようでもある。
杉の植林地を抜けるとすぐに二本目の鉄塔に辿り着く。先程の鉄塔広場と異なり、こちらは全く展望のない林間の小さな広場となっている。先程からの明瞭な踏み跡はここでパタリと途絶える。先程まで頻繁に続いていたピンクテープもここから先には見当たらない。
送電線が辿る右手の斜面は森林が伐採されているものの絶望的に急峻な斜面となっており、彼方の稜線の上に次の鉄塔が見える。あまりの急斜面と繁茂する下草のせいで、この斜面を登るのは登山路でもない限り賢策とはいい難い。地図ではこの鉄塔から稜線上の鉄塔へと道が続いているはずなのだが、それらしいルートもどうしても見当たらない。
左手には杉の植林が続いているので、この植林地と伐採斜面の際(キワ)をジグザグに登ってゆく。植林の上端に至るとそこから先は広葉樹の自然林となる。藪漕ぎがキツければ右手の伐採斜面を登ることを覚悟していたのだが、林の中は意外にも藪はほとんどなく、むしろ杉林の中よりも歩きやすい。斜面をジグザグに登ると、やがて傾斜も緩やかとなり、ついに幅の広い主尾根に出る。
尾根の反対側には遠く日本コバが見えるが、雲が多く、鈴鹿の山々の多くは雲に隠れている。鈴ヶ岳への稜線も雲に霞んでいる。
尾根上は踏み跡は不明瞭な箇所が多いが下草もなく歩きやすいので、トレースがわかりにくいことは気にならない。頻繁にテープか現れるが、ピンクのテープの他の鈴鹿10座とプリントされた黄色テープも目立つ。
やがて蕨の繁茂する斜面にさしかかる。テープを頼りに蕨の中の薄い踏み跡を辿る。やがて足元の蕨の繁茂もまばらになると再び下草の少ない歩きやすい尾根になる。尾根は小さな二重山稜になっているようだが、どちらも山頂にいたるので道迷いの心配はないだろう。
鈴ヶ岳の山頂に辿り着くと本来なら北側には霊仙山が見えるのだろうが、ガスで視界は完全に遮られている。登山道の行く手には御池岳が見えるだが、山頂の手前のピークには急速にガスがかかっていく。
ここからはヒルコバに向かって急な下降となる。途中で『鈴北岳→』という道標か目に入るが、踏み跡が不明瞭であったため、尾根筋に沿って少し下まで下降してしまう。すぐにヒルコバは先程の道標を右手に行かねばならなかったことに思いあたり、斜面をトラバースしてコースに復帰する。ヒルコバは鞍部から南斜面にかけて広がる林の黄葉の林がなんと美しい。ヒルがいそうな気配は感じられなかった。
鈴北岳にかけて登り返しである。帰りは1165m峰を経由して下ることを計画するので、斜面の様子を見るために、鹿道と思われる動物の踏み跡を辿って右手の斜面をトラバースしてみる。歩きやすいところから稜線に復帰すると忽然と目の前に、岩の間に緑の美しい苔を纏った鈴北岳が姿を現わす。
鈴北岳の山頂に立つと南東に広大な苔の平原を見渡す。日本庭園とはよく云ったものだ。苔の間に集簇する石灰岩が庭園の石組みを想起させる。北側には霊仙山が雲の下から再びその雄大な姿を現わす。ここからは登山道はようやく実線である。明瞭な道が続いている。
日本庭園の中を回遊するかの如く、ドリーネの縁をかすめながら苔の平原をすすんでゆく。登山道は細いのだが、苔があまりにも美しいので、苔を踏まないように注意を要する。やがて苔の原が終わると再び広葉樹の自然林となる。登山道の脇にはドリーネに溜まった水が小さな池をなす。コグルミ谷方面への分岐を左に見送り、右手に進む。
御池岳の山頂は低木の中の小さな広場なのだが、意外と眺望はない。山頂で休憩してると南から若い男性が登ってこられる。次週に団体登山を予定されているとのことで、その下見に来られたF氏であった。国土地理院の地図の改訂のために登山道を調査するというお仕事もされているらしい。鞍掛峠から鞍掛橋にかけての道は相当に荒廃している可能性が高いので、お薦め出来ないとの情報を頂く。ちなみにこのルートの鞍掛橋に出る手前の林道には「通行不可」と記されている。なぜ、通行不可なのかよくわからなかったが、後日、数年前の山と高原を確認すると同じ箇所に「工事中のため通行不可」と記されている。工事が中断されているということだろうか。
ボタンブチにかけて南東に進むとすぐに御池岳の広大な東の山頂台地、テーブルランドを見晴らす。台地の南端のボタンブチにたどり着くと、深く切れ込んだ南側の谷間には錦繍に彩られた山肌の圧巻の展望が広がる。左手の土蔵岳から連なるT字尾根の彼方には日本コバが午後の日差しの中に霞んで見える。
ボタンブチからは御池岳の東のピーク、奥ノ平へとなだらかな斜面を登ってゆく。このピークも山頂は草原に覆われ、遮るもののない好展望が広がる。斜面からの景色をみると既に落葉してしまった広葉樹がよく目立つ。本来ならば錦繍の真っ只中なのであろうが、先日の21号、24号と二度に渡る台風の到来により落葉がかなり進んでしまったのだろう。伊勢湾からの海水の塩分を相当に含んだ雨水のこの山頂台地の光景を変えてしまったように思われる。
日本庭園に戻り、元池と記された道標を西にむかうと小さな池に辿り着く。踏み跡はここで途絶えるが、すぐその上に見えるる1165m峰へと登り、北西の斜面を下る。このあたりも下草は少なく、歩きやすい林が広がっている。急に空が暗くなり、雨が降り出す。このあたりは行きで観察していたので、おおよその地形を掌握することが出来ている。小さな鞍部にかけて登り返し、鈴北岳からの下りと合流し、再び鈴ヶ岳の特徴的な形の山が見える頃には幸いなことに雨も上がってくれる。
鈴ヶ岳へと登る頃には天気は立ちどころに好転し、紅葉の林に木洩れ陽がさすようになっている。山頂から御池岳を振り返ると御池岳方面もすっかり晴れ、今朝の時点では雲の中に隠れていた鈴北岳も辿ってきた1165m峰の左手にそのピークをすっきりと見せている。
ここからの下山ルートであるが、先程、山頂でお会いしたF氏の話によると私達が辿ろうとした鞍掛橋から鈴ヶ岳の北西の鞍部、一本木(桜峠)へと至るルートは実線で示されているものの、果たして道が存在しているのかどうかわからないという。どうやら我々が登ってきた道を下るのが確実なようだ。しかし、荒廃はしていいたとしても踏み跡くらいは見出すことが出来るだろうと楽観視して、一本木まで稜線をたどる。
稜線上に聳える送電線の二本目の鉄塔広場が一本木の鞍部である。斜面を下る細い踏み跡が見えるので、これを下りかけるものの、どうやら北側の尾根に入ってゆく。地図を確認すると地図上の登山道とは明らかに方向が異なる。再び鉄塔のところまで登り踏み跡を探すが、鹿道と思われる薄い踏み跡が滝谷上部の急峻な伐採地の斜面を横切っているのみだ。まずはこの鹿道を辿って斜面をトラバースする。まもなく自然林の中に入る。登りで通過した林と林相が似ており、下降しやすい。すぐに杉林となるが、梨ノ木谷の上部の伐採地を下るのは難しいので、この杉林の中を可能な限り下る。林の下部に出ると、再び鹿道を見いだし、伐採地をトラバースすると、登りに通過した自然林の下部に出る。あとは鉄塔広場まで杉林の中を下るのみである。
鞍掛橋に下山したのは14時半であった。彦根ICまでの国道307号線はスムーズに流れており、京都の自宅には16時過ぎに戻ることが出来た。早々に着替えて、ネクタイを締めて出張に出かけるのであった。明日はいよいよ黒部峡谷に。
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