宮之浦岳スノトレ(楠川in/安房out)
- GPS
- 22:55
- 距離
- 53.4km
- 登り
- 3,308m
- 下り
- 3,325m
コースタイム
- 山行
- 4:18
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 4:22
- 山行
- 10:34
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 12:54
天候 | 初日:曇り、2日目:曇り後晴れ、3日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
【3日目】安房→宮之浦港はバス。宮之浦港→鹿児島港へはフェリー。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【楠川→白谷雲水峡】最初は舗装路歩き、のち林道。白谷雲水峡手前でピンクテープを見失い、少し道迷い。 【白谷雲水峡→白谷山荘】最短ルートは太鼓岩往復コース(直進)だが、雑多な屋久杉を見るため、弥生杉コース・奉行杉コースを経由。所々で岩場歩きあり。 【白谷山荘→辻峠】真っ暗な中ヘッドライトで通過。ひたすら登り。 【辻峠→楠川分れ】ひたすら山道を下り。 【楠川分れ→大株歩道入口】緩やかな登り傾斜のトロッコ道が1時間強続く。 【大株歩道入口→縄文杉】後半雪が出てくるが、つぼ足で通過可能なレベル。ただし、下りの木階段に付着した雪上は細心の注意を。 【縄文杉→第二展望台】途中の高塚小屋でチェーンスパイクを装着。いわゆる雪山歩き(スノーハイク)。所々に岩場に注意。 【第二展望台→宮之浦岳】絶景続きの稜線歩きで、岩場多し。雪は10〜20cm程度で、チェンスパがあれば怖くないレベル。 【宮之浦岳→花之江河】下り基調で岩場多し。時折氷結した岩場があり要注意。途中の投石平で雪が消えたのでチェンスパを外す。 【花之江河→淀川小屋】アップダウンがある林道歩き。雪は結構積もっているが、自分はつぼ足で通過。不安ならチェンスパを再装着すべし。 【淀川小屋→淀川登山口】下り基調の林道歩き。真っ暗な中通過したが、危険箇所は特になし。 【淀川登山口→安房】22kmの舗装路歩き。ヤクスギランドまでは50m級の登り返しも随所にあり。疲労も蓄積し、この旅で最もツライ区間。海が見えてからも、海まで遠い遠い・・・。 |
その他周辺情報 | 温泉は、フェリーで鹿児島へ着いてから。 鹿児島の夜景が一望できる一本桜温泉を利用。 |
写真
感想
年末年始の屋久島はオフシーズンにつき、チケットが安く、入山者も少なく静かな山行が期待できる!11月下旬に飛行機(往路は羽田→鹿児島→屋久島、復路は鹿児島→羽田)を手配し、万を持して向かえた屋久島・宮之浦岳登山。雪の具合が知りたくて、12月中旬より毎日のように宮之浦岳の山頂天気予報をチェックしてましたが、クリスマス頃までは完全な夏山状態。その後、年末の何日か、合同庁舎前〜紀元杉間のバスが路面凍結で運行停止になる位の積雪が平地でもあったようですが、今回はいかに?
あ、今回のテーマは[Sea to Summit to Sea]。そう、田中陽希さんばりに、海(海抜0m)→宮之浦岳(1,935m)→海(海抜0m)と人力でつなぐ旅。Sea to Summitは余裕だが、Summit to Seaができるかは、時間的にも、体力的にも自信なし。まずは有言実行あるのみ!
朝6時過ぎに羽田を発ち、朝イチで鹿児島へ。ちょうど時間的に朝焼けする富士山を「見下ろす」ことができ、その後、南アルプスを経て、鹿児島上空では、霧島連山も「見下ろす」ことができました。で、鹿児島空港に到着するなり、「屋久島行きの乗換便は使用機が手配できず、欠航となる」旨のアナウンスがあり、期せずして鹿児島空港で2時間弱待機せざるを得なくなり、いきなり予定が狂います。(お詫びに、1,000円分の食事券を頂き、カツカレーに化けました・・・)
鹿児島発の一便(9:30 屋久島着)欠航につき、二便だと屋久島着が11:00。登山のスタート地点たる「楠川」行きのバスは11:09に空港発で、それを逃すとタクシー代出費を強いられるため、屋久島空港到着後は時間との争い。が、そもそもの乗客が2,30名程度なため、羽田から預けたザック回収もさほど時間がかからず、余裕でバスに間に合い、ひと安心。
15分程度で「楠川」へ到着。ザックをデポし、地元のおじさんに海辺までの道順を聞き、ほどなく海岸へ。自撮り棒を使って、足元を見ずに自撮りしていると、海岸の波が足元まで押し寄せ、登山開始前なのに、靴底は塩水に浸かる(笑)。ま、ハイカットだし、もちろん浸水はしてませんが。海岸沿いの熊野神社にて、今回及び2019年の安全登山を祈願し、海抜0mからの登山スタート♪。ちなみに、水分4.5kg含め、ザックのスタート時重量は14kg程度。長丁場の始まりにつき、重さが堪えます。。。
しばらく舗装路を歩き、楠川歩道入口からは山歩き開始。「山と高原地図」にある水場は見つからなかったが、湧き水は随所にあり、給水には困りません。途中からコケの緑一色、そう、もののけ姫の世界観まんまの光景に癒されます。ピンクテープを頼りに黙々と進んでいくが、白谷雲水峡間近でピンクテープを見失い、少々道に迷うも、何とか白谷雲水峡に到着。トイレで用を足し、いよいよ屋久杉満載の世界へ没入。
弥生杉コース、続けて奉行杉コースと辿ります。コース名にもなっている「弥生杉」は、看板は立派でも、肝心の杉に近づけず、前後どちらからもあまりよく見えず、今回写真すらupしてません。かなりビミョーな感じ。気根杉コースと名称変更してくれたほうがよい気すらしました。両コースの分岐点、さつき吊橋を過ぎると、いきなりヤクシカが!人間が来ても全然逃げません。その後、奉行杉コースは、シンボリックな屋久杉が満載。中でも「三本足杉」は、今回見た全ての屋久杉の中で、個人的には形も、名称も、存在感も、すべて含めて最も気に入りました。二代くぐり杉、くぐり杉ともに、下をくぐって通過。貴重な体験ですね〜。
シカの宿を過ぎると、ほどなく初日の目的地、白谷山荘へ。時間は16時。飛行機の1.5Hロスがあったものの、何とか明るいうちに到着し、結局私のソロ利用だったため、ゆったりマイペースで時間を過ごさせて頂きました。振り返ると誤算だった(失念してた)のは、ちょっと先にある「苔むす森」に行きそびれたこと。翌朝、真っ暗な中での通過となったので。ま、ここに来るまでも十分「苔むす森」でしたが、屋久島イチの「苔むす森」を明るいうちに見たかったですね。
2日目は、予報では午前は曇り、午後から晴れ。3日目は午前まで晴れ。元々の計画では、2日目は永田岳経由で鹿之沢小屋に一泊し、3日目の晴れの中で宮之浦岳通過ですが、その場合、3日目に鹿児島行きのフェリーに乗るためには15時までに宮之浦港へ行く必要があり、かなり汲々とした過密スケジュールになることは必至。2日目の午後が予報通り晴れなら、2日目のうちに一気に淀川小屋まで達したい、という目標感を持ち、朝5時、白谷山荘をスタート(5時より前にスタートすると、ウィルソン株に日の出前に着いてしまうための時間調整)。あ、白谷山荘は山荘内にトイレがあり、大変便利ですよ〜。水場は山荘ドア前とその10m位先の2ヶ所あり、24時間、すごい勢い・水量で、掛け流し状態です。
真っ暗な中、辻峠、楠川分れ、大株歩道入口と黙々と進みます。辻峠で標高1,000m近くまで登るのに、そこから楠川分れまで一気に250m近く下りてしまうのは残念の極み(笑)。楠川分れで荒川登山口からのルートと合流し、1時間強のトロッコ道歩き。最初は真っ暗でしたが、大株歩道入口へ到着時は夜が明けました。途中で、翁岳が見えたのは収穫でしたね。
大株歩道入口からは、山登りになります。程なく、ヤクザルに遭遇。そして、今回の山旅で宮之浦岳の次に楽しみにしていたウィルソン株へ。最初はどこから見たらハート型に見えるのかわからず悶々としていましたが、居合わせたハイカーが丁寧に教えてくださり、やっとハート型を拝めました。ウィルソン株では自分含めて3名のみで、静かな観光です。ハイシーズンなら、こうはいかないでしょうし、撮影スポット探しも時間に追われ、大変でしょうね・・・。
その後、大王杉、夫婦杉、縄文杉と進むにつれ、雪が増えてきますが、つぼ足で問題ないレベル。ただし、下りの木階段は、滑らないよう細心の注意が必要。縄文杉でも、自分含め3名しかおらず、好きなアングルで写真撮り放題(笑)。ハイシーズンだと、きっとすごい人出なんでしょうね。。。
縄文杉までに、下山者5人とすれ違い、その後宮之浦岳までの間で2人、淀川小屋までの間で2人としかすれ違っていません。本当に静かな山行で、オフシーズンならではですね。
縄文杉を過ぎると雪量も増え始めたので、高塚小屋でチェーンスパイクを装着。軽食を取り、トイレで用を足し、ひとまず新高塚小屋を目指します。新高塚小屋前で、標識に初めて「淀川小屋 10km」が登場。これを0kmにするのが今日の目標です!新高塚小屋でも追加で軽食を取り、この後淀川小屋までトイレがないので、再度用を足し、登り続けます。
程なく第一展望台に到達すると、屋久島到着後、初めてとなる宮之浦岳が見えます。紺碧の青空の下、雲ひとつない快晴下の宮之浦岳。上出来すぎます!雲が出現する前に登頂すべく、ペースを上げます!第二展望台、坊主岩と辿るうちに稜線に出て、ついに第二の高峰・永田岳も見え始めます。上空には雲1つなく、空の青、岩の灰色、樹木の緑、付着した雪(白)、合計4色しかないような絶景が長い間続きます。
平石岩屋の辺りとか、振り返るとゴツゴツ岩だらけで、自然の造形物ってすごいなーと感心。ここらで熊本からいらした男性ハイカー2名としばしの間情報交換。縄文杉以降で初めて会った人です(笑)。
永田岳や鹿之沢小屋との分岐点となる焼野三叉路への到着が13:30。遅くとも15時に宮之浦岳を発てるならば、逆算するなら、遅くとも焼野三叉路に14時までに到着していれば、鹿之沢小屋入りを止め、淀川小屋まで突っ込む方針でしたが、方針に合致するため、一気に快晴下の宮之浦岳を目指します。
宮之浦岳(1,936m)へ近づくにつれ、屋久島第二の高峰・永田岳(1,886)が目線より下になっていくのが実感できます。そして、ついに宮之浦岳の頂へ!12月中旬より毎日天気予報をチェックしていた宮之浦岳へ、360度のラウンドビューが見渡せる、まさかの快晴時登頂。感無量。これから向かう南の峰々や海(屋久島海峡)が鮮やかに見通せます。本当に予報通りの快晴。9時頃の縄文杉滞在中は、どんよりした曇り空だったので、本当にミラクルな感じです!
予定より30分早く、14:30に宮之浦岳を出発。日没前に淀川小屋に着くかどうか微妙な時間帯ですが、まずは先を急ぎます。ロボット岩(正式名はゲンコツ岩)やモアイ岩(正式名不明)、その名も投石岳(なげしだけ、と読む)など、奇岩が多く、山行が面白いこと面白いこと!投石平の辺りで雪が消えたため、ここでチェーンスパイクを外します。
その後、日本最南端の高層湿原・花之江河&小花之江河へ。花之江河では2頭のヤクシカにも再会しました。花之江河からは黒味岳が、小花之江河からは高盤岳がよく見え、湿原も全面的に雪張りになっておらず、まさに「湿原」状態で、期待以上の絶景が見れました。この時間帯でも全然雲がなく、最高の天気です。
小花之江河以降は、下り基調かと思いきや、所々に登り返しがありウンザリ・・・。しかも結構な量の雪が復活しますが、私は小屋までつぼ足で通過しました。不安な方はチェーンスパイクを再装着したほうがよいと思います。高盤岳の上には、ざく切り白菜?みたいな奇岩が乗っており、その展望台も道中にあったのですが、日没前に小屋に着きたいのでスルー。結論から言うと、小屋の30分程前でヘッドライトを点け、小屋着は日没後となりました。淀川小屋のトイレは小屋外となります。水場は裏の沢から汲むようですが、私は水が余っていたので、汲んでいません。
淀川小屋到着時、自分しかおらず、まさか自分より後に利用者が来るとは思えないので、今日もソロ利用だ!と思って就寝していたら、19時過ぎに1人いらっしゃいました。もう寝てたので、全く会話しておりませんが。
3日目の朝。10:45に「紀元杉」発のバスで合同庁舎前まで行けば、バスを乗り継いで、確実に鹿児島行きフェリーに間に合う時間に宮之浦港まで辿り付けることは承知していましたが、[Sea to Summit to Sea]にこだわり、淀川小屋を6時に出発。
真っ暗なうちに淀川登山口を通過。ここからは22kmの舗装路歩き。ちょうど紀元杉に着く頃は陽が昇っていました。その後、ヤクスギランドまでは所々で登り返しもあり、ゲンナリ。でも下りを中心に小走りで進んでいきます。ヤクスギランドからは完全な下りとなりますが、小走りできたのは尾立峠(荒川分れ)辺りまで。疲れと、ハイカットシューズで舗装路を走り続ける苦痛に嫌気が差し、残りは早歩きに切り替えました。足指が異様に痛く、途中で靴を脱いで足指マッサージするも、あまり回復せず。そうこうしているうちに、「紀元杉」行きと書かれた公共バスとすれ違い。あれが、10:45紀元杉発のバスだと確信。そのバスより早く安房に着かなければ悔しいよね、と自分に暗示をかけ、先を急ぎます。(そうそう、ヤクスギランド〜尾立峠間で、客を乗せずに下るタクシーとも遭遇しました。ドライバーさん、きっと私を乗せたかっただろうな・・・などと勝手に想像しましたw)
残り4kmほどの地点にある屋久杉自然館前に、なんと「宮之浦港」行きのバスが停車中。あれに乗れたら、どんだけ楽だろう・・・と想像するも、[Summit to Sea]と連呼し(嘘)、自然館前のトイレで用を足し、先を急ぎます。
途中で、安房港、そして安房大橋が見えた時は感動しましたね。この時点で足指はかなりグロッキーな感じでしたから。そうそう、所々で、立派な峰々が見えるので、その山座同定も、退屈な舗装路下りの楽しみの1つでしたね。
安房大橋に差し掛かると、キレイに澄んだ安房川の河口が見え、あそこをゴール地点と定めます。もはや棒のような足を奮い立たせて海岸へ。ついにゴール。3日かけて、[Sea to Summit to Sea]を達成!己の健脚と昨日今日の好天に感謝。
その後、安房→宮之浦港までバスで移動し、宮之浦港→鹿児島港までフェリーで移動し、翌日の開聞岳登山へと続きます。
オフシーズンの屋久島。本当に入山者が少なく、観光名所にもほぼ人がおらず、それでいてチェーンスパイクさえあれば十分安全登山できる程度の雪量で、かなり好条件な屋久島3Daysとなりました。今回行けなかった永田岳や黒味岳など、行きたい所は複数残りますが、費用的にも時間的にも、人生最後の屋久島かもしれません。2019年の登り初めを、快晴下の宮之浦岳とできたことを誇りに思います!!
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